マルハニチロ 【東証プライム:1333】「水産・農林業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
近年、社会や地球環境などのサステナビリティ課題への関心が世界的にますます高まり、事業を取り巻く外部環境も日々変化しております。当社グループは、変化への対応、社内への重点課題の浸透、社内外のステークホルダーの意見を経営に反映していくことを重視し、2022年度より開始した中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」に伴い、前中期経営計画で取り組んでいたマテリアリティを見直しました。マテリアリティの見直しに際しては、社外有識者、社内従業員へのアンケートを通して社内外ステークホルダーの意見を取り込み、経営陣による議論、検討を重ね、下表に示す9つのマテリアリティを特定しました。 マテリアリティそれぞれで抽出した機会とリスク、主要な取り組みは次のとおりであり、「環境価値の創造に関するマテリアリティ項目」と「社会価値の創造に関するマテリアリティ項目」に分類して記載しております。 |
環境価値の創造に関する マテリアリティ項目 | 関連する機会とリスク(○機会 ●リスク) | 主要な取り組み |
気候変動問題への対応 | ○天然水産物の漁獲量減少を補う養殖水産物の販売機会の拡大 ●CO₂排出量削減対策による生産コストの増加 ●気候変動への対応遅延による企業価値毀損 ●気候変動による原材料の調達不全リスクの増大 | ・CO₂排出量削減ロードマップの策定 ・CO₂排出量削減施策の実施(太陽光パネル設置、再生可能エネルギーへの切替え) ・省エネルギー設備の増強 ・エネルギー効率の改善 ・ノンフロン冷凍機への転換 ・電気使用量の削減 ・重油・ガス使用量の削減 |
循環型社会実現への貢献 | ○容器包装プラスチック使用量削減によるコスト削減 ○フードロス削減によるコスト削減 ○廃棄物削減の取り組みによるコスト削減 ●容器包装プラスチックの環境配慮型素材切替えによるコスト増加 ●廃棄物削減、リサイクルへの取り組み遅延による企業価値毀損 | ・容器包装のプラスチック使用量削減と環境配慮型素材への切替え促進 ・フードロス削減活動の推進 ・製造トラブルの削減 ・原材料・資材・商品の廃棄削減 ・廃棄物の有価物化 |
海洋プラスチック問題への対応 | ○漁具管理強化、紛失減によるコスト減少 ○海洋プラスチック問題へ積極的に取り組む企業としてイメージ向上 ●海洋に流出しづらい漁具への切替えによるコスト増加 | ・漁具管理ルールの策定と運用 ・海洋に流出しづらい漁具への切替え ・海岸クリーンアップ活動への従業員参加 |
生物多様性と生態系の保全 | ○持続可能な水産資源の提供による企業価値向上 ○自社養殖場の認証レベル管理による環境保全 ●サプライチェーンにおける社会・環境問題への対応によるコスト増加 ●認証取得・維持にかかるコストの上昇 | ・生物多様性リスク評価の実施 ・定期的な水産資源調査の実施と不明魚種、資源に心配のある魚種への対応 ・持続可能な漁業・養殖認証(MSC・ASC等)取得水産物の取り扱いの推進 ・持続可能な養殖認証の取得の推進 ・輸入水産物のトレーサビリティ確認の強 化 ・国内外ダイアローグへの参加 ・自社養殖場における認証レベル管理 |
社会価値の創造に関する マテリアリティ項目 | 関連する機会とリスク(○機会 ●リスク) | 主要な取り組み |
安全・安心な食の提供 | ○品質事故、品質クレーム減少によるコスト削減 ○お客様の満足度向上によるブランドへの信用獲得 ○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得 ●製品の品質クレーム・トラブルによるお客様の信頼低下による収益力の低下 | ・グループ品質保証規程に基づく品質保証活動の徹底 ・品質に関する人財育成 ・サプライヤ-との協働による食品安全・食品防御レベルの向上 ・パッケージ、WEBサイト、業者間での適切な製品品質情報の開示 |
健康価値創造と持続可能性に貢献する食の提供 | ○お客様の満足度向上によるブランド価値向上 ○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得 ○お客様の健康価値創造と持続可能性に配慮した食を提供する企業ブランドの向上 ●製品基準を満たす製品開発コストの増加 | ・健康価値創造と持続可能性に貢献する食の製品基準の策定 ・「消費者志向経営」(未来次世代のために取り組む企業)に関する社内啓発研修の実施 ・健康価値創造と持続可能性に貢献する企業という社外評価方法の構築 |
多様な人財が安心して活躍できる職場環境の構築 | ○性別・年齢・国籍等にとらわれない人財登用による社内モチベーションの向上 ○イノベーションが起きやすい環境づくり ○人財獲得競争での優位性獲得 ●人財開発及び職場環境改善コストの発生 | ・新卒採用比率男性50%・女性50%の継続 ・取締役会・管理職の女性登用の推進 ・仕事と介護・育児・治療の両立支援 ・従業員の健康維持及び増進 ・従業員エンゲージメントの評価方法の確立と向上 ・グローバル人財育成の推進、等級別研修の拡充 ・選抜研修の推進等を含めた人財育成プログラムの確立 |
事業活動における人権の尊重 | ○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得 ○グループ内、サプライチェーン上での人権リスク軽減 ●人権問題への対応遅延による企業価値毀損 | ・社内人権啓発研修の開催 ・国内グループ製造拠点での外国人技能実習生調査と改善対応 ・サプライチェーン上での人権調査と改善対応 |
持続可能なサプライチェーンの構築 | ○サプライチェーン上での社会・環境課題へのリスク低減 ●サプライチェーン上における社会・環境問題対応によるコスト増加 ●サプライチェーンにおける社会・環境問題への対応遅延による原材料調達不全リスクの増大 | ・「調達基本方針」「サプライヤーガイドライン」「腐敗防止宣言」のサプライヤーへの周知徹底 ・システムを利用したサプライヤーの登録、モニタリングの実施、リスクの有無確認とフィードバック |
(1)ガバナンス
当社グループにおける「サステナビリティ推進委員会」は、代表取締役社長が委員長を務め、マルハニチロ㈱取締役を兼務する役付執行役員、関連部署担当役員、関連部署長を委員、社外取締役、監査役をオブザーバーとし、構成されております。 「サステナビリティ推進委員会」では、グループサステナビリティ戦略全般の企画立案や目標設定及びグループ各社の活動評価をしており、中期経営計画のマテリアリティ見直しのプロセスにおいても積極的に討議を行いました。また、見直し後の各マテリアリティの推進体制では、マテリアリティ“循環型社会実現への貢献”のプラスチック使用量削減とフードロス削減及び“健康価値創造と持続可能性に貢献する食の提供”において、プロジェクトを立ち上げ、プロジェクトオーナーを管掌役員、プロジェクトリーダーを関連部署長として、部署横断的な取り組みを推進しております。 | <マルハニチログループサステナビリティ推進体制図> |
(2)リスク管理
当社グループでは、法務・リスク管理部を中心に、マルハニチロ㈱各部署やグループ各社のリスク管理責任者、リスク管理担当者が連携してリスク管理業務に取り組む体制を整えております。法務・リスク管理部は、マルハニチロ㈱の各部署及びグループ各社より抽出されたリスクの評価・分析にもとづきリスクマトリクスを作成し、当社グループとしてのリスクの仕分けとリスクの大きさの優先順位を決定することで、事業活動に潜むさまざまなリスクを日常的に管理し、業務改善に繋げております。また、法務・リスク管理部は、リスクの拡大やクライシスを未然に防ぐ業務のほか、企業の存続が危ぶまれるような重大な事件・事故、大規模自然災害などの有事においては、非常事態に対応するクライシスマネジメントの中心的な役割を担っております。
(3)重要な戦略・指標及び目標(気候変動)
<戦略>
気候変動リスクに対する戦略は、TCFDフレームワークに基づき策定しましたが、当社グループの事業は多岐にわたるため、まずバリューチェーン上の重要性から川上に位置する養殖ユニットを気候変動リスクに対する戦略の対象事業に選定しました。TCFDフレームワークを参照し気候変動のシナリオ分析を実施し、気候変動リスクと機会の特定、財務インパクトの評価を行い、その対応策を検討しました。明確化された重要なリスクと機会に対して対応策を講じることで、リスクの低減と機会の確実な獲得につなげ、気候変動に対してレジリエントな状態を目指してまいります。
A)リスク重要度評価
対象となる養殖事業におけるリスク・機会項目を一覧化、その上で特に対象事業へのインパクトの大きいとみられる項目を特定しました。その結果、「移行リスク」では気候変動による生育環境の変化(売上の減少)についてのリスク、「物理的リスク」では海洋環境の変化によるコスト増(操業コストの増加)についてのリスク、激甚災害による操業へのダメージ(操業コストの増加)のリスクと合計で3つのリスクが特定され、これらのリスクについてシナリオ分析を実行しました。
B)シナリオ群/対応策の定義
国際エネルギー機構(IEA:International Energy Agency)、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)、その他国際機関が発行する資料などを参照し、4℃及び2℃の2つのシナリオを設定しました。シナリオ分析の時間的範囲は、2050年までの中長期を設定しました。
4℃シナリオにおいては、物理的リスクの顕在化による操業コストの増加、魚類の生育環境の悪化による生産量の低下が発生し、物理的リスクへの対応が求められました。今後は養殖技術における改良技術の開発/各拠点の防災対策にも注力してまいります。
2℃シナリオにおいては、脱炭素の拡大により規制に伴う養殖事業の低炭素化と高付加価値商品・代替品の開発がリスク及び機会として特定、更に自家消費発電源の確保・再生可能エネルギーへの投資が求められることが想定されました。今後は脱炭素に向けた省エネルギーやオンサイト太陽光、オフサイト太陽光をはじめとした再生可能エネルギーの導入を進めてまいります。また、当社グループでは、他社と共同研究中の「細胞培養魚肉」について、世界最速商業化を目指しているほか、人工種苗の増産(クロマグロ完全養殖・孵化ブリ・孵化カンパチ)についても、配合飼料のコスト・品質安定、育成に最適な栄養素の設計・添加の技術開発により一層尽力してまいります。
<指標及び目標>
指標と目標については、CO₂排出量を指標とし、2030年度までにCO₂排出量の2017年度比30%以上削減、2050年度までのカーボンニュートラル達成を達成目標としております。目標達成に向けて、2030年度までの期間を、更に3つの段階に分け、より細かい目標を設定しております。フェーズ1(2022~2024年度)ではCO₂削減率10%、フェーズ2(2025~2027年度)にはCO₂削減率20%、フェーズ3(2028~2030年度)はCO₂削減率30%以上を目標にしており、最終的には2050年度末までにカーボンニュートラルを目指してまいります。
(4)人的資本に係る戦略・指標及び目標
以下人的資本に関する記載は、マルハニチロ㈱に限定した内容であります。グループ全体としての人的資本戦略は今後推進していく予定であります。
<戦略>
①人財育成戦略
企業価値の最大化に向けた経営戦略の一環として、グループ全体での海外市場への展開拡大や資源アクセスの強化を重点テーマとして取り組んでおります。そのテーマの実現に向けて「グローバル人財育成プログラム」を、2018年度からリニューアルして運営・推進しております。
参加者の選抜は自己申告による応募で、応募できるのは入社2年目以上、35歳以下の総合職社員とし、TOEIC、TSST(英語のスピーキングテスト)の結果を基に選抜しております。研修プログラムの内容は「異文化対応」「リーダーシップ」「マネジメント」「レジリエンス」などの必須研修と、「グローバルワークセミナー」や「海外トレーニー制度」などの当社独自の選択研修で構成されております。「グローバルワークセミナー」は、海外勤務を経験した社員による講義形式、「海外トレーニー制度」は、1年間海外の関連会社への出向などを経験させる制度であります。
<これまでの受講人数>
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
33名 | 43名 | 44名 | 48名 | 58名 |
このプログラムの修了認定を得るためには、育成期間の3年半以内に「必須研修の受講」「TOEICやTSSTの社内基準クリア」など4つの基準及び経営者に対する最終プレゼンをクリアする必要があり、これまでの修了認定者は9名であります。今後については2023年度、2024年度それぞれ4名程度の修了を見込んでおります。
このように当社では、グローバル人財プール作りを土台としながら、その中から計画的に海外現地法人の管理や事業運営の中核を担わせて経験を積ませることにより、海外で当社のガバナンスを利かすことができる経営人財を育成しております。
この他にも、部長層、課長層、非管理職層それぞれから人財を選抜して、階層別に実施している「経営リーダー人財育成プログラム」などを組み合わせて、2024年度の海外売上高2,150億円、海外売上高比率22.4%の達成に寄与する人財を輩出していく考えであります。
そして次期中期経営計画の最終年度である2027年度までに、グローバルにマルハニチロブランドの提供価値を高め、お客様の健康価値創造に貢献する「総合食品企業」となることを目指しております。そのようなことからも、従業員のキャリア自立やリテンション、サクセッションプログラムの増強などを目指して課長級の職務定義(ジョブディスクリプション:JD)作成に取り組むなど、今後も継続して人財育成に注力してまいります。
具体的には、2023年度中に課長級のJDを完成させ、そのJDの社内開示とサクセッションプログラムのリニューアルを実施してまいります。キャリア自立やリテンションに繋がる施策は2024年度中に策定する予定であります。
②社内環境整備戦略
A)女性活躍
〇採用比率
2023年4月入社の新卒新入社員における男女比は男性47.7%(41名)、女性52.3%(45名)でありました。これは実力重視で採用を継続している結果であり、2022年入社の比率は、男性50%、女性50%、2021年入社は男性60.3%、女性39.7%と、直近2年間の男女比はほぼ半々であります。
<過去3年間の新卒入社の男女比(男性:女性)>
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
62.7:37.3 | 60.3:39.7 | 50:50 | 47.7:52.3 |
また、非正規社員の正規社員登用にも積極的に取り組んでおり、直近3年間の登用者数における女性比率は97.1%(男性1名:女性34名)となっております。
更には、女性の育児休業取得率は100%台を継続しております。これらにより、従業員における女性比率は年々高まる傾向にあり、2023年4月1日時点の女性比率は28.1%となりました。また、以前は開発部門や管理部門への配置割合が高かった実態がありましたが、10年程度以前からは販売部門への女性従業員の登用も進んでおり、女性目線での開発・販売を強化することで、顧客起点による価値の最大化に寄与しております。今後については、海外現地への配置も含め、様々な分野で女性がより一層活躍できるよう取り組んでまいります。
<女性従業員比率の推移(各年度4月1日時点)>
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
23.7% | 24.6% | 26.2% | 28.1% |
○「えるぼし(2段階目)」認定の取得
2017年度、厚生労働省「えるぼし」を取得し、5つの評価項目のうち「継続就業」「労働時間等の働き方」「多様なキャリアコース」の3つの基準を満たしております。また、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画(2021-2025)を2021年3月に策定しております。
B)多様な人財の活躍促進
○D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進
性別・国籍・障がいの有無などの様々な違いを尊重し、従業員一人ひとりの能力を最大限に発揮することが、当社の持続的な成長には重要なことであり、そのようなことから当社は「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を策定しております。そして従業員の意識啓発及び行動変容につなげるため組織的な取り組みとして、2022年度よりD&I担当者を各部署に設置し、定期的に実施しているミーティングにおいて、組織の課題やありたい姿に関する議論、改善活動を行っております。
障がい者雇用に関しては、「障がいのある方たちと共に働く」の方針のもと、本社においては、障がい者が活躍できる部署を新設し、本社内の一部の業務を担える体制を整えました。2022年度は、15以上の部署から約500件/月の業務を受管し、業務改善にも繋がりました。工場では定着支援のための「キーチーム」を設立し、全社として障がい者の方々がより多くの職場で活躍できるよう、業務の選択と集中を行って障がい者の方々が担える業務を増やしており、今後も継続して雇用者数も増やしてまいります。
○健康経営・ウェルビーイングの推進
当社は「本物・安心・健康な食の提供を通じて、人々の豊かなくらしと幸せに貢献する」ことをグループ理念として掲げており、様々な事業活動を通じて世の中の健康づくりに貢献していくことが当社の存在意義であります。このことを実現するには従業員が健康な状態であることが重要なファクターであると考え、健康経営の推進やウェルビーイングに取り組んでおります。具体的には、水産由来栄養素の摂取推奨と塩分制限、野菜・果物の摂取、更には運動イベントの要素を組み合わせた「well-Bチャレンジ」と称する社内イベントを毎年開催し、生活習慣病の改善に取り組んでおります。また、臨床心理士と保健師をそれぞれ2名、本社地区には常駐させております。
また、健康リテラシーの向上を目指し、女性自身の健康意識や職場周囲の理解を深めるため、「働く社員の健康セミナー(女性の健康編)」を実施しております。
また、従業員のストレスケアとして、関係性の質の向上にも寄与する1on1ミーティング(上司と部下の定期的な対話)や、ストレスチェックにおける高ストレス者が多い職場の従業員や新入社員などを対象とした臨床心理士との面談を実施しております。これらの活動を今後も継続して、世の中の健康づくりに貢献する健康価値創造のリーディングカンパニーを目指してまいります。
上記の取り組みを通し、「健康経営銘柄2022」「健康経営優良法人(ホワイト500)2022」「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「DBJ健康経営格付最高ランク」「スポーツエールカンパニー(スポーツ庁)」「東京都スポーツ推進企業」に選定されております。
○男性の育児休業取得促進
男性がより育児休業を取得しやすい企業風土の醸成を後押しするため、「男性育休100%宣言」への賛同ならびに「イクボス企業同盟」へ加盟しました。更には部長・副部長・課長を対象とした「男性の育児休業促進に向けたマネジメントセミナー」を開催し、約350名が参加しました。これらの取り組みを今後も継続して、当社中期経営計画の社会価値創造に関するマテリアリティのひとつ「男性の育児休業+休暇取得率 2024年度 50%、2030年度 100%」を達成させてまいります。
C)人財の見える化と活用
人財の有効的な活用を目指し、2022年にタレントマネジメントシステムを導入しました。2023年度に策定予定のJDで、社内で不足している能力の可視化に活用することを目指すとともに、リスキリング(人財育成)や重要ポジション選定などに活用することを目指してまいります。
D)従業員エンゲージメント
当社では従業員のエンゲージメントを、企業価値を高める重要な要素と位置づけており、2021年度から従業員のエンゲージメントレベルを図るパルスサーベイを月に1回実施しております。直近1年間において全社のエンゲージメントレベルに大きな変化は見られませんでしたが、結果は課長級自らが自身のマネジメントを顧みるツールとして活用するとともに、全社目線でのエンゲージメントを都度把握することに活用しております。
今後は、2023年度にこのサーベイをグループ全体に展開し、2024年度にはグループ従業員エンゲージメント評価方法を確立するとともに、2030年度までの目標を設定いたします。
なお、当社では、全社員がエンゲージメントを高め、個々の強みを存分に発揮して活躍するためには、以下の風土を醸成していくことが最も重要だと考えております。
・「様々なライフイベントなどを含む個人のキャリアや人生を尊重する風土」
・「個人のWILLを伝え合い、会社のパーパスとすり合わせることができる自立的キャリア思考風土」
・「挑戦、失敗ができ、的確なフィードバックが行われる心理的安全性の高い風土」
・「多様性を理解し、尊重する風土」
そのようなことから、2021年に「心理的安全性の向上」や「上司と部下の関係の質向上」「部下の成長支援」などを目的に、上司部下間での1on1ミーティングを導入し、それに合わせる形でティーチングとコーチングを学ぶ管理職向けの研修を実施しました。
また、2022年度には、所属組織を超えた人間関係の構築や人財育成意識の早期醸成に寄与させることを目的として、入社3年目以上35歳未満をメンター、新入社員をメンティとするメンター制度を導入しました。
E)柔軟な働き方の実現
2018年度から本社・支社部門のフレックスタイム勤務化に取り組み、2021年度には全部署コアタイムなしのフレックスタイム勤務となっております。在宅勤務については2019年度までテスト運用の形でしたが、2020年度からは制度化し、2022年度からは自宅だけでなく、実家での勤務も認めております。これらの制度が子育てに関わる従業員の前向きな「仕事と育児の両立」の実現支援にも寄与し、女性社員はもちろんのこと、男性社員の育児休業取得率(短期含む)等が評価された結果、2023年に4つめの「くるみん」認定を取得しました。
これからも従業員のライフイベントにも柔軟に対応しながら働くことが可能な体制づくりを行ってまいります。
これらの社内環境整備をイノベーションやコラボレーションが生まれやすい組織文化への改革に繋げ、従業員エンゲージメントを高めてまいります。そして従業員が活躍できる環境を維持向上させ、会社と従業員のwin-win関係を継続させて、企業価値の向上と持続的な成長を実現させてまいります。
<指標及び目標>
現在の中期経営計画は、最終年度を2024年度として策定しております。その内容は前中期経営計画がコロナ禍で経営環境が大きく変わって数値目標が未達になったため、改めて取り組むこととしたものであり、2025年度からスタートする次期中期経営計画に向けた、いわゆる「経営基盤構築」の期間としての位置づけであります。次期中期経営計画の最終年度である2027年度までに、グローバルにマルハニチロブランドの提供価値を高め、お客様の健康価値創造に貢献する「総合食品企業」を目指すこととしております。
経営基盤構築の期間である2024年度末までに、次期中期経営計画の達成に必要な人財を輩出する仕組みの礎構築を目指してまいります。具体的には、各事業が生み出す価値の拡大に必要な能力定義の策定と、それを活用したタレントマネジメントができる体制としております。同時に不足している能力については、外部から積極的な採用活動によって補うとともに、教育プログラムの補強を実施します。
また、当社の持続的な成長を実現させるため、サステナビリティ戦略(マテリアリティ)に貢献する人財もあわせて育成してまいります。特にマテリアリティのひとつである「生物多様性と生態系の保全」は、ブランドステートメント、現中期経営計画の3つの価値の最大化とも合致しており、生物多様性と生態系を適切に保全し、持続的な利用を図っていくことが、当社の競争力を更に強化する重要な取り組みであると考えております。
このような背景から、水産資源の保全や水産業界の未来に対する人財戦略として、国際的な漁業・養殖認証規格制度や、国内外の水産行政等に精通した人財の育成・確保を積極的に進めてまいります。
それらを実現させ次期中期経営計画がスタートする2025年4月には、経営戦略に応じた人財の採用・配置・育成が可能となる体制となることを目指してまいります。
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