ニチコン 【東証プライム:6996】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社グループは、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献します。より良い地球環境の実現に努め、倫理的・社会的責任を果たすとともに、顧客・株主・従業員をはじめ全ての人々を大切に、企業価値の最大化を目指して、誠心誠意をもって「考働(※)」します。」を経営理念に掲げ、「モノづくりからコトづくり」「製造業から創造業への変革」の実践と、「品質、コスト、納期、サービス、技術」などあらゆる面で最上級を目指すトップノッチ経営を打ち出し、積極的な成長戦略を展開し、企業価値の向上を図ります。
これらを踏まえ、当社グループは中期成長目標「Vision 2025」に基づき、売上高と営業利益率の持続的な成長を経営指標として事業運営を行っています。また、これらに付随してROE、ROICの持続的向上とPBRの改善につなげていきます。
※考働:考えて働くという当社の造語
(2)中期的な成長戦略、経営環境と対処すべき課題
当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、小形リチウムイオン二次電池等の電子デバイスを主体としたコンデンサ事業と、家庭用/公共・産業用蓄電システム、EV・PHV用急速充電器、V2Hシステムの環境関連製品、各種電源、機能モジュール、応用関連機器等の回路製品を主力製品としたNECST事業を展開し、「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」の4市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発により社会課題の解決に貢献し、既存事業の拡大と新規事業の創出に努めています。
①低炭素社会の実現とキーテクノロジーの進展に向けた事業機会の獲得
コンデンサ事業では、アルミ電解コンデンサの最先端技術と国内外の生産・販売体制を強みとし、モビリティ、情報通信、環境関連の成長市場にフォーカスし、品質、コスト、納期、サービスに渡る事業基盤を強化、拡充します。また、金属蒸着フィルムから独自開発、生産するxEV用フィルムコンデンサでは、需要の拡大を成長機会と捉え、販売拡大とグローバル生産体制の強化に向け、積極的に経営リソースを投下します。コンデンサ事業で創業以来培った強みを今後も継続的に進化させていくため、技術面ではニーズ開発から商品開発、産学連携によるシーズ開発を、生産面では継続的な品質向上等の推進に加えて、共通指標をベースとしたKPI目標管理によるプロセス強化に取り組んでいきます。
NECST事業では、脱炭素化のメガトレンドを受けて、エネルギー・環境関連の幅広い製品群とスイッチング電源から応用機器までをカバーする電源技術を生かし、価値提供のさらなる充実を図ります。とりわけ、環境関連製品では、世界的な脱炭素化の高まりやエネルギー価格の高止まりによる再エネ、蓄電市場拡大への対応と、蓄電、電力制御技術を活かしたトータルシステム展開を強化します。また、ガソリン車規制によるEVシフトへの対応として、急速充電器、外部給電器「パワー・ムーバー®」、V2Hシステムで社会充電インフラを拡充していきます。これらの環境関連製品では、お客さま(最終消費者)の認知度を上げるための「ブランド力」の向上にも注力していきます。回路製品では、スイッチング電源においては、ユーザー対応力でトップシェアを堅持する強みを生かし、特に空調機器、ロボット、5G通信などの成長市場へ拡大を目指します。応用機器では、大型特殊電源、医療用/学術用加速器電源でグローバル展開を図り、社会インフラシステムへ貢献します。加えて、小形リチウムイオン二次電池、家庭用蓄電システム、V2Hシステムに代表されるナンバーワン、オンリーワンの革新的な製品・技術開発体制を強化し、社会課題の解決に貢献する製品開発をさらに加速していきます。
②外部環境に左右されない強い経営体質への変革
SDGsやカーボンニュートラル等により、循環経済やシェアリングエコノミーといった新しい価値観が世界規模で広がりを見せています。これらは産業構造や社会経済に変革をもたらし、DX化の進展と相まって、大きなビジネスチャンスを生み出す可能性が高まっています。今後、クルマの電動化とEVへのシフトが進み、人びとの生活では5G、AI、IoT等デジタルテクノロジーの革新的進歩が見られ、自動化や省電力化の需要が先進国だけでなく新興国にも拡大し、これを支えるための発電コストの低減による再生可能エネルギーの主力電源化が進展していくことが予想されます。
パラダイムシフトと不確実性がより一層増すなか、当社グループでは、中長期視点での成長を成し遂げていくにあたり、「G:グリーン(環境)」と「D:デジタル(DX)」をキーワードとした「価値」提供が重要なポイントになると考えています。
G(環境)については、気候変動問題が世界的な課題になるなか、関連マーケットもさらに巨大化し、環境配慮型の当社の製品・ビジネスのチャンスもさらに大きくなると予想されます。再生可能エネルギーの活用を拡大する蓄電システムをはじめ、気候変動ニーズに対応したコンデンサ事業、NECST事業の各製品をさらにレベルアップしていくことで競争優位性をさらに高めていきます。
また、D(デジタル)については、企業競争力の強化という面でDXの推進がより不可欠になっています。事業成長では単に良い製品・技術を生み出すだけでなく、DXを駆使してお客さまへのサービス向上や生産性の向上、投資効率の向上によって収益体質を高めることに注力しています。この様にして「稼ぐ力」に磨きをかけることで、次なる成長のための設備投資や研究開発投資、持続的な賃上げを含む優秀な人材の確保といった好循環を生み出していきます。サステナブルな社会に貢献していくには、まず当社グループ自身が収益を上げ持続可能であることを念頭に、DXを成長ドライバーとして各部門の業務を合理化・効率化し、ビジネスの創出と利益体質の構築に取り組んでいきます。
③ESG経営の構築と推進
当社グループではESGで評価される企業を目指して「サステナビリティ方針」を定め、持続的な成長と企業価値の増大に向けて、当社製品による地球環境への貢献と自社での対応取り組み、多様な働き方など人材面の基盤強化、コーポレートガバナンスやコンプライアンス体制の強化に努めていきます。
環境課題については、家庭用蓄電システムの中核生産拠点であるニチコンワカサにおいて100%再生可能エネルギー利用工場としたほか、自社拠点において太陽光で発電した電力を蓄電し、これをEVへの充電や生産設備への給電を無駄なく効率的に行う複合システムを設置し、生産工場などの大規模施設における再生可能エネルギーの新たな活用方法によるCO2削減に取り組んでいます。さらに気候変動が事業に与えるリスク・機会について分析を進め、中長期的な事業展開やCO2削減活動に生かすとともに、指標・目標とその進捗状況やシナリオ分析などの関連する情報開示にも取り組んでいきます。2023年度のCDP気候変動レポートにおいて「A-(Aマイナス)」の評価を獲得し、また温室効果ガス排出削減目標の国際的なイニシアチブであるSBT(Science Based Targets)認定を取得しており、引き続きこれらの取組みを推進していきます。
また、当社グループでは「人こそニチコンのエネルギー」を人事理念とし、「人」が最大の経営資源であるとの観点に立ち、従業員一人ひとりが社会や時代のニーズを敏感に察知し、コンプライアンスへの意識を高く持ちながら考働していくこと、やりがいや成長を実感でき、能力を発揮できるよう人事制度や社内環境の整備に努めています。社会との接点においては、産学連携にも注力しており、エネルギーの地産地消とスマート社会の創造に寄与することを目的にスタートした東京大学生産技術研究所との包括的な産学連携研究協力協定など、大学機関との研究開発活動も積極的に推進し、知的資本の強化に努めていきます。
コーポレートガバナンスについては、取締役会の経営の監督と執行の役割の一層の明確化を図るため、社外取締役比率を3分の1以上としており、さらに、取締役会の諮問機関として過半数を社外役員で構成する指名・報酬委員会を設置し、取締役の指名および報酬等に関する手続きの公正性、透明性、客観性を確保しています。コンプライアンス体制の強化では、業務の適正を確保するための体制ならびに財務報告の信頼性を確保するための体制を充実させ、一層の内部統制の整備・運用を推進していきます。
これらに加え、政策保有株式は、中長期的な視点に基づいた保有先企業との取引状況や関係性、ならびに保有先企業の財政状態および株価、配当等の状況など、継続保有の合理性や経営資源の有効活用について取締役会にて定期的に検証を行っています。保有意義の薄れてきた銘柄については、取引先等との対話・交渉を実施しながら、縮減を進めていきます。
政策保有株式の連結貸借対照表上の合計額(2024年3月31日現在)
区分 | 第87期 (2022年3月期) | 第88期 (2023年3月期) | 第89期 (2024年3月期) |
銘柄数 | 47 | 42 | 38 |
連結貸借対照表計上額の 合計額(百万円) | 27,100 | 23,581 | 26,722 |
連結純資産比率(%) | 28.6 | 23.3 | 23.5 |
(注)みなし保有株式に該当する株式を保有していません。
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