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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、株式会社青森銀行と株式会社みちのく銀行(以下、「両行」という。)の完全親会社として2022年4月1日に設立され、グループとして新たな一歩を踏み出しました。「地域の未来を創る」「お客さまと歩み続ける」「一人ひとりの想いを実現する」を経営理念としております。

 両行グループのノウハウや情報・ネットワークの融合を通じた金融仲介機能の強化や地域の優位性等を活かした事業領域の拡大によって地域・お客さまと共通価値を創造するとともに、経営の合理化・効率化を通じて健全な経営基盤の構築を図り、もって、金融システムの安定と金融サービスの提供の維持・向上、地域産業の更なる発展と地域住民の生活の向上に繋げることで、地域とともに持続的な成長を果たしてまいります。

(2) 中長期的な会社の経営戦略

 当社は、「地域の未来を創る」、「お客さまと歩み続ける」、「一人ひとりの想いを実現する」を経営理念に掲げ、2022年4月から2025年3月までを計画期間とする第1次中期経営計画『挑戦と創造』をスタートさせました。

 本計画では、「金融仲介機能の強化」、「事業領域の拡大」、「経営の合理化・効率化」、「グループ基盤の強化」を基本戦略とし、シナジーを早期に実現し、強固な経営基盤の構築に取り組んでまいります。

(3)目標とする経営指標

2022年4月よりスタートさせました第1次中期経営計画「挑戦と創造」における最終年度(2024年度)の経営指標の目標は以下のとおりです。

経営目標

算出方法

当該目標を掲げる理由

2025年3月期

(計画最終年度)

貸出金平残

(市場性除く)

貸出金平残―市場性貸出

金融仲介機能の更なる強化を図るため

3兆3,700億円

コア業務純益(※1)

(投信解約損益除く)

コア業務純益―投資信託解約損益

事業の収益性を追求するため

29億円

(※2) (69億円)

連結当期純利益 

連結財務諸表上の数値

事業の収益性を追求するため

13億円

(※2) (53億円)

※1.両行単体の単純合算です。
※2.( )は統合関連費用及び交付金等を除いた参考値です。
 

(4) 当社第1次中期経営計画の取組み内容

①「金融仲介機能の強化」

 当社グループでは、お客さまのライフステージ・事業活動に寄り添い、課題やニーズへの対応を総合的に支援する「伴走型コンサルティング」支援の強化を重点施策の一つとしており、両行のノウハウの結集や専門人材の育成など体制の強化に取り組んでおります。

2023年度においては、両行のコンサルティングサービスの統一・強化を進めると共に、連結子会社であるあおもり創生パートナーズ株式会社(以下、「ACP」という。)に両行の本業支援機能や事業承継・M&Aコンサルティング機能を集約し、ノウハウを結集することで高度な専門性を発揮してお客さまの課題等に解決策を提供する体制を構築しました。ACPの担う高度なコンサルティング機能「コンサルティングファーム」は2024年4月より運営を開始しております。

 また、同じく2024年4月より両手型の人材紹介事業へ参入し業務を開始しております。これまでの人材紹介機能をより強化し、地域事業者さまの求人ニーズだけでなく、求職者さまの求職・転職ニーズについても人材紹介会社を介さずに自社で直接対応する取り組みとなります。地域事業者さまのご要望に応じた最適な人材のマッチングを通じて、地域経済の底上げと地域産業の発展に貢献することを目指しております。

②「事業領域の拡大」

 青森県は「農林水産」「ものづくり」「観光」「ライフ(医療・健康福祉)」「グリーン(環境・エネルギー)」といった地域経済活性化に資するさまざまな分野においてポテンシャルや強みを有しております。当社では地域の優位性やポテンシャルを活かし、グループの強みやノウハウ・ネットワークを結集することにより、従来の取り組みを、より面的・立体的な取り組みに発展させることで、地域に根差した産業の共創を目指しております。

 当社が地域の中で総合商社的な役割として、従来からの取り組みである「つなげる・投資する」機能に加え、自らが新分野への挑戦を通じて「経営する」というビジネスモデルに深化させることで、事業領域の「深さ」(既存事業の「深化」としての領域拡大)と「広さ」(新分野への挑戦としての領域)を拡大する「地域バリューアップモデル」を2023年5月に策定し、取り組みを進めております。このうち事業領域の拡大への取り組みとして、「地域デザイン機能」「事業創造スタジオ機能」を強化した「地域バリューアップスタジオ」を2024年1月に立ち上げ、地域資源の付加価値向上や地域経済循環の確立につなげる複数のプロジェクトを開始しております。

③「経営の合理化・効率化」

2025年1月に実施予定の両行合併後に店舗統廃合の大宗を実施する予定としておりますが、店舗運営に係る各種コストの削減効果等のシナジー等を早期に実現するべく、合併前においても店舗統廃合を実施しております。2023年度においては2店舗の統廃合を実施し、2022年度に実施した7店舗と合わせ、合併までに実施を予定していた9店舗の統廃合を完了しております。また、合併後の店舗網の検討も進め、2025年度~2026年度の間に統廃合を行う予定の34カ店の店舗名の公表を実施しております。

④「グループ基盤の強化」

 イ.組織融和・人材力の強化

 近接する両行の営業店をパートナー店とし、営業店の交流や合併に向けた相互支援・協力体制を強化する「パートナー店制度」を2022年度より導入し、両行職員の人材交流を通じて、互いの組織・文化を理解することに努めております。また、2023年6月より両行合同でのキャリア形成支援研修を開始したほか、2023年10月より銀行合併に向けた預金や融資等の事務研修を開始するなど、人材力の強化にも取り組んでおります。

2024年3月より本部拠点の統合も開始しております。合併に先立ち両行の職員が同一の執務室で勤務する事前同居をスタートさせ、実質「ワンバンク」として業務を行っております。

 ロ.サステナビリティ推進

 当社では2022年4月に「サステナビリティ方針」を定め、ステークホルダーとの5つのお約束を掲げると同時に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」への賛同を表明しております。

2024年2月には当社グループが地域課題の解決を目的として事業活動において優先的に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定しております。加えて、各マテリアリティに関連して当社グループの事業活動が地域に対しどのようなインパクトを与え得るのか整理するとともに、当社グループの主要な取り組み項目についてはKPI(目標までの達成度を示す指標)を設定しております。

 また、当社グループとして初となる統合報告書を2024年2月に刊行しております。統合報告書では、当社グループの価値創造プロセスや中期経営計画、気候変動問題や人的資本などのサステナビリティに関する取り組みについてまとめております。

 サステナビリティ推進に関する詳細については後述の「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。

(5) 会社の対処すべき課題

 新型コロナウイルスの5類移行により経済活動が正常化に向かう中、物価高騰や人手不足への対応など事業者を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。また、当社グループが地盤としている青森県においては、少子高齢化や人口減少などの社会構造の変化に伴う影響が増大していくことが懸念されております。加えて、円安の進行や日本銀行におけるマイナス金利政策の解除など金融環境も大きく変化しております。

 変化のスピードが速く先行きの不確実性が高い経営環境の下であっても、「地域の課題を解決し、地域の持続的な成長を実現する」という当社グループが果たすべき使命は不変であります。地域経済を持続的に支えていくためには当社グループを取り巻く環境変化に対応しつつ経営基盤を強化していくことが必要であり、足元では銀行合併・システム統合を着実に実行していくことが最優先課題であると認識しております。引き続き合併及びシステム事務統合に向けた準備を進めるとともに、両行役職員の融和に向けて取り組み、統合シナジーの発揮を目指してまいります。

 また、2024年度は第1次中期経営計画(2022年4月~2025年3月)の最終年度となります。中期経営計画達成に向けて、伴走型コンサルティングの強化や事業領域の拡大、金融サービス・ソリューションの強化や業務・サービスのデジタル化など基本戦略に基づいた各種取り組みを着実に進めてまいります。

 こうした取り組みを通じて、地域の金融機関としての社会的責任を果たし、地域社会の発展に尽力してまいりたいと考えております。

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