ニチレイ 【東証プライム:2871】「食品業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
《ミッション(使命・存在意義)》
くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する
《ビジョン(目指す姿)》
私たちは地球の恵みを活かしたものづくりと、
卓越した物流サービスを通じて、
豊かな食生活と健康を支えつづけます。
《ニチレイが大切にする価値観~日々の行動や意思決定の規準~》
① お客様第一、安全第一、品質第一を貫く
お客様本位に徹するとはお客様との長期的な信頼の構築に努めることであり、その実現過程では安全第一、品質第一を貫かなくてはならない。この価値観は、ニチレイグループにおけるすべての事業活動の根幹である。
② 健全な利益を追求する
不公正・不当な利益は一切評価しない。コンプライアンスに違反する行為は、いとも簡単に事業継続を困難にし、企業の存続そのものを危うくする。ひとたび信頼を失えば、回復には途方もない時間がかかることを胸に深く刻み、フェアな競争に徹しなければならない。
③ 透明性の高い経営を推進する
すべてのステークホルダーから信頼されるため、誠実かつ公平な情報開示により説明責任を十分に果たして透明性の高い経営を推進し、企業価値を継続的に高めていく。
④ 持続可能な社会の実現に取り組む
食と健康を支える企業として、常に人々のくらしと未来を見据えて社会課題の解決に貢献するとともに、経済的・社会的・環境的側面に配慮しながら事業活動に取り組み、持続可能な社会の実現を目指していく。
⑤ 変革と創造に挑戦する
自由闊達な組織風土の中で失敗を恐れることなく、自己変革と新たな価値の創造に挑戦していく。
《ニチレイグループ サステナビリティ基本方針》
ニチレイグループは、地球環境・地域社会に及ぼす影響に配慮し、人権を尊重しながら、食の「調達」「生産」「物流」「販売」などの事業活動を通じて新たな価値を創造し、社会課題の解決に取り組みます。そして、これらの活動をステークホルダーの皆様に広く公表し、対話を深めながら、持続可能な社会の実現に向けて、豊かな食生活と健康を支える企業としての責任を果たしていきます。
ニチレイグループ サステナビリティ基本方針「ニチレイの約束」~持続可能な社会の実現に向けて~
新たな価値の創造 | 新たな商品やサービスを創り出し、事業を通じてお客様および社会の課題を解決します |
安全で高品質な商品 とサービスの提供 | 多様なニーズにこたえ、高い品質と安全性、安定した供給を実現し、お客様と社会からの信頼を獲得します |
持続可能なサプライチェーンと 循環型社会の実現 | 継続的で良好なパートナーシップの構築を通じ、環境や人権・労働環境に配慮した、倫理的で持続可能なサプライチェーンと循環型社会の実現を目指します |
気候変動への取り組みと 生物多様性の保全 | 温室効果ガス排出削減、食資源や水資源の適切な管理などを通じ、地球環境と生物多様性の保全に努めます |
社会との共生 | 社会の一員として、ステークホルダーと広く対話し、共に考え、行動することで、地域の発展や社会課題の解決に貢献します |
人財の多様性の尊重と 働きがいの向上 | 働く人の多様性を尊重するとともに、労働安全衛生の確保、公正な処遇、能力開発機会の提供に努め、個々の能力を最大限に発揮できる環境を実現します |
コーポレートガバナンス の充実 | 適切な資源配分や意思決定の迅速化に努め、対話と情報開示を通じて、公正で透明性の高い経営を推進します |
コンプライアンスの徹底 | 事業を展開する各国の法令の遵守、国際的な規範の尊重および企業倫理の徹底により、誠実な企業活動を実践します |
(2) 中期的な経営戦略、目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題
《全体戦略、財務戦略及びセグメント別の事業計画》
① 全体戦略
サステナビリティ基本方針に基づく事業活動を通じて、豊かな食生活と健康を支える企業としての社会的責任を果たしつつ、資本効率を追求した経営に取り組み、社会的価値と経済的価値の向上を目指してまいります。
その実現のため、国内事業の成長戦略を計画通り完遂し、顕在化する地政学リスクやESG課題に対応した持続的なサプライチェーン構築に向けて事業ポートフォリオの最適化を図ります。また次なる成長に向けて、海外事業拡大や新たな価値創出に資源を配分し、多様な人財の活躍やデジタル活用を通して、重要事項(マテリアリティ)の目標達成に注力します。
グループ中期経営計画「Compass Rose 2024」(2022年度~2024年度)の2年目にあたる2023年度は、原材料価格やエネルギーコストの高騰、円安などの影響を受けるなか、主力事業の業務効率化や価格改定効果、海外事業の伸長などにより、売上高・営業利益ともに過去最高となりました。一方、収益力の向上や次代の成長に向けた基盤の構築に課題を残しました。
計画最終年度にあたる2024年度は、調達コストの上昇圧力や人手不足による影響が継続するものの、インバウンド需要の増加や個人消費回復の兆しが見込まれます。これらの環境変化に対応した経営施策を着実に遂行することで、連結業績は、売上高6,900億円、営業利益390億円を目指します。
ニチレイグループ重要事項(マテリアリティ)
グループ重要事項(マテリアリティ) | 2030年のありたい姿 | グループ施策 | |
食と健康における 新たな価値の創造 | 食と健康における既存領域を超えた挑戦により、新たな市場や顧客価値を創造する | 素材や冷力の可能性を見出し、食を通じて地球の未来と人々の”こころ”と”からだ”の健康に貢献している。 | 健康や地球環境、多様化する顧客価値探索に対するR&Dおよびマーケティングへの資源配分 |
人々の”こころ”と”からだ”の健康や地球環境に対応した商品・サービスの開発および情報発信 | |||
新たな領域で価値を創出・育成する仕組みを作り、イノベーション活動を推進 | |||
食品加工・生産技術力の強化と低温物流サービスの高度化 | 食品の加工・生産、低温物流で培ったコアコンピタンスをさらに磨き上げ、グローバル市場において、社会課題の解決と競争優位性による収益力向上を実現する | 主力事業への経営資源集中により、キャッシュ創出力が一段と向上している。 | 加工食品・低温物流事業における積極的な設備投資を通じた能力増強・業務革新・環境負荷軽減・基盤整備などの推進 |
海外事業が新たな収益の柱となっている。 | グローバル人財の確保・育成や パートナー企業の開拓、 M&Aなどを通じた海外展開の加速 | ||
持続可能な食の調達と循環型社会の実現 | 事業の基盤であるサプライチェーンに関わるさまざまな社会課題を解決し、持続可能な食の調達と循環型社会の実現に貢献する | すべての原料・素材をニチレイグループサプライヤー行動規範・ガイドラインに準拠したサプライヤーやパートナー企業から調達している。 | 人権や環境に配慮したサプライチェーンの構築とデューデリジェンスに取り組む |
新たなビジネスモデルの創出などにより、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を推進している。 | 持続可能な資源調達やサーキュラーエコノミーの実現に取り組む | ||
自然資本へのリスクを把握し、 生物多様性や水資源に関するレジリエンスが向上している。 | 生態系に配慮した事業活動を通じ、 生物多様性と水資源の保全に取り組む | ||
気候変動への取り組み | 気候変動の影響を大きく受ける食品・物流企業として、サプライチェーン全体での温暖化対策やエネルギー削減をステークホルダーとともに取り組む | 2050年のカーボンニュートラルの実現を目指し、グループ国内外におけるCO2排出量削減の取り組みが進んでいる。 | 食品工場・物流センターにおける原単位でのCO2排出量削減や再生可能エネルギーの活用を推進するとともに、TCFDの提言に基づく情報開示を行う |
地球温暖化への取り組みとして生産・物流設備の脱フロン化が進展している。 | 国内におけるすべての冷凍・冷蔵設備の自然冷媒への置き換え | ||
海外における実態の把握を通じた自然冷媒への置き換え | |||
多様な人財の確保と 育成 | 持続可能な成長を実現するため、多様な人財を確保・育成するとともに、包摂的な企業風土を醸成する | さまざまな個性や能力を持った多様な人財が、それぞれの力を最大限に発揮することで働きがいが向上し、グループの持続可能な成長を支えている。 | 施策の効果をモニタリングする グループ共通のエンゲージメントサーベイの導入 |
グループ従業員がそれぞれのキャリア観などに応じた働き方を選択でき、かつ、生産性向上に寄与する人事制度 | |||
ルールの整備と活用支援 | |||
従業員一人ひとりが働きがいを感じ、健康で生き生きと働ける職場環境や企業文化づくりに向けたコミュニケーション活動の推進と公平な学びの機会の提供 |
ニチレイグループ重要事項(マテリアリティ)(KPI)
グループ重要事項 (マテリアリティ) | グループ目標(KPI) | 2023年度実績 | 2024年度目標 | 2030年度目標 | ||
食と健康における 新たな価値の創造 | 人々の”こころ”と”からだ”の健康や地球環境に対して付加価値を生み出す商品・サービスの売上高 | 552億円 | 645億円 | 1,400億円 | ||
生活者・社外向けの情報提供数(延べ人数/年) | 225百万人※1 | -※1 | 200百万人※1 | |||
食品加工・生産技術力の強化と低温物流サービスの高度化 | EBITDAマージン | 9% | 9% | 12% | ||
EBITDA年成長率 | 8%※2 | 7%※2 | 7%以上※2 | |||
海外売上高比率 | 21% | 23% | 30% | |||
持続可能な食の調達と循環型社会の実現 | ニチレイグループサプライヤー行動規範・ガイドラインに準拠したサプライヤーやOEM先からの調達率 | 賛同率99% (国内最重要先) | 賛同率100% (国内・海外最重要先) | 調達率100% | ||
主要原材料と重要サプライヤーへのESGデューデリジェンス実施率 | 国内畜産52% (最重要先) | 国内畜産・水産100% (最重要先) | 100% | |||
サーキュラーエコノミーの実現に向けたSDGs教育プログラムの受講率 | 51%(役職者) | 100%(役職者) | 100%(全従業員) | |||
全拠点における廃棄物リサイクル率 | 99.7% | 99% | 99% | |||
水産事業における水産物の持続可能な水産物調達ガイドラインに準じた調達率 | 94% | 99% | 100% | |||
うち、MSC・ASC認証品等のグローバル水産物認証品比率 | 22% | 32% | 50% | |||
持続可能なパーム油(RSPO認証油)の調達比率 | 100% (ブックアンドクレーム) | 100% (ブックアンドクレーム) | 100% (認証油) | |||
水ストレスが高い拠点における水使用量削減の取り組み | - | - | 高リスク拠点での水使用量の削減に取り組み、水保全活動を推進する | |||
当社グループ拠点や社有地における生物多様性保全活動の実施 | - | - | 自社拠点における動植物の種の保存を含む生物多様性の回復活動に取り組む | |||
気候変動への取り組み | CO2排出量 | 国内・海外Scope1,2 | 2022年度比 | - | - | △42% |
国内・海外Scope3 | 2022年度比 | - | - | △25% | ||
国内Scope1,2 | 2015年度比 | △30% | △33% | △56%※3 | ||
自然冷媒化率 | 生産設備(国内) | 63% | 74% | 100% | ||
低温物流関係(海外を含む) | 56% | 61% | 75% | |||
多様な人財の確保と 育成 | 女性取締役・監査役比率 (持株会社) | 13% | 19% | 30%以上 | ||
女性管理職比率 (持株会社) | 17% | 20% | 30% | |||
人財投資額 | 9.8億円 | 12億円 | 20億円 | |||
従業員エンゲージメントスコア | 68pt | 70pt | 80pt |
※1 2030年度の目標を達成したため、見直し予定
※2 2023,2024年度は2021年度基準の年成長率、2030年度は2025-2030年度の年成長率
※3 国内Scope1,2の2030年度削減目標を2022年度比△42%とした場合の2015年比の削減率
マテリアリティのKPIの詳細は、当社ウェブサイトに開示しております。
https://nichirei.disclosure.site/ja/themes/219
② 財務戦略
営業キャッシュ・フローと資産流動化により創出された資金は、企業価値の維持向上のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。
株主還元については、連結自己資本配当率(DOE)を基準として安定的な配当を継続するとともに、資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を機動的に実施することを基本方針とします。
・連結自己資本当期純利益率(ROE)は10%以上を維持します。
・連結自己資本配当率(DOE)4.0%を目安に配当を実施します。
資本効率について、事業別のROIC目標を設定し、評価と資源配分を行うとともに、資本コストの低減を図り、グループ全体の企業価値向上を目指します。
<2024年度計画数値>
グループ全体 | 23/3 実績 | 24/3 実績 | 25/3 計画 | 当初中計 |
ROE | 9.9% | 10.3% | 10%以上 | 10%以上 |
ROIC | 6.9% | 7.5% | 7.5% | 7%以上 |
NOPAT* | 234億円 | 265億円 | 271億円 |
|
使用資本 | 3,391億円 | 3,514億円 | 3,600億円 |
|
NOPAT(率) | 3.5% | 3.9% | 3.9% |
|
使用資本回転率 | 2.0回 | 1.9回 | 1.9回 |
|
*NOPAT=支払利息と持分法投資損益を除く税引前利益×(1-実効税率)+持分法投資損益
| 簡易ROIC* | ROIC向上への施策 | |||
2022年度 実績 | 2023年度 実績 | 2024年度 目標 | 当初 中計 | ||
加工食品 | 8.5% | 10.8% | 11.4% | 12%以上 | ・利益率の改善 (価格改定、戦略カテゴリーや新たな付加価値商品 の 販売強化など) |
低温物流 | 7.7% | 7.2% | 7.5% | 7%以上 | ・設備投資の計画的な実施と投資成果の実現 ・3PLや輸配送などアセットライトな事業の拡大 |
水産 | 3.5% | 2.9% | 7.5% | 6%以上 | ・低収益カテゴリーの取り扱い縮小 ・海外販売を強化 |
畜産 | 13.8% | 12.4% | 16.8% | 25%以上 | ・加工・開発機能の強化による収益性の改善 ・差別化商品の販売拡大 |
バイオ サイエンス | 8.9% | 12.5% | 9.2% | 5%以上 | ・成長領域の分子診断薬に資源を注力 ・イムノクロマト診断薬の安定成長 |
*簡易ROIC=税引後営業利益÷主要使用資本(営業資金+有形無形固定資産)
③ セグメント別の事業計画
(イ)加工食品事業
・健康価値やパーソナルユース需要の高まりに応えた商品を開発し、事業拡大を図ります。
・重点カテゴリーの生産・販売数量を拡大するとともに、コスト高を吸収する仕組みづくりを推進します。
・生産体制の強化及び原材料調達のリスク分散による持続可能なサプライチェーンを構築します。
・北米におけるアジアンフーズの堅実な成長を取り込むとともに、新たな柱の構築に取り組みます。
(ロ)水産・畜産事業
・カテゴリーの選択と集中による資本効率と収益性を向上します。
・グループシナジー効果を見据え、収益力を強化する仕入れ・販売体制を構築します。
・環境認証素材の水産品の取扱いを拡大するとともに、北米市場における販売の伸長を図ります。
(ハ)低温物流事業
・2024年の労働法規制対応を含む幹線輸送機能と冷凍食品物流プラットフォームを拡大します。
・保管運送一体運営の高度化により全国ネットワーク効果の最大化を図ります。
・業務革新、先端技術を活用した現場作業の高度化と効率化を推進します。
・将来の資本効率向上につながる設備投資を実施します。
・欧州における港湾拠点の活用や組織横断的な機能連携を強化するとともに、ASEAN拠点への投資など海外事業を拡大します。
(ニ)バイオサイエンス事業
・免疫染色装置と検査試薬を一体とした分子診断薬の販売を拡大します。
・抗原検査キットの需要変動に対し安定供給体制を確立し、営業力を向上します。
- 検索
- 業種別業績ランキング