バンドー化学 【東証プライム:5195】「ゴム製品」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)気候変動
気候変動は、自然環境や生態系のみならず、経済・社会にも甚大な影響を与える世界的な課題です。当社グループは、気候変動への対応を重要課題の1つとして認識し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の情報開示の枠組みを活用し、リスクと機会の抽出、評価を行い、サステナブルでレジリエントな事業展開をめざしております。
①ガバナンス
当社グループでは、気候変動に係る重要事項について、執行役員で構成される「経営課題審議会」で審議しております。また、1年に1度開催される「サステナビリティ委員会」において、「経営課題審議会」で審議された気候変動課題への対応方針等を共有し、気候変動課題に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行っております。
取締役会は、「サステナビリティ委員会」で討議・決議された内容の報告を受け、当社グループの気候変動課題への対応方針および実行計画について討議・監督を行っております。
取締役社長は、「経営課題審議会」の議長であると同時に「リスク管理委員会」、「サステナビリティ委員会」の委員長を務め、当社グループの気候変動課題に係る経営判断の責任を負っております。
②戦略
気候変動関連の1.5℃~2℃シナリオおよび4℃シナリオにおける事業リスクと機会のシナリオ分析を実施しました。当社グループの事業においては、気候変動対策として進む自動車のEV化にともなう新車向け補機駆動用伝動ベルトの売上減少を最大のリスクと位置付けております。当該リスクに対応するため、当社グループの強みを深掘りし、その強みを軸とした新たな価値を創造し提供することによって、新事業・現事業の進化に取り組みます。
新事業においては、「医療機器・ヘルスケア機器」と「電子資材」に注力し、新たな事業基盤を確立する取り組みを進めております。そのなかで、「医療機器・ヘルスケア機器」では、2019年に株式会社Aimedic MMTの株式を取得することで、当社が独自開発した製品を活用した医療機器を同社から販売するとともに、当社においてもヘルスケア機器の販売を開始しております。「電子資材」では、当社のコア技術を活用した製品を開発し、販売しております。現事業においては、2030年頃まで需要が続く見込みの内燃機関を使用した自動車補修市場向け補機駆動用伝動ベルトのシェアを拡大するとともに、EV向け製品を開発・提供することで、事業成長を図ります。
また、気候変動対応に貢献する製品開発にも積極的に取り組み、当社グループのネットワークを通じて、幅広い業界に提供します。
当社グループでは、事業活動にともなうCO2排出量を削減するため、2022年5月、2050年カーボンニュートラル実現を目指す目標を設定し、2023年度からスタートした中長期経営計画は、シナリオ分析の結果を経営戦略に組み込んで策定しました。
シナリオの選定
TCFDが推奨する分類に沿って、当社グループが直面する気候変動リスクをリストアップし、発生可能性の高い項目を評価対象として選定した上、国際エネルギー機関(IEA)と気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が提示する気温上昇1.5~2℃と4℃に相当するシナリオおよび社内外の情報に基づき、「リスクの最小化が求められる課題」と「リスクを機会に変えられる課題」に区分して、財務影響度を「大」「中」「小」の3段階で評価し、それぞれの項目で重点施策を洗い出しました。
使用シナリオ
IEA World Energy Outlook(NZE、SDS)、Global EV Outlook (NZE)等
IPCC (SSP8.5、SSP2.6、SSP1.9)等
■評価の範囲と期間
シナリオ分析にあたって、次のとおり範囲と期間を設定して評価を行いました。低炭素社会への移行リスクと機会については規制の影響などを受ける1.5~2℃シナリオ(2030年)、また気候変動による物理リスクについては、気温上昇の影響が大きくなる4℃シナリオ(2050年)で分析を行いました。海外グループ拠点の物理リスクに関しては、次年度以降に分析を行います。
リスク・機会 | 対象期間 | シナリオ | 範囲 |
リスク(移行) | ~2030年 | 1.5~2℃ | 全事業 |
リスク(物理) | ~2050年 | 4℃ | バンドー化学、国内グループ拠点 |
機会 | ~2030年 | 1.5~2℃ | 全事業 |
■シナリオ分析に基づく評価結果
影響度:大 売上3%以上、中 売上0.5%以上~3%未満、小 売上0.5%未満
影響時期:短期 ~2026年 中期 ~2030年 長期 ~2050年
③リスク管理
当社グループは、リスクを「企業存続と事業目標の達成を阻害する事象が発生する可能性」と定義しております。事業経営に重大な影響を与える重要リスクについては、「リスク管理委員会」でその発生可能性や影響度を分析・評価して特定し、対応について討議・決定しております。特に気候変動に係る課題は重要リスクと位置づけ、実行計画を策定し、「サステナビリティ委員会」と連携して進捗のモニタリングを行い、取締役会に報告しております。
気候変動に係る個別のリスクと機会については、網羅的に抽出した上で、当社グループにとっての影響度と発生可能性から、その重要性を評価しております。特に重要と評価されたリスクと機会については、当社グループの戦略に反映し、対応しております。
④指標と目標
2022年5月当社グループは、2050年までに当社グループのCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル実現に向けて、2030年までに燃料使用および電力に由来するCO2排出量を2013年度比38%削減する目標(当社単体)を設定しました。目標達成に向け、新製法への転換や太陽光発電の積極的な導入をはじめとする活動実行計画を策定し、取り組みを推進しております。
また、CO2排出量削減や省エネルギーに貢献する製品を環境対応製品として位置づけ、2026年度上市新製品の50%以上とすることを目標に掲げ、進捗を確認しております。
(2)人的資本・多様性
①人材育成の方針
「専門性と創造性と主体性を持った人材育成」を目指す姿として、(1)自己啓発の促進と働きがいの向上 (2)業務を通しての育成と多様性の確保 (3)資質を活かした育成と一体感の醸成 の3つを人材育成の基本方針としています。
②社内環境整備方針
上司と部下の対話と支援をベースとした働きがい改革を行い、人材を惹きつけられる魅力的な組織を目指して、諸施策の整備を進めます。
③人材育成・社内環境整備の考え方及び主な取り組み
新中長期経営計画における事業ポートフォリオの転換に向けて、新規事業の進化とコア事業の深化を加速させるために継続的なイノベーションの実現が不可欠と認識しています。そのためには特に多様性の確保が重要であり、また多様な個が活躍し、組織として力を発揮するためには、一人ひとりがやりがいを持っていきいきと働くことができる環境づくりが大切であるとの認識から、2023年度からはエンゲージメントの向上も目標に掲げて人材関連施策を立案・推進しております。
(ⅰ)研修と教育
当社は、従業員一人ひとりが能力を高め、仕事に意欲的に取り組み、チームワークに徹することを期待しています。また社会の一員として心の豊かな人・心にゆとりのある人・社会に役立つ人を育成するために、教育制度の充実に力を入れています。教育体系は階層別教育と機能別教育の2つに分け、階層別教育では部門を横断し階層ごとの役割認識や対人力の向上を目指し、機能別教育は職務遂行上必要な専門知識の習得を目的として実施しています。
従業員(正社員)一人当たりの年間平均研修時間および受講人数(2022年度)
研修時間:25.5時間 受講人数:538名
(ⅱ)従業員エンゲージメントの向上
企業の持続的成長には、多様な人材が個々の強みや能力をいかんなく発揮し、活力ある組織であることが大前提であるという認識のもと、雇用形態のあり方、賃金制度や評価制度、個別待遇等の切り口から、エンゲージメント向上に向けた総合的な処遇改善に努めています。
この方針のもと、マネジャーやリーダーの行動変容を促す取り組みを企画、実施していくほか、エンゲージメントの重要性を啓発するとともにサーベイを実施し、これを見える化したうえで改善していきます。
(ⅲ)ワークライフバランスの支援・向上
一人ひとりがやりがいを感じながら働きやすい環境を整えるため、フレックスタイム制、年次有給休暇の時間単位取得等の制度を導入しております。2019年10月には、従業員の子育て支援を積極的に推進している子育てサポート企業として「くるみん認定」を取得しました。さらに、これまで育児・介護等に携わる一部の従業員を対象としていた在宅勤務制度の対象範囲を2021年4月から全従業員に拡大しました。
(ⅳ)多様な人材の活躍推進
多様な人材の能力を結集し、新たな価値を創造し続けるために、多様性を活かす組織・風土づくり、公正な雇用機会と評価、ワークライフバランスの推進、自律的な人材・管理者の育成等に取り組んでいます。数値目標を意識した採用活動・雇用のほか、教育訓練の対象者の選定や、昇格・任用の場面では、性別や年齢、国籍等にかかわらず、能力や専門性、識見・人格等を軸として評価・運用しています。
項目 | 定量目標(単体) | 実績(2022年度)(単体) |
大卒(高専・短大・院卒含む)の 新規採用者に占める女性比率 | 20%以上 | 39.1% |
外国籍社員の採用 | 1名以上 | 0名 |
障がい者雇用率 | 2.3%以上 | 2.2% |
(ⅴ)健康経営への取り組み
2017年度に新たに健康担当役員を任命し、「バンドーグループ健康宣言」を制定するなど、従業員の健康への取り組みを強化しています。そして、同宣言の実現に向けて、労使協働で組織する「健康いきいき職場づくりチーム」を結成しています。「健康いきいき職場づくりチーム」は、従業員が自ら策定する「健康ビジョン」の実現へのサポートと、活気ある働きやすい職場づくりを推進しています。2020年1月からは、「健康いきいき職場づくりチーム」からの要望を受け、本社事業所を対象に1年を通じて「服装の自由化」を行いました。会社と従業員が一体となった取り組みが評価され、2021年3月に経済産業省と東京証券取引所から「健康経営銘柄2021」に選定されたほか、経済産業省と日本健康会議による「健康経営優良法人2021(ホワイト500)」に認定されました。今後も従業員がいきいきと働ける職場づくりに注力していきます。
- 検索
- 業種別業績ランキング