三菱ロジスネクスト 【東証スタンダード:7105】「輸送用機器」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
① ガバナンス
当社グループにおけるサステナビリティに対するガバナンスとして、2021年に代表取締役社長を議長とし、経営会議メンバーで構成される「サステナビリティ会議」を設置し、年3回開催しております。「サステナビリティ会議」では集中的な議論と検討を通じてサステナビリティ全般に関する戦略、マテリアリティの特定と課題に対する方針・対応の承認、サステナビリティに関する全社の活動の取りまとめ、推進・フォローなどを行い、取締役会に活動状況を報告します。またマテリアリティの活動分野ごとに9つの分科会を設置しており、その一つであるカーボンニュートラル推進委員会においては、活動方針を定め、気候変動を巡る課題とCO₂削減量の目標値などについての議論を実施しております。
② リスク管理
当社グループではサステナビリティ関連のリスクも含めリスク管理の推進・運営上の最高機関としてリスク・コンプライアンス委員会を設置しております。各部門において半期毎にリスクの洗い出しを行いリスクの分析・評価を実施し半期毎に開催されるリスク・コンプライアンス委員会に報告され、重大リスクの状況及び対策の有効性についての評価を実施し、その結果を取締役会に報告しております。
③ 目標と戦略
当社グループは、世界の物流シーンを支える総合物流機器メーカーとして、国連が提唱する「SDGs」に賛同し、事業活動を通じて社会的課題の解決を図り、地球・社会の持続的発展と未来創りに貢献します。その為にSDGsに対する4つの基本方針として、①地球環境の保全、②地域社会の発展、③人材の育成、④コーポレート・ガバナンスの強化を定め、それに基づき14のマテリアリティを特定しました。
それらについて、物流機器市場の見通しやシナリオに基づき、社会的課題の解決と当社グループの持続的成長として「2035年にあるべき姿」の実現に向け、想定されるリスクと機会を策定戦略・方針を議論する為に、中長期戦略検討を開始しサステナビリティ会議で議論しております。その中で「地球環境の保全」については気候変動の対応として三菱重工グループの一員として先行して戦略を定めました。また「人材の育成」についても人的資本についての取り組みとして検討を実施しております。
(1)気候変動に関する取組み
a)想定する気候シナリオ
当社グループは、2つの気候変動シナリオを設定し、2035年における各事業への影響を分析しました。
1つは、環境への影響を最小限とするため、2100年時点における世界の平均気温の上昇を、産業革命以前と比較して1.5℃以下に抑制しながら経済成長を目指す「気候変動政策厳格化により脱炭素を推進するシナリオ(脱炭素シナリオ)」です。
もう1つは、現状ベースで化石燃料をエネルギー主体として経済成長を目指す「気候変動政策が厳格化されず引き続き化石燃料に依存するシナリオ(化石燃料依存シナリオ)」で、2100年時点における世界の平均気温が、産業革命以前と比較して4.0℃上昇することが想定されるものです。
b)想定した気候シナリオにおける当社グループのリスクと機会
「脱炭素シナリオ」では、例えば炭素税などの規制が強化され、炭素排出に対するコストが大きく上昇することを想定しています。しかしながら、脱炭素化に対応した当社グループ製品・技術の強みを生かすことでは事業機会も十分に存在するものと考えています。
一方、「化石燃料依存シナリオ」では、気候変動による物理的リスクが中心となります。
機会については、当シナリオにおいても現在すでに各種環境規制を推進している先進諸国において今後規制が緩和されることは想定しがたいことから、当社グループの脱炭素技術の優位性を提供することで事業機会が生じると考えています。従って、リスクと機会に対する戦略としては両シナリオに共通のものとして事業に対し2035年断面に対して以下の通り分析しました。
[リスク]
世界的な電化への移行に従い、内燃機関に関連する製品・サービスであるエンジン式フォークリフトの 需要減少が想定されます。
[機会]
電化の進展に伴い、競争力のあるバッテリーフォークリフトの需要増が想定されます。
また、電化・知能化により自動化・自律化を目的とした物流ソリューションの拡大が想定されます。
c)目標と戦略
① 目標:2040年カーボンニュートラル宣言
当社グループは、2021年11月にカーボンニュートラル社会の実現に向けて、目標を策定し発表しています。
当社グループのCO₂排出量( Scope1,2(注1))を、2040年までにNet Zeroにすることです。また、その中間目標として、2030年までに40%削減(2017年比)します。これは、生産活動に伴う当社グループの工場等からのCO₂排出量の削減です。
また、当社グループは製品・サービスを通じてお客様のCO₂排出量削減( Scope3(注2))に貢献します。三菱重工グループはグループ全体で2040年までにバリューチェーン全体からのCO₂排出量をNet Zeroにすることを宣言しております。当社グループも物流シーンにおける脱炭素製品や自動化・自律化システムの提供を通じてその目標達成に取り組んでいきます。
(注1)温室効果ガス(GHG)排出量の算定と報告の国際基準であるGHGプロトコルにおけるScope1,2
(注2)温室効果ガス(GHG)排出量の算定と報告の国際基準であるGHGプロトコルにおけるScope3
② 目標達成に向けた戦略ロードマップ
当社グループカーボンニュートラル目標の中間地点である2030年目標の達成に向けて取り組みとして「生産性の向上」、「省エネ活動の推進」、「三菱重工グループの革新的脱炭素技術の導入」を推進していきます。お客様のCO₂排出量削減に向けた製品・サービスの取り組みとしては、「エネルギー効率の良いバッテリーフォークリフト」、「自動化・自律化を実現する物流ソリューション」の開発・提供を通じて推進していきます。
(2)人的資本についての取組み
少子高齢化と労働人口の減少が進む中、社内に異なる経験・技能・属性のある多様な視点や価値観を持った人材がいることは、会社が持続的成長をしていく上で強みとなります。特に経営の中核を担う管理職層が多様性を理解し、各個人のスキルを見出し、引き上げていくことが重要であるため、当社では人材の多様性の確保に向けた取り組みを進めています。また、コロナ禍を契機に、選択型在宅勤務制度などの柔軟な働き方を導入し、働き方改革を推進してきましたが、今後は働きやすさの追求に加え、社員のやりがいにもアプローチした「働きがい改革」へシフトしていきます。「エンゲージメント向上」「多様性の確保」「快適な職場環境の構築」を実行の3本柱として掲げ、一人ひとりが自律的に考え、日々成長していけるような働きがいを感じる会社を目指していきます。
a)エンゲージメント向上
〇 人材育成プログラム(キャリア形成サポート)強化
中期経営計画基本戦略の一つであるブランド力向上において、「グループ人材育成によるエンゲージメント向上、組織力強化」を掲げています。当社では人材育成制度を拡充し、社員が成長できる機会を促進しています。社員が働きがいを感じるには、一人ひとりが自律的に自分のキャリアを構築できる仕組みが必要です。自分の価値を高める社員を増やすことで、生産性の高い強靭な組織を創るとともに、当社の人的資本を高めることに貢献すると考えています。
自律的なキャリア形成を支援する仕組み
キャリア面談制度 | 上司と部下で中長期的なキャリアビジョンについて擦り合わせを行い、目指す姿に向けたアクションを明確にすることで、自律的な行動・成長を促進する制度 |
キャリアチャレンジ制度 | キャリア面談等における異動希望や育成方針について、それを実現する施策を講ずることで、視野や経験値の拡大、モチベーション、スキルアップを図る制度 |
b)多様性の確保
〇 女性活躍推進
当社は人材の多様性確保の重要な項目に女性活躍推進を位置付け、次の行動計画を定めて取り組んでいます。
女性活躍推進法行動計画(計画期間:2021年4月1日~2026年3月31日)
目標1 | 採用における女性比率20%以上を維持する。 |
目標2 | 男性の育児休業取得率を2倍以上に増やす。(目標値9.4%) |
目標3 | 管理職に占める女性労働者の割合を2倍以上に増やす。(目標値3.4%) |
[上記目標における進捗状況]
〇 障がい者雇用
当社は障がいの有無にかかわらず、個々人がそれぞれの希望や能力に沿った活躍ができる環境づくりに取り組み、障がい者雇用を推進しています。(目標値:法定雇用率2.3%超)
c)快適な職場環境の構築
〇 選択型在宅勤務制度の導入
個人の意思で最大で週4日の在宅勤務の選択を可能とする選択型在宅勤務制度を導入しました。これにより育児や介護など家庭と仕事を両立させることはもちろん、グローバル化など仕事を取り巻く環境の変化に対応することが可能となりました。
〇 メンタルヘルスケア推進
高ストレス職場に対する職場活性化面談の実施、ラインケア・セルフケア研修の実施、産業医面談等を継続的に実施し、社員が健康で活力ある働き方ができるようメンタルヘルスケアの諸施策を推進しています。
〇 フリーアドレスの導入
働き方改革による新しいオフィスの在り方として本社の一部にフリーアドレスを導入しました。部門を超えた社内コミュニケーションの活性化や電子化・省スペース化による業務の効率化を図っています。
a)及びc)の目標値(2024年度までの目標)
目標1 | 社内サーベイの「仕事のモチベーション」スコアを8.3%アップする。 (2022年度実績 48 → 2024年度目標 52) |
目標2 | 社内サーベイの「活性職場数」を2倍にする。 (2022年度実績 16 → 2024年度目標 32) |
中期経営計画の最終年度となる2023年度では、失敗を恐れず社員が誇りをもって働く「三菱ロジスネクスト」の企業文化の醸成を行ってまいります。そのために、職場内や部門間を超えたコミュニケーションの活性化を促進する施策を実施するとともに、社員意識調査の調査結果により浮き彫りとなった課題と対策をアクションプランとして職場に落とし込み、それを実行することでスピーディーに人的資本の拡充に努めてまいります。
- 検索
- 業種別業績ランキング