上新電機 【東証プライム:8173】「小売業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針、経営環境及び優先的に対処すべき課題等
① ジョーシングループの概要
当社グループは、「リアル店舗」「EC」という2つのチャネル別事業と「サービスインフラ」事業が三位一体となり、「家電」「エンターテインメント」「リフォーム」「モバイル通信」「サポートビジネス」の5カテゴリにおいて事業を展開しております。「リアル店舗」「EC」を別々に考えるのではなく、同じお客様の窓口として、お客様の利便性の向上を第一に考え、連携によるシナジー効果の発揮を目指し、「リアル店舗・EC」両チャネルからの「配送、設置、工事」が伴う業務を当社の連結子会社であるジョーシンサービス株式会社が担い、事業基盤を支えております。当社グループは、関西・東海・関東・北信越エリアを主軸に、地域密着型ドミナント戦略を展開しており、今後は「EC」とのシナジー効果を重視した「リアル店舗」の出店や既存店の強化、「サービスインフラ」の拡充・拡大を推進してまいります。
当社グループのドミナント戦略とは、当社グループが創業以来蓄積したアセットを最大限活用し、当社グループの強みが活かせる領域(商圏、商品、サービス等)に特化し、物流、サービスインフラ体制も含めた経営資源を集中的に投下する差別化戦略と位置づけております。ある特定のエリアを絞り込んで、集中的新規出店による市場占有率向上を目指す一般的なドミナント戦略とは異なり、新規出店に頼るのではなく、既存店の販売力強化、スクラップアンドビルドを中心に、「EC」とのシナジー効果、物流、サービスインフラ体制も含めて、収益拡大が見込めるエリアに絞って市場占有率確保を目指すものであります。面を埋め尽くすのではなく、一つひとつの「点」を大きくするとともに、空いたスペースは「EC」がつなぎ合わせることで、エリア全体をカバーする考え方であります。また新規出店に依存しないことで、設備投資や人件費、店舗運営コストなどの支出を抑えることも可能となります。
「リアル店舗」は、関西・東海・関東・北信越エリアを中心に、当連結会計年度末現在214店舗を展開しております。新規出店偏重による拡大路線を回避し、既存店舗のスクラップアンドビルドによる収益力の強化に取り組んでおります。「リアル店舗」にご来店いただいたお客様に対し、「高い接客力・きめ細やかな対応力」を兼ね備えた販売員による商品提案により、お客様から高い評価をいただいております。
「EC」は、充実した商品アイテム数を誇り、商品調達を担う商品部との連携を強化し、商品の見せ方等をこまめに変更するといったお客様を飽きさせない作りこみを行うなど、丁寧な店舗作りに取り組んでおります。
「サービスインフラ」は、洗濯機、冷蔵庫、エアコンといった「配送、設置、工事」が伴う業務を主としており、それらを含めた製品情報を蓄積しております。また、業務を委託しております協力会社にも当社グループのCSマインドを理解するための研修の実施等を通じ、業務品質を維持向上し、お客様のご自宅内における作業の担い手として、高いCS評価をいただいております。
② 経営方針、経営環境及び優先的に対処すべき課題等
現在、当家電販売業界を含む世間を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。少子高齢化がもたらす人口・世帯数の減少や高齢単身世帯の増加といった人口動態の変化、ICTの高度化、性別・年齢・国籍などに囚われず、それぞれの「個」を尊重し、認め合うというダイバーシティ&インクルージョンの浸透、さらには気候変動など、人を取り巻く社会構造や環境、価値観が大きく変化する中で、人々の生活様式も大きく変わろうとしております。
当社グループは、創業100周年となる2048年までの25年間を第4コーナーと位置づけて、「中長期の成長シナリオ」を策定いたしました。その第一ステージとして、2030年にあるべき姿「地域社会の成長を支え、人と環境の未来に貢献する企業」になるというビジョンを達成することを目指してまいります。この実現のために全社員が一丸となりさらなる事業拡大やイノベーション、社会貢献活動などに積極的に取り組んでまいります。
当社グループは、長期的な視点で未来を考え、社会のあるべき姿を思い描いて、2021年に経営理念を《人と社会の未来を笑顔でつなぐ》に改めました。社会変化の現状と課題を踏まえた上で、当社グループの理念体系の根幹である社是「愛」(「常に相手の立場に立って考え行動する」の意)の基本精神に則り、「持続可能で誰ひとり取り残さない社会」を私たちの未来世代に引き継いでいきたいという思いを込めました。そして、この新経営理念のもと、中長期的な視点からのバックキャストで、当社グループが中長期的に創造する2つの社会価値や経営ビジョン、7つのマテリアリティ(重要課題)等を特定いたしました。詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
当社グループは、2023年3月期決算発表時に策定し公表いたしました、今年度を初年度とする3カ年の中期経営計画『JT-2025 経営計画』に当社グループ一丸となって取り組んでおります。当社グループが企業価値を高め、持続的成長を果たしていくためには、投下資本を上回る「利益効率」を確保し、生み出されたアウトプットを再投資することで、さらなるリターンを生み出し続ける、このようなサイクルを回し続けることが求められます。『JT-2025 経営計画』では、当経営計画における戦略の中心である「ファンベース戦略」を通じて、量の拡大から質の向上への変革により、「収益力」の強化、いわゆる「稼ぐ力」の強化に取り組んでまいります。その上で「投資効率」を高いレベルで持続的に確保できる、筋肉質でサステナブルな経営体制への移行を目指してまいります。詳細は、「(2) JT-2025 経営計画(2023年4月1日~2026年3月31日)について」をご参照ください。
(2) JT-2025 経営計画(2023年4月1日~2026年3月31日)について
① JT-2025 経営計画策定の背景
新型コロナウイルス感染症をきっかけに人々のライフスタイルは劇的に変化し、価値観の多様化が一気に加速しました。また、グローバルに目を向ければ、地政学リスクの高まりや為替変動などが当社グループに及ぼす影響も考慮する必要があります。こういった外部環境を認識しつつSWOT分析を踏まえ、将来当社グループのあるべき姿に関する議論をバックキャストで行い、「地域社会の成長を支え、人と環境の未来に貢献する企業」となるためのSecond Stepとして、今年度を初年度とする3カ年の中期経営計画『JT-2025 経営計画』を2023年3月期決算発表時に策定し公表いたしました。
この計画は、「中長期の成長シナリオ」に基づき、2030年度までの8年間を一つのパッケージと位置づけ、2030年にあるべき姿「地域社会の成長を支え、人と環境の未来に貢献する企業」を達成するために、『お客さまの暮らしに寄り添う「コンシェルジュ」へ』をスローガンに掲げております。「お客さまの課題解決、お役立ち実現によって顧客生涯価値を創出し、当社グループに収益をもたらす持続可能なビジネスモデル」の確立を目指すもので、「ファンベース戦略」の実践(お客さまのファン化、コアファン化)とジョーシン経済圏(「リアル店舗」事業と「EC」事業を核とするグループ全体の事業・サービスの集合体)の拡充を計画骨子としております。
また、この計画は、2023年3月31日の日本取引所グループからの「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」に応えることも意図し、経営指標や戦略を明確に示しました。
具体的な数値目標は、以下のとおりであります。
② JT-2025 経営計画 2026年3月期の計画値の算定にあたっての基本的な考え方及び連結目標数値
A.連結経営指標
「利益効率」を重視した「収益力」の強化により「営業利益率」を高め「投資効率」を向上・維持するための基盤を構築する
売上高 420,000百万円 (2023年3月期比102.8%)
営業利益 11,000百万円 (2023年3月期比132.4%)
売上高営業利益率 2.6% (2023年3月期 2.0%)
B.資本効率指標
「株主資本コスト」を上回る「ROE」、「加重平均資本コスト」を上回る「ROIC」を確保し長期的に持続することで「企業価値の向上」を目指す
ROE 8.0%以上 (2023年3月期 5.0%)
ROA 5.0%以上 (2023年3月期 3.8%)
ROIC(投下資本利益率) 5.0%以上 (2023年3月期 3.7%)
C.資本配分計画
未来への「成長投資」を中心に「株主還元」「有利子負債削減」への配分をキャッシュアロケーションの中でバランスよく実施し、資本効率を最適化
計画期間3カ年累計の営業キャッシュ・フロー 400億円~450億円
D.株主還元
「配当性向30%以上を目安とし、安定的・持続的な還元を実施」としておりましたが、株主の皆様への利益還元の姿勢を充実させるため、2024年3月26日開催の取締役会において「配当性向40%以上を目安」へ変更しております。
配当性向 40.0%以上 (2023年3月期40.2%)
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