京阪神ビルディング 【東証プライム:8818】「不動産業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、以下の経営理念及びサステナビリティ方針のもと、企業活動を通じた社会課題解決への取り組みにより、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、当社グループの企業としての持続的な成長を目指しております。
私たちの理念・行動指針 | |
経 営 理 念 | 1. 価値ある事業空間を提供しお客様と共に発展することにより、社会に貢献します。 |
| 2. 信用を重んじ質を重視した経営を堅持して、お客様・株主・社員の信頼に応えます。 |
| 3. 革新と効率を尊び、活力ある企業風土を築きます。 |
企業行動指針 | 1. お客様本位の徹底 お客様のニーズと信頼に応え、安全で良質な環境とサービスを提供します。 |
| 2. コンプライアンスの実践 法令および規律を遵守し、高い倫理観に根ざした社会的良識をもって行動します。 また、公正、透明、適正な取引を行い、政治、行政との健全かつ正常な関係を保ちます。 反社会的勢力および団体とは一切関係を遮断し、毅然とした対応をします。 |
| 3. 社会発展への貢献 地域との良好な関係を構築し、良き市民として積極的に社会貢献活動を行います。 |
| 4. 公正な情報開示 株主はもとより、広く社会とのコミュニケーションをとり、企業情報を適時、的確かつ公正に開示します。 |
| 5. 環境問題への取り組み 環境保全は経営の重要な課題であることを認識し、自主的、積極的に環境問題に取り組みます。 |
| 6. 個性を尊重する企業風土 ゆとりと豊かさを実現し、安全で働きやすい職場環境を確保するとともに、社員の人格、個性を十分尊重します。 |
サステナビリティ方針 |
環境問題に積極的に取り組み、未来の豊かな環境と事業活動との両立を目指します。 1.気候変動への対応 2.資源の持続可能な利用と循環型社会への貢献 |
ステークホルダーとの協働を通じ、社会全体の継続した発展を目指します。 3.お客様への貢献 4.株主・投資家との対話 5.パートナー企業との協働 6.地域社会への貢献 7.従業員への取り組み(ウェルビーイングの取り組み) |
コンプライアンスの遵守や公正な情報開示を通じて、透明性高くあり続けます。 8.サステナブル経営への取り組みの監督 9.コンプライアンスの遵守 10.ESG関連情報の開示とコミュニケーション |
(2)経営戦略・経営指標
当社グループは、堅実な経営基盤を堅持しつつ、営業基盤の拡大を図るために新規投資を継続的に実施して、事業の発展を目指す方針であります。中長期的に新規優良物件に対する投資を継続して推進するとともに、既存施設の見直しも進めて、経営効率の改善及び健全な財務体質の維持に努めてまいります。
この方針の下、より高い利益成長と高い資産・資本効率を実現するためには、当社グループを取り巻く外部環境の変化に対応できる基盤や体制の一段の整備を図るとともに、新経営体制のもと2048年に迎える創立100周年を見据えた成長基盤の確立とESGを意識したサステナブル経営推進のための改革が必要と考え、2024年3月期から2033年3月期の10ヵ年を対象とする長期経営計画を策定いたしました。
(長期経営計画の概要) |
|
対象期間 | 2024年3月期から2033年3月期の10ヵ年 |
基本方針 | 1.サステナブル経営を実現し、持続的な企業価値向上を図る。 |
2.投資環境の変化を見極め、ポートフォリオの拡充による企業規模の拡大と新たな収益モデルの創出を目指す。 | |
10年後の目指す姿 | 社員一人一人が創意工夫と挑戦を通じて成長し、時代のニーズに応える価値ある事業空間を提供することにより、サステナブルな社会に貢献し続ける会社 |
本計画については2期に分けて計画を推進してまいります(フェーズⅠ:2024年3月期から2028年3月期、フェーズⅡ:2029年3月期から2033年3月期)。本計画期間を通じて長期保有資産の積み上げを継続的に進めていくとともに、計画の各フェーズに応じて、新規事業の収益化に向けた準備、成長基盤強化と環境変化に対する体制強化(フェーズⅠ)、新規事業の収益実現(フェーズⅡ)を図ってまいります。具体的には、健全な財務体質を堅持しつつ、多様なアセットタイプや、きめ細かいビル管理等の当社グループが持つ従来の強みを活かした成長促進を図るとともに、資産回転型事業による資産の拡充と組み換え、エクイティ投資・海外投資、一段と多様なアセットタイプへの投資等に取り組むことで、ストック事業とフロー事業のバランスのとれた収益構造への転換や、景気変動リスクを低減し、安定した収益基盤の拡充を図る方針です。そして、フロー事業への取組等によるROA向上を目指し、結果としてROEの改善・向上の実現を目指します。また、1株当たり利益を重視した安定的な配当・増配を継続し、本計画期間中の配当性向は45%程度を目指してまいります。
併せて本計画では、GHG排出量削減目標やグリーンビル認証取得面積率の目標設定など、当社グループのマテリアリティ(重要課題)に紐付く取組課題・KPIの決定とその進捗管理を図っていくとともに、人材育成や多様な人材の確保など長期経営計画を支える人員構成とすべく、人的資本経営に向けた取組の強化を図るなど、ESGを意識したサステナビリティ戦略も推進してまいります。
本計画の達成状況を判断するための客観的な指標は以下のとおりであります。なお、本計画においては、投資手法の多様化を事業戦略の一環としていることから、償却前事業利益(事業利益(営業利益+投資事業組合運用損益等)+減価償却費)を重要な経営指標としております。(なお、当社の収益力をより適切に表すため、償却前事業利益の計算式を「事業利益(営業利益+持分法投資損益)+減価償却費」から変更しております。)
① 業績計画(数値目標)
| 長期経営計画 | |
| フェーズⅠ | フェーズⅡ |
事業利益 (営業利益 | 70億円 | 140億円 |
償却前事業利益 (事業利益+減価償却費) | 110億円 | 180億円 |
自己資本比率 | 30%以上 ※ | |
ネット有利子負債 /EBITDA倍率 | 10倍程度 | |
ROA (事業利益/総資産) | 4.0%以上 | 5.0%以上 |
ROE (当期純利益/自己資本) | 6.0%以上 | 8.0%以上 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産 ネット有利子負債/EBITDA倍率:ネット有利子負債/償却前営業利益(営業利益+減価償却費) ROA(事業利益/総資産): ROE(当期純利益/自己資本): |
※ 財務規律を維持する上での下限値として設定しておりますが、長期経営計画最終年度の2033年3月期末の自己資本比率は40%程度を計画しているなど健全な財務体質を堅持していく方針です。
② 投資計画
| 長期経営計画 | |||
フェーズⅠ | フェーズⅡ | 合計 | ||
不動産投資 | 収益物件の取得 | 500億円 | 1,300億円 | 1,800億円 |
エクイティ投資 | 80億円 | 80億円 | 160億円 | |
海外投資 | 50億円 | 200億円 | 250億円 | |
既存物件の建替え | 40億円 | 50億円 | 90億円 | |
更新修繕投資 | 既存物件の大規模修繕 | 100億円 | 100億円 | 200億円 |
計 | 770億円 | 1,730億円 | 2,500億円 | |
投資回収 | 収益物件の売却 | - | 800億円 | 800億円 |
ネット投資額 | 770億円 | 930億円 | 1,700億円 |
(3)優先的に対処すべき事業上の課題
今後のわが国経済は、アフターコロナへの移行に伴うインバウンド需要の増加等、社会経済活動の正常化が進むこと等による景気持ち直しが期待されるものの、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化などが懸念され、世界経済の減速リスクや、物価や金利、為替動向の影響などには注視が必要で、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
不動産賃貸業界におきましては、企業収益の回復や、アフターコロナ移行後の出社回帰の動きなどもあって足下の空室率はやや落ち着きをみせてはおりますが、都心部などでの新規物件の供給圧力もあり将来見通しは楽観視できないと考えられます。また、GHG排出量削減をはじめ脱炭素社会の実現に向けたサステナビリティへの取組も求められております。
こうした事業環境の変化に対処すべく、前項「(2)経営戦略・経営指標」にて記載のとおり、当社グループは2024年3月期から2033年3月期の10ヵ年を対象とする長期経営計画を策定いたしました。本計画に掲げる重点施策の中でも特に「次なる成長へ向けた新規事業投資戦略」と「ESGを意識したサステナビリティ戦略」の2点を重点的に対処すべき課題と捉え、取組を加速してまいります。特に重点的に対処すべき課題としております2点につきましては、以下のとおりです。
①次なる成長へ向けた新規事業投資戦略
(イ)首都圏を中心としたオフィス、物流倉庫、都市型商業ビルの取得
(ロ)昨今のデータ通信量の増加に応える新データセンタービル開発用地の取得
(ハ)フロー事業(資産回転型事業、エクイティ投資)への取組など投資手法の多様化
(ニ)アセットタイプの一段の多様化(法人向け賃貸レジデンス、ヘルスケア施設等)
(ホ)他社とのアライアンスも含めた海外投資の取組
②ESGを意識したサステナビリティ戦略
(イ)TCFD提言への取組を通じた気候変動問題への積極的な対応
(ロ)当社のマテリアリティ(重要課題)に紐付く取組課題・KPIの決定とその進捗管理(GHG排出量削減目標の設定、グリーンビル認証取得面積率の目標設定等)
(ハ)人的資本経営に向けた取組強化(人材育成、多様な人材確保、長期経営計画を支える人員構成、社内環境整備、DX推進等)
上記重点的に対処すべき課題に取り組みつつ、今後とも外部環境や不動産市況等の変化を機敏に捉えながら、長期経営計画を着実に推進することによってステークホルダーの皆様の負託に応えてまいります。
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