ハリマ化成グループ 【東証プライム:4410】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。参照先の書類等将来に関する記述は、本報告書作成時点で当社グループが入手している情報を踏まえた仮定、予期および見解に基づくものであります。既知および未知のリスクや不確実性およびその他の要素を内包しており、2「事業等のリスク」などに記載された事項およびその他の要素によって、当社の実際の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況が、こうした将来に関する記述とは異なる可能性があります。
当社グループの企業理念「自然の恵みをくらしに活かす」は、「人と自然、そしてテクノロジーの調和」を願うものであり、豊かな社会の創造を追求するものであります。この基本理念のもと、グループ全体の能力を結集させ、パインケミカル事業を通して、人々のくらしに貢献していきます。その実現にあたっては、地球環境と共存し、社会とともに発展することを目指しております。当社グループの中期経営計画、長期ビジョンも、こういった企業理念、サステナビリティの考え方に基づいて策定しております。
<当社グループのサステナビリティに関する考え方>
・事業活動を通じて、社会価値、環境価値を高めます。
・すべてのステークホルダーとの対話を深め、経営に反映します。
・持続的成長を支えるガバナンスやリスク管理の基盤を整えます。
(1) ガバナンス
当社グループは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、2021年11月10日付で経営企画グループに「サステナビリティ推進室」を設置しました。グループ全体のSDGsやESGへの取り組みを一元的に取りまとめ、現状や課題を共有し、方針や具体的対策を迅速に決定・推進するための体制強化を図っております。情報開示の拡充などを通じて、当社への理解をあらゆるステークホルダーにより一層深めて頂くための取り組みを行っております。
当社はサステナビリティにかかる委員会等を設置しておりませんが、重要な経営課題として引続き取締役会に付議・報告されます。取締役会は、サステナビリティを含む当社の事業全般のリスクおよび機会を監督し、対応方針および実行計画等についての審議・監督を行っております。各取締役のリスクおよび機会への対応状況、成果は報酬額の算定に反映されます。代表取締役が議長を務める経営会議においては、サステナビリティに関する重要課題に関するリスクおよび機会に対応するための実行計画の立案、目標の進捗管理を行います。そのグループ経営会議は月1回実施され、社外取締役、監査等委員である取締役を含む取締役会メンバーが直接参加しております。
(2) 戦略
当社グループは、事業を通じた社会課題・環境課題への取り組みで解決持続可能社会の建設に貢献し続けるべく、持続的成長に向けた取り組みを行っております。
<当社グループの事業活動とSDGsへの貢献>
2015年に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に対して、当社グループは事業活動を通じて貢献し、社会とともに持続的な成長を実現していきます。
具体的な事業活動 | SDGs17の世界的目標と 付随する169の達成基準 | ||
研 究 開 発 |
●先進技術に積極的に取り組み、省資源、省エネルギー、自然環境との 調和と社会課題解決を目指した素材の開発
●CLOMAなど外郭団体や産学官連研究への参画
※CLOMAは、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた取り組みについて業種を超え た幅広い関係者の連携を強め、イノベーションを加速するためのプラットフォーム です。
| 2.4 9.4 11.5 14.1 14.3 17.7 | |
事 業 活 動 | 生物や環境への負荷低減を目指し、持続可能な社会の実現に貢献する化学技術で製品を製造し社会に提供
<循環型事業モデル> ・完全クローズドシステムのトール油精留プラント
<環境負担軽減と職場の安全> ・ISO14001(環境マネジメント)、ISO9001(品質マネジメント) 実施
<社会課題解決> ・武装勢力の資金源につながる「紛争鉱物」不使用の取り組み
|
| 3.9 4.3 4.7 6.3 7.2 7.3 8.3 8.4 8.5 9.4 10.2 11.6 12.2 12.4 12.6 13.2 15.3 16.4 |
「169の達成基準」・・・17の世界的目標を達成するための具体的な考え方や対策をまとめたもの
<中期経営計画におけるサステナビリティ関連の基本方針>
「新時代に向けた経営の革新」として、以下を中期経営計画の基本方針に掲げ、推進しております。
〇デジタル技術を活用したものづくりとDX体制づくり
・AI、IoT活用による生産性向上
・AI活用による研究開発のスピードアップ
・システム内製化による業務プロセスの効率化
〇企業理念に沿ったESG経営の推進
・事業活動を通じた社会課題解決・SDGs達成への貢献
・温室効果ガス削減目標の達成に向けた、各施策の計画的な実施
・コーポレート・ガバナンスに沿ったガバナンス強化
・気候変動リスクの分析と開示(TCFD対応)
・情報開示、ステークホルダーとの対話の拡大
<国際機関、産官学連携などへの関与、認証取得>
当社グループは、グローバル企業として国際機関や産官学連携などに積極的に関与し、国際的なサステナビリティ規格の評価取得を進めております。引き続き、グローバルベースでのパートナーシップを深化させ、社会的インパクトを高めていきます。
<サステナビリティ関連情報について>
サステナビリティ関連の情報については、当社のホームページにて適時適切に開示を進めます。
企業理念 | https://www.harima.co.jp/company/philosophy01.html | |||
ハリマグローバル行動基準 | https://www.harima.co.jp/company/philosophy02.html | |||
サステナビリティ全般 | https://www.harima.co.jp/environment/ | |||
| サステナビリティ経営への取り組み | https://www.harima.co.jp/environment/sustainability_management.html | ||
| 環境 |
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| 環境報告書 | https://www.harima.co.jp/environment/report.html | |
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| 循環型事業 | https://www.harima.co.jp/environment/green_chemistry.html | |
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| 環境保全 | https://www.harima.co.jp/environment/protection.html | |
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| 気候変動(TCFD開示) | https://www.harima.co.jp/environment/tcfd_recommendations.html | |
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| 廃棄物処理施設 維持管理情報 | https://www.harima.co.jp/environment/iwdf.html | |
| 社会 | https://www.harima.co.jp/environment/society.html | ||
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| 株主、投資家 | https://www.harima.co.jp/environment/stockholder.html | |
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| 従業員 | https://www.harima.co.jp/environment/employee.html | |
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| 労働安全衛生 | https://www.harima.co.jp/environment/safety_hygiene.html |
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| 人権の尊重 | https://www.harima.co.jp/environment/human_rights.html | |
| ガバナンス | https://www.harima.co.jp/environment/governance.html | ||
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| 製造責任 | https://www.harima.co.jp/environment/chemical_products.html | |
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| 物流安全 | https://www.harima.co.jp/environment/logistics.html | |
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| 保安防災 | https://www.harima.co.jp/environment/disaster_prevention.html |
(3) リスク管理
当社グループは、4「コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり、健全なる企業活動を通じ、株主をはじめ、顧客、従業員、取引先、地域社会等のステークホルダーに対して、当社グループの企業価値を持続的に高めるという基本方針のもと、迅速・果断な意思決定を行い、経営の透明性、合理性を向上させるために、取締役会、監査等委員会、監査グループの活動の充実、および内部統制システムの整備に努めながら、ディスクロージャー(情報開示)、コンプライアンスおよびリスクマネジメント体制の強化を図っております。取締役を担当役員とする内部統制グループは、各カンパニー、持株会社の各管理部門、国内外子会社から提出される内部統制月報を集約して点検し、内部統制会議を定期的に(隔月)開催することにより、リスクの回避および管理の状況等を監視しております。また、取締役を中心に構成するリスクマネジメント委員会を置き、各部門のリスクマネジメント業務を統括し、リスクマネジメントの基本方針、推進体制その他重要事項を決定しております。そして、各部門および各子会社の長は、それぞれ自部門、自社に内在するリスクを把握、分析、評価した上で適切な対策を実施するとともに、かかるリスクマネジメント状況を監督し、定期的に見直しております。
(4) 指標および目標
当社グループを取り巻く事業環境、持続可能社会の建設に向けた環境課題や社会課題の解決、などの特性を鑑みて、指標と目標を管理しております。
指標 | 目標 | 実績 |
サステナブル製品拡販 | 2026年度の売上高を 2021年度実績対比30%増加 | 2021年度 63,108百万円 2022年度 75,944百万円 進捗率67.8% (2026年度目標 82,040百万円) |
温室効果ガス排出 | (国内) 日本政府目標「2030年にGHGを2013年度比46%削減」に対し、3年前倒しで、2027年に46%、2030年に50%削減。 (海外は、各国政府の方針に従い削減計画を策定・推進) | 2013年度 17,236 t-CO2e 2021年度 15,887 t-CO2e (2027年度目標 9,260 t-CO2e) (2030年度目標 8,618 t-CO2e)
|
女性管理職比率 男性育児休業取得率 男女間賃金格差 | 後述「人的資本について」をご参照ください。 |
(5) 重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンスおよびリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
・気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)
・人的資本
それぞれの項目にかかる当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。
① 気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)
当社グループは2021年12月に「TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言への賛同を表明しました。またカーボンニュートラル実現を成長の機会として捉え、自ら以外のステークホルダーも含めた経済社会システム全体の変革を行うための議論と新たな市場の創造のための実践を行う場として2022年3月に設立された「GXリーグ」に賛同を表明し、2023年度からの本格稼働にも参画しております。
TCFD提言に基づき、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目について、積極的に情報開示を推進していきます。
<TCFD提言における推奨開示項目>
ガバナンス |
| 戦略 |
| リスクマネジメント |
| 指標と目標 |
気候関連のリスクと機会に関する組織のガバナンスを開示する。 |
| 気候関連のリスクと機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす実際の影響と潜在的な影響について、その情報が重要(マテリアル)な場合は、開示する。 |
| 組織がどのように気候関連リスクを特定し、評価し、マネジメントするのかを開示する。 |
| その情報が重要(マテリアル)な場合、気候関連のリスクと機会を評価し、マネジメントするために使用される指標と目標を開示する。 |
推奨開示 |
| 推奨開示 |
| 推奨開示 |
| 推奨開示 |
a) 気候関連のリスクと機会に関する取締役会の監督について記述する。 |
| a) 組織が特定した、短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会を記述する。 |
| a) 気候関連リスクを特定し、評価するための組織のプロセスを記述する。 |
| a) 組織が自らの戦略とリスクマネジメントに即して、気候関連のリスクと機会の評価に使用する指標を開示する。 |
b) 気候関連のリスクと機会の評価とマネジメントにおける経営陣の役割を記述する。 |
| b) 気候関連のリスクと機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響を記述する。 |
| b) 気候関連リスクをマネジメントするための組織のプロセスを記述する。 |
| b) スコープ 1、スコープ 2、該当する場合はスコープ 3 の GHG 排出量、および関連するリスクを開示する。 |
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| c) 2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオを考慮して、組織戦略のレジリエンスを記述する。 |
| c) 気候関連リスクを特定し、評価し、マネジメントするプロセスが、組織の全体的なリスクマネジメントにどのように統合されているかを記述する。 |
| c) 気候関連のリスクと機会をマネジメントするために組織が使用する目標、およびその目標に対するパフォーマンスを記述する。 |
出典:2021年10月気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言の実施(日本語訳)
https://tcfd-consortium.jp/pdf/about/2021_TCFD_Implementing_Guidance_2110_jp.pdf
ガバナンス
気候変動を含むサステナビリティに関する重要な経営課題は取締役会に付議・報告されます。経営組織その他コーポレートガバナンス体制に関する詳細な情報については、4「コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
当社は執行役員制度を導入しております。執行役員の業務執行機能を分離し、取締役会がその監督を行うことで、経営環境の変化に効率的かつ迅速に対応できる体制をとっております。
毎月1回開催されるグループ経営会議は、取締役、執行役員および部門責任者を構成員とし、気候変動を含む業務執行状況が報告されます。取締役会メンバーはそれを監督・点検し、今後の経営方針および計画について審議するなど、経営環境の変化やリスクに対して各部門が迅速に対応できる体制をとっております。
| 会議名 | 構成員 | 頻度、内容 |
監 督 | 取締役会 | ·取締役 (監査等委員である 取締役を含む) | ·月1回、必要に応じ臨時取締役会を開催 ·業務監督、点検 |
執 行 | グループ経営会議 | ·取締役会メンバー ·執行役員 ·部門責任者 | ·月1回開催 ·各部門における業務執行状況の報告、 今後の経営方針および計画について審議 |
<報告者、(頻度)、報告事項> | |||
各カンパニー・部門責任者 | (都度) | - 業務執行状況、事業環境の動向・変化、等 | |
・環境担当役員 | (年1回以上) | - 指標・目標・進捗 | |
| (都度) | - 気候関連ほか環境課題への取り組み状況 | |
・経営企画担当役員 | (都度) | - 気候関連を含むESG経営全般 | |
監 視 | 内部統制会議 | ·監査等委員および担当 役員を含む全部門の代 表者 | ·隔月開催 ·各部門・国内外子会社の内部統制月報に基づき、 コンプライアンスの徹底、リスクの回避および管 理の状況、「ハリマグローバル企業行動基準」の 遵守状況を監視 |
全社の環境経営の推進と各拠点の環境管理活動を統括する全社環境委員会の委員長(環境担当役員)は、気候関連をはじめとする環境課題への取り組み状況、指標・目標設定や進捗状況等を報告します。
また、部門責任者は気候変動機会を含む各部門における業務執行状況を報告し、経営企画担当役員はESG経営全般の報告をします。
取締役会は、戦略、業務計画、リスク管理方針、年間予算、業務目標・計画、実行・進捗管理、設備投資、企業買収・事業分離などの評価・指導時には、気候関連の課題を考慮します。 |
|
戦略
■ 社会的課題解決に向けたサステナブルな製品の拡販
パインケミカル事業の主要原料である粗トール油は、EUにおける再生可能エネルギー指令(RED II)で先進型バイオ燃料として規定されるなど、近年、急速にニーズが高まっております。当社は国内で唯一、粗トール油を原料としたトールロジン、トール油脂肪酸を生産しており、再生可能原料を使用するパインケミカル製品をはじめ、環境負荷を低減する化学工業製品をさまざまな用途へ提供し続けております。
中期経営計画では、当社グループの強みを活かし、再生可能原料の使用、有害性物質・VOC低減、3R、脱プラといった環境負荷を低減する社会的課題の解決に役立つ製品(サステナブル製品)を拡販する戦略を掲げております。
■ 脱炭素社会実現に向けた取り組み
当社グループは、経営理念「自然の恵みをくらしに活かす」のもと、再生可能資源であるロジン(松やに)を原料に、パインケミカル(松の化学)の「循環型事業」を中心に成長してきました。「自然に負荷をかけない生産システム」と「自然環境にやさしい製品」を通じて、潤いのある、豊かな社会の創造を使命に、人と技術を大切にするグローバルカンパニーを目指します。
製品の製造には、松材からパルプを製造するときに副生する粗トール油を原料として活用しております。また、粗トール油を精留しトールロジン、トール油脂肪酸などを生産する過程で得られる副生物は、カーボンニュートラルのバイオマス燃料(自然循環型エネルギー)として有効利用しております。
当社グループの循環型事業の成長と脱炭素社会実現に向けた取り組みには比較的長い歴史があります。1958年に国内で初めてトール油精留事業に参入し、1973年には人と地球にやさしい世界初の完全クローズドシステムのトール油精留プラントを建設しました。また、加古川製造所(兵庫県加古川市)にバイオマス発電設備(2005年)を稼働、伊保基地(兵庫県高砂市)には太陽光発電システム(2014年、発電能力1,129kW)を稼働させるなど、予てより脱炭素社会の実現に向けた取り組みを行っております。2022年にはカーボンニュートラル都市ガスを導入し、2023年には地域行政・住民との価値共創・課題解決プロジェクトとして「ため池水上太陽光発電事業」を開始しました。2023年4月には加古川製造所に実質CO2フリーのプラント運営を目指すミルセン(香料原料)の製造設備を完工しました。また、再エネ指定の非化石証明書を組み合わせることでCO2排出量をゼロとする仕組みを導入し、加古川製造所の電力CO2排出量のゼロ化を実現する取り組みを行い、その他の国内工場でも同様の取り組みを進めております。
2021年6月には、国内の温室効果ガス削減ロードマップを公表しました。2030年46%削減(2013年度比)という政府の温室効果ガス削減目標に対して3年前倒しし、2027年に46%削減、2030年には50%削減を目標にしております。その実現に向けて、再生可能エネルギーやバイオマスエネルギーの拡大、エネルギーの効率化に取り組んでおります。
<温室効果ガス削減ロードマップ(CO2換算)>
これらの戦略への取り組み状況は、定期的に進捗を確認し、後述の「指標と目標」で開示します。
■ 気候関連リスク・機会の影響について
気候関連のリスクと機会が当社の事業、戦略、財務計画に及ぼす実際の影響と潜在的な影響について、重要(マテリアル)な財務影響を与える可能性のある気候関連リスク・機会を、2℃未満、4℃以上のシナリオごとに、後述のリスク管理プロセスで特定しました。的確なリスク認識の下、適時適切に対応策を図り、レジリエンスを備えます。
尚、具体的な気候関連リスク・機会と対応策(レジリエンス)につきましては、当社グループのホームページに公表している「TCFD提言に基づく情報開示」をご参照ください。
(https://www.harima.co.jp/environment/tcfd_recommendations.html)
リスク管理
気候関連のリスクは、脱炭素社会実現に向けた社会の変容を捉えるべく、長期的かつリスク規模も大きくなる可能性があり、これはその他のリスクとも相互に関係し合うものであることから、統合的なリスク管理が重要と認識しております。
当社グループは、事業等のリスクを、経営環境に関するリスク、事業運営に関するリスク、経理・財務に関するリスクに大別して有価証券報告書等で開示しておりますが、気候関連リスクは「経営環境に関するリスク」の一つと捉え、相互の関連を認識したリスク管理を行っております。
気候関連リスクを識別・評価・管理するにあたって、以下のリスク管理プロセスを執っております。
<リスク管理プロセス>
① 気候変動事象の 分類 | ·移行リスク(政策・法規制、技術、市場、風評) ·物理的リスク(急性リスク、慢性リスク) ·機会(資源効率、エネルギー源、製品・サービス、市場、回復力) |
② 時間的範囲の | ·投資家等に比較的馴染みのある日本国債償還期間に応じた分類を採用。 ·短期(1年未満)、中期(5年未満)、長期(10年未満)、超長期(10年超) |
③ 気候変動 | ·IEA、IMF、IPCC、官公庁資料など、閲覧性・公共性が高く、多くの企業が参照する認知度の高い ものより選定。 ·一般化された指標がなく当社固有の事業特性に関する気候変動事象については閲覧性・信憑性の 比較的高い学術論文等を参考に当社で推計。 |
④ 期間毎 | ·当社事業特性を踏まえたリスクイベントの発生蓋然性を加味し、各気候変動事象の評価期間にお ける各年度の最大損益額を試算の上、期間ごと財務影響度を判定。 ·気候変動に関連する現行・新規の規制要件(例:排出制限)など外部環境の要因を反映すべく、 TCFDコンソーシアムやGXリーグ、官公庁、各国当局、投資家、取引金融機関、取引先等からの確 度高い情報を反映。 ·財務影響度にリスク管理上の重要性を加味し、以下に分類。 大:経営に大きな(事業継続が困難な)収益影響が出る 中:経営に長期的な収益影響、一時的だが大きな収益影響 小:部門運営に影響が出る、経営に一次的な収益影響が出る |
⑤ リスク機会の 判断 | ·重要なリスク機会は、想定シナリオが顕在化した際の「影響度」ならびにその「発生可能性」で 評価。(「事業等のリスク」と同様) ·気候関連リスクのうち特に重大なものは当社グループのグローバル経営におけるリスクマネジメ ントに関する基本方針を定める「リスクマネジメント委員会」において顕在化を未然防止する方 策を検討し、組織戦略のレジリエンス説明を添えて取締役会に報告・付議するとともに、これを 開示。 |
⑥ 対応策の実施 | ·取締役会の監督のもと、全社環境委員会で協議し、対応策を推進。 ·各リスクへの対応状況確認、戦略見直し、反映。(年に1度) ·気候関連リスクのうち特に重大なものが生じた場合、「リスクマネジメント委員会」において未 然防止する方策を検討し、組織戦略のレジリエンス説明を添えて取締役会に報告・付議し、開示。 |
⑦ 年次レビュー・ 開示 | ·気候関連リスク・機会の年次レビュー、開示 |
指標と目標
温室効果ガス排出削減目標(Scope1,2)に向けた進捗管理に加え、2022年度よりScope3のモニタリングを開始しました。また、炭素利益率(温室効果ガス排出量1,000tあたりの営業利益)も今後の戦略にどのように反映していくかの検討を開始しております。各目標の達成に向けて取り組みを進めていきます。
具体的な指標・目標と実績につきましては、当社グループのホームページに公表している「TCFD提言に基づく情報開示」をご参照ください。
(https://www.harima.co.jp/environment/tcfd_recommendations.html)
② 人的資本について
当社グループは、「自然の恵みをくらしに活かす」、「人と技術を大切にするグローバルカンパニー」を企業理念とし、従業員は会社にとって最大の財産で、その成長が会社全体の発展に繋がるという意識のもとに、従業員一人ひとりが安心して仕事に全力投球でき、仕事を通して自己実現できる環境の整備に取り組んでおります。
特に2015年に導入した、統一された価値観“バリュー”を中心に据えた人材育成制度は、企業の経営戦略と人事戦略を連動させるための制度です。この制度では、“バリュー”を採用や教育、評価等に組み込み、多様化する価値観の中で従業員の方向性を統一します。この制度により、企業価値の創造や企業理念の実現に求められる人材ポートフォリオを実現できると考えております。
また、2022年度を初年度とする中期経営計画「NEW HARIMA 2026」では、基本方針3本柱の一つとしている「新規事業、成長分野に向けた研究開発」において、成長分野への資源配分と新製品開発による市場参入を目指しております。
今後も、企業理念の実現とその時代に求められる社会課題解決に柔軟に対応できる人材育成に努めてまいります。
ガバナンス
重要な組織変更や人事異動、幹部の採用、人事諸制度の新設・改廃は取締役会で決議されます。また、人事委員会は、資格等級審査や重要な人材開発施策、人事制度に関する事項を決議し、その結果を取締役会に報告します。人事に関する諸制度(評価、福利厚生、労働組合、採用、人材育成、等)の企画・立案・管理・推進・運営は、人事グループが統括します。各事業カンパニーやカンパニーに属さない子会社、グループ本社管理部門は、所管組織の人材育成・指導・管理を行い、その運営状況を人事グループに報告します。また、海外拠点における従業員の採用や労働組合との対話は各拠点長が担い、そのための人事組織をそれぞれ有し、その運営状況はその拠点を所管するカンパニー長に報告されます。
戦略
当社グループは、長期ビジョン「Harima Vision 2030」において、2030年度に売上高1,200億円以上、営業利益85億円以上、ROE10%以上、海外売上高比率65%以上、温室効果ガス排出量50%削減、という目標を設定しており、その達成に向け中期経営計画を策定しております。
この中期経営計画の達成に必要となる人材開発を、達成目標よりバックキャストし人材開発計画を策定しております。
<as-is to-be分析によるリスキル・リカレント能力開発領域>
■事業基盤の強化と事業領域の拡充
当社の達成目標からのバックキャストで、次世代幹部候補生の育成、およびそれを補佐する人材の育成、ならびに、今までとは異なった事業領域での新規事業を創出できる人材の育成という課題を認識しております。人材ポートフォリオにおけるスキルセット拡充に向けて、リスキル・リカレントを推進します。
■新規事業、成長分野に向けた研究開発
研究開発投資の強化とM&Aを通じたサステナブルな新製品の開発と新規事業領域への参入にチャレンジし、そのための人材育成・採用を進めております。研究分野の採用では、化学はもとよりその製造プロセスや戦略事業分野ほか幅広い分野の人材を採用しております。
また、国際機関・産官学連携をはじめとする様々なパートナーシップを深化させ、社会インパクトとともに人材ポートフォリオの厚みを増していくために、機動的な人材派遣を行い、派遣先でもより活躍しやすい環境の構築に努めております。
■新時代に向けた経営の革新への対応
AI・IoT活用による製造現場での生産性・安全性向上、AI活用による研究開発のスピードアップ、ならびにDXの推進に必要な人材を育成していきます。
■人材育成方針
従業員一人ひとりの能力向上を支援する教育研修では、特にフォローアップに注力し、研修の内容を確実に習慣として身につけ「能力」とすることを研修の主眼としております。また、これらの教育研修と併せてキャリア面談を実施し、「自己の明確な目標に向かって、自己の成長を感じ、働きがいを持って仕事に取り組める」環境づくりを推進しております。
■Harima Growth Program System(H-GPS)
キャリア開発プログラム(CDP)は、統一された価値観“バリュー”を基軸とし、従業員の10年後のキャリアからバックキャストした計画を実践するという人材育成制度で、従業員の自己成長と上司による部下育成を同時実現する制度です。
人事評価制度(GPS)は、CDPを基に単年ごとの目標に落とし込み、「テーマ達成度(成果評価)」と「バリュー実践度(バリュー評価)」を評価軸とすることを特長としており、単年の積み上げがキャリア形成に繋がっていく仕組みとしております。
■ 社内環境整備方針
従業員が持てる能力を最大限発揮できる環境づくりとして、福利厚生の充実を図っております。
長期休業補償制度 | セーフティネットとして、従業員自身が傷病により就業不能となった際に、所得を補償する制度。 |
健康・医療・メンタルヘルス相談サービス (ERPサービス等) | ·従業員とその家族の体と心の健康の保持・増進と各個人のセルフケアのサ ポートを目的とする相談サービス。法律相談も対象。 ·統括産業医・保健師による教育の充実、専門サポートを強化。 |
eラーニング | 基礎教育およびテーマ別の教育に活用。 ※全従業員にスマートフォンを配布。出張移動などの隙間時間にもeラーニング受講可能。 |
健康管理システム | 健康管理システムにより、従業員の健康管理を強化。 |
人的資本に関する詳細な情報については、当社グループのホームページ「従業員とともに」をご参照ください。(https://www.harima.co.jp/environment/employee.html)
リスク管理
取締役会や人事委員会などにおける議論の過程で特定される重要なリスクについて、そのレジリエンスも含めコントロールをしております。
重要なリスク | レジリエンス |
コンプライアンス、ガバナンス (不慮の規律違反、社内規則違反、事故 などにより、従業員が全力投球する機会を 極大化できないリスク) | ·ベース研修(経営理念、行動規範、法規制、社内規則) ·エンゲージメント測定による予兆管理 ·組織診断、不祥事アンケート、経営倫理士の因子分析、勉強会による意識づけ・改革 |
労務管理上の問題 (従業員の健康・安全、法令遵守) | ·時間外、インターバルのモニタリング ·健康管理システムによる会社・従業員による健康情報の可視化、予兆の把握、対処の早期化 ·製造部門における基礎教育(設備、設計、安全管理)の充実 |
社内・社外通報 | ·通報者の保護、全社員への通報制度の周知 ·実態把握・事実関係の調査、要因分析、是正措置・対応通報者への報告 |
指標と目標
従業員エンゲージメント向上に必要な施策を実施していきます。
指標 | 目標 | 実績 |
女性管理職比率 | 2030年度 ハリマ化成グループ㈱ 15% ハリマ化成㈱ 7% | 2022年度 ハリマ化成グループ㈱ 6.5% ハリマ化成㈱ 0% |
男性育児休業取得率 | 2030年度 ハリマ化成グループ㈱ 100% ハリマ化成㈱ 100% | 2022年度 ハリマ化成グループ㈱ 0% ハリマ化成㈱ 100% |
男女間賃金割合 | 2030年度(全労働者) ハリマ化成グループ㈱ 70% ハリマ化成㈱ 70% ハリマ化成商事㈱ 65% | 2022年度(全労働者) ハリマ化成グループ㈱ 62.3% ハリマ化成㈱ 60.8% ハリマ化成商事㈱ 57.8% |
エンゲージメント | ・ストレスチェック (分析・対策実施の充実) ・エンゲージメントツールのレベルアップ (測定ツール導入・2023年度運用開始) ・キャリア形成支援の充実 (キャリア面談の拡充) | ・ストレスチェック(総合健康リスク) 2020年度 94 2021年度 88 2022年度 92 目標値: 90以下を維持 |
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