企業兼大株主ファナック東証プライム:6954】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在の状況に対する判断に基づくものです。

 (1)サステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理

[ガバナンス]

当社はサステナビリティ全般を重要な経営課題の一つと認識しています。

代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」において、サステナビリティ全般に関する重要な方針や施策について審議・決定を行い、取締役会に報告します。

  取締役会は報告内容に基づいて、サステナビリティ全般に関連するリスクと機会の特定と対策が適切に推進されるよう監督を行います。

[リスク管理]

当社は、事業の継続性、企業価値の向上、企業活動の持続的発展を阻害するおそれのあるリスクに対処するため、リスクマネジメント委員会およびリスクマネジメント規程を設け、取締役会の監督のもと、適切なリスクマネジメントを行っています。サステナビリティ全般に関するリスクについても、この中に位置づけてリスク管理します。

(2)気候変動への取り組みとTCFDに基づく情報開示

COP21(第21回国連気候変動枠組条約締約国会議)で採択されたパリ協定を機に、世界的に脱炭素社会へ向けた動きが広がっています。グローバルに事業を展開している当社グループにとっても、気候変動は重要な経営課題であると認識し、取り組みを推進しています。

 こうした中、当社は2021年12月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言(以下、TCFD提言)への賛同を表明しました。

 今後もTCFD提言のフレームワークを活用して、継続的に情報開示の質と量を充実させるとともに、気候変動への取り組みを一層推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

[戦略]

 当社は気候変動に関連するリスクと機会を特定し、それらが当社グループの事業に及ぼす影響を確認するために、FA事業、ロボット事業およびロボマシン事業について、1.5℃シナリオ、2℃シナリオ、4℃シナリオを用いて、中期(2030年)と長期(2050年)を対象にシナリオ分析を実施しました。シナリオ分析にあたり、1.5℃においてはIEA NZE、IPCC RCP1.9など、2℃においてはIEA SDS、IPCC RCP2.6など、4℃においてはIEA STEPS、IPCC RCP8.5などを参照しました。各シナリオに対して、気候変動に関連するリスクと機会を洗い出し、事業への影響度を定量的かつ定性的に検証・評価しました。

 このうち、事業へ大きな影響を与えるリスクとして「炭素税の導入によるコスト増」、「原材料価格の上昇によるコスト増」および「消費者の行動変容やEV/FCV化による一部ファナック商品の需要減」を特定し、機会として「省エネ・ロボット化によるファナック商品の需要増」、「EV/FCV化によるファナック商品の需要増」を特定しました。


1.5℃および2℃シナリオでは、脱炭素化への移行に伴う大きな社会変化が起こる世界が想定されます。炭素税の導入や原材料価格の上昇によりコストが増加する可能性がありますが、省エネ・ロボット化やEV/FCV化が拡大することにより、FA事業、ロボット事業およびロボマシン事業を拡大できると考えます。4℃シナリオでは低炭素化は推進されず、平均気温上昇等の気候変動により自然災害の激甚化が想定されます。これにより生産拠点等が被害を受け、生産にマイナスの影響が生じるとともに復旧コストが増加する可能性がありますので、事業継続計画(BCP)対応を推進し、物理面でのリスクに対応してまいります。

 今回、FA事業、ロボット事業およびロボマシン事業についてシナリオ分析を行った結果、分析で使用したいずれのシナリオにおいても、これらの事業は高いレジリエンスを有していると評価しました。今後、特定したリスクへの対応と機会の実現に向けて、取り組みを一層推進してまいります。

[指標・目標]

 当社は2050年までに当社グループの事業活動に伴うGHG排出量(Scope1, 2)をゼロにするという長期目標を設定しています。この長期目標の実現に向けて、2030年までに同排出量を42%削減する(2020年比)という中期目標を定めています。Scope3については販売した製品の使用による排出量を2030年までに12.3%削減(2020年比)することを目指します。

(3)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針

[戦略]

 当社は、社員を事業活動を支え、社益の実現を図る人的財産であると考え、一人ひとりの健康と成長を支援し、安全・安心のもと、やりがいを持って自己実現を図る環境を整えていきます。

<人材育成・働きがいの向上>

 今後企業としての持続的成長を実現していくためには、社員一人ひとりが当社の基本理念・組織のビジョンに対する理解を深め、自己の役割を認識した強い個として自律的に行動し、自身のキャリア志向や強みに応じて成長し、相互に関わり合いながらその力を最大限に発揮できる機会を提供することが必要であると考えています。

 そのための施策として、以下の取組みを行っています。

 ①キャリア形成支援

 社員一人ひとりのキャリア開発の支援に向けて、研修を通じた上司と部下との対話の場づくりに取り組んでいます。

 上司に対しては、マネジメント・リーダーシップの向上を図る研修を実施し、双方向の対話を通して部下の成長支援に取り組むことの重要性を伝えるとともに、部下との対話の場面で活かせるスキルと知識の習得を図っています。

 部下に対しては、大切にする価値観を軸とした成長プランを実行する「若手社員研修」、プロフェッショナルとして専門領域を追求する「中堅社員研修」を実施し、それぞれのキャリアビジョンを上司との間で共有し、支援を受ける場を設けています。

 ②社内公募制度

 新たな人材を必要とする部門が、求める人材要件を明確にして社内で人材を募集する社内公募を実施しています。

 社員が自分のキャリア実現のために新たな仕事にチャレンジする仕組みを設けることで、組織の活性化と個人のモチベーションの向上を図っています。

 ③組織文化診断

「組織文化診断」を毎年実施し、社員の意識調査を行っています。各組織で調査結果から組織の課題を設定し、対策を実行するPDCAサイクルを回し、継続的に職場環境の改善、働きがいの向上に向けた取組みを積み重ねています。

<ダイバーシティ&インクルージョン>

 ファナックは、人材の多様性を受け入れ、価値観等の個性を互いに尊重し、各社員が多様な能力を発揮できるようグループ全体で取り組むこと(ダイバーシティ&インクルージョン)で、組織の更なる強化と会社の持続的成長を目指します。

 ①ダイバーシティ研修

 社員一人ひとりが多様性を受容する組織風土の醸成に向けて、継続的に全社員対象のダイバーシティ研修を開催しています。

 研修では、ダイバーシティ推進の意義・重要性の理解を通した当事者意識の醸成・浸透を図るとともに、各個人の具体的な行動へと繋げるために、自職場で意識し取り組むべきポイントを伝えています。

  (2022年度には、アンコンシャスバイアスをテーマとした研修を実施)

②女性活躍推進

 「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」等の計画に基づき、以下の対応を行っています。

  ・「女性正社員比率10%」の目標に向け女性の採用を積極的に進めています。

 女性技術者をはじめとする女性の採用に向けて、学校訪問・学生による会社訪問の対応を女性社員が行い、会社生活に関する女性同士の対話の場を作るなどの取り組みを行っています。

    ・能力ある女性を積極的に幹部社員に登用します。

 これにより3.3%(2023年3月末現在)の女性幹部社員比率を2030年までに5%以上とすることを目指しており、女性幹部社員候補者の把握と計画的育成を進めています。

・出産休暇、育児休職、小学校卒業までの短時間勤務などの制度の充実化とともに、仕事と育児・介

 護・治療との両立のため、長時間労働の削減や年次休暇の取得目標の設定、時間単位年休の導入な

 ど、男女社員ともに働きやすい環境の整備を進めています。

・女性社員の悩みについて先輩女性社員が助言できるよう、先輩女性社員と若手女性社員間のネットワ

  ーク作りを推進中です。

 また、女性社員のキャリア形成を支援する制度の拡充、外部セミナへの参加も行っています。

 ③経験者採用者の登用

 経験者採用に積極的に取組む(2014年以降実施中)とともに、経験者採用者の幹部社員登用についても採用時期等による適性等の差を設けず、柔軟に最適な登用へ取り組んでいます。

 ④外国人の登用

 経験者採用者と同様に、国籍等による適性等の差を設けず、柔軟に最適な登用へ取り組んでいます。

 ⑤仕事と家庭の両立支援

 仕事と家庭の両立支援に向け、2019年に本社施設内で社員向け保育所を開設しました。

 また、年次有給休暇取得率の目標を80%以上として総実労働時間短縮を図っているほか、育児・介護休職制度に関する全社周知、仕事と育児・介護の両立支援に関する相談窓口の設置を通して、男性社員の育児休業の取得促進を図っています。

<健康経営>

 当社のビジョンを達成するためには、事業基盤を支える社員とその家族の健康、幸福が基盤であると考えます。

 心身ともに健康で、幸せで豊かな生活を送り、いきいきとやりがいを持って、活躍できる環境を整えていきます。

 ①推進体制

 人事本部長を健康づくり責任者に、厚生部が事務局を担います。

 推進に当たり、健康づくり推進委員会を設置し、この委員会のもとに下記の6つのタスクフォースチームを配置し、関連部門の意見を取り入れ、全社一体となって取り組みます。

「予防・健診・保健指導チーム」「健康保険組合連携チーム」「教育チーム」「広報・取引先支援チーム」「健康施策推進チーム」「食生活改善チーム」

 ②活動方針

  ・健康基盤をより強固とする「健康づくり推進」を企業価値向上の新たなエンジンとする。

  ・「健康経営優良法人」資格を取得し、中長期的視野で活動を推進する。

      (2023年3月8日に「健康経営優良法人2023」(大規模法人部門)に認定)

 ③主な活動内容

  ・健康診断と2次検診の受診率向上、保健指導の充実

  ・メンタルヘルス不調者への対応強化、セルフケア、ラインケア研修の実施

  ・女性特有の健康関連課題に関する教育の実施

  ・特定保健指導の実施率向上および配偶者健診の受診率向上

  ・取引先の健康づくり推進の状況把握と支援

  ・メルマガの発信、ウォークラリーの実施、喫煙率低下に向けた取組み

  ・食堂メニューの改善、食生活改善のための情報提供やキャンペーンの企画

<安全衛生>

 安全衛生理念「従業員の安全と健康を第一とする」を掲げ、理念を追求するために安全衛生管理方針を毎年見直し、以下の体制で取組みを行っています。

 ①推進体制

 全社の安全衛生管理方針および安全衛生に関する施策、重要事項等を審議決定する組織として

「ファナック安全衛生委員会」を設けています。

 代表取締役社長 兼 CEOを責任者と定め、各事業本部の役員、および、組合委員長をメンバとして人事本部安全衛生部が事務局となってとりまとめを行い、同委員会を年2回開催しています。

 また、工場4地区、営業所等5地区に法律に基づいた地区安全衛生委員会を設け、活動を行っています。

 各地区安全衛生委員会では、下部組織である各部単位の職場安全衛生委員会を開催し、地区安全衛生委員会での指示事項などを職場末端まで伝えています。

 ②労働災害防止

 設備設置時の生産設備稼働前アセスメントを実施

 ③職場環境改善

 作業環境測定結果により、職場環境の改善を実施

 ④健康保持増進

 特殊健康診断の実施と、結果のフォローにより、業務上疾病者の撲滅を図る

 ⑤教育

 新任チームリーダを対象に専門機関による職長教育と、安全衛生部による安全衛生教育

[指標・目標]

 当社グループでは、上記[戦略]において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標および実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

目標

実績(当事業年度)

女性正社員比率

10%

7.1%

女性幹部社員比率

5%

3.3%

年次休暇取得率

80%

86.8%

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