京浜急行電鉄 【東証プライム:9006】「陸運業」 へ投稿
企業概要
本項に記載されている将来に関する事項は、当連結会計年度末において入手可能な情報に基づき、判断したものであります。
(1)経営の基本方針 |
京急グループは、「都市生活を支える事業を通して、新しい価値を創造し、社会の発展に貢献する」ことなどをグループ理念として掲げております。また、グループ理念の持続的な実現が、社会と京急グループの持続可能性を高めることにつながるという考えのもと、グループ理念と不可分一体の方針として、サステナビリティ基本方針を策定しております。引き続き、社会価値および企業価値の持続的な向上を図ってまいります。
<経営理念> ■京急グループは、都市生活を支える事業を通して、新しい価値を創造し、社会の発展に貢献する ■京急グループは、伝統のもとに、創意あふれる清新な気風をもって、総合力を発揮し、社業の躍進をめざす ■京急グループは、グループの繁栄と全員の幸福との一致を追求する
京急グループは、グループ理念のもとで、「社会の持続的発展への貢献」と「京急グループの持続的発展」のよりよい循環を目指します。
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(2)総合経営計画 |
イ.第19次総合経営計画の振り返り
2021年度から2023年度までを中期経営計画期間とした第19次総合経営計画では、「新型コロナウイルス感染症の影響による急激な事業環境の変化への対応」をテーマに、経営基盤強靭化および事業ポートフォリオ変革に取り組みました。その結果、各事業におけるローコストオペレーションや、不動産事業における流動化を活用した収益性の向上等を実現し、2023年度の実績は、当初に定めた目標を上回る営業利益280億円、純有利子負債/EBITDA倍率6.0倍となりました。引き続き、事業環境の変化をふまえた構造変革に努めてまいります。
ロ.第20次総合経営計画の概要
2024年度から、2040年度を長期ビジョンの実現年度、2024年度から2026年度までを中期経営計画期間とした第20次総合経営計画を推進しています。
サステナビリティ基本方針に基づき社会価値・企業価値向上を目指す「サステナビリティ推進方針」を、あらゆる事業・経営活動の基礎として掲げたうえで、移動プラットフォームとまち創造プラットフォームの相互価値共創を軸とする「沿線価値共創戦略」と、その推進を支える「経営基盤重点項目」を設定しています。また、経営計画期間中に、当社グループならではの強みを活かし特に重点的に取り組む事業として「重点事業展開」を設定しています。
本総合経営計画は中長期にわたり一貫した枠組みとしておりますが、特に中期経営計画期間においては、移動とまち創造の両プラットフォームによる相互価値共創の具現化に向けた取り組みを進めるとともに、品川駅周辺開発事業の着実な推進、財務健全性の確保と資本収益性の中長期的な向上を両立させる財務マネジメントを強化してまいります。
(京急グループ総合経営計画体系図・骨子)
(注)京急グループ総合経営計画の詳細は、当社ウェブサイト
(https://www.keikyu.co.jp/ir/policy/vision/)に掲載しております。
ハ.沿線価値共創戦略
沿線価値共創戦略は、社会課題や価値観の多様化に、移動とまち創造の両プラットフォームの「相互価値共創」のスパイラルアップによって新しい価値を創出することで対応し、地域と京急グループの持続的な発展を目指す戦略です。「相互価値共創」とは、鉄道事業をはじめとする「移動プラットフォーム」が、あらゆる交通手段を用いた移動環境の最適化を通じて、まちの価値向上と沿線範囲を拡大する一方で、不動産・レジャー事業などの「まち創造プラットフォーム」が、移動のきっかけや人の流れの需要を創出することで、相互の事業による相乗効果を最大化し、新しい価値を生み出すことを意味します。
この沿線価値共創戦略を通じて、鉄道会社やデベロッパーの枠を超えた、地域事業者や自治体等の沿線全体で価値を共創する「ローカルプラットフォーマー」として、沿線の各地域に「移動」と「住・働・楽・学」が揃う多極型まちづくりを推進してまいります。
(沿線価値共創戦略の概念図)
ニ.経営基盤重点項目
(イ)事業構造変革
事業環境の変化を踏まえたオペレーション変革を推進するとともに、取り組むべき事業への経営資源の集中によるポートフォリオ変革に取り組みます。具体的には、鉄道事業におけるワンマン運転をはじめとする次世代型オペレーションの推進、不動産事業の強化、沿線価値共創への寄与や収益性の観点からのグループ内全事業の抜本的な再編や新規事業の創出等を進めます。あわせて、省エネ・再エネ・創エネ施策の推進など、環境配慮を前提とした事業運営に努めます。
(ロ)顧客視点の徹底
顧客の多様なニーズに応じたサービス提供による顧客体験価値向上を目指し、京急グループが提供しているサービスを通じて蓄積したデータの一元化・可視化、グループ全体での横断的活用を推進することに加え、体制整備や人財育成による意識・風土改革を図ります。
(ハ)人的資本経営の推進
「多様な視点・顧客視点で物事を捉え、価値創造・共創ができる人財の開発」と、「コミュニケーションや学習の場づくり、多様な価値観の尊重、信頼と協力を大切にする組織づくり」の両輪により、長期ビジョンの実現・企業価値の向上を目指します。また、エンゲージメントサーベイを継続的に実施し、人的資本経営に関わる各取り組みの仮説検証を組織・職場のさまざまなレベルで実行できる体制を確立してまいります。
(ニ)財務マネジメントの強化
持続的な成長と中長期的な企業価値の拡大に向け、資本収益性の向上を図ります。一方で、品川駅周辺開発をはじめとする成長投資の着実な実行のため、財務健全性を確保することも喫緊の課題と認識しています。このため、資本収益性の向上に向けた事業別ROIC(注1)-WACC(注2)管理の導入および適切なキャッシュフローアロケーションの構築等により、グループ全体で財務マネジメントを強化し、財務健全性の確保と資本収益性の向上の両立を図ります。
(注1)投下資本利益率(投下した資金に対して生み出したリターンの割合)
(注2)加重平均資本コスト(企業の資金調達に平均してかかるコスト)
ホ.重点事業展開
経営計画期間中に、当社グループならではの強みを活かし、特に重点的に取り組む事業として「重点事業展開」を設定しており、各エリアにおいて取り組みを進めてまいります。具体的には、品川・羽田・横浜を結んだ「成長トライアングルゾーン」と各エリアとの相互連携により、沿線の発展・活性化を図ります。
品川エリアにおいては、トヨタ自動車㈱と共同で高輪3丁目地区開発の2029年度開業を目指すとともに、駅街区地区開発についても着実に進捗させ、沿線全体の持続的発展を牽引する新しいまちづくりを推進します。
羽田エリアにおいては、羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線の整備によって抜本的に輸送力を増強するとともに、インバウンド需要の創出と取り込みを推進するなど、日本の玄関口・羽田空港のポテンシャルを最大限に活用します。
このほか、川崎や横浜エリアにおける開発プロジェクト、都市近郊リゾートみうらの創生、沿線各地に「住・働・楽・学」が揃う中核拠点を整備する多極型まちづくりの推進等により、沿線全体の活性化に取り組みます。
(重点事業展開の全体像)
ヘ.中期経営計画期間の最終年度(2026年度)における財務指標
指 標 | 計画(2026年度) |
営業利益 | 350億円 |
純有利子負債/EBITDA倍率 | 7倍台以下 |
ROE | 6%以上 |
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