企業トレックス・セミコンダクター東証プライム:6616】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「常に豊かな知性と感性を磨き、市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献するとともに、私たちの事業に携わるすべての人々が共に繁栄する」を経営理念として掲げ、設立以来、アナログ半導体に特化し、製品の開発・製造・販売を精力的に行ってまいりました。

 上記の経営理念に則り、ステークホルダーである株主、顧客、取引先、従業員及び地域社会との関係を常に意識した、ぶれない経営を実践してまいります。

 当社はこれまで、高度なIC設計技術と小型パッケージ技術を強みとし、電子機器の超小型・軽量化に貢献してきました。そして、これからも「Powerfully Small!」を製品づくりの目指すべき姿と定め、開発から営業まで電源用ICに特化したアナログ技術のプロ集団として、低消費電力・小型化のための技術と提案能力を磨き、企画・開発・生産・販売・品質・新事業領域にわたってグローバル競争に打ち勝つための競争力及び成長力を強化し、ワールドワイドに存在感のある企業を目指して事業活動を行ってまいります。

 子会社であるフェニテックセミコンダクター株式会社は、国内で稀な半導体生産受託専業会社として、ディスクリート製品を中心に今後はパワーデバイスの開発にも力を入れ、受託生産の幅を広げてまいります。

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、上記の基本方針のもと、永続的な企業価値の向上を図るべく、収益力を確保しつつ戦略的な投資を実行することにより中長期的な競争力及び成長力の向上に取り組んでおります。

 経営指標としては、売上、及び、売上総利益、営業利益などの段階利益の最大化に取り組み、ROE二桁を当面の目標とし、更に高めていくための体制を構築してまいります。

(3)事業を行う市場の状況と現状の認識について

 当社グループの事業領域であるアナログ電源ICの市場は、IoT(モノのインターネット)、5G(第5世代移動通信)の普及による、あらゆる製品の電子制御化やネットワーク化、自動車の電装化の進展に伴い、今後もグローバルに拡大を続けていく見通しであります。

 その中で、当社が重点分野と考える産業機器・車載機器の市場においては、市場規模の拡大と同時に、要求される製品及びサービスの性能・品質は、ますます高度化していくことが予想されます。一方で、コンシューマー製品等の市場においては、中華圏等の新興勢力が台頭する中で、価格競争が激化しています。

 そのため、当社グループでは、これまで培ってきた小型化・省電力化の技術を活かし、重点分野に向けた高付加価値製品の開発・販売に注力しております。

 また、顧客仕様に基づくウエハの生産・販売の市場は、半導体・電子機器業界の専門化・分業化の流れが進展するにつれて、ますます重要性を高めています。同市場においては技術の進展に合わせて絶え間ない投資を要するとともに、同業他社との競争の中で品質・納期等に対する顧客の要求水準はますます高まる傾向にあります。

 フェニテックセミコンダクター株式会社は、長期・安定的に製品をお届けすることで、当社を含めた国内外の顧客から高い信頼を得ております。

 このような事業環境の中で、当社グループが実現していくべき最重要事項は以下のとおりであると認識しております。

・ステークホルダーである株主、顧客、取引先、従業員及び地域社会との適切な関係の構築

・経営理念に基づいた中長期的な収益性の向上と継続的な企業価値の向上

・経営方針・企業戦略に基づいた適切なリスクテイクと健全な事業運営を実現する環境の整備

(4)優先的に対処すべき課題と当社グループの対応について

 当社グループの事業領域である半導体デバイス市場は、コロナ特需の反動減や中国市場の長期的な低迷などの影響から在庫調整が生じ、停滞しております。しかしながら、産業機器の自動化・デジタル化、データセンターなどのITインフラの整備・拡大、自動車の電子化などの進展といった傾向は変わらず、中長期的には拡大していく見通しです。

 また、世界各国による半導体企業への優遇政策、自国生産の推進、当局による規制や、各半導体企業による投資競争、開発・製造技術の進展及び新興国、新興企業の新規参入などを背景に、競争環境は一層厳しさを増しつつあります。

 このような中、当社グループは、様々な状況の変化に対応し、ワールドワイドで確固としたブランドと事業基盤に立脚したグローバル企業となるべく、以下の課題に取り組んでおります。

・当社グループの強みを活かせる成長性の高い市場として、「産業機器」・「車載機器」・「医療機器」の3市場を集中的に攻略する。

・当社グループの技術力及びノウハウを結集し、技術ロードマップに基づいた「強み」の強化と拡張を図り、差別化された特長のある製品を創造する。

・当社グループの企画・開発・販売・購買・生産・品質に係るリソースの緊密な連携を図り、低コスト・高品質の製品を安定供給することを通じて、顧客へ提供する付加価値を高める。

・戦略的提携を活用して新たな基盤技術や生産技術を積極的に取り込む。

 上記の課題に対し、着実に成果をあげていくため、2021年度を初年度とする中期経営計画において、「企画」「開発」「生産」「販売」「品質」「新事業領域」の各々について、以下の方針を設定しました。

①企画

 当社グループは、産業機器のデジタル化、ITインフラ整備・拡大や自動車の電子化などにより拡大していくと予見される半導体デバイス市場において、脱炭素社会の実現に向け、市場や顧客のニーズの変化を的確にとらえ、マーケット志向で差別化のできる高付加価値な製品を、タイムリーにターゲット市場である産機・車載・医療市場へ投入すべく製品企画を行ってまいります。

②開発

 当社グループの企画力や技術優位性を活かした、省電力・小型、低損失な電源ICやパワーデバイスの製品をタイムリーに市場へリリースできるよう継続した製品開発を行ってまいります。これに向け、IT基盤の強化や、提携先企業における製品開発を推進することで、開発担当部門の機動性を高めてまいります。また、戦略的提携先との共同開発や相互OEM供給のほか、重点分野に向けた当社グループの総力を挙げた研究開発等にも取り組むことによって、社内外の最新技術の活用と迅速な市場投入を図ってまいります。

③生産

 当社グループは、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくりを両立させるため、子会社のフェニテックセミコンダクター株式会社やTOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTD及びグループ外の協力工場の双方を活用し、製品の品種・価格・用途および市場の変化に応じた最適な生産リソースの配分を追求します。当社グループ内においては、シナジー効果を高め、製品企画段階からのコスト分析の徹底、生産計画の効率化、原価低減活動等を通じて協力体制を深め、生産方法や生産管理手法を含めた改良・改善に努め、製品の長期・安定供給体制を維持するため、積極的に設備投資を実施してまいります。また、グループ外として、協力工場との協業においては、ファブレス形態のメリットを活かしつつ、様々な形で協力関係を強化し、グループ外の先進的な生産技術・ノウハウを製品づくりに活用します。

2021年頃から世界的に半導体需要が急拡大し、当社においても一時的に需要に供給が追い付かない事態となりました。こうした状況は将来的にも発生する可能性が高く、これを回避するため、グループ内外の製造拠点に対し、積極的な設備投資を行い、生産能力を高める活動をしてまいりました。

 当期において、当該設備の一部に減損損失を発生させることとなりましたが、これらの設備は当社の事業拡大に欠かざる投資であり、引き続きこれらの設備を活用し、同業他社に比して安定した需給環境、納期対応の実現と競争力のある製造コストの両立を推進してまいります。

④販売

 当社グループは、顧客の要望や製品企画を汲み取りながら、幅広い技術・製品情報の提供を通じて製品販売を促進するソリューション提案営業を基本としております。製品をタイムリーにターゲット市場へ投入するためと、適切な納期対応のため、営業情報の社内へのフィードバックと密な連携を強化してまいります。また、当社グループの事業はワールドワイドで展開されており、これに伴う海外事業の比重はますます拡大する傾向にあります。これに対応するために、海外販売子会社のローカル営業体制の強化、フィールド・アプリケーション・エンジニアの配置・増員による顧客サポート強化、当社グループが保有する顧客基盤、ブランド及び販売ネットワークの効果的な組合せに積極的に取り組んでまいります。

⑤品質

 当社グループは、常に顧客の信頼に応えていくため、製品に対して要求される品質の確保に全力で取り組んでまいります。定期的な協力工場監査等を実施するとともに、重点市場を意識した品質保証体制の強化のため、「生産」「開発」「品質」に関わる各部門が密接に協調し、新規技術に対応するための投資も実施いたします。また、当社グループ内で保有する品質管理に関わる技術・設備・ノウハウを持ち寄り、各種の認証制度にも的確に対応した品質管理・保証体制の強化を図ってまいります。

⑥新事業領域

 アナログ技術に基盤を置きながら、新たな成長市場への参入を目指して、既存の製品ラインナップにない新しい分野の製品を当社グループの新たな柱に育てていくべく、当社グループ内の研究開発体制を強化するとともに、グループ外の企業・大学・研究機関等との戦略的提携や協業を積極的に推進してまいります。

 なお、中期経営計画設定当初と短期的な市況の変化はありますが、課題と当社の方針・施策については、大きな変更はありません。

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