バルニバービ 【東証グロース:3418】「小売業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「美味しいものを、より楽しく、より健康に、より安く」をテーマに、「なりたい自分」を目指すスタッフが個性的な店舗運営を行うことにより、外食の未来を創造する企業として成長を遂げてまいりたいと考えております。その思いをもとに、より多くの人々が楽しく豊かに暮らせる社会を目指して、「食から始まる日本創再生」をVISIONにかかげ、「食」を通してそのエリアの良さを再認識し、持続可能な循環型社会の実現に貢献することを目指しております。
(2)経営戦略等
当社グループは、前連結会計年度に2028年7月期を最終年度とする中期経営計画「イノベーティブシナジー 2028」を策定しておりましたが、事業環境の変化を反映し、当連結会計年度におきまして2029年7月期を最終年度とする中期経営計画「イノベーティブシナジー 2029」としてローリングしております。
レストラン事業につきまして、2024年7月期は食材や光熱費の高騰により外食各社が値上げに動く中、当社は重要なKPIとして原価率に焦点をあて、サービス料の設定やマーケットに応じたきめ細やかな施策を通して、トータルの満足度を上げていくことで店舗原価率を低下させることができました。その結果、売上の増加も相まって、レストランの店舗利益率(貢献利益率)が大幅に上昇したことにより、既存店の収益力が向上しました。更に下期に入ると、2023年8月1日に再編した運営子会社の成長もあり、多くのレストラン出店が決定いたしました。2024年7月期下期は矢継ぎ早に5店舗を出店し、2025年7月期以降で5店舗の出店が決定しております。店舗利益率は15%以上を想定しているため、今後の収益の拡大に寄与する見込みです。
エステートビルドアップ事業(EB事業)について、淡路島「Frogs FARM ATMOSPHERE」に関わる年間売上は11億円超となり、訪問客数は年間38万人を超えました。ドッグランなど新たな施設も開業し、総面積は5haを超え、施設数は20施設に拡大しました。2024年3月には「KAMOME SLOW HOTEL」の土地を目標価格で売却することができました。また当エリアにつきましては、エリア活性化による周辺地価の上昇を背景に不動産の含み益が拡大しております。
出雲「WINDY FARM ATMOSPHERE」は2次開発の検討を開始し、今後、エリアの活性化に取り組んでまいります。また「出雲ホテルザクリフ」は、ホテルとしては国内初となるミシュランガイドに選定され1ミシュランキーを獲得し、今後の当社ホテルのブランディングに役立つものと考えております。他エリアについては、南あわじでの開発を始動し、まずは2024年7月にレストラン「TRATTORIA amarancia」の開業を果たしました。2025年7月期からは本格的なエリア開発へと移行してまいります。
このような経営環境のもと、2025年7月期からはレストラン出店のスピードを更に加速させ、エステートビルドアップ事業においても複数のエリアで新たな展開を進めることで、グループの成長を加速してまいります。
当社グループの中長期的な会社の経営戦略としては、以下の点を重点的に行ってまいります。
① 基本戦略
イノベーティブシナジー戦略の推進
レストラン事業 出店エリアを厳選した出店(年間6~8店舗以上)
EB事業 淡路島北西海岸及び出雲以外のエリアにおける開業(3ヵ所)、出雲2次開発
②重点課題
イノベーティブシナジー戦略推進に関する課題
・既存開発エリアにおける店舗の高収益化と不動産投資回収計画の推進
・新たなエリア開発のための人材採用及び育成強化と魅力あるコンテンツの開発
・投資スキームの更なる進化と深化(多彩なファイナンススキーム、多くの外部企業とのアライア
ンス強化)
組織課題
・運営子会の経営能力の向上及び成長促進
・ITやAIを活用した業務効率化の推進と、より付加価値の高い業務へのシフト
・運営子会社を含めたガバナンス体制強化、リスク管理機能の強化
(3)経営環境と対処すべき課題
① 既存開発エリアにおける店舗の高収益化と不動産投資回収計画の推進
当社グループでは、食をベースとした地方創再生プロジェクトとして兵庫県淡路島北西海岸「Frogs FARM ATMOSPHERE」を筆頭に、島根県出雲市西海岸「WINDY FARM ATMOSPHERE」に取り組むことで、地方創生ネットワークの形成を推進しております。レストラン事業よりも大規模な人流の創出を行うことが必要であり、マーケティング戦略の高度化、地域の皆様との協業、旅行会社や外部企業との連携、新たなコンテンツの開発など、様々な角度から徹底的に検討し迅速に実施していくことでプロジェクトの更なる高収益化を目指してまいります。
また、エステートビルドアップ事業では、本来の価値が見過ごされているエリアの不動産開発を行い、食を通じて活性化した不動産の流動化を促進し、新たな収益の創出を目指しています。今後も活性化させたエリアにおける所有不動産の売却を行うことで、新たな収益を実現していくとともに、エステートビルドアップ事業における不動産販売実績を積み上げることで、今後開発していく新たな開発エリアへの投資を呼び込んでまいります。
② 新たなエリア開発のための人材採用及び育成強化と魅力あるコンテンツの開発
今後の出店及びエリア開発を見据えると同時に、多くのプロジェクトが進行することが予想されます。人材採用及び育成に関しましては、2024年8月より人事総務部を人事総務本部に再編し、新たに人事部を設立いたしました。これにより、運営会社の人材教育と採用手法の高度化、フィロソフィのボトムアップによる伝播の仕組みを構築し、店舗の開発と運営を担う人材を多数輩出する基盤を構築していきます。また魅力あるコンテンツの開発については2024年4月に、代表取締役佐藤の直轄部隊として想像&創造ブランディング部(以下ICB部という。)を立ち上げ、エリア開発における様々な企画、プロモーションを推進しております。今後、ICB部が当社のエンジンとして魅力あるコンテンツを生み出してくことが期待されています。
③ 投資スキームの更なる進化と深化
淡路島西海岸においては、淡路島のエリア不動産開発を目的に、開発資金拠出を企図しNECキャピタルソリューション株式会社と不動産SPCを設立し、地域活性化のノウハウを活かした金融面からのサポートをもらいながら連携しております。また、当社はSBIホールディングス株式会社並びに同グループの投資先企業や提携先金融機関との連携を推進しており、2023年6月30日にはSBIホールディングス株式会社のグループ会社であるSBI地方創生サービシーズ株式会社と全国エリアを対象とした地方創生活性化の為に、迅速な判断と投資を行う事が可能なマザーファンドを設立しております。また2024年3月には当社初のSPC(特別目的会社)を活用した資金調達スキームによる開発物件「KAMOME SLOW HOTEL」の売買を完了し、エステートビルドアップ事業において初めてのイグジットを達成しております。今後も、資金調達先と出口戦略を多様化し、当社独自の安定した投資スキームを構築してまいります。
④ 運営子会社の経営能力の向上及び成長推進
今後の出店及びエリア開発を見据え、多くのプロジェクトが進行する中、その運営を行う子会社の経営能力はますます重要となります。2023年8月1日には運営子会社5社を当社に吸収合併し、グループ全体の運営体制を一層強化いたしました。今後は店舗運営子会社制度を更に強化し、人材の育成やオペレーション能力向上など更なる発展を目指してまいります。
現在、運営子会社の経営幹部が自社の店舗運営の課題や人材育成の状況を分析し、経営方針や戦略を策定することで各社独自の事業推進を開始しております。今後、各社の経営会議を強化することで、経営能力の向上及び各社成長のための取り組みを実施してまいります。グループ横断の取り組みとしては、グループ経営会議による成功事例の横展開や課題の共有、経営者間でのアドバイスを行うことで全体の経営レベルの向上を図ります。
⑤ ITやAIを活用した業務効率化の推進と、より付加価値の高い業務へのシフト
今後多くの新規出店や店舗数の拡大が見込まれる中、本部の人員増員を伴わずに業務を遂行していく必要があります。現在、人事総務部門、経理部門でITの導入を進めておりますが、今後はこれを更に加速させ、営業部門や企画部門に展開することで、全社的な省力化を推進していきます。またそこで削減された工数を企業成長に必要な業務や、戦略立案・遂行に関わる業務に引き当てていくことでより付加価値の高い業務の執行を目指してまいります。
⑥ 運営子会社を含めたガバナンス体制とリスク管理機能の強化
今後の事業の成長のためには運営子会社の位置付けが非常に重要となりますが、現在、運営子会社を含めガバナンス体制を強化するため運営子会社経営幹部向けの勉強会を実施し、ガバナンス体制の強化を図っております。また不動産関連の事業の拡大により、不動産の市場価格、金利の上昇など、レストラン事業とは違ったリスクが発生しております。ガバナンス体制を強化するとともにリスク管理を徹底し、投資意思決定時のリスク分析や事業への影響分析などを適宜行うことでリスクへの対応力を強化してまいります。
当社は、2023年9月14日公表「分配可能額を超えた剰余金の配当に関する調査委員会設置のお知らせ」及び2023年10月4日公表「分配可能額を超えた剰余金の配当に関する一連の経緯及び再発防止策について」でお知らせしましたとおり、2022年7月期の期末配当及び2023年7月期中の中間配当につきまして、会社法及び会社計算規則により算定した分配可能額を超えて配当金の支払いを行ったことが判明したため、外部調査委員会による調査を実施いたしました。当社は2024年10月29日の第33期定時株主総会で取締役会の監督機能を強化し、コーポレートガバナンスを強化することにより、経営の透明性を一層向上させるとともに意思決定のさらなる迅速化を実現するため、監査等委員会設置会社へ移行することを決議いたしました。また外部からの採用を実施し、経営管理部の人員を拡充することで専門人材を強化するとともに、配当関連業務におきましては業務プロセスの整備を完了させております。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、企業価値を持続的に高めていくことが経営上の重要課題だと認識しており、売上高成長率及び営業利益率などの経営指標を重視しております。
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