丸紅建材リース 【東証スタンダード:9763】「卸売業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、土木建築工事に欠かせない建設用重量仮設鋼材(建設機材)の賃貸、販売、工事などを主たる事業として展開しており、取引先である建設業界のニーズに応え、社会資本整備の一端を担ってまいります。
当社は、経営の基本理念として以下の三項目を掲げ、役員、従業員一丸となって経営環境の変化に対応し、迅速かつ適切な意思決定が行われるべく、企業体質の強化に取り組んでおります。
① 社会・株主に対して存在価値の高い会社を目指します。
② 顧客より高い評価と信頼を受ける会社を目指します。
③ 厳しい中にも公正で夢と誇りを持てる会社を目指します。
(2)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、個人消費の回復やインバウンド需要の高まりに加え、企業の生産活動に持ち直しの動きが見られ、緩やかな回復基調で推移しました。一方で世界的な金融引き締め政策やウクライナ・中東情勢不安の長期化による資源・エネルギー価格の高止まり、物価上昇の継続等の影響により、依然として先行き不透明な状況となっております。
建設業界におきましては、建設投資は底堅く推移し、設備投資も持ち直しの動きが見られますが、資機材価格の高止まりや物流コスト、労務費等の高騰により、厳しい受注環境が続いております。
(3)現中期経営計画 「未来への変革と創造への挑戦」(2019-2023)のレビュー
①顧客ニーズに応えられる価値あるサービスの提供
工期短縮や作業性向上を目的に開発したタフシリーズ(大型覆工板や高強度腹起し材、コラム切梁材)の運用を開始しました。また、打設時間の短縮による施工の効率化および工期短縮を図り、環境に配慮した燃料を使用した高性能杭打機を導入しました。
②国内収益基盤整備
タフシリーズの推進と高性能杭打機の導入に加えて、保有鋼材の戦略的な工場間移管の実施と地域性を考慮した保有構成の見直しを行っており、さらに加工業取り組み強化として、鋼製構造品製造分野での受注拡大を図りました。
③海外積極展開
アジア周辺地域での事業拡大を図りました。具体的には、中国では伊藤忠丸紅鉄鋼㈱と共同で環境に配慮した鋼製山留工法の拡販を目的に、瑞馬丸建(安徽)工程支護科技有限公司に出資いたしました。また、ODA案件への取り組みとして、大型プロジェクトへ材料を供給いたしました。
④就労環境の整備と人材育成
スキルや才能、知識・経験に裏打ちされた職務・職責や期待役割に応じた人事制度に改定し、社員のモチベーション向上を図りました。また、人材育成施策を策定し、施策に沿った研修プログラムを階層別に実施いたしました。
・主要係数目標値と進捗状況は下表の通りであり、売上高以外の項目は目標を達成しました。
| 2023年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
収益目標 | 売上高 | 250億円 | 200億円 | 191億円 | 201億円 | 213億円 |
親会社株主に帰属 | 11億円 | 9.11億円 | 10.03億円 | 11.11億円 | 11.61億円 | |
財務目標 | 自己資本比率 | 45% | 44.5% | 44.4% | 46.3% | 48.7% |
ネット有利子負債 | 83億円 | 56.58億円 | 50.65億円 | 46.46億円 | 48.38億円 | |
株主還元 | 配当性向(連結) | 27% | 29.3% | 26.6% | 28.9% | 31.4% |
年間配当金 | 90円 | 80円 | 80円 | 100円 | 115円 |
(4)新中期経営計画 『共に築こう、未来のインフラ都市創出』(2024年度~2028年度)
当社は、2024年5月10日開催の取締役会において、下記のとおり、新たに2024年度から2028年度の5カ年を対象とする中期経営計画を策定しております。
①経営ビジョンに基づく6つの成長戦略
(ⅰ)収益力の更なる強化
営業力強化と顧客満足度向上のため、タフシリーズのラインナップ増強を中心とした保有鋼材の拡大・工事機械の拡充および工事売上・加工売上の増を目指し、人的投資とM&A投資、ITツールの活用により収益を拡大し、営業力強化と顧客満足度の向上を図ります。
(ⅱ)新商品・新工法の開発、工場の機械化・自動化・省力化の推進、安全で安心な作業環境の構築
環境に配慮した商品の開発や工期短縮、コストダウンにつながる新工法の開発、工場作業自動化による工場オペレーションの効率化、労働災害の撲滅(作業環境の改善と安全性の向上に寄与する商品の改良や開発)、アンチエイジング対策を進めてまいります。
(ⅲ)人的資本経営の推進
会社の持続的成長には人材強化が必要不可欠であり、多様な人材の採用と就労環境や処遇の改善を推進し、社員のスキル・能力及び仕事に対するやりがいを向上させ、ワークエンゲージメントを高める施策を検討・実行してまいります。
(ⅳ)サステナブルへの取り組みと2024年問題への対応
重仮設鋼材を繰り返し使用する事業モデルを通じてサステナブルな社会へ貢献し、温室効果ガス排出量を算出し、削減策を具体化します。また、2024年問題に対応するため在庫管理の最適化と複数の配送を集約することや共同配送の実施により運送回数を削減し、ITやAIを活用して、積卸時間および待機時間の可視化や走行距離の削減など物流の効率化を図ってまいります。
(ⅴ)海外事業の強化
拠点を有する日本、タイ(タイ丸建㈱)・中国(瑞馬丸建(安徽)工程支護科技有限公司)を軸として、東アジア諸国との取引拡大と拠点毎における保有鋼材等の最適化と収益拡大を図り、海外事業に関連する収益の連結全体の収益に占める割合を20%以上とすることを目指します。
(ⅵ)DXへの取り組み推進
情報連携に資する共通プラットフォームの構築とIT環境のリプレイスをすることにより、利便性の高いシステムを導入し、セキュリティ対策とBCP対策を強化するとともに、デジタル人材の確保と従業員のITスキルの向上を図ります。
②資金配分について
(ⅰ)~(ⅵ)の成長戦略・アクションプランを実行するため、営業キャッシュ・フロー(5期累計)が75~85億円と想定した場合の資金配分を以下のとおり計画いたしました。
・成長投資(25~35億円)
・設備投資(20~30億円)
・人的投資(5~10億円)
・株主還元(22~25億円)
③経営数値目標
資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、以下の経営数値目標の達成を目指します。
経営指標 | 目標値 | 補足説明等 |
ROE | 8.5%以上 | 将来的には資本コスト約7%(現時点)+スプレッド2%の9.0%以上を目指す |
ネットD/Eレシオ | 0.3倍程度 | 現状数値と適切なキャッシュポジションを維持 |
配当性向(連結) | 35%以上 | 2023年度実績31.4% |
2028年度連結純利益 | 15億円以上 | 中期経営計画最終年度に15億円以上の達成を目指す 自己資本を180億円前後と想定し当期純利益15億円を達成した場合1株当たり配当は165円以上を想定 |
(5)資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
当社は、2024年5月10日開催の取締役会において、会社の持続的成長と中長期的な企業価値向上を図るべく、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について現状を分析・評価し、改善に向けた今後の取組方針について、下記のとおり決議しております。
①現状認識
経営指標 | 現状の数値 |
PBR | 直近5期平均は0.45倍、株価上昇により2023年度末は0.61倍 |
ROE | 直近5期平均は6.9%、2022年度・2023年度は株主資本コスト(約7%)を上回る |
配当性向(連結) | 2021年度を除き、2019~2023年度は現中期経営計画の目標値27%以上を達成 |
②PBRの改善=1倍以上を目指す各施策
施策 | 目標値、施策内容 |
収益拡大 | 当期純利益15億円以上の達成 |
資本効率改善 | ROE8.5%以上 |
株主還元方針 | 配当性向35%以上(状況に応じて自己株式取得を検討) |
成長及び設備投資 | 新規事業投資と既存事業の拡大、工場設備の機械化等、環境対策関連への投資 |
人的資本経営の推進 | ワークエンゲージメントを高める施策、人材開発支援の拡充と多様な社員の活躍 |
社会課題への取り組み | サステナブルへの取り組み、2024年問題への対応 |
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