井関農機 【東証プライム:6310】「機械」 へ投稿
企業概要
当社グループは、創業以来「需要家に喜ばれる製品」の提供を企業理念の一つに掲げ、お客様に満足して使っていただける商品をタイムリーに提供することをモットーに研究開発活動を展開しています。お客様のニーズに応えるため、徹底した調査に基づき、省エネ・低コスト農業、安全作業・環境保全への配慮など積極的に取り組んでいます。
国内においては、ICTやロボット技術を活用した超省力化農業、経験と勘の農業から誰もができる農業、データを駆使した戦略的な農業を可能とするスマート農業にも積極的に取り組んでいます。海外においては、欧州景観整備市場への対応や、日本で培った稲作技術を活用した商品展開など、地域のニーズに対応した商品展開に積極的に取り組んでいます。
また、近年は、脱炭素社会と循環型社会の実現に向けた商品開発にも積極的に取り組んでいます。2023年より開発製造本部内のグリーンイノベーション室が本格稼働し、電動化や水素活用など製品のゼロエミッション化技術戦略及び中長期的に取り組む研究や開発テーマの立案、商品化を進めています。
なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は1,392百万円であり、主たる研究成果は次のとおりであります。
農業関連事業 |
(トラクタ)
・農業機械全般で軽労化や熟練作業者の不足を補うため、長時間作業でも疲れにくい直進アシストや、使い易さ、快適な作業への要望が高まっています。この度、好評を頂いている中型トラクタのモデルチェンジ機として、無段変速ミッションを採用、合わせて使い易さと居住性も向上させた「BFREX」(ビレックス)BFシリーズを市場投入しました。HSTと遊星ギアを組み合わせた無段変速機IAVT(ISEKI Advanced Variable Transmission)により、高い伝達効率と手元レバーによる最適な車速の選択を可能にしました。また、大型8インチモニタ(Z型)は直進アシストやマップ連動可変施肥に対応、操作に使用するスイッチ、レバー類を右側アームレストに集約し使い易さを向上、大型キャビンは空間を拡大させ居住性を高めています。シートベルトの装着を促すシートベルトリマインダーを設定し安全性にも配慮し、幅広いお客様のニーズにお応えしています。
・景観整備プロユーザーからホビーファーマー・プライベートユーザーまで幅広く使われている、欧州・オセアニア向けトラクタのTMシリーズをモデルチェンジしました。ユーザーの声を反映させた基本性能の充実(油圧揚力向上、純正キャビンの設定、車速向上)、環境性能の向上(エンジン回転を抑えた作業が可能なエコノミーPTO)、モーアの着脱を容易にするモーアデッキの設定など、多様な地域の要望に応えています。
・公園や住宅地など緑地での草刈りを中心とした欧州景観整備市場においてプロユーザーを中心に好評を頂いている、乗用モーアSXG3シリーズをモデルチェンジしました。デザイン変更、操作性の向上だけでなくHVO燃料に対応することによるCO2排出量削減などの環境負荷低減にも対応しています。
(コンバイン)
・大規模生産者向けに新型コンバイン、フロンティアマスターFMシリーズを市場投入しました。担い手への農地集約が加速するに伴って生産者一人当たりの作業時間も増加する傾向にあり、長時間作業でも疲れにくい居住性や操作性、メンテナンス性の向上が求められています。FMシリーズの新設計静音キャビンは従来機よりも7db(A)作業時騒音を低減しました。また、操作レバーや操作パネルを刷新するとともに、上位のジャパンコンバインで好評のカラー液晶モニターを採用し操作性を向上させました。工具レスでのグレンタンク開閉、刈取部オープンの簡略化などメンテナンス性も大幅に向上させ、担い手農家を応援します。
(田植機)
・生産効率の向上を目的として、各種センシングデータを元に細やかな施肥を実現できるスマート施肥の需要が高まっています。今回、大規模プロ向け高精度高能率田植機PRJ8に、ほ場施肥マップをもとに田植え作業をしながら施肥量を変えることができるマップデータ連動可変施肥機能を設定しました。人工衛星やドローン等のデータに基づいて作成された施肥マップをもとに、同じほ場内で場所毎に施肥量を変えることができます。過去の生育データに基づく施肥マップによりほ場内で施肥量を変化させ、適正施肥を行うことができます。それにより、生育ムラやバラツキを軽減することができ、ムダな肥料コストの抑制、品質の安定化等に貢献します。
(その他商品)
・コイン精米機は従来から数多くのお客様にご愛用いただいて参りました。今回、おいしさや健康面に対する消費者ニーズの高まりを受け、お米のうまみ層(亜糊粉層)を残す精米方式でお米のおいしさを引き出す“うまみ精米”機能を新たに搭載した新型コイン精米機CP420・CPH420を市場投入しました。うまみ白米は、お米をゆっくり丁寧に削ることでお米のうまみ層(亜糊粉層)を残し、栄養価の高い胚芽も白米(標準)より残す精米方式です。うまみ玄米は、玄米表面の固いロウ層だけを削ることでぬか層に詰まった栄養価は残しつつ、炊きやすく食べやすい精米方式です。どなたにでも簡単にご利用いただけるような操作デザインで、より多くの方にうまみ精米をお届けしてまいります。
当社は、「ISEKIレポート」等において当社グループの研究開発の考え方、活動、知的財産戦略等について情報開示を行っております。「特許行政年次報告書」(特許庁編)によれば、日本における分野別登録数(2014年までは分野別公開数)及び全産業を対象とした特許査定率において上位を維持し続け、2022年度は分野別登録数で第2位、特許査定率で第3位となりました。
(分野別登録数・分野別公開数の年度別推移)
年 | 2000~2006 | 2007~2014 | 2016~2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
統計数 | 分野別公開数 | 分野別登録数 | ||||||
分 野 | 農水産 | その他の特殊機械 | ||||||
順 位 | 1位 | 2位 | 1位 | 2位 |
年 | 2004~2010 | 2011 | 2012~2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
特許査定率 | - | 91.8% | - | 96.4% | 97.7% | 98.7% | 97.2% | 94.6% |
順 位 | 1位 | 2位 | 1位 | 2位 | 1位 | 3位 |
※ 特許査定率 = 特許査定件数 / (特許査定件数 + 拒絶査定件数 + 取下・放棄件数)
取下・放棄件数 … 拒絶理由通知後に取下げまたは放棄した件数
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