プレミアグループ 【東証プライム:7199】「その他金融業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、法改正を含む外部経営環境の変化に応じたコンプライアンスの徹底を前提として、「世界中の人々に最高のファイナンスとサービスを提供し、豊かな社会を築き上げることに貢献します」「常に前向きに、一生懸命プロセスを積み上げることのできる、心豊かな人財を育成します」というミッションの具現化と、将来にわたりこれらを継承する人財育成の両立により、企業価値の中長期的な向上を図ってまいります。
(2) 経営環境
① 事業を行う市場の状況
当社グループの主力事業であるファイナンス事業及び故障保証事業の対象市場である国内中古車マーケットにおいて、中古車の自家用登録台数は横ばい傾向にあります。生活必需品としての色彩が強い自動車は、成熟市場でありながらも、今後もその需要は「底堅く」推移するものと考えております。
特にファイナンス事業は、競争環境の面において、新たに事業を開始するためには多額の資金及びシステム投資が必要であるため、新興企業が容易に参入できる事業ではないものと捉えております。一方、マーケットにおける当社グループのシェアはまだ低い水準にあり、将来におけるファイナンス事業の成長余地を示すものと考えております。
② 当社グループの強みについて
a.独立系であることについて
当社グループは、独立系(注)であることから、オートクレジットの主な取引先である自動車販売店(以下「オート取引先」という。)に対し、オートクレジット以外の複数サービスを提供することが可能です。
こうした複数サービスの提供によって、オート取引先ごとのニーズに応えうる「機会」=「取引の接点」を増やすこと、またサービス間の併用割引による「取引回数や利用頻度の向上」=「取引の深化」を進めることが、オート取引先との関係性をより強く・深く・長く・継続しやすくする重要なポイントであると考えております。
(注)当社グループでは、銀行の子会社や関連会社ではないことを「独立系」と表現しております。
b.営業活動における強みについて
当社グループは、複数のサービスを提供しておりますが、主要商品である「オートクレジット」や「故障保証」につきましては、同一の営業担当者が営業活動を行っております。一方、競合他社によっては、各サービス専属の営業担当者を配置し、自動車販売店に対して営業活動を行っております。当社グループは、「オートクレジット」や「故障保証」を並行的に販売することによって、競合他社と比較して営業コストを抑えられることとなり、結果として収益性を高めることが可能であると考えております。
c.ファイナンス事業における強みについて
当社グループにおきまして、オートクレジットの営業担当者は、オート取引先に特化した営業活動を行っており、これを「オート専業」と表現しております。なお、当社グループはオートクレジット以外のクレジットも取り扱っておりますが、オートクレジット以外の営業担当者が営業活動を行っております。
競合他社によっては、営業担当者はオートクレジット加盟店以外の加盟店(例えば呉服や宝飾品類を取り扱う小売店等)も担当しており、並行的に営業活動を行っております。
一方、当社グループは、オート取引先に対してはオート専業の営業担当者が営業活動を行っております。従って、営業担当者は、オートクレジットやオート取引先の特性のみならず、自動車販売業界及び自動車そのものに対する知識・理解を得やすい環境で日々の営業活動を行うこととなり、そうした環境により培われた自動車販売業界全般への見識のもと、オート取引先のオーナーや従業員と円滑にコミュニケーションを行えるようになります。また、オート取引先の資金繰り状況についても同様に理解・把握することで、立替金の振込だけでなく、中古自動車のオークション開催日を考慮した訪問スケジュールの組立てなど、オート取引先の立場や状況を踏まえた営業活動が可能となると考えております。
また、クレジット契約書や車検証の写し等の各種書類の回収等業務の大部分をオンラインに移行し、効率化を図る一方で、オート取引先とのコミュニケーションの質や頻度に留意し、電話やSNSを通じたフォローを行う等、きめ細やかな対応を継続しております。
このように、自動車販売業界全般への理解と、オート取引先の立場・状況を踏まえた営業活動を通じて、オート取引先との信頼を構築することが、当社グループの強みであると考えております。
d.故障保証事業における強みについて
ア.リクルートとの提携
当社グループは、株式会社リクルートホールディングスの100%子会社であり紙媒体及びWeb媒体において自動車情報を掲載するサービス「カーセンサー」を運営する株式会社リクルートと、中古車修理保証制度「カーセンサーアフター保証」の販売促進を図る目的で業務提携しております。
カーセンサーアフター保証は、当社グループにおいて開発した故障保証商品を一部カスタマイズしたOEM商品であり、株式会社リクルートが展開する中古車情報媒体「カーセンサー」に掲載している車両に付保されます。株式会社リクルートが当社グループの提携先に対し販売促進の営業活動を行う一方で、当社グループは故障保証業務(オート取引先とのカーセンサーアフター保証に係る業務提携契約の締結、お客様との保証契約の締結、保証の履行等)を受託しており、当社グループの故障保証取扱件数の増加に寄与しております。
イ.故障車両に係るデータ保有
故障保証は、お客様から代金を頂戴し、故障が発生したお客様に修理を行うスキームであるため、故障車両の走行距離、経過年数及び修理内容といった実績を蓄積し分析することで、より適切な故障保証商品の設計やプライシングが可能となります。その点、当社グループの累計故障保証契約台数は160万台(2010年4月~2024年3月の累計)を超過し、この契約台数を背景とした故障車両に係るデータを有しております。
ウ.修理対応力
当社グループは、お客様に安心してご利用いただけるよう、整備士資格を保有する従業員を故障保証の受付・審査を行うコールセンターへ配置し、故障内容や修理範囲の直接確認、FAINES(注)の閲覧等を通じて、不必要な修理を未然に防止し、正確かつ迅速な車両修理対応を行っております。また、リサイクル部品及びリビルド部品の活用、当社グループで構築した整備工場ネットワークへの優先入庫の促進及び直営の自動車整備工場の保有などにより、修理コストの削減を徹底しております。
(注)FAINESとは、一般社団法人日本自動車整備振興会連合会が整備事業者に対して提供する、整備マニュアルや故障整備事例等の情報データベースをいいます。
e.オートモビリティサービス事業における強みについて
ア.整備工場ネットワーク及び有料会員組織を構築
当社グループは、整備工場ネットワーク及び有料会員組織を構築しております。故障保証事業にて発生した修理車両をこの整備工場ネットワーク及び有料会員組織へ優先入庫することで、修理コストを削減しています。また、自動車整備工場は当社グループの整備工場ネットワーク及び有料会員組織に加入することで当社グループからお客様を獲得することができるため、双方にメリットのある関係性を構築しております。このことから、整備工場ネットワーク及び有料会員組織は順調に拡大しております。また、これらが拡大してくると、当社グループの自動車部品、車両卸及びソフトウェアの販売先が増えることにもつながり、オートモビリティサービス事業の更なる業容拡大が可能となります。
イ.グループ間での車両の有効活用
当社グループは、ファイナンス事業にて一定期間延滞となったお客様の車を引き揚げて、売却することでお客様の債権残高に充当しております。オートモビリティサービス事業では、その内、相見積りを経て購入した引揚車両について、当社グループの有料会員組織に通常の仕入れよりも安い価格で販売することで、当社グループは利益を獲得しながら、有料会員にもメリットのある関係性を構築しております。
ウ.ソフトウェア販売
当社グループは、自動車整備工場向けの業務ソフトウェアの販売を行っております。ソフトウェアの内容は競合他社と遜色ないものではありますが、より安い価格で提供することで、販売の拡大を目指しております。
エ.サブスクリプション(リース)
当社グループは、ご希望の車種、所有期間、アフターケアを選択できるオートリースの提供を行っております。多様化する自動車の所有形態に合わせ、当社サービスラインナップを拡充することで、より多くの人が当社サービスを提供できる環境を構築しております。
f.カープレミア事業モデルにおける強みについて
当社グループは、ファイナンス事業・故障保証事業で培った自動車販売店及び自動車整備工場のネットワークを組織化した会員組織「カープレミアクラブ」を組成し、自動車の仕入れや経営のサポートサービス等、当社グループが提供する様々な事業の会員限定サービスを提供しております。独立系であることにより、複数のサービスが提供できる当社グループは、会員のニーズに沿ったサービスの提供や会員向けに特化した営業組織や企画運営を行う体制を築き、会員個々の満足度向上を図っております。会員とより強固な信頼関係を構築し、当社グループが展開するサービスの稼働率の向上や各事業とのシナジーの創造に繋げております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載の経営環境に加え、自動車業界はCASEやMaaSに代表されるような100年に一度の大変革期を迎えており、この新しい時代に対応するべく、将来、カーシェアやメンテナンスの拠点となり得る自動車販売店や自動車整備工場とのネットワークづくりを進めていくことが、中長期的に重要になると考えております。そのため、2023年5月2日に発表した2026年3月期までの3ヵ年の中期経営計画では、当社グループは「ONE&ONLYのオートモビリティ企業」へと変化していくことを基本方針に掲げ、主力事業であるファイナンス分野、故障保証分野、オートモビリティサービス分野を引き続き拡充していくことに加え、カープレミア事業モデルを確立し、複合的に加盟店や個人の皆様と接点を持ち、日本で唯一のファイナンス事業を含んだ中古車領域経済圏の構築を目指しております。
なお、新中期経営計画「ONE&ONLY 2026」の重視する財務指標は下表のとおりです。
重視する財務指標 | 2024年3月期 (計画値) | 2024年3月期 (実績) | 2026年3月期 (最終年度計画値) |
営業収益 | 305億円 | 315億円 | 440億円 |
税引前利益 | 60億円 | 62億円 | 102億円 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 42億円 | 46億円 | 70億円 |
上記の方向性のもと、当社グループにおいて優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。
① カープレミア事業モデルの確立
「ONE&ONLYのオートモビリティ企業」を目指し、ファイナンス事業、故障保証事業、オートモビリティサービス事業の3つの領域でのNo.1を達成するため、カープレミアクラブ(モビリティ事業者向け会員組織)を中心とした中古車領域経済圏の構築が重要であると考えております。引き続き、カープレミアクラブの拡大、カープレミアブランドの認知拡大による集客力の強化、サービスのオンライン化の推進等により、会員に特化した営業組織や企画運営を行う体制を築き、会員個々の満足度向上を図ることで、より強固な信頼関係を構築し、当社グループが展開するサービスの稼働率の向上や各事業とのシナジーの創造に繋げてまいります。
② ファイナンス事業の深化
ファイナンス事業の主要サービスであるオートクレジットにおきましては、取扱高を伸長し、業界内におけるシェア向上を図ることでその基盤を更に強固にしてまいります。そのためには、カープレミアクラブの拡大による営業施策の仕組み化や営業エリアの更なる開拓、加盟店の稼働率の向上が重要と考えております。また、債権回収業務におきましても、当社のサービサー子会社のバックヤード体制の強化や当社の車両卸販売との連携を強め、グループ全社が協力して効率化を図ります。さらに、 国内で培ったノウハウを活用し、東南アジアを中心とした海外展開にも注力してまいります。既に進出しているタイ王国では、現地でファイナンス事業を営むEastern Commercial Leasing p.l.c.の業務支援を行っており、海外展開における布石としてまいります。
③ 故障保証事業の拡充
故障保証事業におきましては、その市場自体の拡大が今後の事業伸長において重要であると考えております。そのため、引き続き営業活動の強化と、加盟店・個人のお客様双方のサービス自体の認知度向上に努めてまいります。また、収益のみならず利益の向上を目指し、自社商品の取扱件数を増加させること、故障が発生した修理車両をカープレミアガレージの会員加盟店へ優先的に入庫誘導すること、及び当社グループ内で調達した中古部品を修理に利用することで、原価削減も図ってまいります。また、ファイナンス事業と同様に、海外展開にも注力してまいります。既にタイ王国、インドネシア共和国及びフィリピン共和国において事業を開始しており、既存展開先での収益化と新たなニーズの獲得に努めてまいります。
④ オートモビリティサービス事業の拡充
オートモビリティサービス事業におきましては、新たな収益の柱の構築及び安定した収益化の継続が重要であると考えております。そのため、既に収益化しているサービスの取引量の伸長に加え、既存事業とシナジー効果のある新しい事業領域への参入に取り組んでおります。展開するサービスラインナップを拡充することで自動車販売店・自動車整備工場等のモビリティ事業者への訴求力を高め、ファイナンス事業や故障保証事業、カープレミアクラブとのクロスセルの促進に努めてまいります。
⑤ 組織力の強化
今後も積極的な新卒・キャリア採用の活動を継続するとともに、ダイバーシティの推進、従業員個々の経験値の蓄積や組織としての一体感の維持、マネジメント力の更なる強化が必要であると考えております。そのため、知識・実務に係る社内研修及びOJTのみならず、当社グループの行動規範である「VALUE」という概念に基づいた研修を、執行役員を含む従業員層に対し継続的に実施することで、全従業員が各自の職務の中でその役割を体現できる、「高みを目指す」「最後まで諦めない」「既成概念の打破」といった組織風土を醸成してまいります。
⑥ グループ企業の統括
事業拡大に伴いグループ企業が増加している当社グループにおきましては、グループシナジーを創出するために、優れた事業戦略の構築及び各子会社の経営陣との情報共有、グループ企業全体のコンプライアンス強化や適切なリスク管理が重要であると考えております。また、ファイナンスをはじめとした各事業に統括会社を設置し、グループ企業の事業進捗の把握や計数の管理を徹底してまいります。
⑦ 持続的成長へ向けた取り組み
「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(ガバナンス)」に関する課題に適切に対応するESG経営を推進し、事業活動において策定した持続可能な開発目標(SDGs)を達成することが、企業価値の継続的な向上を図るうえで重要であると考えており、以下の課題に取り組んでまいります。
・E 気候変動への取り組み、資源循環型社会への取り組み、脱炭素社会への取り組み
・S (社会資本)顧客のプライバシー及びデータ保護を徹底、適切な取引・販売プロセスの実施
(人的資本)従業員の働き甲斐の醸成・人財育成、従業員の健康と安全の保護
・G コーポレート・ガバナンス体制の拡充、コンプライアンス強化・リスク管理
・その他競争力強化に向けた取り組み・イノベーション、サプライチェーンマネジメント
⑧ 中期経営計画における重点課題に向けた取り組み
2026年3月期までの3ヵ年の中期経営計画(2023年5月に発表)において、設定した重点課題に取り組み、定量目標を達成していくことで、当社グループにおける事業基盤をより盤石なものにしていくとともに、事業領域を拡大できる企業体力を養成し、更なる企業価値の向上を目指してまいります。
⑨ DXの推進
取引工程や業務のオンライン化を推進して安全かつ効率性の高い手法に移行していくとともに各事業のバックオフィス業務の効率化を図ることが重要であると考えております。また、DXの推進により、利益向上の促進かつ新たなビジネスモデルの確立による競争力の強化を行うことも重要であると考えております。2021年5月に策定した「DX戦略」のとおり、DX推進のため、経営陣を責任者とした専門組織による、事業を横断した取り組みを継続し、競争力強化や更なる企業価値の向上を目指してまいります。
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