三浦工業 【東証プライム:6005】「機械」 へ投稿
企業概要
当社グループは、ボイラを中心として新事業開発・熱利用機器・水処理機器・メディカル機器・食品機械・舶用機器・環境分析機器などの事業を行っておりますが、研究開発部門においては、これらの事業に貢献できる環境に配慮した“ミウラならでは”の技術を取り入れた新商品開発を目指しております。近年では、サステナビリティ推進活動とともに、低炭素・脱炭素を実現する商品・サービスの開発への方向性を高めております。
これらの研究開発活動は、R&D部門での要素・応用研究や長期課題に対する研究開発と並行し、新技術・新商品の実用化に向けた技術開発を事業部の技術・設計部門が行う形となっております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、3,211百万円であります。
当連結会計年度の主な研究開発の概要、成果及び研究開発費は、以下のとおりであります。
(1) ボイラ事業
CO2を出さない水素専焼かつ低NOx化を実現した高効率水素焚き貫流ボイラ(相当蒸発量2T/H)を商品化いたしました。ボイラ効率が従来機種の95%から105%へ大きくアップし、東京都低NOx認定を取得いたしました。また、カーボンニュートラル(以下、CNという。)へ向けてニーズが高まりつつある、密着設置で省スペース化が図れる電気蒸気ボイラシステムME-200Aを商品化いたしました。今後の商品化を目指して自家発電設備等で進められている燃料転換にあわせて大型の独立過熱器の開発とシリーズ化や、バイオマス関連プラント向けの熱媒循環式の廃熱回収ボイラ、燃焼時にCO2を出さないアンモニア燃焼の研究(SIP)など、CNへ向けた研究開発を進めております。
(2) 新事業開発・熱利用事業
お客様設備の省エネ・低炭素化を実現するため、大気への排出熱を回収してお湯を作ることができる出力15kWの熱回収式電動エアコンプレッサの量産を開始いたしました。IT・AIを活用してお客様の生産に必要な熱を最適にコントロールするシステムの実証にも取り組んでおります。また、世界最高レベルとなる発電効率63%の高効率燃料電池システムを開発いたしました。高効率な発電が可能なことから、排熱利用なしでも省エネやCO2排出量削減が可能なモノジェネレーションシステムを採用しております。
(3) アクア事業
前事業年度に引き続き、ろ過・純水の分野を中心にシステム・エンジニアリングを強化しております。
当事業年度は、水銀フリーのLED紫外線光源(UV-LED)を用いた水殺菌装置の販売開始を計画しております。また、従来から販売しておりますRO装置の技術を活かしたNF装置の発売を計画しており、ボイラ用水、冷却水、リサイクル水等の分野で省エネルギー、脱炭素、節水に貢献する水処理システムとして提案を強化してまいります。
(4) メディカル事業
当社独自の減圧沸騰式洗浄器は、2010年の発売以降、病院等での洗浄プロセスの省人化に役立ってきましたが、新たなお客様のニーズに応えるためのモデルチェンジを行い、2024年4月に発売を開始しました。今後の労働力減少に備え、作業効率向上のための自動管理システムや、滅菌物を滅菌器から保管庫まで無人搬送できるシステムの開発を継続してまいります。2024年2月には“メディカル横浜ラボ”も新設し、今後様々な課題を解決できる新商品の開発を推進してまいります。
(5) 食品機械事業
2025年の冷媒規制対応(GWP1500以下)の冷水装置のラインナップを追加するとともに、食品用の加熱釜・ニーダーについては製餡等の自動調理の実績を拡大いたしました。また、大規模食品工場において、大型レトルト殺菌装置、自動搬送機器、ボイラ他冷熱機器を設置し、各種センサによりこれら機器の監視を行い、工場稼働の見える化、生産性向上・省エネの最適提案、メンテナンス業務の迅速化・効率化ができるよう検討を進めております。
(6) 舶用事業
海運のGHG排出削減に向けた商品開発に注力しております。低炭素のLNG燃料対応ボイラの商品化が完了し、脱炭素燃料として期待されているアンモニア対応ボイラの開発も進めております。また、主機エンジン複合排熱を利用して船内電力の20~30%相当の省エネを実現するバイナリー発電システムの開発も進めており、陸上試験を開始いたしました。より質の高いメンテナンスサービスを目指した舶用機器通信システムの商品化、環境保全のためのマイクロプラスチック回収装置や乗組員の飲料ペットボトル削減につながる船内浄水器の販売も開始しております。
(7) 環境事業
三浦環境科学研究所では、世界で競争力のあるダイオキシン類の次世代自動前処理・分析システムの開発を進めております。さらに国内外で規制の動きがあるPFAS(フッ素原子を含む化学物質)の受託分析を立ち上げ、PFAS分析関連技術・商品の研究開発にも着手いたしました。また、冷却塔水や浴槽水などのレジオネラ属菌迅速検査に適用できる生菌分離装置を開発し、商品化の準備を進めております。
なお、海外で販売されている機器についても、国内で開発を行っており、国内メンテナンス事業・海外メンテナンス事業についても、製品開発と不可分であるため、当事業に含めて記載しております。
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