企業兼大株主三井住友建設東証プライム:1821】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループでは、技術の信頼、受注の拡大、利益の向上を目指して、顧客ニーズに応える技術開発をタイムリーに推進することを技術開発の基本方針とし、技術開発本部、土木本部、建築本部、事業創生本部を中心として、技術開発を積極的に進めてきました。
 当連結会計年度の技術開発に要した費用の総額は、1,620百万円です。なお、当該費用については、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しています。

 当連結会計年度における主な技術開発成果は次のとおりです。

(1) 精密衝撃破砕工法「SMartD®」を床版取替工事で初適用

 高速道路橋の床版取替工事に精密衝撃破砕工法「SMartD」を適用し、安全で施工効率のよい既存床版の解体を実現しました。「SMartD」は、コンクリート構造物を容易に解体するために効果的なひび割れを予め形成させる装薬配置等を設計し、その装薬箇所に小規模な衝撃を与えて構造物を解体する精密衝撃破砕工法です。ウォータジェット工法や人力によるはつり作業では著しく困難な、鋼・RC合成桁橋鋼桁と床版のコンクリートの分離を効率的に行うことができます。また、水を使用しない工法のため、水質保全が求められる河川上でも適用することが可能です。今後は、施工効率が良く、水を使わないことで汚濁水を発生させない環境配慮型技術として、本工法のさらなる現場適用を進めてまいります。

(2) プレキャスト床版の接合工法「サスティンジョイント®」を初適用

 プレキャスト(PCa)床版の接合工法「サスティンジョイント」を開発し、名神高速道路 長良川橋床版取替工事において、初めて適用しました。本工法は、環境配慮型コンクリート「サスティンクリート®」とあき重ね継手を組合せた床版接合工法で、従来工法のループ継手と比較して継手幅を半減でき、追加の補強鉄筋も不要で生産性が大きく向上します。また、収縮が少ないコンクリートでひび割れリスクを低減し、高品質な継手を実現しました。今後は、本工法の更なる現場適用を提案するとともに、今回の適用で得られた知見を活かし、環境負荷が少なくかつ生産性向上に資する技術として広く普及を目指してまいります。

(3) 支保工が省略可能なPC橋梁の合理化施工法「Rap-con for staging工法」を開発・初適用

 プレストレストコンクリート(PC)橋の支保工を用いた施工部の合理化を実現する「Rap-con for staging工法」を開発し、新東名高速道路皆瀬川橋(仮称)にて初適用しました。本工法は、先行架設する波形鋼板ウェブを架設材として活用することで、支保工の組立・解体作業を省略可能とする合理化施工法です。また、従来の固定支保工を用いたコンクリートウェブ橋と比べて、PCa部材を活用することで場所打ちコンクリート量を約40%低減しました。今後は、本工法の更なる現場適用を進めるとともにPCa部材の活用等により、PC橋梁施工の更なる生産性を向上させてまいります。

(4) ゼロセメントタイプの環境配慮型コンクリートで特別工法評定を取得

 環境配慮型コンクリート「サスティンクリート®」の中で、ポルトランドセメントを使用しないゼロセメントタイプのコンクリートを用いた計画中の建物を対象に、東京大学大学院工学系研究科 野口 貴文 教授のご協力の下、国内初となる一般財団法人日本建築センターの特別工法評定を取得しました。本評定では、ゼロセメントタイプのサスティンクリートが一般的なコンクリートと同様に取り扱うことが出来ることを国内で初めて実証し、セメントを使用しないコンクリートの建築構造部材への適用を可能としました。今後もサスティンクリートの適用範囲を拡大し、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

(5) サスティナブルな地盤改良材「サスティンGeo™」を開発

 セメントを使用せずに産業副産物などを用いた地盤改良材「サスティンGeo(ジオ)」を開発しました。「サスティンGeo」を固化材に用いた現場実証実験では、地盤改良時のCO2排出量や六価クロム(土壌汚染対策法で定められた特定有害物質)の溶出量を大幅に低減する効果を確認しました。本技術は、浅層改良を対象として、粉体の混合方式としましたが、今後は、地盤改良工事の中層改良や深層改良への適用に向けて検討を進め、更なる適用拡大を図り、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

(6) 橋梁床版の診断・補修設計を省力化する「床版維持管理システム」を開発

 既設橋梁の鉄筋コンクリート(RC)床版の維持管理において、変状の調査・診断から補修・補強設計に至る一連の業務を省力化する「床版維持管理システム」を開発しました。本システムは、自走式点検ロボットによる調査とAIによるひび割れ診断、自動設計ソフトによる最適補修・補強設計を組み合わせた技術です。高速道路の床版補強工事において試験運用を行い、一連の維持管理業務の作業時間が1/2となり生産性が大幅に向上することを確認しました。今後は、本システムをMR(Mixed Reality:複合現実)技術と組み合わせ、建設現場での利用に適したデジタルツインを構築することにより、さらなる生産性向上と信頼性向上を進めてまいります。

(7) PCa部材のトレーサビリティを実現するRFIDタグ一体型スペーサを開発

 プレキャストコンクリート(PCa)部材のトレーサビリティを実現する、RFIDタグと一体化させた鉄筋コンクリート製品用スペーサを開発しました。本技術によって、PCa部材の製造開始から保管、出荷、更には現場搬入時の受入検査に至るまで、生産管理情報の一元管理を実現することが可能となります。今後は、本技術を実現場に試験導入し、施工時の品質管理などに活用することで、幅広い生産性向上を推進し、少子高齢化社会の労働者不足などの社会問題解決に貢献してまいります。

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