ベルテクスコーポレーション 【東証スタンダード:5290】「ガラス・土石製品」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業を取り巻く環境が大きく変化する中、「持続可能な社会の実現への貢献」と「企業の持続的成長の実現」の両立が重要な経営課題の一つであるとの認識に立ち、2021年10月にサステナビリティ協議会を立ち上げ、マテリアリティ(重要課題)の特定を行いました。また、特定したマテリアリティに対する具体的な対応策の検討や目標設定などサステナビリティの推進を加速させるため、2023年2月に全社横断的に統括するサステナビリティ委員会を立ち上げました。
今後もサステナブルな社会の実現に向けた取り組みを強化し、新たな価値創造の創出を通じて社会とステークホルダーからの満足と信頼が得られる企業になることを目指してまいります。
(マテリアリティ)
事業を通じた社会課題の解決をさらに進めるために、サステナビリティ活動において特に注力すべきマテリアリティを選定しました。
<選定基準>
当社グループの活動の原点である「経営理念(ブランド・ビジョン)、経営ビジョン、グループ行動規範」を基軸に、当社グループを取り巻く社会環境や事業環境における様々な課題と長期的かつグローバルな社会的課題を示したSDGsの考え方を取り入れ、事業を通じた持続可能な社会の実現、当社グループが持続的に成長できるマテリアリティを選定しました。
<選定プロセス>
以下のプロセスにより、マテリアリティを特定しています。
<ベルテクスグループのマテリアリティ>
気候変動への取組みとTCFDへの対応
当社グループの事業は地球環境との関わりが深く、環境対応に努めることが当然の責務であることから、自らの事業活動における環境負荷低減に努めております。
ガバナンス
当社グループは気候変動に係る対応を経営上の重要課題と認識し、サステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、取締役会による監督を行っております。
<取締役会による監督体制>
取締役会は、気候変動に関するリスクと機会に係る課題について、定期的に、サステナビリティ委員会より取り組み状況や目標達成状況の報告を受けモニタリングします。また、新たに設定した対応策や目標を監督します。
<気候変動に係る経営者の役割>
代表取締役社長はサステナビリティ委員会の委員長として気候変動が事業に与える影響について評価し、対応策の立案及び目標の設定を行い、達成状況の管理を統括します。
<サステナビリティ委員会>
サステナビリティ委員会は、気候変動に係る事項を含むマテリアリティ(重要課題)の特定やESG・DX対応を含むサステナビリティに関する戦略及び中期経営計画の策定について審議し、取締役会に答申します。
サステナビリティ委員会の委員長は代表取締役社長が務め、代表取締役社長が指名した者において構成されます。サステナビリティ委員会は、気候変動が事業に与える影響について毎年一回評価を行い、識別したリスクの最小化と機会の獲得に向けた方針を示し、対応策の検討・立案及び目標の設定を行います。また、目標の達成状況を審議し、毎年一回、取締役会に報告し、監督を受けます。
<協議会>
協議会は、サステナビリティ委員会の傘下に設置し、サステナビリティ委員会で審議するための具体的な施策の立案・検討を行います。なお、協議会は多様性に配慮し、代表取締役社長が指名した者において構成されます。
<経営企画部>
経営企画部は、サステナビリティ委員会及び協議会の事務局を担当するとともに、気候変動を含むサステナビリティ戦略に係る企画・立案及び管理を行い、全社的な気候変動に係る対応の推進を担い、サステナビリティ委員会に提言します。
当社グループの気候変動に係るガバナンス体制図は以下のとおりです。
戦略
2050年の気候変動について「コンクリート事業」を対象にシナリオ分析を実施しました。シナリオでは、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存のシナリオを参照の上、移行面で影響が顕在化する「2℃シナリオ」及び物理面で影響が顕在化する「4℃シナリオ」の2つの世界観を想定しました。シナリオ分析の過程では、各シナリオにおいて、気候変動が関連する財務インパクトの要因のうち、重要なもの(キードライバー)を洗い出し、関連する気候変動リスク及び機会を特定するとともに、事業への影響度を検証し、大・中・小の3段階で評価しました。また、その評価結果を踏まえ、特に影響の大きいリスクの低減ないし機会の獲得に向けた対応策を検討しています。
(世界観)
2℃シナリオ:建設バリューチェーン全体が協力して低炭素化へ取組むことにより、CO2排出量削減を実現しカーボンニュートラルを達成している世界
4℃シナリオ:低炭素化の進展は限定的で、日本の気温は上昇し、洪水発生頻度は増加、防災インフラ整備や自然災害の復興需要が増加する世界
人的資本の推進に向けた取組み
1.人的資本の拡充と人材マネジメント
社員一人ひとりの能力・スキルアップとキャリア自立を支援する育成担当部署を中心に、子会社を含む当社グループ全体の人的資本の価値向上を図っております。
色んな能力・個性を持った人が集まり融合し、様々なアイデア・意見が出て活発な議論が行われる「多様性のある職場」を構築し、イノベーションで会社を進化・成長させる推進力となる人材の育成に努めてまいります。
(1) 従業員エンゲージメントを高めることによる生産性の向上
社員自らが手を挙げ参画する公募制度を基本として、自律協働型人材の育成に努めています。2021年からは「ベルテクスアカデミー」として教育プログラムを整備。社員一人ひとりが経営理念の実現に向けて、日々成長し能力を高め、やりがいを持って働ける「学び合える文化」の醸成を進めています。
また、職務階層別社内教育制度の拡充と並行して、スキルアップ・人材育成を狙いとした外部機関・親密取引先、子会社とのオープンイノベーションや出向制度も積極的に推進します。
社員誰もが仕事にチャレンジできる活気ある職場、働き甲斐のある職場は、エンゲージメントを高め、勤続年数の長期化と安定化に資するものと考えております。
2021年4月の合併を契機とし、再雇用定年まで安心して働ける処遇制度と業績連動型賞与制度を導入しました。業績に応じた社員への適正な利益配分を実施しています。また新たなインセンティブプランとして2022年5月に社員向け株式報酬制度を導入。今後これを拡大していく所存です。
年に一度エンゲージメントサーベイによる意見集約を行っておりますが、今後は更にタウンホールミーティングなども実施する予定で、経営陣と社員の直接対話を通じ、企業理念・ミッション浸透やエンゲージメントの向上に努めてまいります。
(2) ダイバーシティ&インクルージョン
① 昨年度の育児休業等の取得割合は20%(男性労働者が育児休業したものの数÷男性労働者であって配偶者が出産したものの数)でありましたが、育児休業取得期間は1週間から1ヶ月と比較的短く、女性の取得状況と比較すれば、取得比率・取得期間ともに低い水準と考えております。
当社グループでは有給の看護休暇・介護休暇なども設けておりますが、引き続き男性の育休取得率や、育休からの復帰率向上など仕事と育児の両立を支援し、女性がキャリアを止めることなく活躍できる職場環境を整え、ワーキングマザー比率の向上を図ります。
② 現在の当社グループ(ベルテクス㈱など主要な連結会社)における男女の賃金差異は下記のとおりとなっています。
区 分 | 男性の賃金に対する女性の賃金の割合 | 対象期間2022年度(2022年4月1日~2023年3月31日) 社外への出向者を除く正規労働者と、パート・有期 社員等の非正規労働者。非正規労働者については所定 労働時間を一部1日8時間に換算。 賞与・時間手当等を含む全賃金。通勤手当等は除く。 |
全ての労働者 | 71.8% | |
正規労働者 | 73.5% | |
非正規労働者 | 52.1% |
全体の比率は上表のとおりですが、現業職を含めた非管理職における比較では、全体82.5%、正規83.9%、非正規53.3%まで乖離幅が縮小することから、管理職階の男女差が賃金差異の大きな要因と認識しております。
なお、2021年からは、職制間でのコース変更を公募形式で実施しており、教育プログラムの拡充や様々な部署での経験を積むことで女性のキャリア形成を図り、将来の組織の意思決定に関わる女性幹部社員を増やしていく方針です。
また、サステナビリティ委員会の傘下に「ダイバーシティ協議会」を設置します。女性を中心とした協議体で、職場環境や勤務形態等に関する女性の意見を集約し政策に反映させる仕組みとします。中長期のビジョンで女性が働きやすい職場環境を整備してまいります。
(3) 人権の尊重と労働安全衛生
当社グループでは、行動規範に「すべての従業員の個性を尊重し、多様性を活かす」と定めております。我々は全ての社員の人権を尊重する取り組みを実行しております。
ハラスメントなどは根深い問題ですが、きめ細かく研修、教育を実施することで社員の意識を変革し、ハラスメントの無い職場を作り上げる事が肝要と考えます。
製造現場(工場)での安全衛生・職場環境改善を狙いとした設備投資を進めていますが、屋外での作業も多い当社グループの工場においては、夏季の猛暑などで過酷な作業現場の改善は必須です。更なる自動化推進も視野に、過酷な労働から作業員を開放する設備投資を進めてまいります。
働き方改革に関するアンケートで希望の多かったフレックスタイム制を2023年度より一部を除き全社規模で導入しました。リモート勤務体制も定着しており、長時間労働の削減と、健康管理や育児・介護との両立支援、ワークライフバランスの実現を進め、健康経営優良法人の認定取得を目指します。
2.社会・環境への貢献
(1) 取引先や地域社会との関係強化
当社グループの製品の多くは社会インフラに直接関わるものであり、原材料調達・製造・出荷に至るまで一貫して、取引先の視点に立った品質管理を徹底し、顧客満足度向上を図ります。
また、当社グループでは全国に多くの工場を有しておりますが、操業を停止した工場跡地の利活用に関しては、地元自治体と連携し地域の活性化につながる都市開発に協力するなど、地域社会との関係を深めてまいります。
(2) サプライチェーンマネジメント
重要仕入先との紐帯強化策の一つとして、2022年に取引先持株会を組成しました。当社グループの株主となってもらうほか、当社グループからの出資等による関係強化等も狙いとしております。
当社グループの製品を取引先の元にお届けする運送業者は我々の大切なパートナーですが、物流業界にも2024年問題など様々な課題が有ります。我々の事業に欠くことのできない事業者と協働し問題解決に取り組むことで、持続可能な社会を実現するための責任を果たしてまいります。
(3)その他の社会貢献活動
当社グループが関係する2つの財団(一般財団法人ベルテクスグリーン財団、一般財団法人ホクコン・フィランソロピー基金)による奨学金給付により、将来の産業界に貢献する人材の育成を支援しています。また、2023年4月に立ち上げました「ベルテクス技術研究所」は、財団が助成する大学や研究機関における研究開発とも協働し、技術革新進めることで社会に貢献してまいります。
リスク管理
気候変動に係るリスク管理は、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会にて識別・評価し、定期的に取締役会に報告します。
<気候変動に係るリスクを識別・評価するプロセス>
気候変動を含むサステナビリティ戦略の推進を所管する経営企画部にて、社内及びグループ会社に係るリスク及び機会の特定を指示し、リスクを識別し、サステナビリティ委員会に報告します。
サステナビリティ委員会は、識別された気候変動に係るリスクについて気候変動リスクの潜在的な大きさとスコープを評価し、重要度に応じて対応策を検討したうえで、目標を設定し、取締役会に報告します。
取締役会は、気候変動に係るリスクについて、対応策や設定した目標を監督します。
<気候変動に係るリスクを管理するプロセス>
経営企画部は、気候変動を含むサステナビリティ戦略の企画・立案及び管理を行い、全社的な気候変動に係るリスクへの対応を推進するとともに、取組状況をサステナビリティ委員会に報告します。また、識別した気候変動に係るリスクについて、リスク管理委員会に報告します。
サステナビリティ委員会は、識別・評価したリスクの最小化に向けた方針を示し、経営企画部を通じて社内及びグループ会社に対応を指示します。また、対応策の取組状況や設定した目標の進捗状況について、取締役会に報告します。
<組織全体のリスク管理への統合プロセス>
定期的に開催されるリスク管理委員会にて、各リスク所管部署からの報告内容を評価し、全社リスクの把握と適切な対応を審議し、取締役会に報告します。
気候変動に係るリスクについては、経営企画部を所管部署と定めて報告を受け、組織全体のリスク管理の観点から適切な対応を決定します。
取締役会は、リスク管理委員会から気候変動に係るリスクを含む統合したリスク管理の状況と対応について報告を受け、監督を行います。
指標及び目標
気候関連リスクを管理する指標の1つとして、CO2排出量(scope1,2,3)の削減率を定めております。また、2030年及び2050年のCO2削減率目標を設定し、次期中期経営計画における重点施策の実施などを通じて、CO2排出量削減を目指していきます。
項 目 | 基準年 | 2018年度実績 | 目標年 | 目標値 |
scope1・2 | 2018年度 | 12,048 t-CO2 | 2030年 | 50%削減(総量ベース) |
2050年 | カーボンニュートラル | |||
scope3 | 2018年度 | 124,731 t-CO2 | 2030年 | 40%削減(総量ベース) |
2050年 | カーボンニュートラル |
※CO2排出量(scope1,2,3)は、ベルテクス株式会社単体となります。
※scope3の実績は、カテゴリー1が対象となります。
現在当社グループ(ベルテクス㈱など主要な連結会社)は管理職に占める女性労働者の割合が0.57%ですが、元々土木業界においては女性社員が少ないことから、当社グループでは新規採用者の女性比率を50%以上とし、将来の女性幹部社員となる母集団をまず増していきます。
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