京王電鉄 【東証プライム:9008】「陸運業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、公共交通事業者としての社会的責務を果たすという使命を軸に、流通業、不動産業、レジャー・サービス業など幅広い事業を通じて、幸せな暮らしの実現や地域の発展を目指してまいりました。当社グループでは、このような幅広い事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な企業価値の向上を目指す旨を明文化した、「京王グループ サステナビリティ基本方針」を策定しています。
<京王グループ サステナビリティ基本方針>
当社の交通ネットワークが広がる沿線地域を事業基盤としている私たちは、 |
「京王グループ理念」に基づく誠実かつ環境に優しい事業活動を通じ、 |
交通サービスを中心とした暮らしにおける「安全・安心」を提供し続けます。 |
そして時代の変化にいち早くきめ細やかに対応しながら多様化するライフスタイルを牽引し、 |
地域やパートナーと共に多世代が交流・躍動する「まちづくり」に取り組むことで、 |
持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な企業価値を向上させてまいります。 |
(1)ガバナンス
当社グループではサステナビリティの視点を踏まえた経営を推進するため、当社代表取締役社長 社長執行役員が委員長を務める「サステナビリティ推進委員会」を2023年5月に設置しています。同委員会では、サステナビリティに関する全社方針や推進体制の整備、ESG課題の把握、マテリアリティの設定と目標策定・実績把握等について審議・決定を行い、当社取締役会に報告することとしています。
また、当社のマテリアリティには、気候変動に関する取組み課題が紐づく「環境にやさしく」と、人的資本に関する取組み課題が紐づく「活躍する人財」があり、それぞれについて、2023年5月に「環境基本方針」を改定するとともに、「人財戦略」を策定しています。
<サステナビリティ推進体制>
(2)戦略
「京王グループ サステナビリティ基本方針」のもと長期的に取り組むべき主要課題として、SDGs等のガイドラインにおける社会課題の視点も取り入れた7つのマテリアリティ(重要課題)を設定し、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指しています。以下の社会課題を当社グループの事業を通じて解決していく中で、ステークホルダーに対して価値を提供し、沿線力を向上させ、長期的に「住んでもらえる、選んでもらえる沿線」であり続け、そこで生活する人の「幸せな暮らし」を実現することで、当社グループの価値を創造してまいります 。
マテリアリティ | 主な社会課題 | 目指す姿 |
安全・安心 | 輸送事故ゼロ 混雑緩和 踏切による地域の分断 ユニバーサルサービス 自然災害への安全対策 無差別テロ行為の抑止 | ・日本一安全で、快適なサービスの実現(鉄道) |
「まち」との共生・ 発展 | 人口減少・高齢化 郊外の役割変化 ワークスタイルの変化 災害に強い街 | ・お客様が足を運びたくなる沿線拠点 ・多世代が交流・共生し、住民が増加、企業も集まる沿線 ・暮らしやすく、愛着を持ってもらえるまちづくり |
幸せな暮らし | ウェルビーイングの追求 ライフスタイルの変化 テクノロジーの進化 | ・付加価値の提供によって、多世代が精神的にも満たされた、「豊かさ」や「幸せ」を感じられる暮らしを実現する ・多様化し変化するライフスタイルに対して、適切な事業・商品・サービスを開発し提供する ・人流が変化する中での新しいライフスタイルを牽引する |
デジタル社会への 対応 | 急速な社会全体のデジタル化 イノベーション・DX人財の育成 | ・デジタル技術を駆使し自社ビジネスを通し、お客様に新たな価値を提供し続ける ・イノベーションマインドを持った人財が、お客様やパートナーと共に成長し続け、還元していく |
活躍する人財 (注1) | ダイバーシティ&インクルージョン 働きやすい職場 環境整備 個人のキャリア成長実感 働き手の確保 | ・「安全・安心」を基本とし、個の強みに磨きをかけ、失敗を恐れず、変革や挑戦の気概を持ち、自律的に業務を遂行する人財を創出 ・それら個の多様性を許容し、相互に機能し合うことにより、スピーディーに新しい価値を地域社会に提供できる集団へと変化する |
環境にやさしく (注2) | 気候変動の緩和と適応 生物多様性 資源循環 | ・ステークホルダーの皆様の暮らしを支える事業を通じて、未来社会に豊かな環境を引き継ぐために、環境に配慮した活動を行う |
経営基盤 | 企業不祥事・不正 情報開示の充実 透明性・公平性 企業の成長・株価向上 健全な財務状況 | ・「信頼のトップブランド」として、すべてのステークホルダーに誠実で公正な企業であり続ける |
(注1)活躍する人財
公共交通事業者として、鉄道事業において「安全・安心」を確保しつつ、お客様のニーズを捉えた移動需要を創出し、新しいライフスタイルを牽引することは当社グループの原点と考えます。
「安全・安心」という価値観を守りつつ、ポストコロナ社会に適応した抜本的な事業構造変革を成し遂げるという、2022年度を初年度とする「京王グループ中期3カ年経営計画」を遂行するため、まずは当社グループの中核会社である当社において必要な人財とあるべき組織を制定し、その実現のために、当社では「人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」として、以下の「人財戦略」を掲げています。
<人財戦略>
人財確保 | 社内外を問わず優秀な人財確保のため、採用、処遇面、働き方、制度を柔軟に見直していく |
人財育成 | 「安全・安心」はすべてに優先するという価値観を醸成・定着させる 経営戦略実現に必要な専門人財を育成するとともに、各自の自律的なキャリア形成を支援する |
エンゲージメント | 社員と会社が深い信頼で繋がり、働き甲斐を感じながら互いに成長していく環境を整える |
ダイバーシティ& インクルージョン | 性別・世代・知識・経験・価値観ほか多様な個性を積極的に評価し新たな価値を創造する組織を実現する |
組織風土・組織構造 | 挑戦を認め、失敗を許容する組織風土を形成し、スピード感をもって改革・実行を推進する組織を作り上げる |
(注2)環境にやさしく
気候変動に関する開示については、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同の意を表明し、鉄道事業を中心に提言に沿った情報開示を京王ホームページにて公表しています。詳しいリスク・機会に関する説明や気候シナリオについての考え方は京王ホームページをご参照ください。
URL:https://www.keio.co.jp/company/sustainability/tcfd/index.html
なお、上記サイトは将来更新する場合があります。
(3)リスク管理
当社では、「鉄道安全管理委員会」「拡大鉄道安全管理委員会」「リスク管理委員会」「内部統制委員会」を設置し、リスクの把握と対応に努めています。
「鉄道安全管理委員会」では、安全統括管理者(鉄道事業本部長)を中心に、他社で発生した事案も含めて事故・トラブルの原因を把握し、対応策の検討・検証などを行っています。また、代表取締役社長 社長執行役員が出席する「拡大鉄道安全管理委員会」を年2回開催し、鉄道事業の安全管理体制全般のマネジメントレビューを行っています。
「リスク管理委員会」では、「京王グループリスク管理方針」のもと、リスク低減と事故・トラブルの発生防止を目的として、対策重点項目の設定と対策の実施状況の確認を行っています。
「内部統制委員会」では、「京王グループ内部統制システムに関する基本方針」のもと、リスク管理に関わる事項や内部監査・財務報告に係る内部統制について、整備状況を確認・検証し、必要に応じた見直しを行っています。
サステナビリティを巡るリスクと機会については、これらの委員会で審議した事項も踏まえて、「サステナビリティ推進委員会」で認識・評価を行い、対応について経営計画に反映させ、当社取締役会に報告することとしています。
(4)指標及び目標
①人財に関する目標及び実績
当社グループでは、上記「(2)戦略(注1)活躍する人財」において記載した、「人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループの中核会社である提出会社のものを記載しております。
個の多様性を許容し、相互に機能し合う集団というあるべき組織の実現に向け、まずは女性活躍推進の取組みについて目標を設定しました。また、人財戦略のうち、「人財確保」に向けた働きやすい職場環境の推進状況を示す指標として、年次有給休暇取得率についても、毎年度、前年度水準以上とするよう目標を定めた他、「人財育成」、「エンゲージメント」、「組織風土・組織構造」の状況をモニタリングするためトータルエンゲージメントと職場の心理的安全性について良好と判断できる基準値を設定し、推移を注視してまいります。
項目 | 2022年度実績 | 目標 | 達成時期 |
新卒女性採用比率 | 33.3%(総合職) | 50%(総合職) | 2024年度入社以降 |
女性管理職比率 | 7.7% | 30% | 2030年度 |
男女別育児休業取得率 | 女性100%、男性41.0% | 100% | 毎年度継続 |
年次有給休暇取得率 | 86.3% | 前年度水準以上 | 毎年度継続 |
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トータルエンゲージメント(注1) | 3.50 | 3.5点以上を継続 (5点満点) | モニタリング指標 |
職場の心理的安全性(注2) | 3.46 | 3.5点以上を継続 (5点満点) | モニタリング指標 |
(注)1.外部の調査専門会社が提供するエンゲージメント調査サービスにおける評価指標で、「一人ひとりが今の仕事や職場・会社で働くことに意味や価値を感じ、自ら貢献する意思をもって働いているか」などの度合いについて、当社全社員を対象とした調査結果を点数化したもの(3.5点以上が「良好」)であります。
2.(注1)と同様の評価指標で、「職場にはお互いを尊重し、協力し合う雰囲気や何でも言い合える安心感があるか」などの度合いについて、当社全社員を対象とした調査結果を点数化したもの(3.5点以上が「良好」)であります。
②環境に関する目標及び実績
「環境にやさしく」というマテリアリティを掲げるとともに、環境目標を「当社グループのCO2排出量(注1)の削減」とし、新たに2050年度実質ゼロを掲げ、中間地点となる2030年度の目標を設定しました。
項目 | 基準年度 | 基準年度 排出量 | 2030年度 削減目標率 | 2050年度 削減目標 |
| 2021年度 排出量(注2) |
連結CO2排出量 | 2019年度 | 323,296t-CO2 | △30% | 実質ゼロ |
| 289,314t-CO2 |
鉄道事業CO2排出量 | 2013年度 | 155,641t-CO2 | △46% | 実質ゼロ |
| 118,976t-CO2 |
(注)1.対象範囲はScope1、Scope2であります。
2.有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において入手可能な最新の実績であります。
なお、その他のマテリアリティに対する指標については、サステナビリティ推進委員会で継続して審議し、目標を設定してまいります。
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