企業兼大株主九州旅客鉄道東証プライム:9142】「陸運業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針及び経営環境

 当社グループは、「あるべき姿」である「安全とサービスを基盤として九州、日本、そしてアジアの元気をつくる企業グループ」の実現に向けて、「安全・安心なモビリティサービスを軸に地域の特性を活かしたまちづくりを通じて九州の持続的な発展に貢献する」という「2030年長期ビジョン」を掲げています。

 当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の発生を機に大きく変化しており、将来における経営環境の変化の不確実性も一層高まっています。このようななかにおいても、「2030年長期ビジョン」を実現するために、2030年までに想定される主要な外部環境変化と、その変化に影響を受ける人々の豊かさに関する価値観の変化に着目するとともに、極端な変化を想定した未来シナリオも検討したうえで、「2030年長期ビジョン実現方針」として、2つの方針を定めています。

1つ目は、これまで当社グループが主にターミナル駅周辺で進めてきたまちづくりを進化させ、「価値観の変化を捉えた“豊かな生活を実現する”まちづくり」を進めていくことです。九州を大きく2つのエリアに分けて捉え、ターミナル駅周辺・沿線においては、複合的な価値を提供し、「住みたい・働きたい・訪れたい」まちの構築を目指すとともに、地方においては、自治体や他交通モードとの連携、地域資源の再発掘と活用により交流人口の拡大を目指します。

2つ目は、「九州の持続的な発展に貢献する領域の拡大」を進めていくことです。当社グループの強みを活かして、事業ポートフォリオの強化及び拡大を進め、環境、地域経済、地域社会へと当社グループの貢献領域を拡大してまいります。特に脱炭素社会の実現は、重要テーマの1つと考えており、2050年のCO2排出量実質ゼロに向けて、CO2排出量を削減する「守り」の視点だけではなく、新たな価値を創出する「攻め」の取り組みも推進してまいります。

 さらに、ESGの取り組みについては、2030年長期ビジョンの実現に向けて、マテリアリティとそれに付随する非財務KPIを設定しており、実効性を高めるため非財務KPIの一部は役員報酬と連動しています。

≪経営計画の体系≫

(2)対処すべき課題

2023年3月期よりスタートした「JR九州グループ中期経営計画2022-2024」では、この3ヵ年を当社グループが早期に成長軌道への復帰を図る重要なステージとして位置づけています。3つの重点戦略として掲げる「事業構造改革の完遂」、「豊かなまちづくりモデルの創造」及び「新たな貢献領域での事業展開」を推進するとともに、重点戦略の実行を支える「戦略実行・実現を担う人づくり」及び「グループ一体で戦略を推進する基盤づくり」にも引き続き注力してまいります。

1.事業構造改革の完遂

 前中期経営計画より進めてきた事業構造改革は喫緊の課題と認識しており、鉄道事業、ホテル事業をはじめとした主力事業の構造改革を中期経営計画期間に完遂させます。

 鉄道事業においては、鉄道旅客運輸収入の緩やかな回復やBPR(Business Process Re-engineering)の完遂等により2023年3月期には営業損益が3期ぶりに黒字化しました。一方で、今後エネルギーや原材料価格の高騰などによるコストの増加が見込まれており、将来の技術革新や新たな価値創造を見据えた「未来鉄道プロジェクト」等を通じた更なる収支改善に取り組み、持続的で安定した黒字体質の実現を目指してまいります。また、ホテル事業においては、ホテル運営子会社の統合により経営基盤や管理体制の強化を図ってまいります。あわせて、流通・外食事業におけるフランチャイズ事業の強化や店舗リニューアルなどによるブランド/店舗の競争力向上、建設事業の体制強化によるグループ内から外への主戦場の転換を推進してまいります。

2.豊かなまちづくりモデルの創造

 九州内各エリアにおける成長機会を認識したうえで、マンション、商業、オフィス、物流施設等の不動産開発を進めるとともに、中期経営計画期間では、西九州エリア及び福岡エリアでのまちづくりに注力してまいります。

 西九州エリアにおいては、2022年9月に開業した西九州新幹線を起爆剤としてまちづくりを推進してまいります。具体的には、駅ビルや自治体等と連携して西九州新幹線の利用促進に取り組むことに加え、2023年度に開業を迎えた「アミュプラザ長崎新館」、「長崎マリオットホテル」、「嬉野八十八(うれしのやどや)」、「サガハツ」といった商業施設・宿泊施設の着実な成長に向けた取組みを進めてまいります。

 福岡エリアでは、福岡市地下鉄七隈線延伸による博多駅のターミナル機能向上を好機と捉え、「コネクトスクエア博多」や「りすのこスクエア」等の開発を行いました。今後も「博多駅空中都市プロジェクト」等の複合開発を推進してまいります。

2022年度に開始した物流不動産事業については、2024年度は高速道路インターチェンジや港湾といった交通結節点を中心に本格参入してまいります。また、2023年8月28日に開業した日田彦山線BRTひこぼしラインについて、日常利用の更なる促進を行うなど、持続可能なモビリティサービスのモデルの構築を目指してまいります。

3.新たな貢献領域での事業展開

 当社グループの主要事業はBtoC事業を中心としており、人口動態の影響を受けやすい特性があります。人口動態の影響を受けにくいBtoB事業及びBtoG事業を強化することで、九州の発展に向けた貢献範囲の拡大及び事業の持続性向上を目指します。

 具体的には、BtoB、BtoG事業が中心である建設及びビジネスサービスセグメントにおいて、M&Aやアライアンス戦略を強化することで、事業展開エリアや事業領域を拡大し、BtoC事業に並ぶグループの柱へと成長を目指します。また、多角化戦略で培った当社グループ全体の強みを活かして、鉄道に限らない都市インフラの工事や保守管理業務の受託拡大、蓄電池事業への参入など、競争優位性を持つことができる領域の探索と事業拡大も進めてまいります。

4.戦略実行・実現を担う人づくり

 当社グループの経営戦略・ビジネスモデルや労働市場が変化するなか、新たな人材戦略を策定し、「社員が働きがいを持ち、いきいきと活躍できる会社づくり」、「人間力と実務力を持った社員の育成」という2つの基本方針のもと、「採用・配置」「育成」「評価」等の様々な場面で人事制度を改革することで、戦略の担い手となる多様な社員の“個”の力の最大化と当社グループの成長を実現してまいります。

 具体的には、人材戦略の4つの柱として「意欲と能力のある社員への挑戦・成長の機会の提供と支援」、「多様な価値観や能力を持つ社員の活躍による新たな価値の創造」、「努力と成果に応じたメリハリのある評価と報酬」、「ライフプランに合わせた柔軟な働き方が選択できる環境整備と健康経営の推進」に取り組んでまいります。

5.グループ一体で戦略を推進する基盤づくり

 戦略を推進する基盤づくりとして、2022年4月に事業ポートフォリオ強化を目的としてセグメント区分を変更したほか、グループ横断でのBtoGビジネスの強化及び持続的なモビリティサービスの構築を目的として地域戦略部を設置いたしました。また、2023年4月には鉄道事業本部において事業統括部を設置し、新たな収支管理制度を導入したことに加え、同年7月には建設セグメントにおいて中間持株会社を設置するなど、グループ内の連携や収支管理機能の強化に向けた取り組みを推進してまいります。

 さらに、当社グループ全体でのデータマーケティング加速を目的とした顧客管理基盤の整備と事業ポートフォリオの柔軟性強化にも取り組んでまいります。

DX推進の分野では、「JR九州グループDX戦略2022-2024」に基づき、「お客さま体験価値向上」、「オペレーション・メンテナンス改革」、「働き方改革・生産性向上」の3つの領域においてデジタル技術を活用した各種施策を推進するとともに、DX推進を支える「基盤」及び「人材育成・推進体制」の整備に注力してまいります。

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