ハーモニック・ドライブ・システムズ 【東証スタンダード:6324】「機械」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、様々な社会課題を解決し、社会をより良くするための技術革新に事業を通じて貢献していくことを使命としております。この使命を果たすにあたって基盤としているのが、当社の創成期に作られ現在も当社グループの企業文化として受け継がれている経営理念です。当社ではこの経営理念に基づいたサステナビリティ基本方針を策定し、2022年3月25日の取締役会において決議いたしました。当社グループはこの基本方針に則り、戦略的にサステナビリティの推進を図ってまいります。
サステナビリティ基本方針 私たちは、「個人の尊重」、「存在意義のある企業」、「共存共栄」、「社会への貢献」という4つの柱で構成された〝経営理念″に基づき、トータル・モーション・コントロールを提供する技術・技能集団として、社会をより良くするための技術革新に貢献することで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。
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(1)サステナビリティ全般
1)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティの取り組みを経営上の重要課題と認識し、サステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、取締役会による監督を行っております。
① 取締役会による監督体制
当社グループのサステナビリティに関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限は取締役会が有しております。取締役会は、サステナビリティ委員会で協議・決議された重要事項について報告を受け、サステナビリティに関するリスク及び機会への対応方針や実行計画等について審議・監督を行います。
② サステナビリティに係る経営者の役割
当社グループのサステナビリティに係る経営判断の最終責任は代表取締役社長が有しております。
③ サステナビリティ委員会
当社では、グループ全体のサステナビリティ推進体制を強化するため、グループサステナビリティ全般を推進・統括・管理する組織としてサステナビリティ委員会を2023年4月1日付で設置いたしました。本委員会の委員長は代表取締役社長が務め、メンバーは業務執行取締役で構成されております。開催は四半期ごとの年4回を目途としております。
サステナビリティ委員会の主な役割は以下の通りです。
・サステナビリティ関連方針・戦略の策定・改定
・サステナビリティに関する重要課題の特定
・サステナビリティに関する長期目標・KPIの策定・進捗管理
・サステナビリティ推進活動の企画・報告
・サステナビリティに関するリスクと機会の特定及び管理
・取締役会への定期的な報告及び提言・基本方針等の上程 等
④ サステナビリティ推進に係る所管部署
経営企画・IR担当執行役員のもと、経営企画・IR室がサステナビリティ委員会の事務局を務めるとともに、当社グループのサステナビリティ全般に係る推進を担っております。また、サステナビリティに係る重要課題やリスクと機会への対応等についてサステナビリティ委員会に提言するとともに、適宜当社各部門並びにグループ会社へ展開し、グループ全体のサステナビリティ活動を推進いたします。
グループサステナビリティ推進体制図
2)リスク管理
リスクについては、「危機・リスク管理規程」に則り、サステナビリティに係るリスクを特定・評価・対応する体制を構築しております。リスクを「全社リスク」と「業務プロセスのリスク」に分類し、年に1回リスク評価を実施しております。「全社リスク」については経営企画担当執行役員及び経営企画部門が把握・分析・評価を実施しており、「業務プロセスのリスク」については、各部門がリスクを抽出・特定し、内部統制監査室によって短・中・長期の時間軸で発生頻度と損害規模の観点からリスク評価を、法令と人命の観点から方針を決め、それらを合わせて総合リスク評価し、リスクマネジメントを管掌する人事・総務担当執行役員が評価結果をもとに優先順位付けを行ったうえで、代表取締役社長が承認いたします。
各リスクには、法令遵守と人命優先の観点からそれぞれの方針が策定され、部門責任者がリスク管理目標を設定するとともに、リスク内容に応じて回避、受容、低減、移転等を判断し、各リスクに見合った低減活動を実施いたします。その実施状況については、人事・総務担当執行役員が年に1回進捗をレビューし、代表取締役社長がレビューをもとに次年度の方針を示し、各部門に展開しております。
(2)気候変動
当社グループは、気候変動に係る対応を経営上の重要課題と認識し、サステナビリティ委員会を中心に推進しております。
1)ガバナンス
当社グループの気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般のガバナンスに組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 1)ガバナンス」を参照ください。
2)戦略
当社グループの事業に影響を与えると想定される気候変動関連のリスクと機会は以下の通りです。
時間軸は、気候変動に係るリスク・機会による事業への影響が顕在化する時期を想定したものです。
時間軸の定義:短期 0~3年・中期 3~10年・長期 10~30年
区 分 | 種 類 | 想定される気候変動 リスク・機会 | 事業活動への影響 | 時 間 軸 |
移 行 リ ス ク | 政 策 ・ 法 規 制 | 国内外の気候関連法規制の拡大・厳格化 | ・カーボンプライシング(炭素税・新たな税制)の導入・拡大に伴う原材料・エネルギー価格高騰によるコストの増加 ・規制への対応遅れによる事業機会損失 | 中 期 |
技
術 | 低炭素製品の開発競争激化 | ・環境性能向上製品の需要増に伴う研究開発費や対応コストの増加 ・研究開発の遅れによる競争優位性の低下 | 中 期 | |
GHG排出量・エネルギー消費量削減に向けた設備投資の増加 | 省エネ技術の普及に伴う生産プロセスの見直しや生産設備切り替え発生による設備投資の増加 | 短 期 | ||
低炭素材料の採用拡大 | 低炭素材料(グリーン材料・リサイクル材料)への切り替えによる研究開発費・調達費の増加 | 中 期 | ||
市
場 | 化石燃料や紙の需要減退 | 当社グループの油田・ガス田向け製品、乗用車の内燃機関向け製品、印刷・製本・紙工機械向け製品の収益減少 | 長 期 | |
お客様ニーズの変化 | 気候変動に係るお客様の取引選定基準を満たさないことによる取引停止(売上・利益の喪失) | 中 期 | ||
再生可能エネルギーの需要増加に伴うエネルギー価格高騰 | 再生エネルギー調達価格の高騰によるコストの増加 | 短 期 | ||
電化や脱炭素に伴う原材料価格高騰 | 調達コストの増加 | 中 期 | ||
評
判 | 情報開示不十分による企業評価・イメージの低下 | GHG排出量や削減目標、気候変動対策等の情報開示不十分による株価・資金調達・人材獲得・売上面へのマイナス影響 | 短 期 |
区 分 | 種 類 | 想定される気候変動 リスク・機会 | 事業活動への影響 | 時 間 軸 |
物 理 リ ス ク | 急
性 | 自然災害(台風・豪雨等)の激甚化・頻発化 | ・物流網の寸断による調達・納品遅延 ・サプライチェーンを含む工場等の操業停止・機能不全 ・復旧コストの発生 ・お客様の分散購買による売上低下 | 長 期 |
慢
性 | 平均気温上昇による健康被害・冷却コストの増加 | ・空調設備や水の冷却設備の導入・運用コストの増加 ・従業員の体調不良による事業への影響 | 長 期 | |
渇水・水不足 | ・当局からの取水制限・節水要請による生産量の低下 ・水価格高騰によるコストの増加 | 長 期 |
機
会 | 資 源 効 率 | 省エネ・省資源への取り組み | 営業・開発・生産・梱包・輸送プロセス等のコスト削減(短期的には投資額が嵩むが、長期的にはコスト削減に繋がる) | 中 期 |
製 品 / サ | ビ ス | 電化・脱炭素関連製品の需要増加 | 電化・脱炭素の動きに伴い、半導体、EV関連、産業用ロボット、小型モビリティ、eVTOL、風力・太陽光発電等の需要増加が見込まれる用途への売上増加 | 長 期 | |
小型・軽量・省エネな当社グループ製品の需要増加 | 省エネのニーズを捉えた当社グループ製品の需要増により売上増加 | 中 期 |
※ 上記リスク及び機会の影響度については検討中です。
3)リスク管理
当社グループの気候変動に関するリスクは、サステナビリティ全般のリスク管理に含めて管理しております。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 2)リスク管理」を参照ください。
4)指標及び目標、実績
① 指標及び目標
当社グループでは、気候変動に関する長期的な指標として「2050年ネットゼロ」を目指しております。また、短・中期の具体的なGHG削減目標については、当社グループの経営戦略、事業拡大等を踏まえて決定するべく、検討中であります。
② GHG排出量実績
2023年3月期のGHG(CO2)排出量実績は現在算定中のため、2022年3月期の排出量を以下に記載いたします。2023年3月期のGHG(CO2)排出量実績については、算定次第当社WEBサイトのESGデータ集(https://www.hds.co.jp/csr/esg/)に公表いたします。
2022年3月期における当社連結グループのスコープ1と2の排出量 (単位:t-CO2)
| スコープ1 | スコープ2 |
日本 | 3,044.865 | 25,753.199 |
アジア | 15.620 | 416.300 |
欧州 | 121,724.589 | 10,458.065 |
米国 | 1,258.615 | 782.972 |
合計 | 126,043.689 | 37,410.536 |
2022年3月期における当社(単体)のスコープ3の排出量 (単位:t-CO2)
| カテゴリー No. | カテゴリー名 | 排出量 |
上 流 | 1 | 購入した商品・サービス | 198,899.039 |
2 | 資本財 | 17,054.102 | |
3 | スコープ1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動 | 899.008 | |
4 | 上流の物流 | 3,951.125 | |
5 | 操業で発生した廃棄物 | 454.535 | |
6 | 出張 | 103.749 | |
7 | 従業員の通勤 | 212.037 | |
8 | 上流のリース資産 | 0.000 | |
上流合計 | 221,573.595 | ||
下 流 | 9 | 下流の物流 | - |
10 | 販売製品の加工 | - | |
11 | 販売製品の使用 | - | |
12 | 販売製品の廃棄 | - | |
13 | 下流のリース資産 | - | |
14 | フランチャイズ | - | |
15 | 投資 | - | |
下流合計 | - | ||
スコープ3合計 | 221,573.595 |
※ スコープ3の連結グループ排出量については、収集・計測方法を検討中です。
(3)人的資本・多様性
1)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社では、経営理念の筆頭に「個人の尊重」を掲げており、社員一人一人の権利を尊重し、個人が意義のある文化的な人生と生き甲斐を追求できる企業であること、一人一人の向上心を信じ自立的な活動を援助し、仕事を通して能力が最大限に発揮できる環境を作り、能力や業績に報う企業であることを目指し、人的資本に関する各方針・制度などの環境を整備しております。
経営理念については、12ページの「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題 (1)会社の経営の基本方針」を参照ください。
① 人材育成方針
当社では、「経営理念」を実現できる人材の育成を基本方針としており、以下3段階に分けた人材育成方針に基づき、育成に取り組んでおります。
第一段階:教育・育成段階
「求める人材像」の基本の徹底
第二段階:実践段階
主に実務を通して能力向上、専門性の確立を図る中で、個人の取り組みを支援。また、戦略的に将来の幹部候補の育成を行う。
第三段階:専門性発揮段階
マネジメント力、専門技能技術等これまで培ってきた能力・経験を発揮し、部門運営・後進育成に貢献する。(育成する側となる)
② 社内環境整備に関する方針
当社グループでは、個々人が意欲的に活躍する組織を構築するため、多様な人材が活躍できる職場環境の整備に取り組んでおります。
多様性の確保に関する考え方
当社グループは、性別、国籍、年齢、障がいの有無等に関係なく、全ての従業員が持てる能力を発揮し、活躍できる職場環境の構築を目指しております。女性管理職、女性役員、外国人については目標人数を設定し、多様な人材の確保に取り組んでおります。
採用に関する考え方
当社の経営理念を共有でき、当社グループに必要な能力を持った人材を確保するため、新卒を対象とした定期採用に加え、様々な経験、スキル、資格等を有し、即戦力として期待できる中途採用も積極的に実施し、多様性のある組織を目指しております。なお、当社グループでは、従前から新卒採用者、中途採用者の区別なく能力本位で管理職登用を行っており、中途採用者比率及び管理職数については十分な数となっていることから目標値は設定しておりません。
人事制度
当社グループでは、従業員の能力向上や働く意欲の向上が、経営ビジョンや目標達成を可能にするとの考えのもと人事制度を構築しております。
従業員個々の能力開発を目的に実施するジョブローテーション、従業員が将来のキャリアパスや自身の能力開発の希望を直接人事担当役員に申告できる自己申告制度、雇用形態に関係なく利用できる育児・介護休業制度など、他にも様々な制度を整備しております。特に、仕事と育児の両立支援を強化するため、出産・育児における休暇・休職・復帰制度、時短勤務、テレワーク等の諸制度で働きやすい職場環境の整備に取り組んでおります。また、男性従業員による育児休暇制度の利用促進を積極的に推進しており、2023年3月期における当社単体の男性育児休暇取得率は56.3%でした。
能力開発制度
当社では、従業員の能力開発にあたり、中長期スパンによる計画的な人材育成計画を立案し、誰もが当社の社員に求められる能力を効果的・継続的に向上・開発できる制度を構築しております。
能力開発研修には、役割に求められる能力を発揮するために階層ごとに実施する必修の「階層研修」、業務遂行とキャリア開発のために必要な「基礎研修」、業務における専門性を向上し、キャリア開発のための専門能力を習得するための「専門分野研修」、より高度な経済環境や技術水準、国際化の進展等を踏まえ、国内外の大学等高等教育機関におけるMBAやMOTなどの学位取得をはじめ、海外関係会社での海外研修や海外の大学のAEIプログラムによる語学留学など、社員自身の自己啓発による一層の能力向上を会社として支援する「特別研修」があります。また、当社の中長期的な成長を支える技術者・技能者に対しては、社内資格制度や外部の技能検定試験の取得を積極的に支援しております。
健康管理の推進
当社では、従業員の健康を重要な経営資源と捉え、安全衛生と健康管理の取り組みを推進しております。具体的な取り組みは以下の通りです。
・ 定期健康診断、ストレスチェック等による従業員の体調とメンタル不調の未然防止
・ 健康推進に係る専門部署の設置と社内産業保健師によるきめ細かな健康相談・指導
・ 社内・社外にハラスメント等の通報/相談窓口を設置
・ テレワーク環境の提供
2)人材の育成及び社内環境整備に対する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
指標 | 目標 | 実績 | |
2025年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | |
女性管理職(人数) | 5名 | 2名 | 2名 |
女性執行役員(人数) | 2名 | 1名 | 1名 |
女性取締役(人数) | - | - | |
外国人(人数) | 6名 | 3名 | 6名 |
男性の育児休暇取得率 | 30% | 55.60% | 56.30% |
年次有給休暇取得率 | 70% | 74.6% | 73.2% |
※1. 上記は、株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ単体の指標及び目標です。
※2. 上記目標(2025年3月期)は2022年3月に、2022年4月1日から2025年3月31日を対象期間として設定したものです。
※3. 連結の指標及び目標については検討中であり、策定次第当社WEBサイトに公表いたします。
※4. 上記以外の人的資本に関するデータは、当社WEBサイトのESGデータ集(https://www.hds.co.jp/csr/esg/)に公表しております。
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