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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針・経営戦略

 当社グループは、設立初期から大切にしている “Creating Life of Your Dreams“ ~半歩先の技術で人々の生活を豊かに~ を実現することで、未来社会が抱える課題を解決し、貢献したいと考えております。

 そして、人々の生活の便利を実現するために、“世の中のニーズを敏感に察知し、半歩先のソフトウェア技術で「未知の課題」を解決すること”が、当社グループの使命であり、存在意義であると考えております。

 この使命を達成するために、当社グループは社会に存在するニーズを適時、的確に察知し、そのニーズに応えるために必要なソフトウェア技術の習得や高度化を実践するとともに、役職員が誇りを持ち活躍し続けられるような「社員が幸福を実感できる企業」を目指し、その実現に向けて努めてまいります。

 また、未来社会に貢献し企業を持続的に発展させていくには、より一層のソフトウェア技術の発展と、ソフトウェアの価値向上が重要であると認識し、“ソフトウェアの価値を高め、収益構造を変革する企業”として活躍できるよう努力いたします。

 中長期的な経営戦略といたしましては、将来的に必要とされるソフトウェア技術の高度化に加え、近年のエンジニア不足と少子化に向けた収益構造の変革に注力してまいります。これまでのモノづくりは当社グループ従業員の労働に対する対価が多くを占めておりましたが、今後は、知財や製品、さらには新たなサービスによる収益の比率を増加させ、労働対価と労働量に依存しないサービス収益の最良なバランスにより、「次世代事業の創生」と「収益性の向上」を実現したいと考えております。

(2)目標とする経営指標

 当社グループは安定的な経営と収益構造の変革を実現するために、目標とする経営指標として自己資本利益率(ROE)、営業利益及び売上総利益率を重要な経営指標としております。

 当社グループにとって重要な活動である研究開発費、採用教育費、営業費等を控除した残利益である営業利益は、将来に向けた活動を行いながら安定的な経営が実現できているかを測定するための指標として重要であると認識しています。また、売上総利益率は、収益構造の変革を行うことにより労働力に依存しない高付加価値のサービス事業の成長度合いを測定するための指標として重要であると認識しております。

(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 政府は、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させ、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会「Society 5.0」を我が国が目指すべき未来社会の姿として提唱しており、当社グループはこれを実現するために必要な基本技術(シミュレーション、セキュリティ、セーフティ、AI安全など)を保有している点で競争優位性があると考えております。ロボットや自動走行車開発などにおけるシミュレーション技術の活用、安心安全にIoT(モノのインターネット)で人とモノがつながるためのセキュリティ技術、システムが組み込まれた製品が安全に動作するためのセーフティ、AI(人工知能)を自律化システム等に安全に搭載するためのAI安全など、未来社会の実現に向けて当社グループの技術に対する需要は今後も継続拡大するものと見込んでおります。

 一方で、開発技術者は不足しており、需要に見合ったリソースを確保することが困難な状況にあります。今後もこの状況は続き出生率低下の傾向と相俟って、人財の確保に関する課題は長期にわたるリスクになると考えております。

 このような状況を踏まえ当社グループは、安心、安全で豊かな未来社会の実現に向けて、半歩先の未来で求められる技術に継続的に目を向けながら、組織力・技術力・収益力における課題に対処するとともに、継続的に事業リスクを低減させるためガバナンス体制や内部統制の充実強化に努めてまいります。

①ソフトウェア開発事業およびサービスデザイン事業

1.技術者育成と次世代技術の獲得(技術力)

 当社グループの収益の源泉は高い技術力にありますが、当社グループを取り巻く事業環境は、技術の進歩が速く、顧客や社会のニーズも変化しやすい状況にあります。このような環境の下で当社グループが持続的に成長していくためには、需要に応じた技術力強化と未来社会に必要とされる技術を継続的にキャッチアップしていく必要があると考えております。

 このような課題に対処するため、当社グループは従業員のスキル棚卸と人財ポートフォリオ管理によりターゲットを絞った育成及び採用に努め、スキル向上のための教育プログラムの確立に取り組みます。

 また、エンジニア専門職による後進への技術教育、先行的な技術動向の情報収集・研究を推進し、継続的な技術力強化と次世代技術の獲得を図ってまいります。

2.人的資本の有効活用による収益性の向上(収益力)

 当社グループの収益は、SES(ソフトウェア・エンジニアリング・サービス)やソフトウェア受託開発等の労働力提供型の売上が多くを占めております。開発技術者が不足していく事業環境において、このような労働力提供を主とした収益構造はリスクであり、限られた人財を最大限有効に活用し、収益性を向上させる必要があると考えております。

 このような課題に対処するため、当社グループは蓄積した知財(技術、ノウハウ、情報等)をサービス・製品として提供・活用し、労働時間ではなく付加価値に応じて対価を得る収益構造へと変革を進めてまいります。また、自社開発の製品・サービスの販売拡大、労働力ではなく付加価値に応じた受注価額の設定等を実行するため営業力の強化に努めます。その他、人財リソースの最適配置、事業ポートフォリオ管理、AI活用・DX化による開発効率の向上等をあわせて推進し、限られた人的資本を有効に活用することで売上高の拡大と利益率の向上に努めます。

②センシング事業

1.非破壊検査技術の高度化による収益性の向上(技術力・収益力)

X線CTスキャン装置による非破壊検査技術は、航空機、自動車、医療機器など部品や製品の欠陥等が生命の危機に直結するようなものを非破壊で検査できるなど、人々の安全・安心な未来社会に貢献できる技術であり、潜在的・将来的なニーズは存在するものと考えておりますが、そのニーズを実現し、利用用途、分野の拡大を進めていくためには高精度化、高速化、自動化など技術的に解決しなければならない課題も多く、実用化に向け、性能を強化するための技術開発が必要であると考えております。

 このような課題に対処するため、テスコ株式会社が長年培ってきたX線装置に関する豊富な知識・経験と当社が保有するソフトウェア技術の融合により、非破壊検査技術の利用用途の拡充と価値の向上を図り、事業規模の拡大と高利益率化につなげてまいります。

③人材確保及び連携強化(組織力)

 当社グループの最大の経営資源はヒトであると考えておりますが、開発技術者は不足しており今後も出生率低下といった社会的課題と相俟って、人財の確保に関する課題は長期にわたるリスクになると考えております。また、限られた人財リソースで技術進歩の早い事業環境に対応していくためには、部署間やグループ会社間で技術的な連携や人財の流動性を高め、組織一体となって対応していく必要があると考えております。

 このような課題に対処するため、当社グループは、経営理念や経営方針の浸透活動を推進し、グループ構成員1人1人が共通の目標の実現に向けて意識・行動する良好な組織風土の醸成に努めます。また、従業員の能力や貢献に応じた公正な評価・報酬制度の整備をはじめ、従業員の心と体の健康を重視した労働環境、福利厚生の充実など従業員の働きやすい環境の整備を通じて、従業員エンゲージメントを高め人財の確保を図るとともに、グループ一体となって企業価値の向上に努めてまいります。

④コーポレートガバナンス及び内部統制の充実強化

 当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のためには、経営戦略や資本政策等の各施策の実行性を担保し、企業経営、企業行動において公正な判断や運営が行えるように監視・統制することで事業リスクを低減していくことが必要と考えております。

 このような課題に対処するため、当社グループは、コーポレートガバナンス・コードに則った監督機能の強化、報酬制度の改革、株主権利の確保等のガバナンス体制及び業務に組み込まれたプロセスである内部統制に対して継続的な検討及び見直しを行い、充実強化を図ってまいります。

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