リンテック 【東証プライム:7966】「その他製品」 へ投稿
企業概要
Ⅰ 会社の経営の基本方針
当社グループの経営理念は、社名の「リンテック」すなわち"リンケージ(結合)"と"テクノロジー"、および社是「至誠と創造」に裏付けされる人の和、技術開発力を基軸とし、国内・海外の業界において、誰からも信頼される力強い躍動感あふれる会社として社会に貢献し、株主各位・顧客・社員家族の期待に応える斬新な経営を推進するというものであります。
当社グループは、粘着応用技術、表面改質技術、システム化技術、並びに特殊紙・剥離材製造技術という四つの固有技術を基盤とし、さらにそれらを高次元で融合させることによって、より差別化された独自性の高い製品創りを進めてまいります。また、高い倫理観の下、CSRの精神を徹底し、社会から信頼される会社たるべく邁進してまいります。
Ⅱ 中長期的な会社の経営戦略と会社の対処すべき課題
当社グループは2030年3月期を最終年度とする長期ビジョン「LINTEC SUSTAINABILITY VISION 2030」(略称:LSV 2030)を掲げ、基本方針を「イノベーションによる企業体質の強靭化と持続的成長に向けた新製品・新事業の創出を通じて、サステナブルな社会の実現に貢献する」とし、「社会的課題の解決」、「イノベーションによる企業体質の強靭化」、「持続的成長に向けた新製品・新事業の創出」の三つの重点テーマに対する諸施策を、長期ビジョンの実現に向けたマイルストーンと位置づけ、3か年ごとの中期経営計画を策定し、推進しています。
最初の中期経営計画「LSV 2030-Stage 1」の初年度においては、売上高・利益ともに過去最高を記録し、当初掲げた最終年度の経営目標を前倒しで達成したことから、最終年度の経営目標を上方修正しました。しかしながら、2年目については、電子・光学関連製品や他の製品において急激な受注減少があったほか、原燃料価格や物流費の高騰影響を大きく受けたことで、収益面では厳しい結果となりました。最終年度の2024年3月期においては、価格改定や円安効果に加え、第3四半期以降、半導体・電子部品関連製品やシール・ラベル用粘着製品を中心に受注は回復傾向にあったものの、上期の不振をカバーするまでには至らず、極めて厳しい結果となりました。
今後も原燃料調達コストの高止まりや地政学的リスクの高まりなど、当社グループを取り巻く事業環境は引き続き厳しい状況が続くと予想されます。
当社グループが持続的な成長を遂げていくためには、新中期経営計画「LSV 2030-Stage 2」において、長期ビジョン「LSV 2030」の実現に向け、三つの重点テーマに対する取り組みを一層強化してまいります。
また、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応については、長期ビジョンの重点テーマおよび新中期経営計画「LSV 2030-Stage 2」の経営目標の着実な達成、成長投資ならびに株主還元を主眼においたキャッシュアロケーション方針、積極的な株主との対話やIR活動の推進などを着実に実行することで、企業価値の向上と継続的なPBR1倍超えを目指してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
≪長期ビジョンの概要≫
Ⅰ. | 名 称 |
| 「LINTEC SUSTAINABILITY VISION 2030」(略称:LSV 2030) |
Ⅱ. | 基本方針 |
| イノベーションによる企業体質の強靭化と持続的成長に向けた新製品・新事業の創出を通じて、サステナブルな社会の実現に貢献する |
Ⅲ. | 重点テーマ |
1.社会的課題の解決
(1) 環境 … 脱炭素社会・循環型社会の実現への貢献 など
(2) 社会 … 人権の尊重、ステークホルダーへの情報開示とコミュニケーション強化 など
(3) ガバナンス … コーポレートガバナンスの強化、取締役会の実効性のさらなる向上 など
(4) 事業活動を通じたSDGs達成への貢献
2.イノベーションによる企業体質の強靭化
(1) DXによる設計・開発・製造・物流・業務プロセスの変革
(2) ビルド&スクラップによる省エネ、高品質、高効率、省人化を目的とした新規生産設備の導入
(3) 生産プロセス革新によるコスト競争力の強化
(4) 低成長・不採算事業の構造改革とグループ会社の経営健全化
(5) 強固な財務基盤の維持と資本効率の向上
3.持続的成長に向けた新製品・新事業の創出
(1) 技術革新による新製品・新事業の創出
(2) 戦略的投資の拡大と機動的M&A
(3) さらなるグローバルプレーヤーへの飛躍
(4) ローカリゼーションの確立
Ⅳ. | 2030年3月期 財務指標 |
■ | 売上高営業利益率 | 12%以上 |
■ | ROE(自己資本当期純利益率) | 10%以上 |
≪中期経営計画の概要≫
Ⅰ. | 名称/期間 |
| 「LSV 2030 - Stage 2」/2024年4月~2027年3月 |
Ⅱ. | 各事業セグメントの主な取り組み |
■印刷材・産業工材関連
北米やアジアでの拡販と収益向上
地球環境との共生と循環型社会の実現に向けた取り組み
ウインドーフィルムのさらなる高機能化と拡販
労働力不足の解決や生産効率の向上に貢献する新製品の開発やシステムの拡販 など
(印刷・情報材事業部門)
2025年3月期は、国内市場においては新たな市場創出とQCDの強化による収益性の改善が重要なテーマとなります。脱プラスチック対応製品や3R対応製品、環境負荷の少ないホットメルト粘着剤の活用など、需要が拡大している環境配慮製品の開発・拡販を加速させていくほか、品種統合や長期在庫の削減など継続的な収益改善に努めていきます。海外では、北米市場の在庫調整が進み、需要が回復傾向にあります。これまでにマックタック社の生産能力・市場対応力・新規販売網の拡充などを主眼に積極的なM&Aを行ってきましたが、この市場好転のタイミングを好機と捉え、安定成長が見込める北米での事業強化により一層注力してまいります。また、アジアでは現地のニーズに合わせた製品ラインアップ拡充とQCD強化による競争力の向上に取り組んでまいります。
(産業工材事業部門)
2025年3月期は、部門方針として「高品質な製品とサービスを提供し、お客様に信頼される部門となる」を掲げ、市場ニーズに合致した新たな価値を提供し、販売数量の確保・シェアアップを図っていきます。拡大が見込まれる通販市場や自動車市場向けの製品提案・拡販を図っていくほか、ニーズが高まっている環境配慮製品についても無溶剤化やバイオマス、リサイクルといったテーマを中心に製品開発を進めていきます。さらに事業拡大に向けて、海外グループ会社との連携を一層強化し、現地ニーズの的確な把握から市場の求める製品の提供を図るとともに、生産の現地化を推進していきます。
■電子・光学関連
エレクトロニクス市場の成長に向けた継続的な設備投資と需要対応
先進半導体後工程におけるパッケージング技術に関わる新たなテープや装置、独自プロセスの開発
EUV露光機用CNTペリクル量産体制の確立
車載用OCA(Optical Clear Adhesive)などの新製品の開発と拡販
光拡散フィルムの開発 など
(アドバンストマテリアルズ事業部門)
2025年3月期は、エレクトロニクス関連市場全体の回復を見込んでおり、需要を確実に捉えられるよう準備を進めてまいります。生成AI向けを中心とした半導体関連装置の需要増加に対応するための生産体制の強化や、先端半導体の後工程におけるパッケージング技術に関わる新たな製品の開発・提案、さらには積層セラミックコンデンサ関連市場の拡大に向けた継続的な設備投資などにも取り組んでいきます。また、お客様と継続的に実施しているTRM(テクニカル・レビュー・ミーティング)を通じた、半導体の新たな独自プロセスの構築を目指していくほか、次世代半導体の微細回路形成に欠かせない高透明・高耐久のEUV露光装置用ペリクルの第一次量産体制の確立に向けた設備・研究開発投資を推進してまいります。
(オプティカル材事業部門)
2025年3月期は、偏光板の粘着加工事業を手掛けていた韓国・台湾の生産子会社を解散するなど、液晶ディスプレイ関連のビジネスを大幅に縮小させ、有機ELディスプレイ関連などの高機能領域に注力していく事業戦略の転換を図ってまいります。また、車載ディスプレイの市場トレンドとして搭載数の増加や大画面化、高画質化などが進んでいます。それに伴って光学用厚手粘着シートの市場は拡大していくと見ており、継続して中国市場での拡販を図るとともに、機能性の高い新製品の開発・市場投入を進めていきます。そのほか新事業創出に向けて、反射型液晶向けの光拡散フィルムや次世代太陽電池向けのハイバリアフィルムなどの開発にも注力していきます。
■洋紙・加工材関連
耐油耐水紙のさらなる用途展開
プラスチック代替高機能紙の開発・拡販
合成皮革用工程紙の海外展開強化
炭素繊維複合材料用工程紙の拡販 など
(洋紙事業部門)
2025年3月期は、「収益性の改善」「販売数量のアップ」「新製品の創出」を部門方針として取り組んでまいります。利益の改善に向けては効率的な生産体制の構築や適正在庫の維持などに努め、販売数量のアップを目指して成長市場向けの新規顧客獲得や、耐油耐水紙をはじめとした特殊機能紙の海外展開強化なども推進していきます。新製品の創出においては非フッ素耐油紙への完全切替や、透明紙・生分解性ヒートシール紙などのプラスチック代替高機能紙の開発・拡販に努めてまいります。
(加工材事業部門)
2025年3月期については市場全体が回復基調であり、販売数量の増加やコスト削減などに努め、収益性の改善を進めてまいります。また、当部門においては中長期的な環境対応は重要テーマであり、剥離紙の製造時に有機溶剤を使用しない「無溶剤化」と剥離紙にポリエチレン樹脂をラミネートしない「脱ポリ化」を継続して推進していきます。重点戦略としては、一層の需要拡大が予想される航空機向け炭素繊維複合材料用工程紙の拡販や、合成皮革用工程紙のグローバルでの展開強化を進めていくことでシェアアップを図っていくほか、シーズ型新製品開発として撥水性や防滑性を付与するための工程紙や、トレンドを先取りする合成皮革用工程紙の新柄開発にも取り組んでいきます。
◆当社のESGおよびSDGsに関する取り組みについて◆
当社は長期ビジョン「LSV 2030」で掲げた重点テーマ「社会的課題の解決」において、ESG(環境・社会・ガバナンス)およびSDGsに関する取り組み課題として、次の項目を設定しております。
当社グループ全社員による取り組みを一層加速し、国際社会の課題解決に貢献することのできる企業グループを目指してまいります。また、マテリアリティ(重点課題)については毎年見直しを行っており、「サステナビリティレポート」および「統合報告書」並びに当社ウェブサイトにて開示しております。
当社はこれからも、社是「至誠と創造」の下、各項目に対して積極的に取り組んでまいります。
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