ベイシス 【東証グロース:4068】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 経営方針
当社グループは、企業理念に掲げるミッションである「ICTで世の中をもっと便利に」のもと「Update The World 変化し、変化させ、必要不可欠な会社に」を企業ビジョンとしており、インフラテック事業を推進することで、インフラ業界の抱えるデジタル化が遅れた非効率な現場作業や業界特有の多重下請けによる高コスト構造といった課題を解決し、より快適な社会の実現に貢献してまいります。
同時に、顧客へのサービス提供を通じて当社の社員が成長し続けることを支援し、結婚・出産といったライフステージの変化に合わせたテレワークやフレックス勤務の推進、多国籍な人材の登用などを促進するとともに、自律的でフラットな組織を構築し、顧客へ高い付加価値を提供できるプロフェッショナルの育成に努めます。
(2) 経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する等各種政策の効果もあって、緩やかな回復基調となりました。その一方で、中東地域をめぐる情勢等を背景とした資源価格の高騰、物価の上昇等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような経済環境のもと、当社の事業領域であるモバイルエンジニアリング分野においては、通信キャリア各社が足元の設備投資を抑制するとともに、今後もコスト抑制要請は進むことが予想されます。
(3) 中長期的な経営戦略
① 中核事業(モバイルエンジニアリングサービス)の維持・拡大
モバイルエンジニアリングサービスにおいては、各携帯キャリアの設備投資はピークアウトし、2023年は合計1兆5,463億円と投資総額自体は微減となっています(2022年度は合計1兆7,770億円)。また、2026年には合計1兆2,100億円まで縮小することが予想されております(株式会社MCA「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2023年版」)。
そのため、6Gエリア構築に向けた情報収集を行いながら体制維持及び新規顧客へのアプローチを行っていきます。
② 成長事業(IoTエンジニアリングサービス)の圧倒的成長
機器設置のフロー案件から監視・保守のストック案件に事業を拡大していきます。また、BLASをSaaS(※1)として提供するだけではなく、BPO(Business Process Outsourcing)サービスと組み合わせ、BPaaS(※2)として提供することで事業拡大目指します。これらにより新規顧客開拓、既存顧客深耕を進め、IoTエンジニアリングサービスを第2の柱に事業拡大していきます。また、IoTの顧客に対し、アップセル、クロスセルとなりうる商材・サービスを持っている企業のM&Aも積極的に検討していきます。
※1:SaaS(Software as a Service)は、クラウドを介して提供されるサブスクリプション型ソフトウェアサービスで、利用者はインターネット経由で柔軟にアクセス可能。BLASを有償化し、SaaSとして提供。
※2:BPaaS(Business Process as a Service)は、業務プロセスを外部企業へアウトソーシングし(BPO)、クラウド上のソフトフェア(SaaS)を使って、業務効率化を実現するサービス。
③ 育成事業(ITインフラ)の立ち上げ
これまでその他サービスはRPAのエンジニアリング等を行っておりましたが、サーバーやネットワーク関連のITインフラ領域にも事業拡大を進め、参入障壁の低い保守領域から参入し、より高単位な上流工程に事業拡大を計画しています。
▼事業ポートフォリオ図
(4) 目標とする経営指標
当社グループは、企業価値を向上させ株主価値を高めることが重要であると考えており、そのためには、より専門性を高め、事業拡大を進めていくことで収益性を向上させ、継続的な成長を目指すことが重要であると認識し、客観的な経営指標として、EBITDAを重視しております。2024年6月期の売上高およびEBITDAは実績値、2025年6月期は2024年8月14日発表の業績見通し、2026年6月期は2023年10月24日発表の中期経営計画(2024年6月期~2026年6月期)における目標となります。
| 2024年6月期 | 2025年6月期 | 2026年6月期 |
売上高(百万円) | 6,822 | 7,920 | 9,612 |
EBITDA(百万円) | 138 | 182 | 753 |
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 新規顧客及び協力会社の開拓
当社グループの売上高に占める特定顧客への依存度が高く、その依存度を引き下げ安定的な事業基盤を構築するべく、5GやIoTの普及促進を前提とした新たな通信キャリアやIoT機器メーカーなど新規顧客との取引拡充が喫緊の課題と考えております。また、適正価格による高品質なインフラ構築・運用を全国規模へ拡大するため、国内を網羅するベイシスパートナーズの構築もあわせて拡充していく必要があると考えております。
② テクノロジーの強化
当社グループは、インフラテックによるビジネスモデルの変革を標榜しており、その根幹を担う業務のDX化を推進するため、自社内にシステム開発体制を保持しております。今後は、新しいテクノロジーを取り入れながらさらにDX化の対象となる領域を拡大し、競争優位なシステムの構築を図る必要があると考えております。
具体的には、まずは自社システムBLASの継続的な機能拡充、また将来的にはBLAS以外にも新たなシステムの開発が必要であると考えており、社内開発体制強化や他社との業務提携などを行います。そのため、DXにおける中長期ビジョンの策定やその推進担当者の選任、作業の標準化、社内システムの見直しを行い社内のDX化を推進します。
③ 人材の確保と育成
当社グループにおいて、優秀な人材の採用および育成は事業を拡大するうえでの重要な課題の一つであると考えております。安定的な採用を維持し人材の定着率を高めるために、積極的な採用を行っていくとともに、人事研修制度の充実、資格取得※の促進や多様な勤務形態の導入等により社員にとって働きがいのある働きやすい環境の整備も実施してまいります。また、生産キャパシティの拡大という観点より協力会社リソースの拡充も必要であり、ベイシスパートナーズの獲得と協力会社社員への指導、育成も進めてまいります。
※ 社内エンジニアの48%が国家資格を保有(2024年6月末時点)
④ 個人情報の取り扱い及び情報管理体制の強化
当社グループでは、事業活動を通して顧客が保有する取引先情報や個人情報等の機密性の高い情報を取り扱うことがあります。そのため、情報管理体制をさらに強化することが課題であると考えております。これらの情報の取り扱いについては、情報セキュリティマネジメントシステム国際規格(ISO27001、ISO27017)認証を取得し、個人情報や機密情報に関する取り扱いを社内規程に定めておりますが、今後も社内研修の継続実施等により、セキュリティ意識の喚起や情報リテラシーの向上に努めて参ります。
⑤ 法令遵守の体制強化
当社グループのサービスは、業務委託契約(準委任契約を含む)により事業を行う場合があります。その場合、労働者派遣事業との違いを明確に認識し、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(1986年4月17日 労働省告示第37号)に従って、事業を運営しております。また、一部の事業につきましては、建設業法、労働者派遣法の適用を受けており、法令遵守の体制をより一層強化することが必要であると考えております。社内においては、入社研修や講習を定期的に実施し、法令遵守の重要性につき継続的に周知徹底を行うなど、法令に則った事業運営に努めてまいります。
⑥ 内部管理体制、コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループが今後の事業環境の変化に対応し、また新たに事業拡大を進めるためには、内部管理体制とコーポレート・ガバナンスを強化していくことが重要であると認識しており、その体制を整備し実効性を高めることでリスク管理の徹底や業務の効率化を図ってまいります。
⑦ 顧客、パートナー、従業員のエンゲージメントの可視化及び向上
当社グループは顧客、パートナー、従業員のエンゲージメントや満足度の可視化を図るため各種サーベイを導入しております。まずは2019年より従業員エンゲージメントの可視化と改善アクションを開始しており、具体的にはサーベイの結果を従業員の様々な属性(雇用形態、所属部門、在籍年数、年齢層等)から多面的に分析し、従業員の期待度と満足度の乖離が高い事項を重点対策項目として改善活動に取り組んでおります。また、2020年からはネットプロモータースコア(NPS)を導入し、顧客及びパートナーから自社の強み・課題並びにその要因をヒアリングして現場にフィードバックすることで日々の業務における改善へと繋げ、当社グループのステークホルダー全体に係るエンゲージメントの向上を図ってまいります。
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