ヤマタネ 【東証プライム:9305】「卸売業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) ガバナンス
当社グループでは、環境・社会・経済の観点から持続可能な社会への貢献と企業価値向上のため、サステナビリティ方針を策定し、事業上のマテリアリティの特定と2030年目標を設定しております。取締役会では、当社グループの長期ビジョンや中期経営計画、年度経営方針、年度計画の審議において、サステナビリティ方針と目標に基づいてその適切性を検証し、その監督権限によって取組みが有効になされることを常勤役員及び執行役員に求めています。
サステナビリティ経営課題に対する社長の役割は下記の通りです。
a.サステナビリティ方針に基づき特定されたマテリアリティの承認
b.経営会議で審議されたサステナビリティ目標や重要課題の承認
c.マテリアリティや2030年目標に基づく長期ビジョンの承認
d.マテリアリティや2030年目標に基づく中期経営計画の承認
e.毎年度のサステナビリティ関連計画や予算の承認
f.計画の進捗確認と、執行役員や関係部署への周知と指導
g.その他のサステナビリティに関する重要事項の指導
(2) 戦略
当社グループにおける、気候変動問題に対処するための取組及び人的資本に関する取組は、以下のとおりであります。
<気候変動に対処するための取組>
気候変動に関するリスクと機会について、確からしさと影響の大きさの観点から、重要度評価を行いました。このうち重要度が高く、試算可能なリスクについて、移行リスクと物理的リスクによる追加コスト・被害額を対象とし、2030年(短期)2050年(中期)2100年(長期)時点での当社グループへの財務影響を試算しました。シナリオ分析は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)の情報に基づき、1.5℃/2℃上昇、4℃上昇を想定しました。当社グループでは、特に重要度の高いリスクの軽減及び機会獲得に向けて、対応策を検討・実行しており、1.5℃/2℃、4℃シナリオに対して十分なレジリエンスを有していることを確認しています。
移行リスク
・税制度導入による追加コスト
① 炭素税等
物理的リスク
・自然災害による追加コスト・被害額
① 洪水・高潮による拠点の浸水
② 気候変動に伴う一等米の収量予測
<人的資本に関する取組>
企業理念に基づき、持続的な企業価値の向上に向けて、事業変革に取り組んでいくためには、多様な人財を確保・育成していく必要があると認識しております。このため、サステナビリティ方針に基づき特定したマテリアリティの取組み重点テーマの一つに「人財の多様性と活躍の促進」を掲げ、生産性の向上による働き方改革、人財育成及び教育、女性活躍を含む多様な人財の活躍推進、差別防止及び社会的弱者への配慮に取り組むこととしております。また、中期経営計画においては、教育・研修などの人的資本への投資を拡充するとともに、専門能力や経験を有する高齢者雇用や女性管理職の登用を推進し、多様な人財基盤を構築することを目標としております。これらの重点テーマや目標に取り組んでいくため、人財の多様性を含む人財の育成に関する方針(人財育成方針)及び社内環境整備に関する方針(社内環境整備方針)を定め、着実に取組みを推進してまいります。
人財育成方針
当社の最も重要な資本は人財であり、教育や研修あるいは日々の業務等を通じて、それぞれの能力を高めることにより、企業の活性化と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。当社は人と組織のレベルアップのために社員に自己啓発の努力を求めると共に、教育体制を整え、教育・研修・自己啓発支援等を通じて社員一人一人の成長を支援してまいります。そのために必要な施策や投資を積極的に行ってまいります。
具体的には、以下の取組みを推進しております。
①戦略的な人事制度の構築
人事管理や評価等の取り組みはこれまで、人事関係者や所属長の主観的な所見に基づいて行われる傾向がありました。しかし、主観に頼った人事管理だけでは、個人の能力を正しく把握できないだけでなく、誤った判断を招きやすくなります。そのような状況から、社員のデータを収集・蓄積するデータ基盤としてカルテ化し、データ分析に基づく適切な人員配置の実施や、離職因子の分析に取り組んでおります。
②社員の成長支援のための研修制度の拡充
社員に対して、等級要件に定められた期待される役割を積極的に果たし、次等級の役割を積極的に挑戦していくことを求めています。社員がその期待に応え、能力を最大限発揮できるように、必要な知識技能の習得を支援し、成果と成長を実感できるようにする必要があります。そのために、職位別新任研修や等級別スキル研修などの研修制度の拡充を図っております。
③次世代経営人財の育成強化
中長期的な視点で事業を捉え、ヤマタネの企業価値向上や持続可能性について包括的に考えることができ、理念や自分の理想に加え、ヤマタネの社会的使命を自覚し、推進できる将来の経営人財(マネジメント人財・オペレーショナルエクセレンス人財)となり得るリーダーを意図的・計画的に輩出していくために、執行役員・部長・課長層から候補者を選抜し、経営人財育成プログラム(ヤマタネ経営塾)を通じて徹底的に鍛え上げていく育成カリキュラムを実施しています。
社内環境整備方針
当社は全ての社員等がその能力を十分に発揮できるようにすると共に、仕事と生活の調和された「ワークライフバランス」をめざし、職場環境の整備と多様な人財が活躍できる雇用環境の整備に取り組んでまいります。
具体的には以下の環境を整備しております。
①生産性向上による働き方改革への取組み
各部門において、業務改革及びクロストレーニングの推進を図るとともに経営会議で時間外労働実績の報告を行う他、社内会議体を通じて、時間外労働の削減に向けた意識啓発を図っております。また、物流現場や生産工場においては生産性向上に向けた各種アプリの開発、RFIDやデジタルサイネージ等を導入。また、深刻化する人員不足への対応としてAGVや無人フォークリフトの導入検討を進めており、今後自動化、省人化を加速させてまいります。
②女性が活躍できる雇用環境の整備
創業者である山﨑種二の活躍を支えた妻「ふう」の名前より、当社の女性活躍推進プロジェクトを「ふうさんプロジェクト」と称しています。プロジェクトでは女性同士のネットワーク構築、キャリア教育を目的としたフォーラムの開催、職種転換推進、社外研修への参加促進、また、社外で活躍されている方々を招いての講演会を実施し、活発な意見交換が行われています。また、女性の活躍に必要な社内制度設計や意識改革に向けた改善策等の検討を行い、経営会議へ提言を行っております。
③定年後も働き続けられる高齢者雇用体制の構築
物流業などのエッセンシャルサービスを提供する当社にとって、人口減少に伴う現場の人員不足は大きな課題です。そのため、社員が高齢になっても引き続き倉庫現場や精米工場で働けるために、高齢者雇用安定法の理念に沿って高齢者雇用体制の構築を図っております。
④キャリア採用者の活躍推進
事業環境の変化や経営戦略の転換等に伴い必要な人財を外部から登用・確保する観点からキャリア採用については、毎年一定数の採用を目標としています。2017年から本格的なキャリア採用を開始し、非正規社員から正社員への登用も積極的に行っております。なお、管理職登用については採用時期や国籍での差は生じないと認識しております。
<パーパス(存在意義)への取組>
2024年の創業100周年に向けて、当社グループのパーパスである「多様な人財が集い、社会に貢献する力を生み出す」を確かなものにするため、全ての役職員が具体的な行動に取り組んでいくことを2023年度の基本方針として掲げております。多様性を尊重し、各事業を通じて社会に貢献してゆくことが、社員のエンゲージメント向上につながり、結果としてステークホルダーの期待に応えることだと思います。そしてそれが我々の目指すサステナブルな社会の実現(=「続く」を支える。)につながる活動と言えます。上記の基本方針を踏まえて、以下の具体的な取り組みを行っております。
①パーパスの浸透
当社グループのパーパスを実現するには社員に果敢な行動を起こす勇気を与え、また、事業活動を通じて豊かな社会の実現に貢献する志と精神を伝えることが重要です。そのことを踏まえ当社ではパーパス浸透に向けて、経営陣×幹部人財の座談会、経営者と社員によるパーパス懇談会、そして階層別研修のカリキュラムとしてパーパス研修を実施しております。
②社員のエンゲージメントレベルの把握
中長期的な組織力の維持・向上を目指し、自社にとって重要なエンゲージメント項目を整理し、社員のエンゲージメントレベルを定期的に把握することといたしました。
③社内活性化に向けた各種プロジェクト活動への参画公募制化
2024年7月に迎える創業100周年や越中島地区再開発等に関して各種プロジェクトを発足させています。プロジェクトメンバーについては可能な限り公募を行い、社員が自律的にキャリアを形成し、高いエンゲージメントレベルで働ける環境を整備しております。
④社会貢献活動の推進
ヤマタネ創業の地「深川」で開催している障がい者のアート作品を中心とした芸術祭「アートパラ深川おしゃべりな芸術祭」は、芸術の地域活性化と福祉の課題解決を同時に実現するCSV型の価値づくりを目指しており、「地域コミュニティの一員として文化事業等を通じた地域社会への貢献」をサステナビリティ方針の取組テーマとして掲げている当社グループは、同芸術祭へ協賛し、さらに出展作品等の保管場所・審査会場の提供等で協力をしています。また、中学・高校等からの職場体験受入や清掃活動を通じて地域貢献活動を推進しております。
(3) リスク管理
当社グループでは、リスクに対応するため、社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置しております。同委員会ではサステナビリティ課題を含む当社グループ全体のリスクマネジメントにあたるとともに、リスクマネジメント方針の策定、体制の整備、運用状況の確認を行っています。実務面では、環境経営戦略に関しては経営企画部長を担う執行役員が責任を負い、人的資本戦略などに関しては管理本部長を担う執行役員が責任を負います。
リスク管理のプロセス
現在、下記①~④に示す手順に従い、3年に1回の中期経営計画の策定時及び必要に応じて、バリューチェーン全体のサステナビリティ関連のリスクと機会の特定及び評価を行っております。そのプロセスは取締役会が決定した「内部統制システムの整備に関する基本方針」に基づくリスクマネジメント方針のリスク管理プロセスと統合しております。
①マテリアリティの特定プロセス
経営企画部が課題候補リストを作成し、セグメントごとに執行役員がバリューチェーンにおける課題の抽出を実施します。抽出した課題をセグメントの重要度と社会的重要度を判定して、両方の重要度が高いものが各部門のマテリアリティとして特定されます。マテリアリティは経営会議で審議され、社長が承認後、取締役会で決議されます。現在、マテリアリティに人的資本の価値向上や気候変動問題への対応は含まれています。
②マテリアリティの経営戦略への統合プロセス
まずマテリアリティに対処するため3ヵ年の中期経営計画が策定されます。それに基づき、リスクマネジメント委員会は、リスク毎の対応方針として年度経営方針を決定します。執行役員はそれに基づき、部門ごとの年度計画を作成します。計画の適切性は経営会議で審議され、社長の承認後、取締役会で決議されます。
③実行と実績評価のプロセス
活動の進捗や成果を、社長が出席する年二回のレビュー会議で評価します。社長は評価に応じて修正や是正といった処置を執行役員に指示します。それらの内容は、社長の職務執行状況として取締役会に報告されます。
④見直しと修正のプロセス
3ヵ年の中期経営計画期間中に経営環境に大きな変化があった場合、リスクマネジメント委員会は各部門に対策を指示します。指示を受けた各部門の担当執行役員は、対応方針を決定して計画を策定します。計画の適切性は経営会議で審議し、社長の承認後、取締役会で決議されます。
(4) 指標及び目標
<気候変動>
当社グループでは「温室効果ガス排出量削減」を事業活動のマテリアリティの一つとしとして特定しており、GHGプロトコルに沿ってScope1~3までの排出量の算定を実施し、目標としてGHG排出量(Scope1・2)を「2030年までに2013年度対比50%削減」を掲げております。
□GHG排出量実績
区 分 | 排出量(tCO2) | |
2022年度 | ||
Scope1(燃料の燃焼・フロンの漏えい)(注1) |
| 5,404 |
Scope2(電気・熱の使用) | ロケーション基準(注2) | 9,894 |
マーケット基準(注3) | 10,400 | |
Scope3(サプライチェーンを通じた間接排出)(注4) | 157,424 | |
計(Scope1+2) | (ロケーション基準) | 15,298 |
(マーケット基準) | 15,804 | |
計(Scope1+2+3) | (ロケーション基準) | 172,722 |
(マーケット基準) | 173,228 |
(注) 1.Σ(各燃料の年間使用量×各燃料の単位発熱量×各燃料のCO2排出係数) 各燃料の単位発熱量、各燃料のCO2
排出係数は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」 の「温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度」
に基づく値を採用
IPCC報告書における最新のフロン等の地球温暖化係数(IPCC第6次報告書)に基づき算定
2.平均的な排出係数(令和2年度全国平均係数)に基づき算定
3.「地球温暖化対策の推進に関する法律で定められた」電気事業者別の調整後排出係数 (令和4年度報告
用)に基づき算定
4.「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース_ver3.2」
「産業連関表ベースの排出原単位(GLIO:2005年表)」、「IDEAv2.3」に基づき算定
<人的資本・多様性>
上記(2)戦略において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、次の指標を設定しております。また、各指標の目標は、中期経営計画(ヤマタネ2025プラン)最終年度となる2024年度としております。なお、連結グループ全体での目標設定が困難なため、当社単体での指標及び目標を設定しております。
人財育成方針に関する指標を次のように定めております。研修制度を拡充するための費用を投資と位置付け、一人当たりの研修費用を研修の拡充度を表す指標としております。また、誰もが研修を受ける環境となっているかを確認する指標として職位別新任研修受講修了率と等級別スキル研修受講率を設定しております。さらに、社員のキャリアプランの設定が重要であるとの認識の下、非管理職を中心にキャリアプランについて人事部長が直接面談を実施するキャリア面談実施率を指標としております。
指標 | 実績(2022年度) | 目標(2024年度) |
一人あたり研修費用 | 35,392円 | 65,000円 |
職位別新任研修受講修了率(注1) | 27.0% | 95.0% |
等級別スキル研修受講率(注2) | 96.4% | 100.0% |
キャリア面談実施率(注3) | 89.3% | 90.0% |
(注) 1.職位別新任研修とは、ヤマタネの現状や理念を再確認し、職位別に必要な共通スキルを習得する研修です
(職位別新任研修受講修了率は、同研修受講修了者数(2022~2024年度累計)を同研修受講対象者数で除し
て算出しております)。
2.等級別スキル研修とは、等級毎に必要なスキルを習得する研修であり、職位別新任研修の補完的位置づけの
研修としております(等級別スキル研修受講率は、年度毎の同研修受講者数を同研修受講対象者で除して算
出しております)。
3.キャリア面談とは、毎年1度、執行役員管理本部人事部長が、キャリアプランに関して社員と行う面談を示
しております。なお、同面談の結果を社員データとして収集・蓄積するとともに人事異動等へ反映させてお
ります(キャリア面談実施率は、1等級から3等級の全社員、4等級の面談希望者を加算した人数を1等級
から4等級全社員で除して算出しております)。
社内環境整備方針に関する指標を次のように定めております。生産性向上による働き方改革に取組んでおりますが、その成果を確認するため、一人当たり時間外労働時間及び年次有給休暇取得率を指標としております。また、女性が活躍できる雇用環境の整備を確認するため、女性管理職比率を指標としております。また、高齢者雇用体制の構築については、定年後再雇用者継続雇用率を、またキャリア採用者の活躍推進については、キャリア採用者管理職比率をそれぞれ指標として設定しております。
指標 | 実績(2022年度) | 目標(2024年度) | 目標(2030年) |
一人当たり時間外労働時間(月平均)(注1) | 21.5時間 | 21時間以内 | 20時間以内 |
年次有給休暇取得率(注2) | 63.15% | 65%以上 | 80%以上 |
女性管理職比率(注3) | 9.6% | 10%以上 | 20%以上 |
定年後再雇用者継続雇用率(注4) | 85.7% | 86%以上 | 90%以上 |
キャリア採用者管理職比率(注5) | 11.60% | 12%以上 | 16%以上 |
(注) 1.当社が策定した一般事業主行動計画では、一人当たり時間外労働時間(月平均)の2023年度目標を2018年実
績(30.7時間以内)比10%削減(27.6時間以内)としておりましたが、2022年度実績において30%削減を達
成しております。
2.正社員の年次有給休暇の総取得日数を年次有給休暇総付与日数(前年度繰越分含まず)で除して算出してお
ります。なお、当社が策定した一般事業主行動計画では、年次有給休暇取得率の2023年度目標を50%以上と
しておりましたが、2022年度実績において63.15%を達成しております。
3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律64号)の規定に基づき算出したもので
あります。なお、当社が策定した一般事業主行動計画では女性管理職比率の2023年度目標を10%以上として
おります。
4.当事業年度内に定年後再雇用社員になった正社員数を当事業年度内に定年を迎えた正社員数で除して算出し
ております。
5.キャリア採用者の4等級以上の人数を総管理職数で除して算出しております。
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