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企業概要

(サステナビリティに関する考え方)

 当社グループは、「第2.1.(1)会社の経営の基本方針」に記載の通り、事業を通じて持続的に企業価値を向上させるため、優先的に取り組むべき重要な経営課題(マテリアリティ)10項目を特定し、これらの課題解決を通じて、持続的な成長とともに関連SDGs達成に努め、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。重要な経営課題(マテリアリティ)のA分類の冒頭に「気候変動による事業環境変化への対応」を、またB分類の冒頭に「人材の育成と活用」を掲げて、サステナビリティについて取り組んでおります。

 なお、当社グループの具体的な取り組み等については、統合報告書「TKKレポート」をご参照ください。

(1)ガバナンス

 当社グループのガバナンスに関しては、「第4.4.コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 また、当社グループにおけるビジネスリスクに関するガバナンスについては、取締役会によって指名された取締役を委員長とするリスク管理委員会が管掌し、同委員会は必要な計画の策定と実施を推進しています。なお、リスクマネジメント室が同委員会の事務局として機能しています。リスク管理委員会の構成メンバーは、各事業本部において当該事業を管掌する取締役ないし執行役員の中から選任され、この選任を通じて、各事業部門間での取り組みが共有され、業務計画等の立案・実施において気候変動課題等が考慮される仕組みとなっております。

(2)戦略

 ①気候関連財務情報開示タスクフォース(以下TCFD)提言に基づく情報開示

 当社グループはTCFD提言に賛同し、同提言の枠組みに沿って、外部専門家グループの支援を受け、当社グループの経営に重要な影響を及ぼす可能性のある気候変動リスク及び機会を特定し、シナリオ分析を実施しました。

 分析にあたっては、 原則として2050年までの期間を対象とし、短期(3年程度)、中期(2030年まで)、長期(2050年まで)の3視点で、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)等が公表する複数の既存シナリオを参照しつつ、2つの気候変動シナリオ(産業革命以降の今世紀末までの平均気温上昇が2℃未満のケース、4℃のケース)に基づく世界観を想定し、網羅的に分析を行いました。

 2つのシナリオに基づく当社グループのリスク及び機会とそれらに伴う事業及び財務への影響を検討したところ、現時点で2050年までを俯瞰すると、当社グループ売上の約8割を占める主力3事業(物流ソリューション事業、プラント事業、次世代エネルギー開発事業)での全般的な財務的影響では「機会」が「リスク」を上回るとみています。

 物流ソリューション事業では、気候変動による物流現場の環境悪化や少子高齢化等の流れから、高度な省力化・省人化物流システムへの需要の継続的な伸びが期待でき、「機会」が「リスク」を十分に上回ると考えます。

 プラント事業では、既存の石油・ガス貯蔵タンク向けのメンテナンス需要は徐々に低下することが見込まれますが、それに代わり次世代エネルギー活用としてMCHやアンモニア貯蔵化などが進み、これらの改造やメンテナンスの需要が見込まれます。

 次世代エネルギー開発事業では、化石燃料の使用が制限されていくことに伴い、従来の石油・ガス貯蔵タンクの新設需要は減少に向かいますが、替わって次世代エネルギーである水素や燃料アンモニア向け、あるいは液化CO2向けタンクの新設需要が増加し、これをカバーすることが期待できます。

 また、4℃シナリオ下においては、物理的リスクに関し、急性では、河川氾濫による水害発生や台風・洪水等によって事業所業務やサプライチェーンが影響を受ける可能性が高まると想定しています。また慢性については、今世紀末において海水面上昇よる事業所への影響の可能性を特定しましたが、2050年までを視野にいれた分析では、財務影響は小さいと考えています。TKKグループでは、物理的リスクの影響を受けることが考えられる事業や事業所において、今後もリスク軽減の対策を講じていきます。

 ②人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

 a.基本方針

 当社は、経営ビジョンである「革新的な技術と実行力で社会課題を解決するソリューションイノベーター」を実現するため「ACTION FOR THE FUTURE」をスローガンに、豊かな創造力、高い思考力、確かな専門性を持った人材を育成し活用することを基本方針としております。

 さらに、人材の多様性や働きやすい職場の実現が価値創造の源泉となるとの考えのもと、社員のスキルアップや

 モチベーション向上のため、さまざまな教育制度や評価制度等を導入しております。

 人材育成や社内環境の整備に関する基本的な方針は以下の通りです。

〔人材育成方針〕

 性別・国籍・採用形態等にとらわれず、マネジメント力や業務遂行力などを備えた優秀な人材を経営幹部に積極的に登用することを目指し、全ての社員が自身に必要な知識・スキル等に自ら気づき、学ぶ意欲を持ち続けることを促すとともに、OJT・OFF-JTの何れにおいても充分な学びの機会を提供することを基本的な育成方針としています。

 上記方針に基づき、職位・階層別の総合研修制度や、事業特性に応じた専門研修、社会課題等を踏まえた知識・スキルの拡充に関する研修などを制度化し、これらを定期的に実施し、特に女性・外国人・中途採用者等の知識・スキル等の習得ニーズを適切に把握するとともに、ニーズに合致し、参加しやすい研修機会の提供を可能としております。加えて、社員の階層を限定しない英語教育の実施や、役割の転換期に応じたキャリアデザイン研修なども実施しております。

〔社内環境整備方針〕

 多様な人材の活躍や定着のため、ワークライフバランスを重視し働きやすい職場を実現するとともに、一人ひとりの意見や価値観などの尊重、また健康に配慮した就業環境の提供などにより、企業風土を改善しエンゲージメントを向上させることを基本方針としています。

 上記方針に基づき、在宅勤務や時差出勤制度をはじめ、ジェンダーに依らない育児・介護休業の取得支援や、障がい者の積極的な採用に取り組んでいるほか、自己申告制度の活用による、社員の志向や適性・専門性を考慮した配属の実施なども行っております。

 b.HR施策の具体例

〔複線型人事制度と幅広い研修機会の提供〕

 経営ビジョンの実現のために専門性の高い人材を育成すること、また多様な人材の個性や能力を生かすために高度なマネジメントスキルをもった人材を育成すること、この2つの実現のため複線型人事制度を採用しております。

 また、社員一人ひとりの能力や資質に基づいたキャリアデザインの形成を重視し、業務スキルや専門性を高める研修をはじめ、ヒューマンスキルや経営マネジメント力向上のための研修、さらに自己啓発型研修など、幅広い分野の研修機会を提供しております。

〔社内インターン制度〕

 専門性が確立されていない新入社員をどの分野に配属しキャリアをスタートさせるかは、その後のキャリア形成

 に影響を及ぼしますが、当社では、新入社員が入社後、本配属の前に半年程度の期間のインターン制度を設けて、複数部署での職場体験を実施しています。終了後、本人の希望を可能な限り反映した部署に配置することで、部署の役割や前後の行程を理解し、自己選択というプロセスを経ることで、当事者意識と仕事の全体像を意識できる社員となることを期待しております。

〔ダイバーシティの推進〕

 VUCAと言われる時代、多様な考え方が意思決定プロセスに反映されることは、顧客への提供価値を高めていくためにも不可欠なものと考えております。当社は女性活躍推進プロジェクト(通称「W-PJ」)を発足させ、性別や信条等固有の属性によらず全社から多くのメンバーが参画し、社員視点での働きがいや働きやすい職場環境の向上をテーマに議論を行い、経営に提言、施策を実行する等の活動を行っております。

 また、キャリア採用を積極的に行い、高度なスキル、豊かな経験、固有の価値観をもった社員を迎え入れることで、社員相互における刺激を生み、組織の活性化を図っております。

(3)リスク管理

 企業を取り巻く環境が複雑かつ多様化する中、当社グループは、事業に重要な影響を与えるリスクの適切な管理を重視し、グループの重要経営課題(マテリアリティ)においても「リスクマネジメントの高度化」を掲げています。

 リスク管理委員会は年2回以上開催され、取締役会及び経営会議に定期報告を行うことになっており、経営会議では、リスク管理委員会からの報告・答申等に基づき、必要な協議・決議を行います。取締役会は、経営会議及びリスク管理委員会で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループのビジネスリスク全般への対応方針及び計画の実行と進捗についての監督を行います。

 あわせて、リスク管理に関しては、「第2.3.事業等のリスク」をご参照ください。

(4)指標及び目標

①TCFD提言に基づく情報開示

 (カーボンニュートラルにかかる温室効果ガス(以下GHG)の排出削減)

 削減対象のGHG:

 当社単体及び国内海外連結子会社における「Scope1排出量+Scope2排出量」

  ※Scope1排出量 自社での燃料の使用等によるGHGの直接排出

  ※Scope2排出量 自社が購入した電気・熱の使用によるGHGの間接排出

GHG削減目標:

「2050年までにカーボンニュートラルを達成」

「2030年までに2019年度対比で50%に削減」

 当社グループにおいて省エネルギーや再生可能エネルギー導入をはじめとしたGHG排出削減活動を推進し対象範囲のGHG排出量を2050年までにカーボンニュートラルにします。

 なおScope3排出量については、仕入先・顧客と協働し、バリューチェーンを通じた削減の取り組みを推進していきます。

  ※Scope3 事業活動のサプライチェーン内で間接排出されたScope1・2以外のGHG

GHGプロトコールに準じて算出したサプライチェーン排出量の算出結果は以下の通りです。

Scope1排出量+Scope2排出量 (国内外を含むグループ全体)

2019年度:5,276t-CO2e  ・2020年度:4,993t-CO2e ・2021年度:5,142t-CO2e

2022年度:3,600t-CO2e

Scope1排出量+Scope2排出量 (国内外を含むグループ全体)を2019年度(基準年)に対し、2022年度は32%削減いたしました。

Scope3排出量(国内外を含むグループ全体)

2020年度:348,949 t-CO2e ・2021年度:382,849t-CO2e

2021年度Scope3排出量のうち、カテゴリー11「販売した製品の使用」が235,447t-CO2e、カテゴリー1「購入した製品サービス」が132,276t-CO2eで、Scope3排出量全体の96.0%を占めます。

 上記より、2021年度のサプライチェーンGHG排出量は387,991t-CO2eとなり、構成比は、Scope1・2が1.3%、Scope3が98.7%であります。

 また、GHG排出削減に向けての施策について、Scope1・2排出量は、2022年度で53%が電気使用、37%がガソリン・軽油の消費に由来するものであることから、以下の項目に重点を置くことが必要と考えております。

-自家消費太陽光設備の導入

-ゼロ排出・再エネ由来電気の導入

-社用車のEV化

-省エネ設備の導入

Scope3排出量は、製品の使用過程における消費電力の削減等カテゴリー別の具体的対策を検討し、また仕入先・顧客とも協働し、GHG排出量の削減に向け、対策の立案とその推進に取り組んでまいります。設備投資計画の検討において、設定した社内炭素価格を適用し仮想的な費用に換算することで、投資判断の参考とするInternal Carbon Pricing制度を導入し、脱炭素投資の推進をしてまいります。

・ガバナンス及びリスク管理については、上記(サステナビリティに関する考え方)の(1)、(2)をご参照ください。

 ②人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標と目標

〔目標とする指標〕

・女性管理職の割合 2024年度までに10%

・男性労働者の育児休暇取得率 2023年度までに70%

・年次有給休暇取得率 2024年度までに70%

〔実績〕

 過去3年間における各指標及び実績は下記の通りであります。

指標

2020年度

2021年度

2022年度

女性管理職の割合(%)

2.7

5.4

6.9

男性労働者の育児休暇取得率(%)

25.0

50.0

61.5

女性労働者の育児休暇取得率(%)

100.0

100.0

100.0

キャリア採用比率(%)

50.0

66.7

65.7

キャリア採用管理職比率(%)

37.8

35.1

38.0

年次有給休暇取得率(%)

68.4

66.8

71.8

表彰制度改善提案提出率(%)

72.3

70.7

79.8

男女の賃金の差異(%)

全労働者

59.4

60.6

62.1

うち正規雇用労働者

59.9

61.2

62.7

うちパート・有期労働者

38.9

45.2

31.2

(注)目標及び実績は、提出会社の従業員の状況となります。

 また、ガバナンス及びリスク管理については、上記(サステナビリティに関する考え方)の(1)、(2)をご参照ください。

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