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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社の基本理念である「企業は社会の公器である」という考え方は、その存在意義を示すもので、「企業は社会に役立ってこそ存在価値があり、利潤を上げることができ、存続していける」という信念を表しています。企業は、社会に対して有益な価値を提供するために存在し、社会の期待に十分応えられてこそ、よき企業として社会から信頼され、共存できると考えております。
(2) 経営環境・経営戦略等
当社グループは、企業として収益をあげることにより社会に貢献していくことを目標に掲げ、企業として本来の姿に戻すべきであるという思いから「本来の姿に」をテーマに2022年4月8日に新中期経営計画を策定いたしました。
当中期経営計画におきましては、競争優位性のあるプロダクトの開発と事業と人材を創造する会社に生まれ変わり、安定的収益を確保し、売上至上主義の経営から利益至上主義の経営を目指しております。具体的には、かかる方針に基づき以下の事業展開を行ってまいりました。
①コスメ事業としてチャネル開発とチャネル別の新規商品開発
②ビューティ&ウェルネス事業として各分野の著名人と確かなエビデンスのある商品の共同開発及びブランド開発
③新事業の開発としてサスティナブル事業において希少成分の研究開発及び販売、微細藻類の屋内培養時の光合成によるCO2の削減及び微細藻類の培養設備の販売、再生医療関連
事業においてヒト由来化粧品原料の研究、販売及び自動細胞培養ロボットの開発
④リスクキャパシティの範囲において、成長分野への積極的な投資による中長期的な成長事業分野の開拓
2024年3月期において以上の経営戦略に基づいた事業を行った結果、①につきましては、「クールフィットカバーパウダー」といったロングセラー商品が好調で売上の向上に貢献いたしました。②については、女優・モデルであるMicako氏と共同開発した『Micaco inspiring』シリーズ「骨盤ストレッチエアーベルト」がユーザーの好評をいただきビューティ&ウエルネス事業の売上は前期比において大きく伸長いたしました。③については、サスティナブル事業において、微細藻類の培養装置の販売が進捗いたしました。また医療再生事業につきましては、受託開発に関する売上が当初の予想を大きく上回る業績を残すことができました。
しかしながら、2022年4月8日発表の中期経営計画において計画した2024年3月期の定量的目標には未達となりました。当社グループとしてはかかる状況をふまえ現在、低収益事業についての抜本的な構造的改革及び事業ポートフォーリオの再編も含めた現中期経営計画の見直しを行っており、その内容については2025年3月期上半期に発表する予定です。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
我が国及び世界における経済と企業経営は、新型コロナウイルス感染症の影響による制限から経済活動が回復に向かう一方で、ウクライナ侵攻の長期化による原材料価格の高騰や急激な為替相場の変動等により、今後も不透明な状況が続くものと予想されます。このような環境の中、当社グループは、業務及び事業に与える影響を最小限に抑える対策を講じながら、以下のような課題に対して対処してまいります。
① 低収益事業の抜本的改革及びグループ全体の将来的展開をふまえた事業ポートフォリオの再編
当社グループのコスメ事業においては、当期に「Ex:BEAUTE」ブランドとして、2023年秋にスキンケアの融合技術を取り入れた高機能「薬用ファンデーション(医薬部外品)」シリーズの発売をいたしました。しかしながら、市場における認知が充分に浸透せず、販売実績は当初の見通しを下回る結果となりました。今後の対処すべき課題としては、この反省をふまえ一層、比較優位性のある商品開発を進めるとともにマーケティング戦略及び販売戦略、全体的なコスト構造の見直しなど、抜本的にコスメ事業の改革に取り組んでまいります。また、将来的な成長戦略として、事業の収益性、市場の将来性などを検討し資本コストを意識した事業展開を行うため、必要に応じて事業ポートフォリオの組替えも進めてまいります
② グループシナジーの創出にむけた最先端バイオテクノロジーを活用した新商品開発の継続
当社グループは、微細藻類を由来とする有用成分であるフコキサンチン原料とヒト由来化粧品原料を配合した新商品など最先端バイオテクノロジーを活用した新商品の開発に取り組んでおります。今後、当社グループでは、引き続き同業他社製品に対し競合優位性をもつ商品開発を進めるとともに新たな市場開拓を行い、当社グループの事業ポートフォリオにおける主要事業の一つに成長させる所存です。
③ 新事業の開発
当社グループでは、再生医療関連事業及びサスティナブル事業を今後のグループ成長戦略の中核として位置付けております。当期においてこの二つの事業は助走期間から離陸期間へと新しいステージに移行いたしました。
再生医療関連事業分野においては、当期において当初の予想を大幅に上回る業績を残すことができました。これは当事業の将来性を予見させるものであり、今後、当事業分野の市場は大幅に拡大していくものと想定しております。かかる状況をふまえ当社グループでは当事業における今後の課題は、主に次の2点であると認識しております。その第一の課題は、今後の市場拡大に対して当社グループが迅速かつ機会損失なく対応していくことです。第二の課題は、当社グループが当事業分野で開発した新技術の優位性を将来の市場シェアの確保に結び付けていくことです。第一番目の課題につきましては、今後ハード及びソフト面への投資を引き続き行い、事業基盤の確立を行うとともに、一層の売上増加を進めるために販売チャネルの多角化や製品の応用分野の拡大を進めてまいります。第二番目の課題につきましては、当社グループが開発した新技術について特許申請を早期に進めてまいります。
サスティナブル事業については当期において「屋内微細藻類培養時の光合成を活用したCO₂削減装置」の販売及び、微細藻類についての「培養コンサルティング」を行ってまいりました。また、「海と牛と地球のみらいを。」をテーマにした環境プロジェクト「Kaginowa」を立ち上げ、カーボンニュートラルに貢献するために「カギケノリ」の養殖技術の開発を行ってまいりました。これらの結果、前連結会計年度比において大幅に売上を伸長させることができました。しかし、当連結会計年度においては、投資が先行している状況であり、事業としての収益化には至っておりません。従って当事業における今後の課題は、投資が継続する状況において、早期に損益分岐点を上回る売上を達成させることであると認識しております。そのため当社グループとしては、当事業における販売チャネルの多角化、新規事業パートナーの開拓、製品の応用領域の拡大、市場への効果的なプロモーションの実施を行い、売上高の早期増加を進めてまいります。
④ 成長戦略実現に必要な資金の確保
上記のような、当社グループの成長戦略を推進していくにあたり、投資資金の確保が重要な課題となっております。当社グループでは、これらに必要な投資資金を確保するために柔軟で機動的な資本政策の実施、有利子負債の活用など多面的な資金調達方法によりこの課題に対応し、リスクキャパシティの範囲において、積極的に成長分野への投資を行ってまいります。
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