企業トーカロ東証プライム:3433】「金属製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社は、中期経営計画のビジョンに合わせて「人と自然の豊かな未来に貢献するコーティング技術開発」を73期の新たな研究開発活動の理念として掲げ、表面改質技術を軸足とする新時代ビジネスの模索を行うべく、先進的コーティング開発や環境負荷低減、モノづくりの高度化及び人財育成を活動の基本指針として、独創的な研究開発を進めております。多様化する顧客ニーズに対応するべく、様々な技術的アプローチを通じて、表面改質技術をコアとする顧客満足度の高い総合ソリューションの徹底追及とその実現に努めております。

 当社の研究開発活動は、将来を見通した先行基礎研究とともに、顧客ニーズに即応する商品開発による2本柱で推進し、以下の3点を重点研究開発領域としております。

① 溶射技術開発(一般産業機械・装置全般の部材開発、溶射プロセス開発)

② 半導体部品化技術(溶射技術を中心とした半導体・液晶パネル製造装置部品等の開発)

③ 成膜プロセス開発(レーザ応用、PVD、CVD、TD、ZAC)、有機コーティング

 当社グループの研究開発活動は溶射技術開発研究所が中心となって推進し、顧客ニーズに対応する機能皮膜の開発を行うべく、近未来技術の模索や検討、機能皮膜の創生、知財化推進、学協会への参加や発表、また技術情報収集を通じた研究開発レベルの向上を図っております。一方、多様化する顧客ニーズへの対応が求められる次世代商品開発や生産技術的な課題につきましては、各工場、事業所の営業、製造、技術部門と溶射技術開発研究所が相互に連携しながら、迅速な対応を行っています。なお、PVD(物理蒸着)やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの薄膜プロセスに関しましては、連結子会社の日本コーティングセンター株式会社と協力しながら研究開発を進めております。

 当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は1,534百万円であり、セグメントごとの主な内容は次のとおりであります。なお、当社グループの研究開発費につきましては、事業セグメントへの配分が困難なものも多いため、セグメントごとの研究開発費の金額は記載しておりません。

(1) 溶射加工(単体)

73期では、当社の中期経営計画及び研究開発活動の方針にあわせて、「環境・エネルギー」及び「半導体製造装置」分野の用途拡大を重点テーマとして、表面改質技術の適用開発による高機能部材の提供を推し進めて参りました。半導体分野におきましては、製造装置メーカ向けにメモリICやロジックICの製造部品を中心に、チャンバー部品や静電チャックへのコーティング開発を継続しております。特にプラズマエッチング装置部品では、ナノレベルの配線幅を持つ集積回路の増産にも対応できる高性能なコーティングとして、各種酸化物や弗化物、または複合化合部等の新材料開発、皮膜組織の緻密化を目的とした成膜プロセスの開発、部材の温度制御に係る溶射ヒータや測温技術開発、計算科学を用いた皮膜構造設計ならびに成膜条件の最適化、製品展開における生産技術開発、またこれらの開発に必要となる評価機器設備の導入や評価技術の高度化など、様々なコーティング開発を進めております。環境・エネルギー分野におきましては、脱炭素と資源循環社会の実現に向けた取り組みの中で、ガスタービン火力発電などの高効率発電設備における新規熱遮蔽皮膜の模索やその性能評価を進めました。また、ボイラ発電設備におけるバイオマス混焼時に発生する高温腐食に耐える溶射皮膜の開発も継続的に進めております。一方、事業活動における環境負荷低減策として、溶射施工時に発生する二酸化炭素の排出抑制技術に関する燃料の検討や、成膜時の歩留まり向上、溶射時に発生する粉塵の廃材のリサイクルにも積極的に取り組んでおります。

(2) 国内子会社

 国内子会社の日本コーティングセンター株式会社では、主にPVDやDLCの被膜開発を行っております。昨年度は、名古屋工場に水素フリーDLC装置を新たに導入し、「TETRAスリック」を上市して、Alなどの非鉄金属用切削工具や、半導体後工程のパッケージング工程に使用されるリードフレームの打ち抜きパンチなどへのサンプルコートを開始いたしました。また、小径切削工具への適用拡大を目的に「ゼニスコート」の耐摩耗性や耐チッピング性をさらに向上させるべく性能改善を図りました。その他、自動車のEV化に伴う各種部品を対象に、切削加工だけでなく様々な加工方法に対応した被膜開発の検討を開始いたしました。

(3) 海外子会社

 海外子会社である台湾の漢泰国際電子股份有限公司では、主に半導体、FPD製造装置部品への再コーティングを行っております。台湾の半導体製造メーカでは最先端製品の生産が行われており、漢泰国際電子股份有限公司では最新の皮膜分析装置を導入し皮膜開発を進めております。昨年度は、皮膜の表面粗さを制御する新たな処理設備を導入し、これを新皮膜開発にも応用して性能評価を行いました。また、市場動向の影響も受けますが、顧客の求める生産、品質、コスト要求に応えるべく、新規生産設備の導入につきましても検討を進めてまいります。

(4) その他

 当社は溶射加工以外に、TD処理加工やZACコーティング加工、PTA処理等の肉盛り加工など、機能皮膜の継続的な商品開発を行っております。このうちTD処理加工におきましては、新たにステンレス鋼へのTD被膜適用に向けた実機サンプルの提供を開始いたしました。また、高荷重のかかる鋼管製造部品向けに表面粗さを制御したTD皮膜の実機展開を図りました。ZACコーティング加工の部門では、クロムフリー無機皮膜の開発や、半導体製造装置の排気部品に対する適用開発などを継続しております。その他、レーザ技術の応用開発におきましては、LMD(レーザクラッディング)施工時の基材ひずみを制御するべく、計算科学を用いたシミュレーション技術の研究を進めました。また、LMDよりも皮膜の残留応力が小さいEALA(ハイスピードレーザクラッディング)皮膜の基礎評価や、実機製品に対する適用開発を積極的に進めました。

(5) 特許出願状況等

 当社グループは積極的な特許出願によって、開発した技術及び皮膜商品の権利化に努めております。当連結会計年度の実績は、特許出願41件、特許登録11件であります。

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