企業メガチップス東証プライム:6875】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客との共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと1990年に創業して以降、経営資源を研究開発に集中することで独自技術を磨くとともに、顧客の製品やサービスなどのアプリケーションに関する知識と長年培ってきたLSIの知識を融合させることで、顧客の課題解決と競争力向上に貢献するシステムLSIを企画・開発してまいりました。

 また、生産を外部に委託するファブレスメーカーでありながら製品の解析を行う開発解析センターを整備するなど、厳格な品質保証体制を構築することで信頼性の高い製品を供給するとともに、システムLSIの企画・開発から供給まで一貫して顧客サポートができる体制で顧客の課題を解決するソリューションを提供し、顧客と共に成長してまいりました。

 今後も当社グループは、経営理念のもと、「システム(機器)のソリューションを提供し、顧客と共に発展する」ことをミッションとして掲げ、新たな価値創造に挑戦し、独創性のある幅広いソリューションを顧客に提供することで、より豊かで安心できる社会の実現に貢献してまいります。そして、持続可能な社会の実現のために事業活動を通じて何ができるか、これらの課題をどう解決して社会に貢献できるかという発想で事業を展開し、地球環境、資源、社会、人権、多様性といった様々な課題に対して、ステークホルダーとの協働により長期的な視点で課題解決に取り組み、当社グループの成長と持続可能な社会をともに実現することを目指してまいります。

 また、株主の皆様への適切な利益還元を重要な経営課題のひとつとして位置付け、経営環境の変化に柔軟に対応できる健全な財務体質を維持しながら積極的な利益還元に努めてまいります。


〔価値創造プロセスの循環〕

 当社グループは独創性のある技術を活かし、お客様の製品やアプリケーションの問題を解決するLSIの設計、開発、生産を行っております。近年ますます高度化する多種多様な電子機器に使われる半導体製品により、複雑化する機能や仕様に新たな価値を提供していくことで、電子機器やシステムの性能を向上させ、さまざまな課題を解決いたします。当社の経営理念のもと、この価値創造プロセスを循環させ、より豊かで安心な持続可能な社会の実現に貢献してまいります。


(2) 経営戦略(ビジョン)

 当社グループが属するエレクトロニクス産業分野においては、あらゆるものがネットワークに繋がる高度なネットワーク社会の実現に向けて、様々な機器に搭載される電子部品の高性能化・多機能化が進み、今後の産業発展を支えるものとしてその重要性が高まってきております。

 当社が成長市場として主要なターゲットとする通信分野では、様々なものがインターネットに接続されるようになり、通信速度や通信距離の向上、タイムラグの減少、多数の機器が同時に接続できる多接続の実現等、IoT時代に対応する多岐にわたる通信技術の開発が進展しております。また、産業機器分野では、世界的な自動化ニーズの高まりやデジタルシフトが進む中で、物流、製造オートメーションをはじめ日常のいたるところで自動化の動きが加速し、産業用ロボットや各種の自動化機器の重要性が増しております。

 このような状況から、様々な分野の機器に使用される電子部品の高性能化のニーズが高まるにつれ、機器の高精度・多機能・小型・低消費電力などを実現するためのキーデバイスとなるLSI製品の需要拡大は続くものと見込まれております。

 このような環境の中、当社グループは、主力事業であるアミューズメント事業の事業基盤を強化しつつ、成長市場である産業機器分野、通信機器分野等をターゲットに経営資源を集中的に投下し、新規事業の育成と長期における事業構造転換を推進してまいります。3年後にはアミューズメント事業、ASIC事業、通信事業の三つの事業を、当社を支える事業の柱として確立いたします。さらに、5年後にはASIC事業と通信事業で売上高の50%以上の構成を目指し、さらに新たな事業をポートフォリオに加え、成長力の強化と収益構造の安定化を図っていく考えです。

 また、技術の急速な進歩、地政学リスクの増大、世界情勢の変化など、事業環境の変化に耐え、長期の成長を支えるため、健全な財務体質を維持するとともに、資本効率の向上を図ってまいります。

 さらに、サステナビリティを巡る課題への対応を経営戦略の重要課題として位置づけ、企業活動を通じてサステナビリティに関する取り組みを推進し、企業価値のさらなる向上とエレクトロニクス産業の発展に貢献してまいります。

(3) 中期の取り組み

 当社グループは、これまで培ってきた独自技術と、他社の独創的な最先端技術やノウハウとを融合させることで、より付加価値の高い製品やサービスの創造に取り組み、顧客の課題を解決するソリューションを提供しております。

 今後の中期においては、ビジネスモデルの異なるアミューズメント事業、ASIC事業、通信事業のそれぞれの特徴を活かした3事業による事業ポートフォリオを強化し、収益の増加と安定化を図ります。さらに、次世代を担う新たな事業の育成にも注力し、事業構造改革を継続してまいります。また、国内や海外の大学との最先端技術の共同研究開発を推進し新たな技術開発に取り組むことや、米国で立ち上げたCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の活用により、最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業に対しての事業投資や戦略的提携を推進することで、新規市場の開拓や新規製品の開発に取り組んでまいります。これにより、新たな事業の芽を作り、独自性のあるビジネスの創出と事業化につなげていく考えです。


① アミューズメント事業

 主力事業であるアミューズメント事業においては、引き続き顧客密着型の提案活動とサポート活動に注力するとともに、次世代ゲーム機のビジネス獲得に向けて万全を期して準備を進めます。また、製品の安定供給のため、パートナー企業や製造委託先等との情報連携や生産体制の強化を図り、サプライチェーン全体を盤石なものとするための取り組みを継続いたします。顧客密着型のビジネスモデルにより、さらなるサービスの向上に努め、引き続き主要なサプライヤーとしての地位を確実なものとし、安定した売上と収益の確保を目指します。


② ASIC事業

ASIC事業については、これまでの主力であったコンシューマ機器分野やOA機器分野等を中心とした事業展開に、成長ターゲットとして産業機器分野に通信インフラ分野を加え、引き続き事業の拡大に取り組みます。今後は、これまで培ってきた上流設計やアナログ技術、特に当社が得意とする通信インターフェース技術、セキュリティ技術や画像処理技術などを活用し、画像関連機器・FA機器・通信インフラ機器向けの製品開発を進め、順次量産化してまいります。国内に加え海外における市場開拓とビジネス獲得にも注力し、中長期における継続的な増収増益を目指します。


③ 通信事業

 通信事業においては、中期における本格的な量産開始を目標として事業の立ち上げに取り組んでおります。具体的には、無線通信技術のIEEE標準規格である「Wi-Fi HaLow™」のトップ企業であるオーストラリアのMorse Micro PTY. LTD.(以下、Morse Micro社という)との戦略的提携による事業化を進めております。この通信事業においては、当社がこれまで培ってきた有線通信技術と、約1kmの非常に長い通信距離と低消費電力を実現したMorse Micro社の無線通信技術によって、LSIやモジュールを提供し顧客のニーズに応じた幅広い通信ソリューションによる事業展開を進めております。ターゲットアプリケーションは、ホームネットワーク分野やファクトリーオートメーション分野での建物内外の敷地全体における通信、音声トランシーバ、ドローンとのインターフェース、無線監視カメラネットワークなどです。顧客のアプリケーションに応じたサービス実現に貢献する幅広いソリューションを提供するとともに、国内外の新規顧客開拓に注力して、早期の販売実績の積み上げを目指します。


〔中期におけるサステナビリティに関する取り組み〕

 当社グループは、より豊かで安心な社会の継続を実現するために、「社会・環境・人にやさしい会社」として、法令・社会的規範等の遵守、優れた製品の提供による社会貢献、人権の尊重とダイバーシティの推進、取引先・サプライヤーとの公正な取引、ステークホルダーの尊重、地球環境の保全への貢献といった様々な課題に取り組んでまいります。

① 人材育成・ダイバーシティの推進と社内環境の整備

 多様な人材が仕事と生活のバランスをとりながら、付加価値生産性を高められるよう、人材の育成・ダイバーシティの推進、社内環境の整備に取り組みます。人材の育成・ダイバーシティにおいては、階層別教育、テーマ別研修等の教育体系の拡充、通年採用制度による多様な人材の採用、新卒採用活動におけるインターンシップ機会の充実などの施策を推進します。また、社内環境の整備においては、完全フレックスタイム制度、在宅勤務制度、育児休業制度、育児時短勤務など多様な働き方に対応した制度の充実と利用促進、従業員の健康維持を目的としたストレスチェックや女性の健康に関する勉強会の実施や有給休暇の取得促進等、全ての社員にとって働きやすく業務効率化につながる環境づくりに取り組みます。

② 地球環境の保全とサプライチェーンにおける課題への取り組み

 地球環境保全のため、地球温暖化対策や環境負荷の低減に配慮した事業活動を行います。製品の研究開発においては、高速処理化、小型化、低消費電力化といったLSIの機能や品質の向上に取り組み、環境に配慮した製品づくりを推進します。当社は工場を所有しないため排出する二酸化炭素などは微量でありますが、自社製品の生産委託先企業に対しては、有害化学物質の使用に関する指針の順守、二酸化炭素や有害物質の排出基準の順守の徹底を要請するなど、持続可能なサプライチェーンの構築に継続して取り組みます。また、当社グループにおいてもオフィスのエネルギー消費や廃棄物の削減などの活動にも取り組みます。

③ エレクトロニクス分野における技術者の育成

 日本の国力の基礎となる若者の支援として、国内の大学への寄付や共同研究・委託研究といった交流を通して、日本のエレクトロニクス分野で次世代を担う優秀な人材を育成するための支援に取り組むとともに、研究活動を通じて先端技術の創出を促進します。また、将来の優秀な女性技術者の育成に向けた取り組みとして女子大学への支援を行う他、2024年度より「株式会社メガチップス理系女子学生就学支援奨学金」として、返済不要の給付型奨学金による経済的支援を開始し、エレクトロニクス分野における技術者の多様化を推進します。さらに、当社創業者が率いる財団において運営している、学業優秀な中学・高校生を対象とした給付型の奨学金制度による支援など、将来を担う人材の育成にも取り組み、幅広い年齢層への支援を継続的に実施いたします。

(4) 経営指標

〔資本コストや株価を意識した経営について〕

 当社グループは、高い資本効率と健全な財務体質の両立を目指しており、市場環境・競争環境・成長機会などに応じて適切な経営資源の配分を行ってまいります。

 資本効率については、自社の資本コストを把握するとともに、資本収益性を評価する指標であるROEと市場評価に関する指標であるPBRを重要な指標として捉え、中長期の企業価値向上を図るべく資本コストを意識した経営に取り組んでまいります。

 当社グループの自己資本利益率(ROE)は2024年3月期では5.1%となっており、当社が認識している資本コストを若干下回る水準となっております。当社としては、自社が把握する資本コストを上回るROEの水準を8%程度以上として定め、中長期においてこの水準を超えるROEを達成すべく、引き続き資本効率の向上と中長期の経営戦略を着実に実行し収益性の向上を図っていく考えです。また、資本効率の向上を図ることと投資家との対話を通じ当社の成長戦略について十分な理解を得ていくことで、株価やPBR等の市場評価を高めていくことが必要と考えております。

 財務体質については、事業環境の変化に迅速に対応し、厳しい環境下においても経営の安定を維持し市場環境の悪化等のリスクに備えるため、自己資本の充実を図ってまいります。

 また、企業価値・株主価値の一層の向上のため、当社グループが中長期に推進する各取り組みの方向性の概要は次のとおりです。

① 成長戦略

上記「(3) 中期の取り組み」に沿った施策を進めてまいります。中長期の持続的成長に向けて、アミューズメント事業とASIC事業の事業基盤を強化すること、通信事業などの新規事業の立ち上げを進めることで、収益性の向上と事業ポートフォリオの強化を図ってまいります。

② 財務戦略

 事業構造転換や新規事業育成による中長期の成長を支えるため、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に適応できるよう健全な財務体質を維持します。また、下記方針を基本として積極的かつ安定的な利益還元を実施し、あわせて資本の効率化を図ってまいります。

・剰余金の配当については、中期的な経営状況の見通し等を考慮の上、親会社株主に帰属する当期純利益(特殊要因を除くこともあります)の30%以上に相当する額を配当金総額として決定いたします。

・資本効率向上のため、市場の状況、株価動向、財務状況等を勘案し、機動的に自己株式を取得いたします。

③ 人材戦略

 人権と文化が尊重され多様な人材が活躍できる社会の実現に向けて、人材開発を当社の重要課題のひとつとして捉えております。従業員の活躍の場と成長の機会を提供するための施策やダイバーシティを推進、創業者設立の財団において給付型の奨学金を支給する他、エレクトロニクス業界の未来を担う若者に向けた様々な人材育成支援に取り組んでまいります。

④ IR活動の充実

 機関投資家との個別のIRミーティング等のコミュニケーション機会を充実し、経営戦略等について建設的な対話を推進し理解を得ていくとともに、対話から得られた意見や要望を社内で共有し、今後の取り組み検討にも活用いたします。また、当社のウェブサイト等において、非財務情報についても積極的に発信し、投資家との対話の材料となる情報の提供に努めてまいります。

PR
検索