企業ヤマイチ・ユニハイムエステート東証スタンダード:2984】「不動産業 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)企業理念と経営の基本的な方針

 当社グループは、不動産事業を通じた「街づくり」と「地域活性化」を使命と考え、「人々が"安心"して住める街づくり」・「人々が"快適"に暮らせる街づくり」・「人々が"満足"する街づくり」を通して、地域の発展とそこに住む人々の幸せを追求することを企業理念に掲げております。

 当社グループは、事業用不動産の取得(入口)~開発(商品化)~販売・賃貸(出口)までを縦断的にフルラインで扱う少数精鋭の専門家集団としての特徴を基盤とし、不動産業の一部領域に特化するのではなく、社会構造の変化、経済の動向、国策の転換等に応じて、柔軟に経営資源の選択と集中を行い、長期にわたり安定的成長を続けていくことを目指しております。

(2)経営環境

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの影響による大幅な落ち込みから段階的な社会経済活動の再開に伴う緩やかな回復基調となりました。一方で、世界的な金融引き締めや、地政学的リスクの顕在化により資源価格の高騰と物価上昇が進んでおり、今後の景気の下振れが懸念されています。当社グループの属する不動産市場に関しては、各種経済対策や継続的な低金利環境により、不動産需要自体は底堅く推移していると認識しておりますが、昨今の国際金融情勢の変化を踏まえた国内政策金利の動向や、物価高による消費マインドの減退といった要素が不動産市況に与える影響について注視が必要です。また、コロナ禍で急速に広がったリモートワークの影響で、郊外における住居ニーズの高まりや、オフィス需要の縮小などの動きが一部ございましたが、ポストコロナにおいてこうした傾向が今後も継続するのかどうか慎重な見極めが必要であります。

(3)経営戦略

 当社グループは、土地の価値を最大化する不動産開発を掲げており、特定のエリアや用途に固執するのではなく、将来性のある優良地を見極め、中長期的な収益が最大化となる土地活用を追求する戦略を採っております。

 当社グループは、土地の価値に対する分析力とその価値を最大限に引き出す企画構成力を活かし、社会経済情勢やニーズの変化に即応する付加価値の高い不動産を提供してまいります。特に、素地からの不動産開発については、土地ごとの個別性が高く、また、専門的知識と豊富な経験値が要求されることから、当社グループの独自性の高いアプローチとして、エリアや規模を問わず競争力を発揮できるものと考えており、このノウハウを活用して、近畿圏でのプレゼンスを高めると共に、首都圏へと営業エリアを拡大し、成長を加速させていきたいと考えております。

 事業ごとの具体的な施策は以下のとおりです。

① 不動産開発・賃貸事業

 当事業では、長期保有による安定した賃貸収益の獲得を目指しており、継続的に賃貸用不動産の保有数の積上げを進めております。賃貸用不動産の取得は、次の通り大別されますが、いずれも保有期間のキャッシュ・フローを投資の判断材料としております。

a)既存賃貸用不動産の取得

 これまで当社グループでは、不動産の「目利き力」を活かして、高い収益性が見込まれる賃貸用不動産を取得してまいりました。過去のバブル崩壊やリーマンショックなどの経済的混乱が生じた際には、様々な理由で手放される「割安」な不動産を積極的に取得し、成長の糧としてまいりました。取得した不動産については長期保有を原則とし、設備更新やテナント管理、入居促進等によるバリューアップを図ることで安定的収益を獲得しているものと考えております。近年は、低金利環境等により収益不動産の市場価格が上昇したことを受け、含み益の大きな保有不動産については売却を実施し、手元資金を厚くすることで、新たな優良不動産を獲得する方針であります。

b)新規賃貸用不動産の自社開発

 当社グループは、素地からの土地開発力を活かし、ロードサイドの商業施設開発を進めています。開発した土地について、当社が貸主となる事業用定期借地権(土地の用途が事業用に限定され、契約期間が10年から50年未満とされている借地権)を活用し、テナントから長期の安定収益を獲得するスキームに注力してまいりました。こうした素地からの開発には、既存不動産の取得に比べて許認可の取得や地権者との折衝といった一定のリスク等がある反面、素地価格での取得や開発業務の分離発注等を通じて原価を抑制することが期待でき、収益性を高めることができる特徴があると考えております。また、開発行為に一定の期間を要するものの、計画の初期段階で借主となるテナントの誘致活動を行い、借主が内定した時点で開発作業を本格推進することができることから、在庫リスクを低減することが可能であります。引き続き、新規賃貸用不動産の自社開発に積極的に取り組んでまいります。

 2023年1月に、埼玉県熊谷市に本社を置く株式会社エルアンドビーを完全子会社化しました。当該会社は、埼玉県下を中心とする関東圏において店舗開発ビジネスを展開しており、当社グループの事業エリアの拡大に寄与するものと考えています。

② 不動産開発・販売事業

 当事業では、戸建分譲地と、住宅以外の用途として産業用地(倉庫や工場用地などの事業活動に供する土地)の開発・販売を行っております。

a)戸建分譲

 当社グループでは、主に和歌山市周辺エリアにおいて戸建分譲地の開発・販売と、住宅の建築請負事業を行っています。戸建分譲については、立地環境の優れた住宅地を開発することに加えて、「建物部分」の付加価値向上や市場細分化によるきめ細やかな価格及び仕様グレードの設定が重要であると考えております。そこで、当社グループでは和歌山エリアの地元ビルダーが一般的に採用している木造軸組み工法による標準ランクの商品企画に加えて、株式会社LIXIL住宅研究所が展開する「GLホーム」のFC加盟店として、木造枠組壁工法の一種である2×6工法による高気密・高断熱を謳った災害に強い商品づくりや欧米風デザインの採用による他社商品との差別化を推進しております。

 和歌山市周辺エリアに加えて、近年は兵庫県西宮市、大阪府堺市等の近畿圏を中心として新たな住宅地開発に取り組んでおり、エリア拡大を進めています。

b)産業用地

 近年多発する自然災害等に対する企業の危機管理の観点から、産業用地の移転や分散などの需要が高まるものと考えられます。当社グループではこうした需要に応えるべく、新たな取組みとして、企業をターゲットとした産業用地の開発・販売を進めており、2019年に和歌山県和歌山市吐前にて産業用分譲地を完成し、物流用途や工場用地として売却が進んでいます。

 現在は後続案件の開発許可の取得を進めているところです。

c)店舗建築

 2023年1月に株式会社エルアンドビーを完全子会社化したことにより、商業地開発に付随して、テナントからのオーダーに基づいて店舗や事務所等の建築事業を扱うようになりました。

③ マンション事業

 ユニハイムエステート株式会社(2021年3月に吸収合併)は、当社が2016年3月に完全子会社化する以前から50年以上にわたり累計16,000戸以上(旧社名での販売実績及び共同事業分の事業比率に応じた販売実績を含む。)のマンション販売を継続してきました。

 当事業では、この実績とブランド力を活用し、今後も大阪市中心部をはじめ、交通利便性の高いマンション適地を積極的に取得し、マンション供給数を着実に拡大していく方針です。また、これまで外部委託していた販売業務の一部を内製化することで収益力の向上と販売ノウハウの充実を図っており、セグメント利益率の改善に寄与しています。

 今後、当社グループの賃貸用不動産運用のノウハウと、分譲マンション事業を主力としてきたユニハイムエステート株式会社(2021年3月当社に吸収合併)のリソースを活用した新たなビジネスモデルを推進し、合併のシナジー効果を創出してまいります。具体的には、中古マンションを一棟購入し数年程度運用した後、リノベーションを実施して分譲販売する案件や、マンション適地である不動産を取得して一定期間運用し、解体更地化を実施して分譲マンションに用途変更する案件等を手掛けております。一定期間、賃料収益獲得の目的で運用している間に、減価償却が進み、さらに分譲事業化のタイミングをコントロールすることで、他社物件との販売競争を回避し、適切な販売価格の設定と利益率の確保が可能であると考えております。

 2022年11月に分譲マンション管理を手掛けてきたニューライフサービス株式会社を完全子会社化し、分譲マンションの管理業に進出しました。今後、当社グループが企画したマンションの管理事業を行うことで、顧客との長期リレーションを確立し、将来的なリフォーム需要や買替需要といったストックビジネスの拡充を図ってまいります。

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、不動産開発を基礎とした事業展開を行っており、不動産の仕入から販売に至るまでをフルラインでカバーすることで高い収益性を達成することを目指しており、目標達成状況を判断する材料として、自己資本当期純利益率(ROE)を客観的な指標としております。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 経営管理体制の継続的な強化

 当社グループでは、2022年11月ニューライフサービス株式会社を、2023年1月に株式会社エルアンドビーをそれぞれ完全子会社化し、既存ビジネスの深耕を進めています。両社とも経営管理やコンプライアンス管理において整備が必要であり、早期の体制構築に向けて鋭意取り組んでまいります。従来の当社グループ経営管理体制についても継続的に改善を行い、強化を図ってまいります。

② 優秀な人材の確保

 不動産のワンストップサービスを向上させるためには、優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社グループでは、不動産に関する幅広い知識と高い専門性を養うために、採用した人材について配置転換や部署横断的なキャリアプロセスを通じて、モチベーションの持続を図るとともにマルチスキルを有する人材としての育成を進めております。また、企業成長を促進するために、従来の人材育成プロセスを継続する一方で、即戦力となる経験豊富な人材も獲得し、営業エリアの拡大や新たなビジネス領域への進出を進めてまいります。

③ 再開発用地の取得

 当社グループのビジネスモデルは優良な土地をできるだけ安価に仕入れることが重要であります。直ちに利用可能な完成宅地の取得は競合が多く、価格が上昇する傾向にあることから、当社グループの素地からの開発力とフルラインの強みを活かし、様々な理由で過小評価されている土地や現況では利用が限定される土地をできるだけ安価で取得し、隣地の買い増しや権利関係の整理あるいは既存建物の建替え等を通じて土地の価値を再生・バリューアップする再開発ビジネスを推進してまいります。

 また、優良な開発用地の取得判断の迅速化のために、組織体制の一部を見直し、情報伝達の合理化を図るとともに、デジタルツールを活用した検討プロセスの効率化を進めてまいります。

④ 営業エリアの拡大

 さらなる企業成長のためには、近畿圏だけでなく、より大きなマーケットである首都圏での営業展開が必要と考えております。2020年から東京支店を中心に不動産取得に向けた活動を開始しており、着実に不動産取得が進んでいますが、新たに子会社化した株式会社エルアンドビーの開発部門との連携を深めることで、首都圏での用地取得を強化してまいります。

⑤ 資金調達の多様化

 当社グループにおける事業の資金調達は、主に金融機関からの借入に依存しております。近年の低金利の状況下において、期中の支払金利は低水準にあると認識していますが、借入実行時に発生するストラクチャリング手数料等のコストが増加傾向にあります。こうした一過性の費用の抑制と将来的な金利上昇の局面に備えて、エクイティファイナンス等を含めた資金調達の多様化を検討してまいります。

⑥ M&Aの実施

 当社グループの不動産開発の特長は、素地開発から販売/賃貸まで一気通貫で扱う点にありますが、素地の開発用地に関する情報ルートは地域性が強い傾向があり、安定した情報ネットワークの構築には一定の時間や人材育成が必要であります。それぞれの地域に根差した企業とのM&Aや業務提携は、営業エリアの拡大や新規事業領域の開拓に有効であり、当社のビジネスモデルを導入することでシナジー創出も期待できることから、今後も積極的にM&Aの実施による事業拡大を図ってまいります。

PR
検索