企業トライト東証グロース:9164】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1)事業環境に関するリスク

① 景気変動の変化に関するリスク

 当社グループの事業は、日本でのみ行われており、日本経済の影響を受けます。また、当社グループが属する人材紹介・人材派遣業界は、景気の動向に大きく影響を受ける傾向があります。このため、日本国内の景気の悪化を要因として、法人顧客がコスト削減を進め、又は人材採用に関する方針を変更すること等により、法人顧客の当社グループのサービスに対する需要が減少した場合には、当社グループの売上収益が減少し、又は当社グループのサービスに対する値下げ圧力が生じる可能性があります。そのほかにも、女性の社会進出が想定よりも進まなかった場合には、保育の人材紹介に対する需要に悪影響が生じるなど、当社グループのサービスに対する需要は、日本経済情勢以外の様々な事情によっても悪影響を受ける可能性があります。

 また、現在日本国内外における経済動向は非常に不安定になっており、加えて高齢化や労働人口も含む人口減少、近隣諸国との関係悪化、国際政治情勢、為替変動、金利動向、市場動向、円安や世界的なエネルギー価格等の高騰による物価上昇、国内外の金融政策の動向等により、日本経済は不透明な状況にあります。さらに、日本経済は、ロシアによるウクライナへの侵攻及びこれに対する制裁、アメリカと中国の間の貿易摩擦、台湾情勢など日本が直接的には関与していない地政学的な事象の影響を受ける可能性があります。これらの事情により国内外の景気が悪化し、また、当社グループがかかるマクロ経済や事業環境の変化に柔軟に対応できない場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

② 競合に関するリスク

 当社グループが属する人材紹介・人材派遣業界は、参入障壁が低く、また、求職者及び法人顧客が複数の人材サービスを利用する傾向等があることから、競争が激しい状況にあり、特に近年はその激しさが増しています。また、競合他社(潜在的競合他社を含む。)が、革新的なサービスやより低い価格でサービスを開始する可能性、当社より魅力的な報酬を営業社員に対して提示する可能性、当社に優越する財務的余力、顧客基盤、技術力、営業・マーケティング等のリソースを有する可能性があります。このような競争環境において、当社グループが、求職者及び法人顧客のニーズに対応できず、又は、競合他社及び法人顧客の再編に応じた業界の動向の変化や法規制の変化に対応できない場合等には、当社グループの競争力が失われ、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 加えて、インターネットなどの活用による市場環境の変化により、特に人材紹介分野において競争が激化する可能性があります。当社グループは、DR型採用支援サービスの提供を開始していますが、DR型採用支援サービスによる転職を希望する求職者が大幅に増加し、又は法人顧客におけるDR型採用支援サービスの活用がより一般的となった場合、当社グループのCA型人材紹介サービスの需要が減少し、結果として当社グループの収益性が悪影響を受けるなど、事業戦略の修正を余儀なくされる可能性があります。また、複数の求人・求職サイトの情報を収集することで大量の情報を提供することが可能となる価格競争力を有するプラットフォームの登場により、人材サービスの価格が下落する可能性があります。これらの事情により当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

③ 自然災害等に関するリスク

 地震、台風、洪水、津波等の自然災害、火災、停電、感染症の流行並びに戦争及びテロ攻撃等(以下「自然災害等」という。)が発生した場合、当社グループや派遣先企業の設備が被害を受け、又は当社グループのサービスや業務に従事する従業員及び派遣社員が大量に罹災若しくは感染症等に罹患することなどにより、当社グループの情報システムを含め、事業運営が影響を受ける可能性があります。このような有事に備え、当社グループとしては事業継続計画(BCP)を導入しています。具体的には、「災害対策本部」を立ち上げ、本社での迅速な対応及び現場との連携が可能な体制を構築しています。また、安否確認システムの導入を行い、社員の安否状況等を迅速かつ確実に収集・集計することを可能としているほか、万が一自然災害等が発生した場合に従業員や来訪者の安全を守るため、ヘルメットや非常食など防災備蓄品も各支社に備えています。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、想定を上回る規模で自然災害等が発生した場合には、当社グループのサービス提供、その他事業運営に影響が生じ、当社グループの顧客が当社グループのサービスの利用を停止し、又は競合他社に乗り換えること等により、当社グループの事業及び経営成績等が影響を受ける可能性があります。

 加えて、自然災害等が発生した場合には、当社グループの顧客の事業運営が困難になり、又は壊滅的な打撃を受け、その他経済が悪化することにより、当社グループの人材紹介・人材派遣その他のサービスに対する需要が減少し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に重大な悪影響を与える可能性があります。

(2)ビジネスに関するリスク

① 求職者及び法人顧客のニーズの変化に関するリスク

 当社グループが事業を営む人材サービス業界は求職者や法人顧客の需要に大きく左右されます。また、当社グループのビジネスモデルは、いかに求職者及び法人顧客に対して、それぞれのニーズや嗜好に合ったサービスを提供できるかにかかっており、キャリアアドバイザーは適切な候補を提案しマッチングさせるため、多種多様なニーズを適切に理解することが求められます。例えば、かつてはハローワークや直接応募など、有料職業紹介サービスを介さない採用活動が主流でしたが、近年は有料職業紹介サービスの認知度も上がってきており、当社グループの人材サービスも顧客からの評価を得ています。また、DR型採用支援サービスについても、一般職種に続き医療福祉領域でも徐々にではありますが市場で認知され始めています。当社グループとしては、このような事業環境の変化に対応すべく、2021年12月より試験的にDR型採用支援サービスを開始し、2022年12月の当社グループサービスサイトの大規模リニューアルに伴うパイロット運営を経て、2023年2月に同事業を本格展開しました。しかし、求職者や法人顧客のニーズや嗜好の変化を適時適切に把握し、適応することができない場合には、競争力やシェアを失う可能性があります。

 また、当社グループは既存のサービスを改善し、又は新規かつ革新的なサービスを導入するため、相応の投資を行うことが必要となりますが、かかる投資が想定どおりの効果を上げる保証はありません。当社グループが求職者及び法人顧客のニーズの変化や、求職者と法人顧客の間でのニーズの変化の違いを正確に理解できなかった場合、又は当社グループがニーズの変化に応じて、適時適切に又は競合対比で費用対効果のある方法でサービスの改善や導入を行うことができなかった場合には、当社グループは顧客との取引を維持又は拡大できない可能性があり、投資に見合った収益が得られない可能性があります。

② 人材に関するリスク

 当社グループが成長に向けて企業基盤を拡充するためには、経営陣、営業社員、IT技術者を含む優秀な人材の確保と育成が不可欠です。しかし、日本は人口減少に直面し、優秀な人材の獲得競争は激化しており、当社グループが期待する人材を採用できない可能性があり、又は、かかる人材を確保するためには相応のコストを要する可能性があります。優秀な人材の確保にあたっては、当社グループが事業を営む業界における競合他社との間では勿論、それ以外の会社との間でも激しい人材獲得競争が生じる可能性があるため、当社グループが魅力的な条件を提示したとしても、かかる人材が当社グループへの入社を選択する保証はありません。

 また、当社は、事業戦略の策定や執行について、何らかの理由により経営陣の職務の執行が困難になった場合、当社グループの事業及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、優秀な営業社員の確保は当社グループの事業戦略の核であり、営業社員の数及び質を継続して増加・向上させることができない場合には、当社グループの事業戦略の遂行に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、競合他社が当社グループよりも魅力的な条件を提示したこと等により、優秀な営業社員をはじめとする優秀な人材が社外へ流出した場合、また、その後適時に代替する人材を採用することができない場合等には、当社グループの事業又は経営成績に重大な影響を与えるおそれがあります。

③ M&A等による事業拡大リスク

 当社グループは、成長戦略の一環として事業、提供するサービス、顧客、関連する技術等の拡大のため、M&Aや事業提携等を実施する可能性があります。実際、2021年8月にはシステム開発強化のために株式会社HAB&Co.を、2022年1月には保育領域における人材紹介を強化するため株式会社ウェルクスを、2023年6月には介護・医療データ活用プラットフォームサービス及び介護事業特化型コミュニケーションツールを提供する株式会社bright vieを子会社化しました(なお、株式会社ウェルクスは、2022年7月1日付で、株式会社トライトキャリアを存続会社、株式会社ウェルクスを消滅会社とする吸収合併により消滅しています。)。M&Aの実施にあたってはデュー・デリジェンス等を実施しますが、M&Aにおける買収価格その他の買収条件が常に適正、妥当であるという保証はなく、対象会社の買収後の収益が、買収時に見込んだ収益予想を大幅に下回った場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、M&A後の当社グループとの統合が奏功する保証はなく、想定どおりのシナジーを発揮できない可能性や、当社グループの既存人材サービス業に悪影響を及ぼす可能性があるほか、対象会社の顧客、経営陣、従業員等を維持するために多額の費用を要する可能性、対象会社のコンプライアンスの水準を当社グループの水準にまで引き上げられない可能性などがあります。加えて、M&Aにより多額ののれんや無形資産を計上し、対象会社の将来のキャッシュ・フローの状況によっては減損損失を認識する可能性があるほか、M&Aのための借入により当社グループの財政状態が悪化する可能性があります。以上のとおり、M&Aや事業提携等は当初見込んだとおりの効果を生まず、又は当初想定した期間内で効果をあげることができない可能性があります。また、当社グループは戦略的に赤字企業を買収する可能性がありますが、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 これらのリスクに対して、当社グループでは、対象会社の財務内容や契約関係等について専門家のアドバイス等によりデュー・デリジェンスの精度を上げるとともに、事業計画の策定や将来価値の測定について十分な検討を行う等の対策を行っています。しかし、これらの対策にもかかわらず、デュー・デリジェンスにおいて全てのリスク、法律上又はコンプライアンス上の問題、潜在的な損失又は債務等を発見することができる保証はなく、また、開示されたリスクや債務に対する当社グループの評価が適切である保証もありません。特に、スタートアップとのM&Aや事業提携等においては、潜在的なコンプライアンス上の問題等を発見することが困難である場合があります。当社グループがM&Aや事業提携等を行うにあたって、対象会社のリスク、債務又は損失を発見することができず、又はその評価を誤った場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 加えて、当社グループは継続的にM&Aや事業提携等の機会を模索していく予定ですが、当社グループがその成長戦略に合致した魅力的な機会を正確に見出すことができる保証はなく、また、対象会社が希望する条件を提供することができない可能性や、資金調達又は法規制上その他の問題により、M&Aや事業提携等が実現に至らない可能性があります。

④ 人材紹介サービスにおける返金制度に伴うリスク

 人材紹介サービスにおいては、当社グループが紹介した求職者が、法人顧客に入社した日付を基準に、当該紹介に係る報酬を一括で売上収益に計上しています。当社グループの人材紹介サービスにおいては、原則として、求職者が入社から6ヶ月未満に自己都合により退職した場合には、その退職までの期間に応じて紹介料を返金する旨を法人顧客との契約において定めています。当社グループは、求職者と法人顧客の双方のニーズを勘案したうえで紹介を進めており、また、過去の返金実績に基づき一定の金額を返金負債として計上していますが、当社グループの想定した返金率を上回る返金が生じた場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

⑤ 売上収益等の季節的変動に関するリスク

 当社グループの医療福祉業界向けの人材サービスに係る報酬は、当社グループが紹介した求職者が法人顧客に入社した日に一括して売上収益に計上されます。医療福祉業界の求職者の入社日は4月に集中する傾向があるため、当社グループにおいては4月が属する第2四半期に売上収益及び営業利益が集中する傾向にあります。そのため、特定の四半期業績のみによって通期の業績見通しを判断することは困難です。一方で、売上収益及び営業利益が集中する第2四半期において十分な売上収益及び営業利益を確保できなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 人材派遣サービスにおける固定費負担に関するリスク

 当社グループの人材派遣サービスでは派遣する労働者を雇用しており、契約の解除や給与の減額が法律上制限されています。また、当社グループは、雇用する派遣労働者に対して、派遣が行われていない期間も給与の約60%を支払わなければなりません。さらに、当社グループでは、一部の派遣労働者を無期契約で雇用していますが、法人顧客の人材派遣に対する需要が減少した場合や、法人顧客の人材派遣に対する需要が当社の取り扱っていない職種に変化した場合、業界や市況の変化などにより法人顧客との間の契約更新がなされず又は契約期間が短縮した場合、他の人材派遣業者との競争が激化した場合、法規制が変更された場合、日本経済が悪化した場合、その他様々な事情により、当社グループが雇用する派遣労働者の稼働率が低下した場合には、当社グループの営業収益に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 同様に人材派遣サービスの収益性は、当社が派遣労働者に対して支払う給与と当社が法人顧客より受領する報酬との差額(マージン)の水準に依存します。当社グループは定期的に法人顧客との間で報酬の見直しについて交渉し、報酬の増額を求めていますが、常に適切な金額及びタイミングで報酬の見直しを行うことができるとは限りません。当社グループは、法人顧客の当社グループの人材派遣サービスに対する需要が減少した場合でも、派遣労働者との契約の終了又は給与の減額について法律上の制限があるため、法人顧客から受領する報酬が減少した場合には、当社グループの営業利益率は減少する可能性があります。当社グループが適切なマージンを維持できない場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 中期経営計画に関するリスク

 当社グループの中期経営計画は、将来のマーケットトレンド、事業環境、営業社員の採用可能性及び生産性の向上その他利用可能な情報に基づく様々な前提のもとに作成されていますが、これらの前提が正確である保証はありません。当社グループが中期経営計画を想定どおりに進められるかは、中期経営計画における戦略を効果的に実行できるかによりますが、中期経営計画における戦略は、本「事業等のリスク」に記載の要因のほか、様々な要因により、奏功しない可能性があります。具体的には、採用における競争の激化により想定どおり営業社員の数を増やすことができない又は優秀な営業社員の離職率を十分に改善できない可能性、当社グループが現在開発又は導入を予定している営業やマーケティングのためのシステム又はツールを通じて十分な効果が得られないことにより、想定どおりにキャリアアドバイザーを中心とした営業社員の生産性を向上させることができない可能性、SEO(※1)及びCRM(※2)の強化により求職者のデータベースを増加させることができない可能性、医療福祉業界における賃金の改定は政府の施策の影響を受けるため、その上昇率が他業種に比べて低いことにより医療福祉業界における求職者が不足する可能性、計画どおりに出店する都道府県を拡大できないことにより法人顧客の新規獲得及び関係性の強化を実現できない可能性、当社グループがブランド力強化のために多額の投資を行ったにもかかわらず、想定どおりに登録求職者、法人顧客、派遣労働者等を増加させることができない可能性、DR型採用支援サービスを導入したものの想定どおり顧客の認知が進まず、登録求職者や法人顧客が増加しない可能性及びDR型採用支援サービスのためのインターネット技術の十分な開発を続けられず、競合他社との競争に勝つことができない可能性、ICT、データ活用等の新規事業について、第三者との提携が想定通り進捗しない等の理由により成長を加速することができない可能性、M&Aや事業提携等において、適切な対象会社を見つけることができない、受け入れ可能な条件を獲得することができない又は効果的にM&A後の統合を進めることができないなどの事情により当該M&A等が奏功しない可能性、既存事業又は新規事業において競争力を維持するために想定以上の投資が必要になる可能性、派遣社員を採用するためのデジタルマーケティングが奏功しない又は経験ある派遣社員の離職率を低減できないことにより、非医療福祉事業における派遣社員数を計画通り増加させることができない可能性、営業費用の想定外の増加や金利市場の変動、既存の借入金の借り換えができないことにより、財務目標を達成できない可能性などがあります。

※1 Search Engine Optimizationの略。検索エンジンの最適化を意味します。

2 Customer Relationship Managementの略。顧客関係の管理を意味します。

⑧ 新規事業に関するリスク

 当社は、製品・サービスの着実な拡大と新規事業領域への参入を成長戦略の一つとしており、今後も新たな事業領域への拡大機会を模索していく予定です。例えば、システム開発力を強化するため、2021年8月に株式会社HAB&Co.を買収しました。2022年1月には株式会社ウェルクスを子会社化することにより保育領域におけるDR型採用支援サービスを開始し、2023年2月には、DR型採用支援サービスを拡大するため、DR型採用支援サービス用のポータルを開設しました。さらに、2023年6月には、SaaS(Software as a Service)事業の成長を加速させるため、株式会社bright vieを買収しました。また、ICT、データ活用サービスを開始するためのパートナーシップの構築や業務提携を行っています。当社グループの新規事業への参入は、買収や提携によるか否かに関わらず、既存事業とは異なるリスクを伴う可能性(新規従業員の獲得・育成に失敗するリスクや既存の競合他社との競争に勝てないリスク等)や、想定外の費用が発生する可能性、多額の経営資源の投下を必要とする可能性があります。また、新しいインフラ、従業員、技術への投資や、買収・業務提携契約の交渉に経営資源を割く必要が生じる可能性もあります。加えて、買収により新規事業領域に参入した場合、買収した事業の統合作業のため、既存事業に割かれる経営資源が相対的に減少せざるを得ない場合があります。新規事業により期待した利益を達成できない場合、投資資金を回収できず、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社が、適時・適切に、魅力的な新しいビジネスチャンスを見出し、また、顧客の嗜好の変化や市場の動向を予測できる保証はありません。当社グループが新たな事業機会を適切に見出すことができず、期待される収益を達成できない場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 市場規模等の推計に関するリスク

 当社は、事業戦略の策定並びに財務及び経営リソースの配分を検討するにあたって、短期及び長期の潜在的市場規模や当社グループのシェア等を推計していますが、当該推計値は、第三者が提供するデータに基づき、当社グループが合理的と考える一定の前提を置いて試算した数値となります。なお、当社グループのシェアを試算するにあたって依拠した第三者による調査は、当社の依頼を受けて、当社の費用負担により行われたものです。当該推計値の算出に際して用いた第三者のデータは、独立した第三者の監査やレビューを経ておらず、また、当該推計値が当社グループによってアクセス可能な潜在的な市場機会を正確に示している保証はなく、当社が当該市場において実際に一定のシェアを獲得できる保証もありません。また、当社グループが獲得可能な求職者や法人顧客の市場規模も推計していますが、実際には多くの求職者や法人顧客は独力で職又は労働者を確保する可能性もあり、その場合、当社グループや競合他社が提供するサービスが利用されることはなく、したがって、市場規模として示された求職者や法人顧客のすべてが当社グループの顧客となる保証はありません。加えて、第三者のデータは、最新ではない可能性や、不正確・不完全である可能性、その他当社グループのマーケットシェア等を適切に表していない可能性があります。さらに、利用可能な第三者データの多くは必ずしも当社グループが想定する市場や時点と正確には一致していないため、かかる第三者のデータに基づいて推計値の試算を行うにあたっては、当社グループが独自に設定した様々な前提を置いています。

 上記のような理由により、当社が推計した市場規模や当該市場における当社グループのマーケットにおける位置付けが誤っていた場合、当社グループは市場機会についての判断を誤り、誤った戦略を策定し、又は内部のリソースの分配を誤る可能性があり、その結果当社グループの事業及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。したがって、これらの数値が当社グループの事業や成長に関する見通しを表しているものとして過度に依拠することはできません。

 加えて、当社グループは数値の推計にあたって当社独自の定義を用いているため、これらの数値は他社の類似の指標と比較することはできず、そのような比較の結果に依拠することもできません。

(3)許認可に関するリスク

 当社グループは人材紹介事業について、職業安定法に基づき、以下のとおり厚生労働大臣より有料職業紹介事業の許可を取得しています。

取得・登録者名

許可名称及び

所管官庁

許可番号

取得年月

有効期限

株式会社

トライトキャリア

有料職業紹介事業許可

厚生労働省

27-ユ-301770

2015年1月1日

2027年12月31日

株式会社トライト

エンジニアリング

有料職業紹介事業許可

厚生労働省

27-ユ-300349

2006年4月1日

2024年3月31日

株式会社HAB&Co.

有料職業紹介事業許可

厚生労働省

44-ユ-300143

2019年9月1日

2027年8月31日

※株式会社トライトエンジニアリングの有料職業紹介事業許可に関しては提出日現在、更新手続中です。

 また、当社グループは、人材派遣事業について、労働者派遣法に基づき、以下のとおり厚生労働大臣より労働者派遣事業の許可を取得しています。

取得・登録者名

許可名称及び

所管官庁

許可番号

取得年月

有効期限

株式会社

トライトキャリア

労働者派遣事業許可

厚生労働省

派27-302147

2015年11月1日

2028年10月31日

株式会社トライト

エンジニアリング

労働者派遣事業許可

厚生労働省

派27-300607

2006年4月1日

2024年3月31日

※株式会社トライトエンジニアリングの労働派遣事業許可に関しては提出日現在、更新手続中です。

 加えて、当社グループは、子会社である株式会社トライトキャリア及び株式会社HAB&Co.において、職業安定法に基づき、厚生労働大臣に対して、2022年12月22日及び2022年10月17日にそれぞれ特定募集情報等提供事業の届出を行っています。

 厚生労働大臣は、職業安定法及び労働者派遣法に基づき、当社グループに対する監督権限を有しており、これらの法令又は関連する規則に違反した場合、当社グループは厚生労働大臣より、指導又は助言、業務改善命令、業務停止処分又は許可の取消し等の処分を受け、中核となる事業を営むことができなくなる可能性や、当社グループの社会的信用を害することにより、事業、財政状態又は経営成績等が重大な悪影響を受ける可能性があります。

 なお、当社グループは、2020年2月27日に子会社である株式会社ティスメ(現株式会社トライトキャリア)のジョブエイト事業において、一部取引先との間で職業安定法第44条により禁止されている労働者供給と見做される人材紹介等業務委託契約及び労働者派遣契約を締結していたとして、労働者派遣法第14条第2項に基づく労働者派遣事業停止命令(業務停止期間は、株式会社ティスメの労働者派遣事業のうち、ジョブエイト事業部については2020年2月28日から2020年6月27日まで、ジョブエイト事業部以外の事業所における新規の労働者派遣については2020年2月28日から2020年3月27日までです。)及び同法第49条第1項に基づく労働者派遣事業改善命令を受けています。当社グループは、同事業停止命令及び業務改善命令を受けて、原因となった事業部門を廃止するとともに、その他の事業部門についても職業安定法及び労働者派遣法の違反の有無について総点検を行い、必要な再発防止策を講じています。また、当社グループは、職業安定法又は労働者派遣法の軽微な違反について、労働局から複数の指導又は是正勧告を受けていますが、これらについても、是正指導の内容に基づき、再発防止策を講じています。しかしながら、これらの再発防止策が有効に機能する保証は無く、再発防止策を講じたにもかかわらず再び法令違反が発生した場合、当社グループの社会的信用を害し、事業、財政状態又は経営成績等が重大な悪影響を受ける可能性があります。

 なお、本書提出日現在において、上記許認可について、事業の停止、許認可取消事由及び事業廃止事由に該当する事実はありません。

(4)派遣スタッフの安全管理に関するリスク

 当社グループの派遣スタッフが派遣先で業務上、又は通勤中に負傷し、疾病にかかり、障害を負い、又は死亡した場合には、労働基準法上、使用者である当社グループは補償義務を負います。当社グループでは、派遣先の就業環境を把握し、派遣スタッフにかかる事態が生じないように努めていますが、万が一このような事象が発生した場合には、当社グループの事業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(5)社会保険料負担に関するリスク

 当社グループは、従業員に加えて、派遣スタッフ及び受託業務に従事するスタッフについても社会保険への加入義務を負っています。

 今後、社会保険制度の改正に伴い、保険料率や会社負担額が上昇した場合や、加入対象者の範囲が拡大された場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(6)のれんの減損リスク

 当社の連結財務諸表に計上されているのれんについて、当社グループに対するLSDH出資以前から、現在に至るまでの変遷図を示すと以下のとおりです。

LSDH出資前

2018年12月

LSDH出資前の構成は以下のとおり。

LSDHによるティスWAYの増資引受及び株式譲受を行い、その後ティスWAYが創業家からメディアメイドの株式の100%取得、ティスメが創業家からTS工建株式の100%を取得し、以下の構成となる(のれんの計上)。

 

 

 

 

2019年6月

2021年11月30日

2019年6月にティスWAYによる旧メディアメイドの吸収合併及びティスWAYをメディアメイドへ商号変更し、以下の構成となる。

2019年7月にLSDHによる創業家から株式40%追加取得、2020年9月のメディアメイドによるTS工建の株式の100%取得、2020年11月の各社商号変更、2021年8月に旧トライトによるHAB&Co.の株式の100%取得により、以下の構成となる。

 

 

 

 

2021年12月1日

2021年12月1日

JSPC2(LSDHの100%子会社)がLSDHから旧トライトの株式50.1%を取得(のれん計上)。

JSPC2が旧トライトと吸収合併しトライトへ商号変更を行う。

 

 

 

 

2022年12月31日

2023年12月31日

2022年1月にトライトによる株式会社ウェルクスの株式100%取得し、2022年7月1日付で株式会社ウェルクスを吸収合併。

2023年6月にトライトによる株式会社bright vieの株式100%取得。

 

 

 

 

 株式会社ティスWAY(旧トライト)は、2018年12月にBPEA(現BPEA EQT)が100%出資するLSDHからの出資受入れ(LSDHが有償第三者割当及び創業家からの株式譲受により株式会社ティスWAY(旧トライト)株式の60%を取得)を契機として、持続的成長基盤の構築に向けて関連会社であった旧メディアメイド及び株式会社ティスメ(現トライトキャリア)の株式を取得し、株式会社ティスメは株式会社TS工建(現トライトエンジニアリング)の株式を取得し完全子会社化しています。また、2019年6月には株式会社ティスWAY(旧トライト)を存続会社として、旧メディアメイドの吸収合併を行い(その後株式会社ティスWAYはメディアメイド株式会社に商号変更)、2019年7月にはLSDHによるメディアメイド株式会社(旧トライト)株式の40%の追加取得が実施され、LSDHのメディアメイド株式会社(旧トライト)に対する持株比率は100%となっています。これら一連の組織再編の結果、当社が採用するIFRSにおいて企業結合の原則を定めるIFRS第3号の取得法を適用する取引として、非流動資産にのれんを25,692百万円計上しています。

 さらに、2021年12月1日には、当社(JSPC2)が旧トライトの株式をLSDHから50.1%取得のうえ、旧トライトと吸収合併を行っています(同日、JSPC2はトライトに商号変更)。LSDHによる当社グループへの出資から、当社による旧トライト株式取得(及びその後の合併取引)に至るまでの取引は、取引の時点としてはそれぞれ異なるものの、取引の性質としては当初から意図していた一連の企業結合取引です。このような取引形態となったのは、2018年12月及び2019年7月にLSDHが旧トライト株式を取得した際、買収資金について、一般的な買収案件で用いられるLBOローン調達が旧トライトグループにおいて調達困難であったことから、将来的には旧トライトグループで資金調達をする前提で一時的にファンド資金にて賄うこととなったためです。

 以上より、当該企業結合取引の経済的実態を忠実に財務諸表に反映させるために、当社が旧トライト株式を取得及び旧トライトと合併するにあたって、IFRS第3号に従ってLSDHが旧トライト株式を取得した時点の資産及び負債をベースとして引き継がれる旧トライトの株主資本の額と当社の取得対価との差額をのれんとして計上しています。

 なお、当該のれんにつきましては、仮にLSDHを頂点とする連結財務諸表を作成していたのであれば、その連結財務諸表に計上されていたはずののれんの一部を当社の連結財務諸表において計上していることとなりますので、自己創設のれんを計上しているものではありません。

 その結果、当連結会計年度末におけるのれん残高は52,009百万円、総資産に占める割合が65.1%となっています。当連結会計年度末ののれん残高の内訳は以下のとおりです。

計上時期

計上内容

金額(百万円)

2018年12月

ティスWAYによるメディアメイド取得

5,712

2018年12月

ティスメによるTS工建取得

19,980

2021年8月

旧トライトによるHAB&Co.取得

288

2021年12月

当社(JSPC2)による旧トライト取得

24,444

2022年1月

当社によるウェルクス取得

986

2023年6月

当社によるbright vie取得

597

 

合計

52,009

 当社グループは、のれんが配分された資金生成単位に減損の兆候がある場合、及び減損の兆候の有無に関わらず各年度の一定時期に減損テストを実施しています。減損テストの回収可能価額は、使用価値に基づき算定しています。当該テストの結果、のれんが配分された資金生成単位が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合は、減損損失を認識する必要性が生じます。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 減損テストに使用した主要な仮定を変更しなければならない事態となった場合には減損が発生するリスクがありますが、当連結会計年度末時点における回収可能価額は、帳簿価額を十分に上回っていることを確認しています。また、減損テストに使用した主要な仮定が合理的に予想可能な範囲で変化したとしても、使用価値が帳簿価額を下回る可能性は低いと判断しています。なお、減損テストに用いた主要な感応度を示す仮定は売上高成長率であり、仮に売上高成長率以外の条件が一定と仮定した場合において、予測成長率が5.0%程度に下がったとしても、回収可能価額が帳簿価額を大幅に上回っており、各資金生成単位において重要な減損が発生する可能性は低いと判断しています。なお、2023年12月期の対前年度売上高成長率は19.4%です。

 将来の企業買収や資本提携等を検討する場合には、のれんの減損リスクを低減するために、対象会社の事業計画や財務内容、契約関係等についての詳細なデュー・デリジェンスを行うとともに、買収価格の妥当性を多角的に検証・精査することで、十分にリスクを検討することとしています。また、買収当初の事業計画に関する定期的なモニタリングを通じて、差異要因を正確に把握することで、のれんが配分された資金生成単位の業績改善・成長に向けたシナリオを策定していますが、のれんが配分された資金生成単位が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さないこととなった場合には、多額の減損損失を認識することとなり、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、当社グループが買収した新興企業につき収益性が無いと判断された場合には、当該買収に関連して計上されたのれん及び無形資産について減損のリスクが生じる可能性があります。

 また、有形固定資産及び無形資産についても、減損テストの結果、多額の減損損失を認識した場合には、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(7)有利子負債比率に関するリスク

 当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金の確保及び資金需要に対する機動的な対応のために、資本コスト等を勘案しながら内部資金及び外部資金を有効に活用しています。借入債務があることにより、事業活動から得た資金が債務の返済に充てられ、事業活動資金及び普通株式の配当金の原資を確保できなくなる可能性があります。レバレッジが高くなっている現在の財務体質においては、経済環境悪化への耐性が脆弱となり、レバレッジの低い競合他社と比較して競争圧力に耐える能力が限定的となる可能性があります。

 上記方針の下、当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結しており、有利子負債残高(リース負債を含む。)は2023年12月末において42,438百万円であり、総資産に占める有利子負債の比率は53.1%となっていますが、将来、金利動向を含む資金調達環境全体に応じて、追加的に負債を抱える可能性があります。当該契約には一定の財務制限条項が付されており、これに抵触した場合には、当社グループは追加の担保提供を求められる可能性があり、また、貸付人の請求により同契約上の期限の利益を失う可能性があります。また、市場金利が急速に上昇した場合には、支払利息が急激に増加する可能性があるほか、資金調達コストが上昇し、必要な資金を適時に借り入れることができなくなる可能性があります。また、当社の資金調達能力は、金融市場の状況及び資金を提供する金融機関の利用可能性に左右されます。当社の財務状況や事業環境の悪化によって、当社の信用力が将来的に低下する可能性があり、その場合、将来的に追加の借入を行う能力に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの事情により、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

(8)主要株主との関係に伴うリスク

 当社は、EQTが運営するLSDHより出資を受けており、LSDHは本書提出日時点で当社の発行済株式総数の60%を保有しています。当社の取締役のうち、原敬信は、当社の前身であるメディアメイド株式会社(旧トライト)の取締役に就任する2019年10月以前より、LSDHを運営していたBPEAのグループ会社であるベアリング・プライベート・エクイティ・アジア株式会社に所属しており(EQTによるBPEAの買収により、本書提出日時点でLSDHはEQTにより運営されています。また、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア株式会社は、2022年10月18日にBPEA EQT株式会社に商号を変更した後、2023年3月1日付でEQTパートナーズジャパン株式会社により吸収合併されています。原敬信は、メディアメイド株式会社の取締役就任後、2020年3月からEQTパートナーズジャパン株式会社による吸収合併までの間、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア株式会社(商号変更後はBPEA EQT株式会社)の代表取締役を務めています。)、本書提出日現在もEQTパートナーズジャパン株式会社に所属しています。当社グループは、EQTから、経営体制構築、各種内部管理体制強化、営業基盤の確立、マーケティング強化、先端施策・事業の開始による顧客提供価値拡大や業績伸長等、当社の企業価値向上に向けたサポートを得ています。

 また、LSDHは、株主総会の普通決議を必要とする事項(例えば、取締役の選解任、剰余金の処分や配当等を含みますが、これらに限りません。)に関する決定権及び拒否権並びに特別決議を必要とする事項(例えば、吸収合併、事業譲渡、定款変更等を含みますが、これらに限りません。)に関する拒否権を有しており、当社について一般の株主と異なる利害関係を有する可能性があります。当社では経営の意思決定・監督機能と業務執行の分離及び迅速な業務執行を実現するため、執行役員制度を導入し、重要な意思決定については代表取締役社長と全ての執行役員等で構成される経営会議にて十分な議論を行ったうえで取締役会に諮ることとしています。なお、取締役会による監視・監督機能の観点から、取締役の半数を独立社外取締役が構成し、また、監査役会を構成する監査役は全て独立社外監査役とするなど、特定の株主の利害にかかわらず、独立した合理的な意思決定を行うための体制を敷いています。

(9)コンプライアンスに関するリスク

① 法規制に関するリスク

 当社グループの事業に関連する主な法規制として、職業安定法、労働者派遣法、個人情報保護法等があります。特に、上記「(3)許認可に関するリスク」に記載のとおり、当社グループの運営する人材紹介事業・人材派遣事業は、職業安定法及び労働者派遣法に基づき、厚生労働大臣の許可を取得するとともに、当局の監督を受けています。当社グループが職業安定法及び労働者派遣法を含む関連する法令又は規則に違反した場合、厚生労働省その他の当局から指導又は助言、業務改善命令、業務停止処分、許可の取消し等の処分を受け、中核となる事業を営むことができなくなる可能性や、当社グループの社会的信用、事業、財政状態又は経営成績等が重大な悪影響を受ける可能性があります。当社グループとしては、営業部門をはじめとした各部門が法務部門、総務部門及び外部弁護士事務所と密に連携することにより、法令等を遵守する体制を整備しており、また、定期的な内部監査により、その運用状況を把握及び改善する仕組みを構築していますが、かかる対策が奏功する保証はありません。

 また、職業安定法、労働者派遣法その他当社グループの事業に関係する諸法令は、経済環境、社会情勢の変化等に伴い、その内容の見直しが行われています。紹介又は派遣が可能な職種を減少させる改正、企業に労働者派遣よりも自社採用を促進する改正、当社グループが契約施設に請求できる紹介料・派遣料を制限する改正、当社グループが適応できない速さで人材紹介又は人材派遣市場全体を縮小させる改正その他当社グループの事業に不利な改正が実施された場合には、事業の収益性を悪化させる可能性、当該改正に対応するための追加的な支出が必要となる可能性や、契約施設における需要自体が減少する可能性等があり、これらの場合、当社グループの事業、財政状態又は経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

② 個人情報・機密情報の取扱いによるリスク

 当社グループは、その事業の運営に際し、求職者又は法人顧客その他の関係者の個人情報及び機密情報を大量に保有しています。当社グループは「個人情報の保護に関する法律」に定める個人情報取扱事業者に該当し、取得、収集した個人情報の漏洩等は当社グループの信用力低下に直結することから、経営者は、個人情報管理責任者を指名し、個人情報保護マニュアルを整備し、個人情報管理に関するシステムのセキュリティ対策を講ずるとともに、必要な教育計画を策定・実施し、個人情報の適正管理に努めています。また、事業子会社の株式会社トライトキャリア及び株式会社トライトエンジニアリングにおいてはプライバシーマークを取得しており、その更新及び当社における新規取得を検討しています。

 これらの対策にもかかわらず、サイバー攻撃、システム上の欠陥、従業員等の人為的なミス等により、個人情報保護法その他の法令に違反し、又は個人情報や機密情報の紛失・漏えいが発生した場合、顧客による当社グループのサービスの継続的な利用が困難になり、求職者及び法人顧客の信用を失うなど、当社のレピュテーションが悪化し、又は当局からの調査や求職者及び法人顧客からの訴訟等を受けることにより、当社グループの事業、財政状態又は経営成績等が重大な悪影響を受ける可能性があります。

 また、個人情報を巡っては、今後規制が強化される可能性がありますが、かかる規制の強化により、当社グループにおける個人情報の活用が制限される結果、当社グループの競争優位性が失われ、求職者及び法人顧客を失い、又はビジネスモデル、事業運営又は戦略の変更又は全面的な点検を余儀なくされ、追加のコスト負担が発生する可能性があります。

③ 訴訟等に関するリスク

 当社グループは、当社グループの事業に関して、報酬その他雇用に関する訴訟の当事者となる場合があります。ソーシャル・メディアの普及により、当社グループが訴訟の当事者になった場合、当社グループの事業やレピュテーションへの影響が拡大する可能性があります。当社は、訴訟により損失が見込まれる場合、適切な評価の下、引当金を計上する方針ですが、実際の支払額が引当金の額よりも多額となった場合、当社グループの、事業、経営成績又は財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、派遣先企業がこれらの法令に違反した場合、当社グループも派遣労働者により訴訟を提起される可能性があり、加えて厚生労働省から行政処分を受けた場合、当社グループの社会的信用を害し、派遣労働者を採用又は維持することが困難となる結果、当社グループの事業、財政状態又は経営成績等が悪影響を受ける可能性があります。

(10)レピュテーションに関するリスク

 当社グループのサービスの利用者にはブランドに敏感な一般個人を含んでおり、当社グループや当社グループのブランドに関するレピュテーションは当社グループの事業の成功に重要な役割を果たします。したがって、ブランド戦略の失敗、当社グループの役員・執行役員・従業員による不祥事、人材紹介・人材派遣サービスに関する求職者からの当社グループに対する訴訟、第三者による不正なブランド利用等の要因により、当社グループのレピュテーションが毀損された場合、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループや求職者・法人顧客が当社グループのサービスの利用に関して違法行為を行った場合にも、当社グループや当社グループのブランドが毀損され、又は当社グループと求職者や法人顧客との関係が悪化する可能性があります。当社グループが、求職者や法人顧客のかかる行動を抑止する有効な対策には限界があり、仮に対策を取ることができたとしても、その効果が十分である保証はありません。

 以上の理由により、当社グループに対して訴訟が提起され、それにより当社グループのブランドやレピュテーションが毀損された場合、当社グループの事業又は経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

(11)システムに関するリスク

 当社グループはサービスの提供や事業運営にあたってITシステムを利用していますが、ITシステムは自然災害等、電力不足、ソフトウエア及びハードウエア並びにネットワークの不具合、サービスプロバイダーにおける障害、一時的な通信量の増大、ハッキング、コンピューターウイルスなど様々な原因によって障害やエラーを起こす可能性があります。当社グループは、近年IT技術を用いたサービスの提供を拡大しており、当社グループの対策にもかかわらずエラーが生じる可能性は高まっていますが、エラーが発生した場合、損害賠償その他の費用が発生し又は当社グループのレピュテーションが悪化する可能性があるほか、個人情報及び機密情報が漏洩する可能性又は当社サービスの使用に支障が生じる可能性などがあり、これらの事情により、規制当局による調査又は法的措置の対象となる可能性もあります。また、当社グループにおけるITシステムの維持開発には、多額のコスト負担が生じる可能性があります。当社は事業継続計画(BCP)を策定していますが、同計画がこれらの問題を適切に解決できる保証はなく、その結果、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、一定のサービスについて外部ベンダーのITシステムを利用しているため、当社グループがコントロールすることのできない当該外部ベンダーにおける障害等により当社グループのサービスが影響を受ける可能性があります。加えて、当社は、データセンターやクラウドについて外部のサービスプロバイダーのサービスを利用していますが、これらのサービスを有効活用できない場合、当社グループの事業が深刻な影響を受け、又は代替するサービスプロバイダーを探すために追加的な投資を余儀無くされる可能性があります。その結果、当社グループの事業、財政状態又は経営成績等が悪影響を受ける可能性があります。

(12)内部統制に関するリスク

 当社グループは、法令に基づき、財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し運用していますが、内部統制システムには本質的に内在する固有の限界があるため、当社グループの財務報告に重要な不備が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制システムを構築及び運用できる保証はありません。今後、当社グループの財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制システムに重要な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。

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