ユーグレナ 【東証プライム:2931】「食品業」 へ投稿
企業概要
(1) 研究開発戦略及び研究課題
当社グループの研究開発活動は、付加価値の高い順に、Food(食品)、Fiber(繊維、化成品)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)と段階的に事業を展開していく「バイオマスの5F」の基本戦略のもと、「ユーグレナ等の藻類及び光合成生物の生産技術の向上」、「ユーグレナ等の藻類及び光合成生物を活用した製品、技術の開発」、「エネルギー・環境関連技術の開発」の3つを研究課題としております。
また、「選択と集中」の観点から、多様な研究開発テーマを、既存あるいは今後事業化の目途が立っている事業へ貢献するテーマ(事業貢献型)と、研究者の自由な発想を活かして将来の事業シーズを創出するテーマ(未来型)の2種類に仕分けており、両利きの経営を支えつつ、長期的な当社事業領域の変化や拡大にも対応できる研究開発活動を推進しております。
(2) 研究体制
当社グループは、外部との共同研究も活用しながら、ユーグレナ等の藻類及び光合成生物に関する機能性解明や生産技術の向上に向けた研究開発活動、並びに新規素材や新技術の開発等を推進する体制を構築しております。
① グループ内における研究体制
当社グループの研究開発体制は、以下の2つの科学研究所と3つの技術研究所から構成されております。5つの研究所体制で科学研究所は科学と技術の両面から社会実装を目的にした研究を行います。また、研究開発の深化と研究・事業間の連携を強化するため、2024年より各研究所はCo-CEO直下で所管されており、Co-CEOに対する諮問機関としてサイエンティフィック・アドバイザリー・ボードを設置しております。
先端科学研究所(神奈川県横浜市鶴見区)
ヒト科学研究所(神奈川県横浜市鶴見区)
資源サーキュラー技術研究所(神奈川県横浜市鶴見区)
生産技術研究所(沖縄県石垣市)
熱帯バイオマス技術研究所(マレーシア国クアラルンプール市)
② 外部との共同研究体制
当社グループ内で実施している研究開発・技術開発に加えて、大学をはじめとする公的研究機関や、企業との連携を進めることで、オープンイノベーションによる社会実装の加速を目指しております。
a.公的研究機関との共同研究体制
大学をはじめとする公的研究機関が得意とする研究領域において、公的研究機関との間で研究委託または共同研究を実施し、その知見を当社グループが活用することで、単独では実現できない研究開発・技術開発を実現しております。
b.企業との共同研究体制
研究開発・技術開発成果の事業化を加速化するために、バイオマスの生産や生産された素材・原料の活用方法を独自で研究開発するだけではなく、実際に商品やサービスを供給するマーケットに近い企業との間で共同研究を実施しております。
(3) 研究主要課題及び研究成果
研究主要課題及び研究成果は次のとおりであります。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は1,242百万円となっております。
① ユーグレナ等の藻類及び光合成生物の生産技術の向上(全事業共通)
「藻類生産の低コスト化」及び「生産技術の普遍化」を主な目的として、生産技術の継続的な向上に取り組んでおります。「藻類生産の低コスト化」に関しては、既存製品の製造原価を低減するとともに、コストが障壁となっていた新たな製品カテゴリーへの参入を可能とすることを目指しております。「生産技術の普遍化」に関しては、ユーグレナ粉末やクロレラ粉末等の生産を、現在の生産拠点である沖縄県の石垣島だけでなく、世界中のあらゆる場所で生産を可能とすることを目指しております。当連結会計年度は、コスト削減に向けた研究開発を継続するとともに、社外との共同研究により、宇宙空間向けの超小型細胞培養モジュールを開発いたしました。
② ユーグレナ等の藻類及び光合成生物を活用した製品、技術の開発(ヘルスケア事業中心)
ユーグレナ等の藻類及び光合成生物を活用した新規素材開発、またそれらの機能性を解明することで、顧客に対する新たな価値提供を可能とすることを目指しております。当連結会計年度は、新たな化粧品原料として「ミドリ麹エキス」や医薬部外品対応も可能な「ユーグレナ発酵オイル」を開発したほか、ユーグレナ粉末抽出物によるインフルエンザウイルスや肺がんの増殖抑制効果に関するフォローアップ研究の成果、ならびに八重山クロレラの摂取がマイコトキシンの排出を促進することを示す研究結果等を発表しました。今後も、これまでに解明された知見を活かすとともに、新規の機能性を解明することで、高付加価値の新製品開発や現在は製品化されていない領域における利用技術の開発を推進してまいります。
③ エネルギー・資源循環関連技術の開発(バイオ燃料事業・その他事業)
当社グループでは、バイオ燃料の研究開発を進めるとともに、藻類生産や未利用資源活用等を通じて地球環境に貢献できる技術開発を進めております。
a.バイオ燃料
光合成生物は大気中のCO2を吸収して増殖するため、光合成生物由来のバイオ燃料はカーボンニュートラルな代替燃料として期待されております。ユーグレナは、体内にて生成される脂質が炭素数14をピークとして12~16の脂肪酸を多く含んでいることから、バイオジェット燃料に適した脂質生産が可能と期待されています。当連結会計年度においては、ユーグレナ由来脂質を原料の一部として製造したバイオジェット燃料や次世代バイオディーゼル燃料の供給先を拡大するとともに、バイオ燃料原料用途のバイオマスの生産・利用に関する研究を推進するために、マレーシアに熱帯バイオマス技術研究所を設立しました。今後も、当社グループが有する独立栄養培養と従属栄養培養の両技術を活用しながら、ユーグレナ等の品種改良、培養・回収・加工関連の各要素技術の開発を継続し、独自性の高いバイオ燃料原料としての大規模商業生産の早期実現を目指します。
b.飼料・肥料
当社グループは、ユーグレナ等の微細藻類を飼料・肥料の原料や付加価値向上素材として活用する研究開発を推進しております。また、バイオ燃料の研究開発を進める中で、発電所の排ガスに含まれるCO2、排水場等で不可避的に発生する窒素やリン、食品廃棄物等の多様な未利用資源を、微細藻類生産のための原料として利活用することを目指しております。さらに、未利用資源の収集・加工・活用技術に関する研究開発を通じて、資源をバイオ燃料・飼料・肥料等の原料として循環利用する技術の確立も目指しております。当連結会計年度においては、ユーグレナと海藻のカギケノリの混合飼料が反芻家畜のメタン排出を軽減する効果や、脱脂ユーグレナを飼料の一部に用いた水産養殖試験にて養魚用飼料の代替原料になる可能性を確認しました。また、サステナブルアグリテック事業部と連携し、ユーグレナ配合培養土を用いた個人向け栽培キットのテスト販売を実施したほか、当社グループとパートナーによる国内未利用資源である鶏ふん堆肥を用いたペレット肥料開発が農林水産省の「ペレット堆肥の広域流通促進モデル実証」に採択されました。
(4) 研究開発成果の特許化
当社グループは、研究開発活動における成果について、積極的に特許化に取り組んでおります。
主要なグループ会社において保有している特許は、当連結会計年度末現在、国内68件、海外19件であり、また現在出願中の特許は国内37件、海外10件(特許協力条約による出願は含まない)であります。
- 検索
- 業種別業績ランキング