ファインシンター 【東証スタンダード:5994】「金属製品」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
〔基本理念〕
ものつくりを通し、すみよい社会と人々の幸せに貢献する
〔長期方針〕
① 21世紀に勝ち残る企業基盤を確立する
・品質第一に徹し、魅力ある商品・技術の実現
② 良い社風を築き、地域に信頼される企業を目指す
③ 明るく働きがいのある職場を築く
〔サステナビリティ方針〕
ものつくりを通し、すみよい社会と人々の幸せに貢献する
(基本理念がSDGsのアジェンダと重なり、グローバル・グループ内に浸透していることからサステナビリティ方針と位置付けております。)
(2)目標とする経営指標
当社は、事業ポートフォリオ変革の拡大による売上高の伸張と、事業基盤の強化・付加価値の向上及び資本効率向上による売上高営業利益率、及び株主資本利益率(ROE)、モビリティの脱炭素化への貢献のためCO₂排出量の削減率を重要な経営指標としております。
(3)経営環境及び対処すべき課題
当社グループの主要顧客である自動車産業は、100年に一度の大変革が進行中であり、特にBEV化の流れも継続しております。また、気候危機・生物多様性・食糧難・水不足などの社会課題の国際的な取り組み、AI・デジタル技術の変化など、当社を取り巻く環境は大きく変動しております。環境の変化を成長機会と捉え、経営基盤の強化とともに、足元の収益力・資本効率向上によって原資確保をおこない、成長事業への経営リソーセス投入することなどにより、2030年ビジョンと中期経営計画2025に沿って、持続的成長と企業価値向上に努めてまいります。
一方で、当社は、2024年5月16日に公表した子会社であるファインシンターインドネシア株式会社において、棚卸資産の不適切会計の疑いを認識したことを受け、同年5月23日に外部の専門家から構成される特別調査委員会を設置し、調査を進めてまいりました。その結果、棚卸資産の過大計上が判明いたしました。また、当該調査の過程において、当社国内工場における棚卸資産の過大計上が判明いたしました。これらの原因として、当社グループ内における黒字化に対する強いプレッシャーがあったこと、棚卸資産管理に関する社内規程の整備および運用が不十分であったこと、会議体及び内部監査のモニタリングが機能せず長期にわたり発見できなかったこと等が挙げられますが、これを真摯に受け止め、特別調査委員会からの再発防止策の提言を踏まえて、グループ一体となって以下再発防止策を確実に実行してまいります。
①海外子会社における牽制機能の強化
②海外子会社との関係性の見直し(双方向の議論、定期的ローテーション等)
③当社における役割と責任の明確化
④会計ルールの意味についての周知徹底
⑤当社グループにおける組織風土の見直し
⑥内部監査の強化
⑦内部通報制度の充実
これらの取り組みを通じて、次の成長を確かなものとするための強固な経営基盤を築いてまいります。
1.FINE SINTER VISION 2030
▪時代の変革を支えるモノづくり企業としてモビリティの脱炭素化・多様化、人びとの健康及び地球環境に貢献
▪Innovation by 材料技術 × 匠の技 × デジタル技術 × 社会
▪あらゆるステークホルダーのため、一人ひとりがワクワク感を持ち、サステナブルな社会に貢献
2.経営目標
2025年度の経営目標として、売上高は400億円、8%の営業利益、10%のROEを達成し、さらに将来の成長
につなげることを目指します。具体的には、寄せ停め・ロス低減などによる収益力向上、モノづくり革新など
で競争力の強化と収益性向上を図り、将来の成長に向けた事業ポートフォリオ変革を進めるとともに、持続的
成長に向けESG経営を推進します。
3.基本戦略
(1)新規事業分野の拡大
①磁性材製品の拡大
・ハイブリッド車用インバーター部品(リアクトルコア)の拡大
(2024年4月ファインシンター東北新ライン立上げ、次世代リアクトルコア等)
・高付加価値化(リアクトルコア単品からアッセンブリー製品の顧客への提案)
・上記技術を活用したBEV用製品の開発・顧客への提案
②鉄道事業の強化
・高シェアの新幹線向けに加え在来線用や海外鉄道向けにビジネスを拡大
・産業用集電部品について鉄道事業の材料と技術、更に自動車焼結部品で培ったネットシェイプ技術を活かし、低コスト化
・創業以来培ってきた集電性・耐摩耗性に関する技術を活かし、高機能・新用途製品の開発・拡販
③油圧事業の強化
・手術台や画像診断など医療機器分野の海外を中心とした拡大及びブランド力を活かした高級デンタルチェアのアジアでの拡販
・SDGsの循環型社会構築を意識した小型産廃機器開発や、小型で廉価なクランプユニットの開発とともに産業用機器への活用を図り、顧客価値創造を通じた事業の拡大を図っております。
④将来に向けた新規事業分野の開拓(粉末に加工する技術と熱処理技術を活かした昆虫食事業等)
(2)競争力強化
①デジタル技術と匠の技の融合によるモノづくりの革新(「未来Factory」の導入とその技術の展開)
②グローバル最適生産・供給体制
・製品別に「最適生産拠点」の設定、グローバル最適調達を推進
・タイ子会社をアジアの中核工場と位置づけ、タイ子会社第2拠点立上げ
(2024年6月量産品出荷開始、順次生産拡大予定)
(3)新規事業分野への原資確保
①徹底的な寄せ停め・整流化の推進
②ロスの撲滅とムダの排除による生産性向上
(4)ESG経営
当社の企業理念、「ものつくりを通し、すみよい社会と人々の幸せに貢献する」の実現はESG経営につながります。
①環境
・2050年度のカーボンニュートラルに向けた取り組み(主な取り組みは「サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください)2023年度までの実績は38.3%削減です。
・廃棄物については、2010年度比で2025年度までに45%削減、2030年度までに50%削減を目標としており、2023年度までの削減実績は60.5%です。
②社会
社会との共生・共創
以下の取り組みにより社会とつながることは、刺激や新たな発想などのきっかけとなり、長期的な企業価値向上につながるものと考えております。
・人権や環境等の社会問題への影響を考慮した鉱物調達活動のグローバル推進
・環境保護活動、主体的なボランティア活動や地域社会との交流
エンゲージメントの向上
主な取り組みは「サステナビリティに関する考え方及び取組(2)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」をご参照ください。
③ガバナンス
ガバナンス体制の強化
2024年1月に新設したコーポレートガバナンス部を軸に、グローバルでの風通しのよい風土への改革とコンプライアンス強化、リスク管理体制含めた内部統制の強化に取り組んでまいります。
資本コストを意識した経営
資本コストを上回るROE目標を設定し、収益力向上、競争力の強化及び事業ポートフォリオ変革による利益率と資産効率の向上を通じて、企業価値の最大化を目指してまいります。
また、キャピタルアロケーション方針として、最適資本構成を目指し、営業キャッシュフロー拡大に加えて、政策保有株等の資産処分を原資に、財務基盤の強化、戦略投資や研究開発、人的資本投資、株主還元に適切に配分してまいります。
なお、政策保有株については2024年3月期に19銘柄中、3銘柄を売却、4銘柄について縮減を進めており、2025年3月期までに更に縮減を進める方針を2024年2月取締役会において決議しております。
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