企業兼大株主京阪神ビルディング東証プライム:8818】「不動産業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

 当社グループは、取締役会で定めた「サステナビリティ方針」に基づき「サステナビリティ推進規程」を設け、この規程に従ってサステナビリティ推進に関する体制を整備しております。
 社内体制につきましては、最高責任者を代表取締役社長、執行責任者を執行役員管理統括と定め、各種ポリシーや目標、施策の検討・立案を目的に「サステナビリティ委員会」を設置するとともに、体制整備や各種施策の実行を目的として「サステナビリティ推進室」を設置しております。なお、「サステナビリティ委員会」の委員長は代表取締役社長とし、委員会はサステナビリティ推進室員及び各部より任命を受けた委員で構成しております。


委員会は原則として3ヵ月に1回以上開催し、主に以下の事項について、各部門と協力しながら全社横断的に対応しております。

① サステナビリティに関する取組方針の検討

② サステナビリティに関するリスクと機会の特定・評価・管理

③ サステナビリティに関するリスクの低減、機会の拡大のための取組の状況の管理

④ サステナビリティに関する取組の進捗を管理するための指標と目標の設定

 サステナビリティ最高責任者の代表取締役社長は、サステナビリティに関する取組について、委員会の出席者による各議題についての審議・検討を踏まえたうえで意思決定を行うこととしております。

 これら委員会の活動内容につきましては、サステナビリティ執行責任者である執行役員管理統括が、年に1回以上経営会議及び取締役会あてに報告を行い、これにより取締役会はサステナビリティへの取組を監督しております。

 また、取締役会が監督機能を適切に発揮し続けるための取組の一環として、取締役・監査役に対して毎年実施している研修のテーマにサステナビリティ課題を組み入れ、適切な知見の維持・向上にも努めております。

(2)戦略

当社グループは、サステナビリティに関する取組が当社グループの事業活動に与える影響について、その重要性が相対的に高いと考えられるサステナビリティ課題から順次影響度を評価し、事業戦略に組み込むべきと考えております。

こうした考えのもと、当社グループが持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、重要度の高い課題の中から特に優先して取り組むべきものをマテリアリティとして特定しております。


当連結会計年度の終了時点においては、当社グループが掲げるマテリアリティのうちE(環境)、S(社会)に関するものとして「気候変動に対するレジリエンス強化」「人的資本の向上・ダイバーシティ&インクルージョン」に関する取組を、特に重要性が高いものとして事業戦略に組み込んでおり、その内容については以下のとおりです。

① 気候変動に対するレジリエンス強化

気候変動がもたらす当社グループへの財務的影響を評価し、当社グループの中長期的な事業戦略に組み込むため、TCFDが提言するフレームワークに沿って、シナリオ分析を行いました。

(イ)シナリオ分析の対象とした範囲

当社グループの事業活動全体を分析の対象としています。当社グループはオフィスビル、データセンタービル、ウインズビル(場外勝馬投票券発売所)、商業施設、物流倉庫等の賃貸事業と、それに付随するビル管理事業等を行っています。

(ロ)主に参照したシナリオ

TCFDの提言では、2℃以下を含む複数シナリオを踏まえて、自社の戦略のレジリエンスについて説明することが推奨されています。当社グループは主に以下のシナリオを参照しました。


(ハ)財務的影響度の評価手法

シナリオ分析を通じて特定したそれぞれのリスクと機会に対して、2030年までを「中期」、2050年までを「長期」と定義し、各時間軸における財務的影響度(単年度の損益に与える影響)を「大、中、小、極小」の4段階、発生可能性を「高、中、低」の3段階で評価しました。なお、財務的影響度については将来的に具体的な評価額を分析のうえ開示する予定としており、現在準備を進めているところです。

(ニ)1.5℃シナリオに基づく分析

(a)1.5℃シナリオにおいて特定した主要なリスクと機会

1.5℃シナリオでは、2050年のカーボンニュートラルに向けて事業の脱炭素化が強く求められることが想定されます。当社グループが1.5℃シナリオにおいて発生可能性を「中」以上と認識する主要なリスクと機会は以下のとおりです。


(b)リスクと機会を踏まえた取組

・省エネ機器への更新

 1.5℃シナリオで想定される省エネ規制の強化に伴う対応コストを低減することを目的のひとつとして、設備の更新時期の到来やテナントの入れ替えといったタイミングに合わせて、照明や空調の省エネ機器への切り替えを順次進めています。これまでにオフィスビルを中心に照明のLED化を進めたほか、データセンタービルでは受変電設備、空調設備の省エネ機器への更新も順次行ってきました。

・環境認証の取得

 環境性能の高いビルへの入居ニーズのさらなる拡大を見込み、外部評価を通じて保有するビルの状態を客観的に把握すると同時に、さらなる改善・向上のための参考とすべく、CASBEE不動産評価認証やBELS評価認証などのグリーンビル認証の取得を推進しています。

 2023年3月期末におけるグリーンビル認証の取得実績につきましては、「指標と目標」をご参照ください。

(ホ)4℃シナリオに基づく分析

(a)4℃シナリオにおいて特定した主なリスクと機会

4℃シナリオでは、気温上昇を抑えるための脱炭素化が1.5℃シナリオほど強く求められない一方で災害の激甚化が進み、防災・減災に対する社会からの要請が一層強まると想定されます。当社グループが4℃シナリオにおいて発生可能性を「中」以上と認識する主要なリスクと機会は下記のとおりです。


(b)リスクと機会を踏まえた取組

・風水害への対策投資

 4℃シナリオで想定される風水害の激甚化に伴う損害・対応コストの低減を目的のひとつに、保有物件において防潮板の設置のほか、特別高圧受変電設備の地下から上層階への更新・移設工事を順次行っています。特別高圧受変電設備とは外部から引き込んだ電力を建物内に供給するための設備で、これを上層階へ移設することで、風水害の激甚化に伴う浸水リスクを低減することができます。

・パートナー企業との協働訓練

 4℃シナリオで想定される風水害の激甚化に伴う損害・対応コストの低減と、BCP性能の高いビルへの入居ニーズによる収益機会の拡大を目的のひとつに、ソフト面でのレジリエンス強化の取組として、ビルの管理・運営を担うパートナー企業と協働で定期的に訓練を実施しています。訓練では、水害を想定した防潮板の設置や外部からの電力供給遮断に備えた非常用発電機の稼働といったフローを実際に行っており、ハード・ソフト両面からのレジリエンス強化によって、テナント企業にとって信頼性の高い事業空間の提供に努めています。

② 人的資本の向上・ダイバーシティ&インクルージョン

当社グループは、多様な人格・個性・価値観をもつ従業員がそれぞれの能力を最大化することが多様化・複雑化する社会において当社グループが持続的な成長を実現するための基盤になると考えており、斯かる認識のもと、「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を以下のとおり定めております。

(イ)人材育成方針

(a)京阪神ビルディングは、「革新と効率を尊び、活力ある企業風土」を築くことを経営理念に定め、今後の持続的な成長の実現に向けて、企業風土の根幹をなす人材育成に注力してまいります。

(b)「会社の成長は従業員一人一人の成長の総和」との考えのもと、多様な人材の確保と従業員一人一人の人格・個性・価値観に応じた育成に積極的に取り組んでまいります。

(C)新卒・経験者採用の別、性別、年齢を問わず、多様な人材が適材適所で自律的に成長することを促します。

(人材育成に関する取組み)  

・継続的な新卒採用と、経験者採用やシニア世代の積極的な活用等により、多様な人材の確保に努めます。 

・従業員の職務・階層別研修、自己研鑽の機会提供を目的とした資格取得支援制度等によって一人一人のスキルアップを図ります。 

(ロ)社内環境整備方針

(a)少人数で効率的な経営を実現するため、多様な人格・個性・価値観をもつ従業員がお互いを尊重し、全ての従業員が能力に応じて活躍できる職場環境を整備してまいります。

(b)生産性の向上と業務の効率化を図るとともに、従業員のワークライフバランスにも配慮した、多様な働き方を可能とする体制・制度の整備等により、従業員一人一人が最大限能力を発揮できる、安全で働きやすい職場環境づくりに努めます。

(社内環境整備に関する取組み)

・従業員が多様性を受容し、差別のない健全な職場環境を維持するために、人権研修等の社内啓蒙活動を推進しております。

・従業員を取り巻く環境の変化に拘らず、従業員一人一人が活き活きと働き、最大限のパフォーマンスを発揮できるように、育児・介護休業等の支援制度の充実に取り組むほか、書類の電子化や各種システムの導入を通じて、リモートワーク等の多様な働き方を可能とする体制の整備に努めております。

(3)リスク管理


① リスクと機会を特定・評価するプロセス

サステナビリティ執行責任者の執行役員管理統括は、サステナビリティ推進室に対して少なくとも年に1回以上、サステナビリティ課題に関連するリスクと機会の識別及び評価を指示しております。

サステナビリティ推進室は、それぞれのリスクと機会について財務的影響度、発生可能性、投資対効果など検証を行い、その進捗及び評価結果をサステナビリティ委員会へ報告しております。

サステナビリティ委員会では、サステナビリティ推進室によって特定されたリスクと機会について、その財務的影響度と発生可能性についての評価結果をもとに、優先して対応すべきリスクと機会の優先順位付けを行っております。

② リスクと機会を管理するプロセス

サステナビリティ最高責任者の代表取締役社長は、優先順位の高いリスクと機会についてのサステナビリティ委員会での審議結果を基に、それぞれについて対応担当部署または担当者を指定し、その対応策の策定を指示しております。

指定された担当部署あるいは担当者が策定する対策案は、その内容に応じて、サステナビリティ委員会、リスク管理委員会、経営会議、取締役会あるいは社内の適切な委員会等の会議体において審議のうえ、全社の事業・財務計画に統合され、実行されています。

また、サステナビリティ課題に関するリスクはリスク管理委員会にも共有しており、サステナビリティ課題に関連するリスクの識別・評価・管理プロセスは、全社のリスク識別・評価・管理プロセスとの統合が図られております。

(4)指標及び目標

当社グループはサステナビリティに関する取組の進捗を管理するための指標と目標として、サステナビリティ委員会での審議・検討を踏まえたうえで、それぞれのマテリアリティに紐づくKPIを設定しております。

そのうち特に重要性が高いものとして「戦略」の欄に記載のマテリアリティ「気候変動に対するレジリエンス強化」「人的資本の向上・ダイバーシティ&インクルージョン」に関する指標と目標は以下のとおりです。

① 気候変動に対するレジリエンス強化

主に移行リスクの低減及び収益機会の拡大のため、保有物件からのGHG(温室効果ガス)排出状況及び排出原単位については、Scopeごとの排出量をモニタリングするとともに、Scope1、2の排出量については、以下の削減目標とKPIを設定しました。

目標:Scope1、Scope2のGHG排出量を2031年3月期までに2020年3月期比で46%削減

KPI①:2031年3月期までに、省エネを通じてScope1、Scope2のGHG排出量を2020年3月期比で10%削減

2023年3月期実績:LED化計画に則って各ビルの照明をLEDに更新し、消費電力削減を図りました。

KPI②:再生可能エネルギーの利用

2023年3月期実績:当期末時点での再生可能エネルギーの利用実績はありませんでしたが、2023年4月よりオフィスビル6棟(大阪4棟、東京2棟)においてビル内で使用する全電力を再生可能エネルギー由来の環境価値を付加した電気購入に切替えを予定しております。

KPI③:2031年3月期までに、保有物件に占めるグリーンビル認証取得物件の面積率50%以上を達成、今後の新築物件のグリーンビル認証取得100%

2023年3月期実績:虎ノ門ビル、御成門ビル、代々木公園ビル、OBPビルの計4棟のグリーンビル認証を取得しました。これにより当社グループのグリーンビル認証取得物件は計7棟となり、2023年3月期の保有物件に占めるグリーンビル認証取得物件の面積率は、37.3%となりました。



なお、集計時期の都合により2022年3月期の数値を記載しております。2023年3月期の数値は、2023年7月頃に弊社ウェブサイト(URL https://www.keihanshin.co.jp/sustainability/) に公開予定です。

② 人的資本の向上・ダイバーシティ&インクルージョン

戦略に記載した方針に基づく取組についての指標と目標は以下のとおりです。

(イ)新卒採用の女性比率(5年平均値)

目標:50%

2023年3月期実績:66.6%

経験者採用やシニア世代の活用については時代背景等の影響があり、現状では男性に偏りがありますが、今後当社グループの将来を担っていく新卒採用については人材の多様化を前進させるとともに、性別を問わず全ての従業員が能力に応じて活躍できる環境整備の指標としております。

(ロ)有給休暇消化率

目標:70%以上

2023年3月期実績:76.6%

従業員のワークライフバランスにも配慮した、多様な働き方を可能とする体制・制度の整備等により、従業員一人一人が最大限能力を発揮できる、安全で働きやすい職場環境づくりの推進のため指標として採用しました。

(ハ)人材育成に係る投資額

目標:100千円/人

2023年3月期実績:56千円/人

「会社の成長は従業員一人一人の成長の総和」との考えのもと、従業員一人一人の人格・個性・価値観に応じた育成に取り組むべく、各階層に応じての研修実施等社内制度を見直してまいりました。引き続き、成長の機会提供を行っていく予定です。

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