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【東証スタンダード:7640】「小売業」
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企業概要
当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書の提出日現在において判断したものであります。
(1) 事業内容について
①フランチャイズ契約について
当社は、書籍の販売、映像・音楽ソフト等の販売及びレンタル、ゲームソフトの販売及びリサイクル事業に関して、カルチュア・エクスペリエンス株式会社とフランチャイズ契約を締結しております。フランチャイズ契約では、競業禁止条項や他のFC加盟店の近隣地(500m)への出店の制約等が定められております。当社は、カルチュア・エクスペリエンス株式会社がフランチャイズ展開する以前から独自に書籍や文具の販売を中心とした店舗の運営を行っていたため、競業禁止条項については覚書により解除されておりますが、今後変更とならない保証はありません。カルチュア・エクスペリエンス株式会社とのフランチャイズ契約は当社のブランド戦略、店舗展開、各種販売データの管理において重要性が高いため、万一、同社の業務あるいは同社と当社との関係が通常どおりに機能しなくなった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
②店舗開発について
当社は、今後、東日本エリアへの多店舗展開を目指しており、新潟県・長野県で培ったライフスタイル対応型大型複合店舗の運営ノウハウ及び小商圏地域(人口3万人程度の地域)でも出店可能なローコストオペレーションを活用し、店舗網の拡大を図っていく方針であります。しかしながら、出店に際して、基本的に土地・建物の賃借を想定していることから、出店スピードは、貸主や地権者との交渉に左右され、さらには後述のように大規模小売店舗立地法上の手続も影響いたします。さらに、各地では、他社のFC加盟店も店舗展開を行っており、地域によっては出店余地による制約を受ける可能性も否定できません。これらにより、当社の計画どおりに出店を行うことが出来ない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③大型店への投資について
当社が今後の出店モデルとして想定しておりますのは、売場面積1,000坪から3,000坪の大型複合書店であり、圧倒的な競争力や集客力と引き換えに、規模の大きさゆえ1店舗当たりの投資額は増加せざるを得ません。また、各種資材の原価上昇や、首都圏での建設コストの上昇傾向が続いていることから、大型店の出店が特定の時期に集中した場合、投資負担の急増により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、大型店舗は投資の回収に中小型店舗より長い期間を要するのが一般的であり、想定した利益水準への到達が計画より遅れた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④固定資産の減損会計について
当社は、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。当社が保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価値の下落等により、減損損失が発生し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、2024年9月13日 に、企業会計基準委員会より、「リースに関する会計基準」(企業会計基準第34号) 、「リースに関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第33号)等が公表されており、当社グループにおいては、2028年10月期の期首から適用となります。当該会計基準等の適用に伴い、オペレーティング・リース取引について新たに使用権資産及びリース負債を計上した場合や、これまでリースとして識別していない取引がリースとして判定され新たに使用権資産及びリース負債を計上した場合等には、関連する経営指標に悪影響を及ぼす可能性があり、また将来において使用権資産の減損損失が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤競合について
当社における店舗規模の大型化と取扱商品の拡大、並びにサービスの複合化により、従来の書店やレンタル店以外の業態とも競合が発生しております。また、地域に立地する小売店舗のみならず、インターネットによる通販やインターネット配信サービスによるコンテンツ流通の拡大など、国内外の非店舗小売業との競争も増加しており、当社店舗を取り巻く競合状況は総じて激しさを増しております。
当社は、こうした競合状況への対応を図りながら、来店することによって得られる様々な体験と満足感の提供によってリアル店舗としての価値を高め、地域のコミュニティの場として社会に求められる業態を目指しております。
また、当社は書籍及び音楽・映像ソフトのインターネットによる情報提供と販売を、有力な販売チャネルと捉えて積極的に取り組んでおります。具体的には、Webサイト・X(旧ツイッター)・インスタグラムの運営により、各種商品の販売や各店舗におけるイベント情報の提供等を行なっております。これらは、単なる販売経路の拡大ではなく、販売のオムニチャネル化による店舗への来店頻度上昇によって、店頭の更なる活性化を目指すものであります。しかしながら、こうしたeコマースをめぐる競争環境は常に変化しており、新技術・新サービスの登場や新たなプレイヤーの参入によって、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、音楽・映像等のコンテンツのインターネット配信サービスは、コンテンツ単位の課金から定額料金によるサービスへと移行が進んでおり、スマートフォンの普及と相まってコンテンツの楽しみ方も変化しております。このような流れはリアル店舗における音楽・映像ソフトのレンタルや、販売にも影響を与えております。当社では、大型複合店の展開で音楽・映像コンテンツを書籍や他のエンターテイメントと共に展開することによって新たな価値を付加することに努めておりますが、このようなコンテンツを楽しむライフスタイルの変化が想定より急速であった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
このように、当社の店舗は、環境変化に対応した価値の創出を絶えず進めていく必要があり、対策を誤った場合は顧客の支持が低下して当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 自然災害について
当社グループの本社、物流センター、店舗所在地において、大規模な地震、台風等の自然災害或いは予期せぬ事故等が発生した場合、当該施設及び流通網に倒壊等物理的な損害が生じて、営業活動が阻害され、当社グループの売上高及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 当社事業に対する法的規制について
①大規模小売店舗立地法による規制について
当社グループ店舗で、店舗面積が1,000㎡を超える(レンタル売場面積を除く)店舗の新規出店及び増床をする際には、「大規模小売店舗立地法」(以下、「大店立地法」という。)の規制対象となっており、都道府県または政令指定都市に届出が義務付けられております。同法では、周辺の地域住民の利便性や周辺生活環境等への配慮すべき事項が定められており、審査の状況および規制の変更等により、出店計画が影響を受ける場合があります。
②レンタル事業における著作権について
レンタル事業は著作権法の適用を受けており、著作権者及び著作隣接権者より許諾を得るとともに、使用料を払うこととされており、貸出禁止期間等が定められております。DVD・ビデオレンタルについては同法の頒布権に、音楽CDレンタルは同法の貸与権にかかわる適用を受けております。当社ではカルチュア・エクスペリエンス株式会社のフランチャイジーとして、適法な手続を経て調達した商品のみを扱っておりますが、万一海賊版など違法な商品の取り扱いがあった場合、法的な制裁を受ける可能性があります。
③再販制度について
当社の取扱商品である販売用音楽CD等(レコード、テープを含む)及び書籍は、メーカーの再販売価格維持契約による定価販売(以下再販制度)が義務付けられております。しかしながら、再販制度については「時限再販」や「部分再販」等の弾力的運用がすでに一部で導入され、公正取引委員会は将来的に再販制度の廃止を推進する姿勢を表明しております。したがって、今後さらに規制緩和が進んだ場合、定価販売から自由価格競争へと販売形態が大きく変化する可能性があります。当社は、再販商品以外の商品も扱っており、そうした競争に対するノウハウも蓄積しておりますが、過度な価格競争は当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④個人情報保護法について
取扱商品・サービスの特性から、当社は従前より個人情報の厳重かつ慎重な取扱いを行ってまいりましたが、「個人情報の保護に関する法律」の施行に伴い、改めて個人情報管理に関する規程・マニュアルを活用し、個人情報の管理については細心の注意を払って進めております。しかしながら、個人情報管理の徹底が図れなかった場合は、社会的制裁や損害賠償請求の発生等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤青少年健全育成に関する条例について
当社は、レンタル事業等における成人向け商品のレンタル及び販売に関し、「新潟県青少年健全育成条例」及び各自治体の同種の条例を遵守し、以下のように必要な配慮を行っております。
(イ)当社がレンタルを行う成人向けビデオは、日本ビデオ倫理協会審査済みのものに限ります。
(ロ)成人向けレンタル商品の売場は他の売場と明確に区切られたスペースとしております。
(ハ)売場入口には18歳未満の方の入場を禁止する旨を掲示しております。
(ニ)精算時に会員情報から年齢を確認し、商品の貸出について必要な制限を行っております。
以上のような配慮について現場で適切な運用がなされなかった場合、企業としての信用やブランドの毀損により、事業の展開に影響を及ぼす可能性があります。
⑥古物営業法について
当社グループが行っているリサイクル品の買取り及び販売事業は、「古物営業法」により規制を受け、同法及び関連諸法令、条例により下記のような規制を受けております。
(イ)事業を開始する場合には、所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を必要とする。
(ロ)中古ゲームソフト・パソコンソフト・書籍・CD・DVD等の買取りを行う場合には、相手方の住所、氏
名、職業及び年齢が記載された文書の交付を受け、同時に取引年月日、古物の品目及び数量、古物の特徴、
相手方の住所・氏名・職業・年齢等を帳簿に記載する必要がある。
現場において上記の規制への対応に重大な不備があった場合、許可の取消しや新規許可の見送りなどの制裁を受け、事業の展開に影響を及ぼす可能性があります。
(4)継続企業の前提に関する重要事象等について
当社グループは、主軸である蔦屋書店事業の売上減少の影響により、2022年10月期以降、3期連続の営業損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
このような中、当社グループは、当該状況を解消又は改善するために、2024年10月期を初年度とする3カ年の中期経営計画を策定しており、主に以下の施策を実行して早期の黒字化を目指すこととしておりました。
①新たな売上高の創出
“蔦屋書店”のリモデル化へのチャレンジとして、DAISOの導入、ふるいちトップブックスへの切り替え拡大、ガシャポンバンダイオフィシャルショップの強化・拡大、フィットネス事業への進出(フランチャイズ加盟)、リーシング(テナント誘致)の強化を進め、新たな売上高を創出してまいります。
②不採算店の早期撤退・新規出店
撤退選定方針に基づき、収益改善が難しい店舗は契約満了時及び早期での撤退を検討・計画しております(最大19店舗)。また、2022年9月30日に長野県佐久市にオープンした蔦屋書店佐久平店を一つの収益店舗モデルとして、新規出店を最大6店舗想定しております。
③グループ企業との連携
当社グループ企業のそれぞれの強みを生かしサービス連携し相互売上UPを目指してまいります。ライフバリューを提案し、新たな経済圏の創出をしてまいります。
2024年10月期における中期経営計画の進捗状況は下記のとおりであります。
①新たな売上高の創出
2024年10月末現在において、DAISOは6店舗への導入を完了し、ふるいちトップブックスへの切り替えは29店舗にて完了、ガシャポンバンダイオフィシャルショップは23店舗へ導入完了しております。フィットネス事業への進出(フランチャイズ加盟)につきましては、出店コストや事業リスク等を勘案し、現在は、当社が新規事業で行う形ではなく、フィットネスジムの運営会社を当社物件へテナントとして誘致する形で進めております。フィットネス事業については中期経営計画において当連結会計年度より導入する計画としておりましたので、フィットネス事業の展開方法の変更及び遅れは、中期経営計画において計画した連結営業損失と乖離する要因となりました。なお、将来的に、フィットネス事業を当社の新規事業として行うことも並行して検討を続けております。
リーシング(テナント誘致)の強化については、建築単価の上昇により小売業全体での出店コストが増加傾向であることから、当社店舗へテナントとして出店したいという引き合いは増加しております。前述のフィットネスジムに加えて様々な案件の交渉を進めており、テナント料や当社事業へのシナジー効果を勘案し、テナント選定を進めております。
上述のほか、「1.事業の経過及びその成果」に記載しましたとおり、ドロップシッピングモデルのEC店舗(楽天市場トップカルチャーBOOKSTORE、楽天市場2号店、Amazon店、ANAモール店)をオープンさせ、また、コスメのECサイトを運営するノイン株式会社と提携し、初のリアル店舗である「NOIN beauty」を4店舗オープンするなど、新たな売上高の創出に向けて取り組んでおります。
②不採算店の早期撤退・新規出店
2024年10月期においては、11店舗の撤退、1店舗の新規出店を計画しておりましたが、6店舗を閉店し、1店舗を新規出店いたしました。閉店時期が当初計画より遅れている店舗がありますが、これは主として当社の撤退後の店舗に後継の賃借人をマッチングさせ、撤退コストを縮小させることを目的としております。閉店時期の遅れは、中期経営計画において計画した連結営業損失と乖離する要因となりますが、撤退コストは縮小しているため、特別損失の減少に寄与しております。
③グループ企業との連携
当社グループ企業のそれぞれの強みを生かしサービス連携し相互売上UPを目指しており、特に2023年6月にタリーズコーヒーを運営する株式会社メソッドカイザーを子会社化し、当社との連携強化に努めてまいりました。その結果、株式会社メソッドカイザーの売上高は前年比114%の1,145百万円となり、順調に推移しております。また、グループ企業間における会員連携により、新しい顧客体験やサービスを提供するために、自社会員IDの構築を準備しております。
このような状況において、当連結会計年度の業績は、連結売上高18,414百万円、連結営業損失501百万円、連結当期純損失717百万円の実績となり、中期経営計画において計画していた連結売上高178億円は達成しましたが、連結営業損失4億円は未達となりました。連結営業損失の未達要因は上述しております、フィットネス事業への展開方法の変更及び遅れが生じたこと、不採算店舗の撤退の遅れが生じたことが主な要因となります。また、中期経営計画をベースに作成しております当期の連結業績予想は、当期純損失8億円と発表しており、当連結会計年度の業績は連結業績予想から上振れております。これは上記の営業損失の乖離はあるものの、撤退コストの縮小に成功したことによるものであります。
中期経営計画の一部に変更・遅れが生じているものの、中期経営計画で計画している施策の多くは計画どおり進捗しており、収益改善は進んでおります。
また、メインバンクをはじめとした取引金融機関とは密接な関係を引き続き維持できるよう努力しております。今後の資金調達においても、資金計画に基づき想定される需要に対応できる資金も十分確保できるものと考えており、加えて、在庫圧縮を進めていくことで資金繰りの更なる改善を図る計画であります。したがって、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
(5)東京証券取引所「スタンダード市場」の上場維持基準に適合しないリスク
当社は2022年4月4日の東京証券取引所新市場区分の一斉移行におきまして、定められた上場維持基準を満たしたスタンダード市場に移行致しました。東京証券取引所の関連規則に基づき算定される流通時価総額が10億円以上であることがスタンダード市場上場維持基準の要件の一つですが、2024年10月31日時点で、流通時価総額が10億円未満となっております。中期経営計画の遂行の他、株主への還元、IR活動の強化など、必要に応じて様々な対策を講じてまいります。ただし、当社の努力にもかかわらず、当該要件を満たすことができない場合には、スタンダード市場において当社株式の上場を維持することができず、株価または流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。
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