企業兼大株主フィード・ワン東証プライム:2060】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社の研究開発活動は、畜産飼料の研究開発と品質管理を行う「研究所」及び水産飼料の研究開発や飼料物性等の研究開発を行う「水産研究所」で行っております。両研究所では、試験研究、製品開発について、国内・国外の最新の情報を取り入れて、より効率的でスピードアップした質の高い研究開発を充実した施設及び人員のもとで進めております。

 「研究所」は、畜産研究室と品質管理室の2室があります。畜産研究室は、福島リサーチセンター(福島県田村郡小野町)といわきリサーチセンター(福島県いわき市)において、採卵鶏、ブロイラー、豚、乳牛、肉牛の新製品及び新技術開発のための研究開発活動を行っております。品質管理室は鹿島リサーチセンター(茨城県神栖市)において飼料並びに食品の品質と安全管理に関する業務を行っております。また、分析業務においてはISO17025(試験所の能力に関する国際規格)を取得しており、より信頼度の高い分析による品質管理を行っております。

 「水産研究所」は、愛媛県南宇和郡愛南町にあり、小型の陸上水槽及び海面の生簀で魚類及びエビを飼育し、水産飼料の研究開発を行っております。

 併せまして「研究所」及び「水産研究所」では、開発、管理及び分析の業務で得た最新知見を共有・活用して、営業部門と共にお客様の経営改善のサポートを行っております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費は飼料事業を中心として853百万円であります。

(1)養鶏用飼料

 養鶏用飼料では、最新の育種情報や栄養学に基づく新技術開発と、農場生産コスト低減等の研究成果を採卵鶏用、ブロイラー用、種鶏用の製品に応用しています。2023年度は、前年度に引き続き鶏糞量の低減、畜産物の差別化に関するノウハウ蓄積、窒素・りん等の環境負荷物質の排出低減に関する試験研究、また、卵殻質や飼料要求率等の成績改善について取り組み、得られた知見は製品への応用や技術資料、お客様の経営サポートとして活用しております。

(2)養豚用飼料

 養豚用飼料では、最新の育種情報や栄養学を国内市場の動向に対応させた製品開発に取り組んでいます。2023年度は、肉豚用薄脂対策飼料として「ノリノリポーク」を新発売しました。「ノリノリポーク」は基礎研究を重ね、発育を維持したまま背脂肪の蓄積が可能となる当社独自の配合設計により、お客様より高い評価を頂いており、その新規性から特許の出願を行っております。

 また、環境負荷低減として、飼料要求率の改善や低タンパク質飼料の開発による窒素排出量の抑制研究も行っております。

 その他、IoTによる養豚産業への貢献を目的に、大学や企業との共同研究にて畜産IoT技術の開発にも継続的に取り組んでおります。

(3)養牛用飼料

 酪農及び肉牛生産において、生産性向上と生産コスト低減は常に重要課題として取り組んでおります。乳牛用飼料においては、当社独自の飼料設計技術及びその技術に基づいた製品の開発、さらにロボット搾乳や乳牛のゲノム解析という新たな分野の研究に取り組み、酪農家の皆様への技術サポートを行っております。肉牛用飼料では、増体成績、枝肉成績の向上に寄与する研究を継続し、脂肪交雑や繁殖改善に関する技術開発を進めております。

 また環境負荷低減のため、温室効果ガスとして牛からのメタン発生が世界的な課題となっており、当研究所でもメタン発生を抑制する飼料・技術の開発研究に取り組んでおります。

(4)水産飼料

 水産飼料では、最新の栄養学的知見や研究成果をもとに、成長性、肉質向上、生産コスト削減、IoT技術の活用といったテーマを掲げて製品開発に取り組んでおります。SDGsの観点からは、主に魚粉を中心とする天然資源への依存度を下げた飼料の開発、天然の稚魚に頼らない完全養殖を目指したブリの人工種苗生産を実施しております。

 特に水産飼料において、持続的な養殖生産のために海洋資源の保護及び原料の安定供給の観点から魚粉及び魚油の依存度を下げることは最重要課題であり、様々なアプローチから脱魚粉・脱魚油化を推進する研究開発を継続しております。

 これまでに、マス用及びマダイ用に魚粉を含めた動物質性原料の配合率を30%程度に低減した低魚粉飼料を販売しておりましたが、2023年度はマダイ用魚粉無配合飼料「サステナZERO」の開発と発売を実現しました。また、一定期間魚に対し制限給餌を行うことで発現する「補償成長」技術の大規模実証試験を実施し、今後の製品開発に向けた成果と知見を獲得しております。

 当社では、今後もより一層の低魚粉・無魚粉化を進める上での様々な課題に挑戦し、従来の高魚粉飼料に負けない性能を持った更なる魚粉低減化を軸とした「次世代飼料」の開発を行うことで、海洋資源に依存しない持続的な養殖業への貢献、また養殖生産コスト低減の一助となるよう取り組んでいきます。

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