企業ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ東証グロース:6090】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、「未来の子供たちのために、最先端のメタボローム解析技術とバイオ技術を活用した研究開発により、人々の健康で豊かな暮らしに貢献する」ことを企業理念とし、その達成のために、ヘルスケア分野の研究開発に携わる人々のベストパートナーとして、画期的なヘルスケア製品・サービスの創造に貢献する[ヘルスケア・ソリューション・プロバイダー]を目指して活動をしてまいります。

 これらの活動を通じて、産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力の向上(SDG’s目標9)に貢献していきます。その結果クライアント企業及び自社の製品化・サービス化により、感染症などへの予防・対処や健康増進(SDG’s目標3)に貢献していきたいと考えております。

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、当連結会計年度におきましても11期連続での増収となりました。営業利益も対前年比4.4%増となりましたが、中期経営計画の目標に対しては未達となりました。持続的な中長期的成長を果たすために第21期から第23期(2024年6月期から2026年6月期)までの中期経営計画は成長基盤構築をテーマとしており、中長期的な成長を果たすためのイノベーションを創出しつつ、当初の中期経営計画に基づく利益計画を達成し、企業価値の向上を図っていくことがステークホルダーから期待されているものと認識しております。

2026年6月期までの中期経営計画におきましては、当社グループの企業理念の実現に向けた道のりの通過点として、最終年度には以下の経営指標を目標としております。

1)連結売上高      16億円

2)連結営業利益      3億円

(3) 経営環境

 当社グループが属するライフサイエンス業界は、少子高齢化といった国内環境にあっても、成長が見込まれる数少ない分野の一つであります。また将来の感染症予防・対策への関心も高く、研究開発投資が高水準で継続しており、今後も同様に推移することが想定されます。

 また政府がバイオエコノミー戦略2024を発表し、環境負荷軽減、資源自律経済の実現、食料安定供給などに資する「バイオものづくり」市場の急拡大が見込まれています。バイオエコノミー市場は2030年から2040年には200兆円から400兆円になるという試算もあり*1、バイオエコノミー戦略では2030年に100兆円を目指すこととしております*2。「バイオものづくり」の実用化には、生産性向上によるコスト削減が重要な課題の一つですが、メタボロミクスによる生産性マーカーや律速反応の特定が、この課題の解決に極めて有用であると期待されています。

*1:出所:2023年5月経産省資料「2020 McKinsey Global Institute Analysis」

*2:出所:「2024年6月内閣府バイオエコノミー戦略」

(4) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

 当社グループの中期経営戦略は、基盤となる先端研究開発支援事業の持続的収益拡大とヘルスケア・ソリューション事業の早期確立です。

2020年6月期以降、2023年6月期までは会社の経営基盤の構築期間と位置付け、不採算事業の整理や生産性向上を推進し、持続的な事業活動を可能とする財務体質の強化に努めてまいりました。この結果、当社グループ連結では増収増益を継続し、安定した事業基盤・収益基盤を構築することができました。

2024年6月期から2026年6月期までの中期経営計画は、これまでの先端研究開発支援事業において着実な増収増益を図るとともに、ヘルスケア・ソリューション事業の拡大と収益化のための事業基盤構築の時期と位置付けております。

[先端研究開発支援事業]

 高感度網羅解析技術を活用した新サービスメニューの拡充や生産性の向上を通じて、さらなるオペレーショナル・エクセレンスを高めてまいります。このような活動を推進することでこれまで同様、持続的な増収増益を目指します。

[ヘルスケア・ソリューション事業]

 機能性素材開発包括支援サービスの提供を通じて、機能性素材開発企業の画期的な製品開発を支援することで、成長に向けた事業基盤を構築してまいります。当該セグメントは開発投資が先行しており、セグメント損失を計上してきましたが、中期経営計画では全社共通配賦経費を除いたセグメント利益の計上を目指します。

 上述の中期計画達成のために、当社グループが対処すべき課題は以下のとおりです。

①企業分野での売上成長

 先端研究開発支援事業、ヘルスケア・ソリューション事業ともに企業分野での売上成長を目指してまいります。

 先端研究開発支援事業では、1)革新的な新サービス提供、2)海外事業強化、3)新規事業創造を進めてまいります。

1)革新的な新サービス提供

 低分子化合物(いわゆる代謝物質)と高分子化合物(タンパク質など)の中間程度の分子量を有する中分子化合物の網羅解析を可能とする独自技術の開発を進め、中分子メタボロミクスサービスとして提供してまいります。

 当社グループの強みであるキャピラリー電気泳動質量分析装置(CE-MS)を応用した独創性の高い分析手法であり、既存のメタボロミクス(低分子化合物の網羅解析技術)やプロテオミクス(タンパク質の網羅解析技術)では解析対象に含まれない中分子領域の物質群を網羅的に解析することが可能です。創薬研究に加え新規のバイオマーカーや機能性物質の探索、作用機序の解明などをさらに進化させていくことができます。製薬企業や医学薬学分野の研究者などが主要な顧客になると考えております。

2)海外事業強化

 欧米グローバル企業からの当社サービスに対する評価が高まり、徐々に受注が拡大しております。これを加速するために営業リソースを強化し、特にグローバルファーマ向けの高感度網羅解析サービスの受注を拡大することに加え、新サービスの拡販にも取り組んでまいります。

3)新規事業創造

「バイオものづくり」生産性向上支援サービスの開発に取組みます。政府がバイオエコノミー戦略2024を発表し、環境負荷軽減、資源自律経済の実現、食料安定供給などに資する「バイオものづくり」市場の急拡大が見込まれています。バイオエコノミー市場は2030年から2040年には200兆円から400兆円になるという試算もあり*1、バイオエコノミー戦略では2030年に100兆円を目指すこととしております*2。

「バイオものづくり」の実用化には、生産性向上によるコスト削減が重要な課題の一つですが、メタボロミクスによる生産性マーカーや律速反応の特定が、この課題の解決に極めて有用であると期待されています。これには、よりハイスループットなメタボローム解析技術や高度な代謝シミュレーション技術が求められるため、当社グループはこれまでに培ってきた技術・ノウハウなどを活かし、これら技術の確立を進めており、年度内にもパイロット顧客との取組みを開始する予定です。

*1:出所:2023年5月経産省資料「2020 McKinsey Global Institute Analysis」

*2:出所:「2024年6月内閣府バイオエコノミー戦略」

 ヘルスケア・ソリューション事業においては、機能性素材開発包括支援サービスの拡販にさらに注力してまいります。2024年8月には大幅に対象物質を拡充した機能性関与成分探索パッケージの提供を開始いたしました。地域商社などと連携して拡販することにより、地域活性化の取組支援を強化してまいります。山形県の地域商社との取組みは、2024年5月より開始しております。今後は他県への横展開などを進めてまいります。また食品・化粧品の機能性に関する予測が可能となるヘルスクレーム予測パッケージも機能を強化して展開を加速してまいります。これらの機能性素材開発包括支援サービスの提供を通じて、廃棄物や残渣などの未利用資源の利活用および価値向上によるSDGs推進の取組みを支援してまいります。

②生産性の向上による収益性の更なる改善

 当社グループの解析業務は鶴岡本社で実施しており、上述売上増に対応するためのキャパシティ改善を効率的に行うことにより、生産性を改善し、収益性を大幅に改善することにつながります。そのための生産管理システムを導入などのデジタル化の推進に加えて、ロボット導入などによる自働化推進、ハイスループット技術手法の開発による単位当たりの解析時間短縮など、多面的な生産性改善を進めてまいります。また解析以外の業務につきましても、デジタル化を推進していくことで、業務の見える化を推進し、効率改善を通じた生産性改善を行ってまいります。

③リスク管理体制の強化

 中期経営計画では、新たなサービス・ソリューションの開発・導入が持続的成長のカギとなるため、チャレンジングな取組みを効率よく実行することが求められています。また、当社グループを取り巻く事業環境の変化に対する継続的なリスク対策の検討も必要となっています。

 当社グループではリスク管理委員会による全社横断的なリスク評価と対策検討を行うことに加えて、月次開発会議での開発に係る討議を行うことで、機動的なリスク管理を実施しております。また情報セキュリティリスクに関しても、一定の対策を講じ、継続的に対応強化を推進しております。

④従業員の成長

 当社グループの付加価値を創造しているのは従業員です。当社グループがヘルスケア・ソリューション・プロバイダーへ成長するためには、従業員が新たな価値を創造し、社会実装につなげるという一連のサイクルを高速に回すことが重要となります。そのためには、従業員のさらなる成長が不可欠であり、新たな取組みにも積極的にチャレンジし、成長できる環境(体制・ツール)の整備などに取り組んでまいります。

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