ネポン 【東証スタンダード:7985】「金属製品」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、創業者の『みんなが豊かな生活に』『世界に二つとない商品を開発しよう』をモットーに、健全な事業活動を通して人を大切にし、優れた製品の提供と質の高いサービスを通じ、社会の発展に貢献することを企業理念としております。
株主・ユーザー・取引先のほか、全てのステークホルダーにとって価値あるべく、常に経営の効率化と収益性の向上を目指した事業活動を展開するとともに、将来に向け新分野、新事業へ展開していくことを経営方針といたしております。
また、顧客志向を第一に考え、『お客様が求める環境作りのために私たち(社員)はお客様の声を起点に農と住の明日を創造する会社を目指します。』を事業骨子と位置付けております。
(2)経営環境、経営戦略等
当社グループを取巻く経営環境は、主要なセグメントに関連する施設園芸業界において、高齢化に伴う後継者不足により小規模農家が減少しているものの、一方で、法人の農業参入が増加しており、施設園芸の大規模化・高度なシステム化が進んでおります。
また、農林水産省が公表しております「みどりの食糧システム戦略KPI 2030年目標の設定について」にて、施設園芸業界を含む農林水産業の2050年までのCO2ゼロエミッションへの目標が掲げられ、当社主力暖房機で使用しているA重油といった化石燃料を使用する温風暖房機からの脱却も必要となっております。
このような状況でも、質の高い日本の農産物は、ニーズが高く、国内のみならず海外の市場から求められる存在であることに変わりありません。
当社グループは、創業以来、熱と流体を制御する技術を蓄積してまいりました。その技術を駆使し、当社グループが携わる事業領域の一つのセグメントである施設園芸業界において、農業用の暖房機を展開し、確固たる事業基盤を構築しております。
その事業基盤を活かし、お客様のニーズにあわせて、最新のIoT技術を活用した農業用ICTクラウドサービスである「アグリネット」を展開しました。
また、他社サービスとも連携できるIoTプラットフォームである「Chabu-Dai」を構築し、トータル的にお客様の栽培環境を最適化し、高付加価値を生み出すサービスを提供しております。更に、2023年7月より、当社主力暖房機に通信機器を標準搭載し、スマートフォンによる稼働状況モニタリング及び遠隔制御を可能とする「ちょこっとリモコン」をリリースしました。
また、化石燃料使用の暖房機以外にも、電気使用によるヒートポンプを提供するとともに、よりCO2排出量の少ない燃料、熱源及び次世代エネルギーを使用する暖房機開発にも取組んでおります。
[アグリネットを活用した事業展開]
ハウス内の環境のデータをパソコンやスマートフォンでモニタリングし、栽培環境をリアルタイムで把握でき、その情報を管理し反映する事で省力化と収量アップを提供。また、環境制御盤と連携する事でハウス内の環境を自動制御し、遠隔で設定値の変更が可能となり省力化と、ハウス内の温度異常や停電、暖房機のトラブルを警報メールでお知らせし、機器の監視と安心して機器を使用していただくための見守りサービスを提供。
[Chabu-Daiを活用した事業展開]
データ連携基盤ソフトウェア「Chabu-Dai」は様々なメーカーのデバイス機器の通信形態に合わせた形でデータ連携し、時系列データベースに蓄積されたデータを必要な情報のみ引き出す事が可能。蓄積されたデータはお客様が利用するツールに合わせて出力できるため、分析にかかる時間を短縮でき省力化を提供。
[通信機能付き施設園芸用の新型温風暖房機]
2023年7月から主力暖房機に通信機器を標準搭載すると共に、稼働状況モニタリング・遠隔稼働操作・燃料使用量及びCO2排出量グラフ表示・異常警報確認等を園芸施設内へ行かずにリアルタイムで行うことで、暖房機の操作性向上と省力化を実現するスマートフォン用アプリケーション「ちょこっとリモコン」を提供。
[ヒートポンプを活用した事業展開]
化石燃料使用量削減に伴うCO2排出量削減に向けて、化石燃料使用による温風暖房機と電気使用によるヒートポンプとの併用(ハイブリッド)暖房システム機器の提供および、よりエネルギー消費効率が高いヒートポンプの開発。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、施設園芸業界の変化に伴い、上記経営戦略で記載したサービスをスピード感を持って対応していくため、以下を優先的に対処すべき課題と認識しております。
①最適なIoT製品を開発する体制の強化
変化が早いIoT事業において、お客様のニーズを捉えて、最適なサービスを継続的に開発していくためにも、開発体制の強化が必要となります。
農業ICTクラウドサービスは、近年、他社参入が増加しており、差別化した製品を迅速に開発するためにも、引き続き積極的な投資が必要と考えております。
②脱炭素に向けた暖房機等の開発体制強化
化石燃料と電気の併用(ハイブリッド)暖房システム・機器の提供に加えて、当社の主力暖房機が使用しているA重油以外の、よりCO2排出量の少ない燃料、熱源、次世代エネルギーを使用する暖房機等の開発体制強化が必要となります。
③人財の育成
上記①②の展開を行うために、基礎となる人財の育成が重要と考えております。
全従業員への経営理念の徹底は勿論のこと、業務に対する意識の高揚、スキルアップを第一の重点課題として取り上げ、体質改善に取組みます。また総合力の向上を目的に取組み、各業務の標準化を進め、情報・ノウハウの共有化を強化すると同時に各部門、各個人間の業務を円滑且つスピーディーに対処できる組織作りに努めます。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、目標とする経営指標を売上高及び営業利益率、自己資本比率と位置付けております。
当連結会計年度における売上高は、2023年7月に上市した通信機能付新型温風暖房機の本格稼働に伴い、制御のソフトウェアをバージョンアップしたことから対応に時間を要した結果、総売上高は77億7千4百万円(前年同期比2.7%減)となりました。
損益面においては、円安進行による輸入製品仕入価格上昇等による売上原価増、2023年5月公表の中期経営計画に織り込みました社内制度・システム改革費用負担等により、営業利益は3千4百万円(前年同期比91.0%減)、経常利益は8千2百万円(前年同期比79.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6千4百万円(前年同期比77.2%減)と、いずれも前年同期を下回る結果となりました。
営業利益率は、上記要因により、0.4%(前年同期4.9%)となりました。
自己資本比率については、38.1%(前年同期36.1%)となりました。
引き続き、資本・資産効率をより意識し、収益改善を進め、目標とする経営指標の改善に努めてまいります。
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