九州フィナンシャルグループ 【東証プライム:7180】「銀行業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般
①「ガバナンス」
当社グループは持続可能な地域社会と自社の価値創造の実現に向けて、SDGsに関わる取り組みの管理・推進体制を強化しております。
管理面において、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置し、SDGsに関わる取り組みの進捗状況の報告を3か月毎に行っております。また、SDGsに関わる新たな施策等については、グループ経営執行会議にて十分協議・審議した上で、決定しております。サステナビリティ推進委員会における報告事項とグループ経営執行会議における決議事項は定期的に取締役会において報告、決議し、取締役会からの監督を受けております。推進面において、当社にサステナビリティ統括室、肥後銀行と鹿児島銀行にサステナビリティ推進室を設置し、グループ各社は緊密に連携し、全社横断的なSDGsの浸透と推進を行っております。
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取締役会における主な決議・報告事項 | |
決議 | サステナビリティ宣言の制定 |
環境方針の制定 | |
人権方針の策定 | |
サステナブル投融資方針の策定 | |
報告 | SDGs・ESGへの取り組み状況 |
CO₂排出量、ESG投融資実績 | |
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②「戦略」
当社グループは、持続可能な地域社会が当社グループの永続的な成長の大前提と考えております。第3次グループ中期経営計画において「お客様、地域、社員とともに、より良い未来を創造する『地域価値共創グループ』への進化」という長期ビジョンを掲げており、この長期ビジョンの実現に向けて「持続可能なビジネスモデルへの転換」を進めております。
2019年2月に「サステナビリティ宣言」策定後、当社グループの肥後銀行と鹿児島銀行にて「サステナビリティ全体構想」を策定いたしました。また、SDGsと事業の整合性を高めるために、2020年9月にUNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)が提唱するPRB(責任銀行原則)に署名いたしました。PRBに基づき、経済・環境・社会へのインパクトを考慮した事業を実践するため、2021年6月に「サステナビリティ・マテリアリティ」を特定しました。今後も持続可能な地域社会の実現に向けて取り組みを推進してまいります。
「サステナビリティ宣言」
サステナビリティ宣言 私たち九州フィナンシャルグループは、国連が定めた持続可能な開発目標であるSDGsの趣旨に賛同し、全役職員が主体的に取り組むことを宣言します。 1.持続可能な社会づくりへの取り組み 私たちは、環境にやさしい経営の実践を通じ、お客様や地域の皆様お一人おひとりが、将来にわたって幸せや満足を実感できる社会づくりに取り組みます。 2.地域経済発展への取り組み 私たちは、地域総合金融グループの力を最大限に発揮し、お客様・地域の課題解決を支援することで、持続的な地域経済の発展に貢献します。 3.普及・拡大への取り組み 私たちは、お客様や地域の皆様との対話を深め、地域全体が持続可能な社会となるように活動の輪を広げます。 |
〔サステナビリティ・マテリアリティ〕
◆サステナビリティ・マテリアリティの特定プロセス
<抽出>
マテリアリティ 収集・整理 | SDGs、UNEP FIインパクトレーダーを基本に、GRIスタンダード等の国際的枠組み、ならびに日本政府が定める優先課題を勘案し、経済・環境・社会において検討すべき課題20項目を抽出 |
<特定>
経済・環境・社会へのインパクト評価 | UNEP FIの『セクターインパクトマップ』を活用した客観的な分析結果を踏まえ、事業活動が経済・環境・社会において検討すべき課題20項目に及ぼす潜在的なインパクトを評価 |
企業価値へのインパクト評価 | 事業ビジョンを踏まえ、経済・環境・社会において検討すべき課題20項目の当社グループ企業価値へのインパクトを評価 |
マテリアリティ特定 | 「経済・環境・社会へのインパクト」、「企業価値へのインパクト」を2軸としたマテリアリティマップを作成し、サステナビリティ・マテリアリティを特定 |
<決定>
検証・決定 | 特定したサステナビリティ・マテリアリティについて、外部専門家の知見を踏まえて検討の上、グループ経営執行会議にて審議し、経営者レビューを実施。内容の妥当性を検証・承認 |
◆特定されたサステナビリティ・マテリアリティ
地域経済の活性化 | ・DX推進等による金融包摂性向上 ・地域基幹産業振興、地域調達と地域雇用促進 |
気候変動対応・環境配慮 | ・気候変動の緩和と適応 ・資源有効活用等の環境への配慮 |
従業員エンゲージメント向上 | ・労働環境改善、人材育成 |
人権尊重・ダイバーシティ | ・あらゆる差別の禁止 ・全ての人の権利侵害禁止、全ての人の活躍推進 |
安心・安全な街づくり | ・感染症等への対応 ・災害に強いインフラ整備・街づくり |
③「リスク管理」
当社グループは、気候変動をはじめとするサステナビリティに関連するリスクを認識しております。認識したリスクについては、サステナビリティ推進委員会にて報告の上、必要に応じて、グループ経営執行会議、取締役会で協議することで管理しております。
気候変動のリスク管理については、(2)気候変動に関する事項をご参照ください。
④「指標及び目標」
当社グループは、2021年度から2030年度までのESG投融資累計額目標1兆円(うち環境関連2,000億円)を設定いたしました。2022年度までの実績は、2,581億円(うち環境関連598億円)となっており、今後も持続可能な地域社会づくりに貢献する事業を支援してまいります。
また、肥後銀行では「SDGsコンサルティング」(2020年4月~)及び「カーボンニュートラルコンサルティング」(2021年9月~)を、鹿児島銀行では「かぎんSDGs宣言書作成支援サービス」(2022年1月~)をご提供しております。今後も、地域のお客様と一体となった地域課題の解決を目指してまいります。
(2)気候変動に関する事項
当社グループは、気候変動を含む環境課題を経営の重要課題として捉えており、2019年6月にTCFD提言への賛同を表明しました。TCFD提言の推奨開示事項である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」ごとに、ホームページや統合報告書にて透明性のある開示に努めております。
①「ガバナンス」
当社グループは、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を取締役会及びグループ経営執行会議の下部に設置しております。3か月毎に気候変動を含む環境課題に係る対応方針や重要事項をサステナビリティ推進委員会にて報告・協議し、結果を経営戦略やリスク管理へと反映しております。2020年12月には、「環境方針」を策定し、気候変動を含む環境への取り組み状況を定期的に取締役会に報告することで、取締役会が気候変動への取り組みを監督する体制を構築しております。
また、気候変動を含む環境課題解決に向けた取り組みについて当社のサステナビリティ統括室と肥後銀行と鹿児島銀行のサステナビリティ推進室が連携し、進捗状況を管理の上、経営に報告しています。
②「戦略」
A.リスクと機会
当社グループは、気候変動に起因するリスクが、事業運営、戦略、財務計画に影響を与えることを認識しております。シナリオ分析などを活用した気候関連のリスク管理に取り組むと同時に、脱炭素社会の実現に向け、お客様の温室効果ガス排出量削減やエネルギー効率向上に向けた投融資(サステナブルファイナンス、トランジション・ファイナンス等)を事業機会と捉え、環境負荷軽減を目的とした金融面での取り組みを積極的に展開してまいります。
B.移行計画の策定
地域の脱炭素社会の実現に関して重要な役割を担う地域総合金融グループとして、Scope1・2における2030年度までのカーボンニュートラル(算定範囲:当社及び当社100%出資子会社)の達成を目指すことを宣言いたしました。
今後は、カーボンニュートラルの達成に向けて移行計画を策定してまいります。
また、2022年5月から国際イニシアティブ「Partnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)」に加盟し、投融資先のCO₂排出量の算定と開示の充実に取り組んでおります。
今後も、再生可能エネルギー事業などへの投融資やお客様のCO₂排出量削減支援を促進し、地域の脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
C.シナリオ分析
事業における気候変動の影響を具体的に把握するため、肥後銀行、鹿児島銀行において2050年までのシナリオ分析を実施し、グループ全体でシナリオ分析の高度化、精緻化を行いました。
気候関連リスクとして、「物理的リスク」と「移行リスク」を認識し、「物理的リスク」では水災など異常気象に伴う資産の毀損による信用コストの増大、「移行リスク」では気候変動に伴う規制強化や消費嗜好の変化などにより影響を受けるお客様に対する信用コストの増大を想定しております。
<物理的リスク>
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の8.5シナリオ(4℃シナリオ)を前提とし、気候変動に起因する自然災害の大半を占め、九州で特に発生確率の高い水災による信用コストへの影響を試算しました。
豪雨などによる肥後銀行と鹿児島銀行が設定している担保不動産の損傷に起因する価値毀損の推計結果(直接影響)及び建物の損傷に起因するお客様の事業停滞日数の推計結果(間接影響)から、2050年までの信用コストの増加額は最大で65億円程度という結果になりました。
| 直接影響 (担保価値毀損) | 間接影響 (お客様の売上停滞による業績悪化) |
リスクイベント | 水災 | |
シナリオ | 4℃シナリオ(※1) | |
地域 | 熊本県・鹿児島県 | |
リスク指標 | 信用コスト | |
分析結果(※2) | 信用コスト増加額8億円 | 信用コスト増加額57億円 |
※1 国土交通省が公表するハザードマップ及び「治水経済調査マニュアル」を使用し、資産ごとの浸水深及び浸水深に応じた被害額を算定しております。
※2 IPCCによるRCP8.5シナリオ等を参照しています。
<移行リスク>
TCFD提言にて定義される炭素関連セクターの一部において、移行リスクの定量化を実施いたしました。選定したセクターにおける当社グループの融資先について、炭素税やエネルギー価格及び製品構成の変化による融資先の営業費用への影響、および需要の増減に伴う売上への影響から、信用コストの増加額を試算しました。2050年までの信用コストの増加額は単年度最大で106億円程度という結果となりました。今後は、分析対象の拡大を通じて移行リスクの精緻化を図ってまいります。
直接影響 | |
シナリオ | 1.5℃シナリオ(※) |
分析対象 | TCFDが定義する炭素関連セクターの一部 |
地域 | 国内 |
分析期間 | 2050年まで |
リスク指標 | 信用コスト |
分析結果 | 単年度最大で106億円程度 |
※IEA(国際エネルギー機関)による2050年ネットゼロ排出シナリオ(NZE2050)を参照しております。ただし、NZE2050シナリオにはない日本のシナリオデータについては、必要に応じて表明宣言シナリオ(APS)等により補完しております。
D.炭素関連資産
当社グループの貸出金に占める炭素関連セクターの割合は以下のとおりです。
エネルギー | 運輸 | 素材・建築物 | 農業・食料・林業製品 |
2.05% | 2.13% | 10.22% | 3.30% |
※TCFD提言および日本標準産業分類並びに肥後銀行・鹿児島銀行の業種コード等を用いて分類
エネルギー:石油・ガス、石炭、電力(再生可能エネルギー発電者、独立系発電事業者、水道事業者を除く)
運輸:空運、海運、陸運、自動車
素材・建築物:金属・鉱物、化学、建設資材・資本財、不動産管理・開発
農業・食料・林業製品:飲料・食品、農業、製紙・林業
E.物理的リスク・移行リスクを踏まえた当社グループの主なリスクと機会
短期(3年以内)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸で気候変動に伴うリスクと機会の分析を行っております。
リスク | 異常気象の激甚化によるお客様の事業活動の停滞、物損被害の発生によって、お客様の事業や財務状況へ影響し、当社グループ貸出資産の価値が毀損する恐れがあります。(短期~長期) |
環境問題への対応が競合と比べ劣後することにより当社グループの企業評価が低下する恐れがあります。(短期~長期) | |
炭素税導入、石油石炭税率引き上げ等の気候変動に関連する政策や温室効果ガス(GHG)排出規制や新築建築物のエネルギー効率規制の強化によって、お客様の事業や財務状況へ影響し、当社グループ貸出資産の価値が毀損する恐れがあります。(中期~長期) | |
機会 | エネルギーセクターにおける再生可能エネルギーの普及、不動産セクターにおける高効率建築や低炭素建材の導入、自動車・運輸セクターにおける電気自動車や低炭素技術の拡大など、お客様の脱炭素化に向けた設備投資等による資金需要の増加が見込まれます。(短期~長期) |
自然災害の激甚化や環境配慮意識の向上によるお客様の行動変化により、自然災害に備えた保険商品や環境保全に関連した金融商品・サービスの提供機会の増加が見込まれます。(短期~長期) | |
すべてのセクターに共通して、異常気象の激甚化により、お客様の防災設備への追加インフラ投資等による資金需要の増加が見込まれます。(中期~長期) |
③「リスク管理」
当社グループはシナリオ分析の結果を踏まえ、気候変動リスクは当社グループの財務に影響を与える可能性があることを認識しており、以下のような取り組みを行っております。
・リスク資本配賦について
気候変動リスクを「外的要因に関するリスク」の一つとして捉え、2023年度のリスク資本配賦において、信用リスク算出時のストレスシナリオに初めて物理的リスクを追加しました。想定シナリオ発生時の物理的リスク追加後の資本の十分性を確認しております。
・投融資について
投融資に際しては、石炭火力発電・森林伐採事業など気候変動に負の影響を与える可能性が高い事業については「サステナブル投融資方針」において原則取り組まない方針を掲げております。融資等の審査においても、第一線の営業店及び融資審査を行う融資関連部がチェックを行い、気候変動への影響を加味した融資判断を行っております。
今後グループ横断的にシナリオ分析を深化し、気候変動リスクの定量化およびリスク管理の高度化に向けて取り組んでまいります。また投融資におけるエネルギー等炭素関連事業を含めたセクター別の対応方針を協議してまいります。
④「指標及び目標」
<CO₂排出量推移> (単位:t)
| 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
Scope1 | 1,653 | 1,792 | 1,818 | 1,676 | |
Scope2 | 8,017 | 9,143 | 11,219 | 8,233 | |
小計 | 9,670 | 10,935 | 13,037 | 9,909 | |
Scope3 | 66,947 | 51,058 | 342,270 | 241,982 | |
カテゴリー1 | 購入した製品・サービス | 25,908 | 26,810 | 22,731 | 19,329 |
カテゴリー2 | 資本財 | 35,599 | 18,315 | 24,775 | 12,479 |
カテゴリー3 | Scope1・2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 | 1,970 | 2,105 | 2,023 | 1,840 |
カテゴリー4 | 輸送、配送(上流) | 409 | 375 | 372 | 346 |
カテゴリー5 | 事業から出る廃棄物 | 675 | 964 | 68 | 72 |
カテゴリー6 | 出張 | 559 | 559 | 560 | 555 |
カテゴリー7 | 雇用者の通勤 | 1,307 | 1,329 | 1,330 | 1,316 |
カテゴリー12 | 販売した製品の廃棄 | 520 | 601 | 369 | 173 |
カテゴリー15 | 投資 | - | - | 290,042 | 205,872 |
合計 | 76,617 | 61,993 | 355,307 | 251,891 |
※算定範囲:当社、肥後銀行、鹿児島銀行
※CO₂排出量の計算はGHGプロトコルに準拠し、環境省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基準ガイドライン」「排出原単位データベースVer.3.2」を使用しております。
※排出係数は算定時点直近における案件所在地の系統電力の電気事業者別排出係数(実排出係数)を使用しております。
※Scope3のカテゴリー8、9、10、11、13、14は、CO₂排出量はゼロとなっております。
※カテゴリー15について
2021年度より、PCAFが提唱する計測手法を用いて、国内の上場株式および社債を対象に算出を開始いたしました。算出に当たっては、年度末における当社グループの投資残高、算出時点での各社企業にて開示されている最新のCO₂排出量(連結での排出量:Scope1とScope2)及び財務情報を使用しております。2022年度において、当社グループの投資額(時価ベース)に対する算出割合は88.2%、PCAF定義によるデータ品質は、スコア2相当となります。
今後、カテゴリー15の算出について精緻化に向けて取り組みを継続してまいりますが、算出対象の拡大や算出手法の変更等により、CO₂排出量が増減する可能性があります。
<目標>
CO₂排出量削減目標
カーボンニュートラル宣言 | 当社グループの温室効果ガス排出量の内、Scope1・2について、2030年度までにカーボンニュートラル達成 |
※算定範囲:当社及び当社の100%出資子会社
CO₂排出量削減目標 | 2019年度比2023年度までに▲10% 2019年度比2030年度までに▲30% |
※算定範囲:当社、肥後銀行、鹿児島銀行
目標対象:Scope1、Scope2、Scope3のカテゴリー1(一部除く)、3、4、5、12
<実績> (単位:t)
| 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
Scope1 | 1,653 | 1,792 | 1,818 | 1,676 |
Scope2 | 8,017 | 9,143 | 11,219 | 8,233 |
Scope3 | 24,245 | 25,642 | 20,256 | 16,712 |
CO₂吸収量認証等 | - | - | 84 | 82 |
CO₂排出量合計 | 33,915 | 36,577 | 33,209 | 26,539 |
※Scope3:カテゴリー1(一部除く)、3、4、5、12
(3)人的資本に関する事項
「戦略」
①人材育成に関する事項
・人材育成方針
「当社グループは、パーパスにもとづき、私たちの共創ビジョンを実現するため、金融の枠にとどまらない様々なフィールドで貢献できる多様な人材を育成してまいります。」という人材育成方針を2023年5月に定めました。第三次グループ中期経営計画においてはA.地域総合金融事業の深化に向けた人材育成、B.地域価値共創事業の拡充のための人材育成、C.デジタル社会に向けたDX推進を担う人材の育成、D.KFGビジネスモデル確立に向けた人材育成を重点項目として人材育成に取り組んでおります。
・人材育成重点項目
A.地域総合金融事業の深化に向けた人材育成
役職・業務分野に応じ金融業務能力の向上を図るため「年次・役職別研修」をはじめ、金融コンサルティング、事業再生支援、市場運用等の「業務別研修」を行い、金融機能の徹底した深化・強化に向けて人材の育成に取り組んでおります。
(2022年度主な研修実績)
| 講座数 | のべ修了者数 |
個人コンサルティング関連業務研修 | 82 | 6,926 |
法人コンサルティング関連業務研修 | 23 | 280 |
市場運用業務研修 | 2 | 23 |
B.地域価値共創事業の拡充のための人材育成
地域とともに成長し、活力あふれる地域社会の実現に向け、グループ一体で地域価値共創分野における人材の育成に取り組んでおります。
(2022年度主な研修実績)
| 講座数 | のべ修了者数 |
事業承継・M&A業務研修 | 4 | 191 |
ITコンサルティング研修 | 21 | 603 |
DXを活用した新規事業構想研修 | 1 | 19 |
C.デジタル社会に向けたDX推進を担う人材の育成
デジタル社会への環境変化に対応した資質・能力を育み、地域のデジタル化・高付加価値化をけん引する人材の育成に取り組んでおります。2022年度はSPSS Modeler実践研修やJavaWebエンジニア養成研修など20講座を開講し、のべ約550名が修了しております。
D.KFGビジネスモデル確立に向けた人材育成
事業展開が加速し、変化への対応が求められる中で、多様な価値観を持つ人材をまとめるリーダーや、次世代の当社収益基盤となる事業のリスク管理を担える人材の計画的育成に取り組んでおります。2022年度はリベラルアーツ研修など約30講座を開講し、のべ約300名が修了しております。
②社内環境整備に関する事項
・社内環境整備方針
「当社グループは、人権方針に則り、自由闊達な組織風土のもと、従業員一人ひとりが能力を十分に発揮し、自分らしくいきいきと活躍することができる社内環境を構築してまいります。」という社内環境整備方針を2023年5月に定めました。第三次グループ中期経営計画においてはA.多様性の尊重とはたらきがいの向上、B.多様な学習と挑戦機会の提供、C.こころと体の健康増進支援を重点項目として社内環境整備に取り組んでおります。
・社内環境整備重点項目
A.多様性の尊重とはたらきがいの向上
多様化する個人の価値観やライフスタイルの変化に対応するため、ライフイベントに応じた働き方の選択肢や家庭と仕事の両立支援を拡充することで、従業員一人ひとりが主体的にキャリアパスを描くことができる環境を提供してまいります。
(a)エンゲージメント向上に向けた取組み
ア.エンゲージメント調査
2021年度より当社グループの従業員約5,500名を対象に株式会社アトラエの提供する「Wevox」を用いてエンゲージメント調査を実施しております。直近(2023年1月)のスコアはグループ全体で72ポイント(肥後銀行:70ポイント、鹿児島銀行:74ポイント)と業界平均68ポイントに対して良好です。
調査結果にもとづき、スコア良好店における取組み事例を月1回の頻度でグループ全体へ情報発信し、スコア低位店に対しては臨店支援を行い、個別にエンゲージメント向上策を策定するなどの改善施策を実施しております。入社5年目までの若年層に対しては別途エンゲージメント調査を実施し、のべ180名に対し個別フォローを行うなど離職防止に取組んでおります。
入行5年以内の若年層離職率 | 肥後銀行 | 鹿児島銀行 |
22% | 26% |
※2018~2022年入行者数に占める2018~2022年入行者の累計退職者数の割合を記載しております。
イ.人事制度改定
肥後銀行及び鹿児島銀行は、従業員一人ひとりが描くキャリアパスや生活事情に応じた働き方など、個人の就労観や価値観が多様化していることに対応し、従業員の「働きがい」、「多様性」、「自律的成長」を実現するため、2023年4月に人事制度を改定いたしました。
<人事制度改定の概要>
・職務や成果をより重視する給与体系への改定。
・一般職・特定総合職を総合職へ統一。
・原則として転居をともなう異動がない「エリア限定」を従業員自ら選択可能に。
・総合職「ゼネラリスト」コースに加え、コンサルティング業務、デジタル関連業務、市場運用などの特定の専門分野を担う総合職「専門キャリア」コースを新設するとともに、極めて高度、かつ専門的な業務を担う「プロフェッショナル職」を新設。
ウ.賃上げ
物価上昇など社会状況への対応ならびに従業員のエンゲージメント向上、優秀な人材の確保を目的に、当社グループは5%以上の賃上げ方針(2023年度)を決定しております。なお、各社の予定賃上げ率は以下のとおりです。
当社 | 肥後銀行 | 鹿児島銀行 | 九州デジタル |
6.3% | 5.2% | 5.8% | 5.8% |
※定期昇給分を含んで記載しております(当社はベアのみ)。
(b)女性活躍推進に向けた取組み
肥後銀行及び鹿児島銀行は、更なる女性の活躍を支援し、すべての女性が意欲を持ち、キャリアの継続と能力の発揮を可能とする職場環境の実現に取組んでおります。
・管理職に占める女性割合の向上に向けた女性リーダー候補者の計画的な育成、異動、配置
・女性の業務分野拡大のための機会提供として、女性行員を対象とした各種研修、セミナー等の実施
・プラチナくるみん認定
・事業所内保育園(ひごっ子の森保育園、かぎん保育園ゆめいろ)の設置
・性別に基づく服装ルールを見直し、制服を廃止
(c)働き方改革に向けた取組み
生産性向上に向けた時差勤務制度や健康維持のためのインターバル勤務など様々な制度を導入しております。
また、働き方改革のみならず災害や緊急事態に備えたBCP(事業継続計画)の観点からもテレワークの体制を整備し、新型コロナウイルス感染症対応における勤務体制移行時には大きな効果を発揮しました。
さらに、当社、鹿児島銀行、九州デジタルソリューションズは性別に関係なく柔軟な発想力や創造力を発揮しやすい企業風土などを目指してビジネスカジュアル、オフィスカジュアルを導入しております(肥後銀行は本部にて一部導入)。
2022年度は働き方改革に加え、脱炭素社会実現に向けた取組みとして、事業所内等の照明を週2回終業時間に消灯する「ライトダウン運動」を実施しました。今後も業務効率化・生産性向上による更なる働き方改革を進め、ワークインライフの実現を目指してまいります。
平均有給休暇取得日数 (2022年度) | 肥後銀行 | 鹿児島銀行 |
15.3日 | 15.6日 |
(d)ファイナンシャル・ウェルネスに向けた取組み
従業員の資産形成支援を目的として、従業員持株会制度、選択型DC、財形貯蓄制度を導入しております。2022年3月に肥後銀行従業員持株会と鹿児島銀行従業員持株会を九州フィナンシャルグループ従業員持株会へ統合し、加入対象を当社グループ全従業員に拡大しました。会員の拠出金に対して10%の奨励金を付与しております。その他、行員の生活資金や住宅資金等について貸付を行う行友会(肥後銀行)・互助会(鹿児島銀行)貸付制度も整えております。
B.多様な学習と挑戦機会の提供
従業員一人ひとりの自律的成長を支援するため、時間や場所にとらわれない多様な学習機会を積極的に提供するとともに、従業員自らが手を挙げて、多様なフィールドにチャレンジする機会を提供し、新しいことへの挑戦や成長意欲を支援する体制を整備してまいります。
(a)ポスト・キャリアチャレンジ制度
キャリア形成に関し自ら手を挙げ、チャレンジできる機会として、銀行内・グループ内の部署での勤務に加え、グループ外への研修出向について公募する制度を実施しております。
※2022年度実績
連結子会社名称 | 公募ポスト | 応募者数 |
肥後銀行 | 16件 | 50名 |
鹿児島銀行 | 10件 | 22名 |
(b)グループ会社間人材交流
相互理解によるグループ一体感の醸成を主な目的として、経営統合当初の2016年3月より人事異動を伴う人材交流を実施しております。2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響に鑑み2022年度は一時中断しましたが、2023年度は12名の規模で再開し、累計で179名の人材交流を実施しております。
(c)副業制度
従業員が様々な経験に挑戦できる機会を設けることで、職場内だけでは得られない成長を実現するとともに、多様な価値観をもたらし、新たなイノベーションの創出や地域貢献につなげることを目的に「副業制度」を導入しております。現在、約40名が自らのスキルを活用し、スポーツイベント企画など様々な副業を実施しております。
(d)資格取得奨励金制度
当社グループの事業領域が拡大するなか、従業員の多様で高度な知識習得を通じたサービス品質向上が重要であることから、自己啓発に取組む従業員に対するインセンティブとして、資格取得奨励金制度を導入しております。2022年度は2,484件、約19百万円を交付しました。
C.こころと体の健康増進支援
従業員がいきいきとやりがいをもって働き、お客様の信頼と期待に応え、地域とともに成長し、活力あふれる地域社会の実現に貢献できるよう、従業員一人ひとりのこころと体の健康増進に取組み、健康経営を実践してまいります。
肥後銀行及び鹿児島銀行は、ともに頭取を「健康経営責任者」として、健康保険組合等とも連携し、課題解決に向けた「健康経営戦略マップ」を策定して、健康経営推進に取り組んでおります。
※肥後銀行は2022年度まで5年連続で経済産業省による健康経営優良法人認定制度に基づく健康経営優良法人に認定されており、鹿児島銀行も2023年度に健康経営宣言を行い健康経営優良法人の認定を目指しております。
「指標及び目標」
第3次グループ中期経営計画における人材育成及び社内環境整備に係る目標は定めておりませんが、女性活躍推進法にもとづく一般事業主行動計画において「管理職に占める女性労働者の割合」の目標を設定しております。
連結子会社名称 | 目標 | 実績(2022年度)(注1) |
肥後銀行 | 2027年3月末までに20.0% | 13.2%(25.6%) |
鹿児島銀行 | 2026年3月末までに5.5% | 4.0%(13.1%) |
(注) 1.( )内は、支店長代理以上の役席者及び管理職における女性労働者の割合を記載しております。
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