ニトリホールディングス 【東証プライム:9843】「小売業」 へ投稿
企業概要
当社当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、独自のビジネスモデル「製造物流IT小売業」を通じて、お客様の快適な暮らしと環境・社会課題の解決を両立した事業推進に努め、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
2021年度は、7つのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を特定し、その重要課題に基づき、一部店舗におけるカーテン・羽毛布団のリサイクル回収や、設計段階から再資源化を見据えた商品開発など、サーキュラーエコノミーを意識した取り組みを推進したほか、気候変動への対応においては、TCFD提言への賛同を表明し、温室効果ガス削減目標をはじめとするTCFD提言に基づく情報開示を実施いたしました。
また、サステナビリティ経営推進体制については、取締役会直下の組織として「サステナビリティ経営推進委員会」を位置づけ、その委員長として、代表取締役社長がリーダーシップを取り推進する体制への強化を実施したほか、専任部署として「SDGs推進室」を新設いたしました。
今後も、サステナビリティを経営の重要課題と位置づけ、企業として求められる環境・社会課題解決への取り組みを推進してまいります。
(1)気候変動に関する取り組み
①ガバナンス
当社グループでは、気候変動への対応を重要な経営課題と捉えております。
当社代表取締役社長を委員長とした「サステナビリティ経営推進委員会」においては、サステナビリティ全般に関する課題をグループ全体で把握し、「サステナビリティ経営推進会議」においては、事業会社の環境部門責任者を構成員とし、具体的な対応策や目標設定について協議しております。
その議論・決定内容は取締役会に報告され、取締役会においては、当社グループで実施する対応策の承認と必要な助言を行っております。
気候変動への対応については、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の一つである「環境に配慮した事業推進」の活動の一環としてアプローチを進めてまいります。気候変動への対応を含む当社グループのサステナビリティに関わる取り組みの進捗は、年一回以上取締役会に報告する運用としております。
(サステナビリティ推進体制)
(サステナビリティ重要課題(マテリアリティ))
1.「お、ねだん以上。」の商品・サービス提供による豊かな暮らしへの貢献
2.品質管理の徹底による製品安全・安心の提供
3.環境に配慮した事業推進
4.サプライチェーンにおける公平公正な取引と人権尊重
5.地域社会への貢献
6.働きがいのある環境づくりとダイバーシティの推進
7.実効性のあるコーポレート・ガバナンス
各マテリアリティに対する当社グループのアプローチや主に関連するSDGsの項目等詳細については、当社WEBサイト(https://www.nitorihd.co.jp/sustainability/policy/#policy-4)内に記載しております。
②戦略
温暖化防止の状況により、気候変動は様々なシナリオが考えられますが、当社グループでは代表とされる「+4℃」シナリオと「+2℃(未満)」シナリオについてサステナビリティ経営推進体制の下で検討いたしました。
「+4℃」シナリオにおいては、十分な対策がなされずに酷暑と激甚な暴風雨が発生することが想定されるため、物理リスクの影響を中心に検討し、「+2℃(未満)」シナリオにおいては、温暖化抑止に向けて技術革新や規制強化が進み、社会が変化することが想定されるため、移行リスクの影響を中心に検討いたしました。
リスク | 重要な変化 | 主なリスク | 主な取り組み |
+4℃シナリオ 「物理リスク」 | ・台風洪水等異常気象の激甚化(急性リスク) ・平均気温の上昇(慢性リスク) | ・工場被災による生産停止・復旧コスト増加 ・商品・原材料供給網の寸断 ・販売シーズンのズレによる商品価値の低下 ・事業継続リスクや保険料・運営コスト上昇 ・被災時の店舗休業による機会損失 ・従業員の安全に係る脅威 | ・複数サプライヤーからの調達 ・産地分散、グローバルマーチャンダイジング ・商品販売時期の適正化、消化率向上 ・事業継続計画(BCP)の見直し ・安否確認システムの見直し、定期訓練、災害備蓄品の確保 |
+2℃(未満) 「移行リスク」 | ・脱炭素化 ・政策 ・法規制強化 ・技術革新 | ・エネルギーコスト上昇 ・再生可能エネルギー・省エネルギー対応設備投資の増加 ・「炭素税」や「カーボンプライシング」の導入による事業コスト増加 ・原材料の高騰 ・市場評価や評判の低下 | ・再生可能エネルギーの活用拡大 ・エネルギー使用の効率化、低排出技術の活用 ・グリーンロジスティクスの推進 (共同輸送・モーダルシフト) ・原材料の脱炭素化 ・再生原材料の活用 |
機会 | 重要な変化 | 主な機会 | 主な取り組み |
+4℃シナリオ 「物理リスク」の影響大 | ・台風洪水等異常気象の激甚化(急性リスク) ・平均気温の上昇(慢性リスク) | ・商品供給体制のレジリエンス(強靭性)確保 ・被災時の店舗の早期営業体制の構築 | ・産地分散、グローバルマーチャンダイジング ・サプライチェーンマネジメントの確立 ・事業継続計画(BCP)の見直し |
+2℃(未満) 「移行リスク」の影響大 | ・脱炭素化 ・政策 ・法規制強化 ・技術革新 | ・新たな顧客ニーズの高まり(価値観の変化)への対応(エシカル消費、省エネ・省資源化ニーズ等) ・生産力・資産価値の向上と差別化 ・公的支援(減税等)の活用 ・市場評価や評判の向上 | ・環境配慮型機能性商品づくりの推進 ・循環型商品づくり(サーキュラーエコノミー)の推進 ・独自のビジネスモデルと事業領域の拡大 ・社会課題解決ノウハウの事業化 |
③リスク管理
当社グループは、気候変動関連の規制や事業への影響等のリスク要因を幅広く情報収集・分析を実施しております。
留意すべき重要な機会とリスクについては各事業部の環境部門責任者が参画する「サステナビリティ経営推進会議」で評価・特定しております。
評価・特定されたリスク・機会については、前述のサステナビリティ経営推進体制の下で監督・モニタリングし、リスク・コンプライアンス委員会と問題を共有することで、組織の総合的リスク管理を統合しております。
④指標及び目標
温室効果ガス排出量削減目標として、スコープ1+2の排出量(海外拠点含む)削減を以下のとおり目指します。
2030年度 2013年度比で50%削減
(売上高1億円あたり排出量)
2050年度 カーボンニュートラル
(排出量実質ゼロ)
また今後、お客様の商品使用段階における排出量削減も含めた環境配慮型機能性商品の開発や、資源循環への取り組みを推進し、スコープ3における排出量削減に関する開示についても検討してまいります。
(施策)上記目標を達成するための施策として、再生可能エネルギーの利活用や、エネルギー効率の高い電気・ガス設備への入替え、当社グループ施設への熱遮断性の高い建築方法・建築素材の採用等、複数の施策を進めてまいります。また、これらの温室効果ガス削減につながる設備投資を促進するため、将来見込まれるカーボンコスト(炭素税・排出量取引等)を踏まえた投資判断を行うためのツールとして「インターナルカーボンプライシング(ICP:社内炭素価格)」を2023年度から導入すべく準備を進めております。なお、再生可能エネルギーの利活用につきましては、設置可能な当社グループの店舗及び物流センターの屋根上を活用した太陽光発電を開始することを予定しており、今後、拡大することで、上記目標の達成に向けて大きく寄与することを見込んでおります。
(進捗)
中間目標: 2030年度 2013年度比で50%削減(売上高1億円あたり排出量)
2021年度進捗: 2013年度(売上高1億円あたり排出量原単位33.60t-CO2)比で10.8%削減
(2)多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針
当社グループは、社会に貢献する真のスペシャリストの育成を目指し、幅広い領域の配転教育により人材力を高め、「多数精鋭」の組織づくりの実現を目指しております。業界や職種の垣根を越えた課題解決を余儀なくされる今の時代に求められるのは、広範囲にわたる領域の知見を活かし、幾多の専門性を組み合わせてイノベーションを起こせる人材であり、当社グループは配転教育によって個人が専門性の柱を増やし、広い視野から課題を解決に導ける「ニトリ型スペシャリスト」を数多く輩出しております。この強力な“多数精鋭”の組織を強みに、今後も持続的成長を目指します。
また、当社グループは従業員一人ひとりの人権を尊重し、職場におけるあらゆるコミュニケーションにおいて、多様性が損なわれないように調和を図り、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しております。結婚や出産、育児、介護や、国籍、LGBTQなどさまざまな事情や背景をもつ従業員が、互いを認め合い、尊重し合える企業文化を醸成することで、働きがいのある環境がつくられ、企業成長にも繋がると考えております。
今後も中長期経営戦略の実現に向けて、多様な人材が個々の力を最大限発揮できる環境の整備を進めてまいります。
①女性の管理職への登用について
当社グループの管理職における女性比率は増加傾向にあり、㈱ニトリと㈱島忠とを合計した管理職に占める女性労働者の割合は16.8%となっております。当社グループは、ライフイベントの到来等の個々の事情を踏まえ、女性管理職ポストの拡大、短時間勤務で活躍可能なポストの拡充、より利用しやすい支援制度の実現等について、全社員を対象としたアンケートや、取締役を交えた定期的な討議を実施しております。また、従業員のワークライフバランス向上を目的として、2023年には転勤なし・報酬の減額なしの「マイエリア制度」を導入するなど、多様な働き方が選択できるように取り組みをおこなっております。
今後も女性のキャリア形成を支える環境整備を進め、2030年代には女性管理職比率を40%程度まで高めることを目指します。
②外国人の管理職への登用について
「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」というロマンを実現し、2032年度ビジョン3,000店舗3兆円を達成すべく、当社グループはグローバル展開を加速してまいります。その方針に基づき外国人採用を進めており、現地法人におけるローカル採用を中心に、広く外国人の管理職登用を行っております。今後も外国人の管理職登用を進め、外国人管理職比率の向上を目指します。
③中途採用者の管理職への登用について
当社グループは、事業領域及び事業規模拡大に必要なスペシャリストのスカウトを継続的に行っており、取締役・経営幹部のみならず全社に中途採用者の活躍の場を用意しております。今後も、2032年度ビジョンの達成に向けて必要となるスペシャリストのスカウトを継続し、中途採用者管理職比率の向上を目指します。
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