企業住友理工東証プライム:5191】「ゴム製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは、事業を取り巻く環境がダイナミックに変化する中、将来に向けて持続的に成長・発展するために新事業の創出が不可欠であることから、当社グループのコア技術である高分子材料技術と総合評価技術をベースに技術領域の融合・協業を推進し、スピーディーな新技術の創出とタイムリーな商品開発を目指しています。

2023年5月末に発表した、「2029年 住友理工グループVision」に基づき、パーパスである「素材の力を引き出し、社会の快適をモノづくりで支える」に沿って、社会に価値を提供し続けてまいります。

 研究開発にあたっては、主に、新機能・高品質の材料設計開発を担う材料技術統括部と、当社グループのコア技術の深化、シミュレーション等を活用したデータ駆動型開発の体制構築を担う基盤材料開発研究所で進めています。

 研究テーマとしては、環境対応、新事業創出、既存製品性能向上、コア技術等を掲げており、その中でも、CE(サーキュラーエコノミー)への取り組みとしては、2022年からランザテック社と廃棄物の回収・再利用といった循環型社会の実現を目指した協業を進めています。また2023年からは同活動に対して、住友ゴム工業㈱・住友電気工業㈱にも協業の輪が広がり、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを加速させています。

 各事業部門では、「自動車(モビリティ)」「エレクトロニクス」「インフラ・住環境」「ヘルスケア」に該当する新製品の研究開発を実施しているほか、2020年4月には品種別に分かれていた開発センター等を統合した「新商品開発センター」を設置しました。開発領域の選択と集中を実施しつつ、開発のスピードアップと早期事業化を図っています。

 さらに、親会社である住友電気工業㈱との連携をより一層強化し、グループ全体での製品開発を進めていきます。

なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費の総額は16,758百万円であります。

 セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

① 自動車用品

 自動車(モビリティ)分野においては、CASEといった技術革新への迅速な対応にとどまらず、サステナブル社会の実現に向けて、環境問題をはじめとする社会課題解決への積極的な関与が求められています。「防振」「自動車用ホース」「ウレタン」の3事業本部とファインエラストマー事業部では、NVH(騒音、細かい振動、衝撃音)を中心としたOEMメーカーの要求スペックやエンドユーザーのニーズに適合する製品やCASEに関する技術等について、研究開発・技術確立を進めています。

 また、設計から量産工程まで一貫したDXを推進しており、そのひとつとして、長年にわたり蓄積したデータをもとにした独自の加硫シミュレーション技術確立に取り組んでいます。この技術を用いることで、設計段階において量産時のばらつきを考慮した高品質な製品を設計する事ができるため、製造工程ではより競争力の高い生産が可能となります。さらに、グローバルでの水平展開によって、グループ全体でのスマート工場の実現を目指します。

 新商品開発センターでは、圧力の検知により、生体情報(心拍成分や呼吸成分等によるバイタルデータ)を推定することが可能な当社独自開発の「スマートラバー(SR)センサ」を応用し、SRセンサを座席に設置する「モニライフ・モビリティ(ドライバーモニタリングシステム)」を開発中です。上市を見据え、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)と「住友理工-産総研 先進高分子デバイス連携研究室」を2020年10月に設立し、テストコース(茨城県つくば市)を活用した実証実験を通し、両社の知見を生かしながら、新たな技術・製品の開発を加速させています。また、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)向けの基幹部品についても、次世代車種を見据えた研究開発を継続実施しております。EVで注目される熱マネジメントへの対応製品においては、車室内の断熱効果を高める薄膜高断熱材「ファインシュライト®」を2020年9月に発売しました。省エネや環境負荷低減に貢献できる製品で、さらなる技術開発を進めています。他にも、EV用の電池をはじめとする部品の熱マネジメントへの対応として、冷却系ホースや電池用断熱材、バッテリー冷却板等を開発し、受注に向けた取り組みを進めています。

 親会社の住友電気工業㈱とは、同社の主力製品であるワイヤーハーネスと、当社の制遮音品や内装品、ホース等の製品とを組み合わせたシステムの提案等をはじめとして、さらなる協業体制の構築を目指していきます。

当連結会計年度における自動車用品に係る研究開発費は、15,003百万円であります。

② 一般産業用品

 エレクトロニクス分野においては、環境面で注目される水現像フレキソ版材や、高機能、高精度部品の材料開発を進めています。インフラ・住環境分野では、鉄道車両用防振ゴム・高圧ホース等のコア技術の強化・再構築を図るとともに、住宅市場でのさらなる事業展開を継続し、事業体質の強化・新規事業の創出を図っています。ヘルスケア分野では、SRセンサを応用した「モニライフシリーズ」が令和5年度中部地方発明表彰「文部科学大臣賞」と、令和5年度愛知発明表彰「発明奨励賞」を受賞しました。本製品を用いて、宿泊業界では宿泊者の睡眠状態を「見える化」するサービスの導入や、ルームマネジメントシステムと連携させて、照明や空調の自動制御を行うことで、質の高い睡眠環境の提供が検討されています。

 また、2015年12月に九州大学及び糸島市(福岡県)との間で3者協定を締結し、フレイル*予防に関する研究を進めてきました。この成果をもとに、小牧本社・製作所がある愛知県小牧市においても、2021年1月に小牧市と協定を締結のうえ、フレイル予防を推進しています。医療機関や研究開発機関、介護施設や企業等への当社製品・サービスの提供を通じて、ヘルスケア分野での新たな製品開発につなげ、人々の暮らしへのさらなる貢献を目指していきます。一方、「ファインシュライト®」は、その断熱性能が認められ、令和4年度愛知発明表彰「愛知発明賞」を受賞しました。自動車に先んじてフードデリバリー専用の温熱シートやコロナワクチンの定温輸送用ボックス、アウトドア用品にも当社製品が採用されました。今後も継続して新たな製品用途の拡大と協業パートナーの探索を目指し、展開・拡販を取り組んでいます。

 このほか、インテグリカルチャー㈱が主宰する細胞農業オープンイノベーションプラットホームへの参画や、㈱ギンレイラボと共同開発を行っている動物実験代替ツール「生体模倣システム」については、基本技術の確立が進んだことで順調に試作品受注を獲得するなど、新たな事業共創に向けて積極的に取り組みを進めています。

当連結会計年度における一般産業用品に係る研究開発費は、1,755百万円であります。

※「フレイル」とは、加齢とともに身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態のこと。

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