企業兼大株主トクヤマ東証プライム:4043】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1)経営理念及び中長期的な会社の経営戦略

 当社は、社会全体の大きな変革の中で、直面する事業環境にあわせて、当社の経営理念としての存在意義を「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」と定義しました。持続可能な社会に貢献するために環境と調和して事業を継続させ、顧客と共に未来を創造することのできるトクヤマでありたいとの思いを込めています。
 そして、存在意義に基づいた経営方針として、以下のありたい姿を策定しています。
 ①マーケティングと研究開発から始める価値創造型企業
 ②独自の強みを磨き、活かし、新領域に挑み続ける企業
 ③社員と家族が健康で自分の仕事と会社に誇りを持てる企業
 ④世界中の地域・社会の人々との繋がりを大切にする企業

(2)対処すべき課題とその対応

 当社は、中長期的な当社の経営戦略として2021年2月25日に中期経営計画2025を策定し、3項目の重点課題を設定しました。当連結会計年度における課題の対応及び進捗等は以下のとおりです。

1.事業ポートフォリオの転換
 成長事業を「電子」「健康」「環境」と位置付け、これに重点的に投資を行い、2025年度の連結売上高比率目標を50%以上とした上で2030年度には60%以上を目指します。化成品・セメント事業は効率化を進め、安定的に収益を確保いたします。

 「電子」分野では、当連結会計年度においてOCI Company, Ltd.(韓国)と半導体用多結晶シリコンの半製品の共同生産を行うことを目的としてマレーシアに合弁会社を設立することを決定しました。将来の半導体市場拡大に伴う多結晶シリコンの需要増加を見据え、クリーンエネルギーを使用した半導体用多結晶シリコンの生産・供給体制の構築を推進していきます。
 「健康」分野では、株式会社トクヤマデンタルで開発した歯科充填用コンポジットレジン「オムニクロマ®」に関して、第55回日化協技術賞・技術特別賞、日本化学会第72回化学技術賞、そして公益財団法人市村清新技術財団の第56回市村産業賞貢献賞を受賞しました。同社は歯科充填用コンポジットレジン・CAD/CAM冠用ハイブリッドレジンブロック等の製造能力強化に向けて鹿島工場内に新棟を建設し、2024年10月に生産を開始する予定です。また、株式会社エイアンドティーは、湘南サイト内に電解質事業強化のため新棟を建設し、これにより電解質分析装置用電極の生産能力を約1.5倍に向上させる計画です。
 「環境」分野では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同開発中の「太陽光パネル低温熱分解リサイクル技術」を用いて分離処理した太陽光パネルのカバーガラスを原料として活用した結果、AGC株式会社によるフロート板ガラス向けリサイクル実証試験が成功しました。これにより太陽光パネルのリサイクルにおける環境負荷低減を可能とする一方、事業化に向けた取り組みも加速させていきます。

 当社グループは、今後も事業ポートフォリオの転換に向けて、成長事業を中心に積極的に経営資源を投入していきます。

2.地球温暖化防止への貢献

 世界的な環境意識の高まりを受け、当社は「2050年度カーボンニュートラル達成」を目標として掲げました。その達成のために原燃料の脱炭素化、環境貢献製品の開発・実装及び水素やアンモニアなどの次世代エネルギーの技術開発の加速、事業化を目指します。また、徳山製造所内のプロセス改善に取り組むとともに、国内外のバイオマス燃料の開発・利活用を推進し、2030年度に温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1、2)を30%削減(2019年度比)することを実現します。
 当社は、2022年度より経済産業省が公表した「GXリーグ基本構想」への賛同を表明、2023年度に「GXリーグ」に参画いたしました。2050年カーボンニュートラル実現に向けて、自ら挑戦的なGHG排出削減目標及びトランジション戦略を定め、その達成のための課題取り組みを一層強化し、COをはじめとするGHG排出削減を推進していきます。
 また、当社は周南コンビナート脱炭素推進協議会に参画し、コンビナート全体のグリーン化・脱炭素化に取り組んできました。このたび、同協議会参画5社によるカーボンニュートラル実現に向けた共同行為について公正取引委員会へ相談を申し入れ、本共同行為は「独占禁止法上問題がない」旨の回答を受領しました。これを受けて、周南コンビナートのグリーン化・脱炭素化に一層貢献していきます。

3.CSR経営の推進

 当社は、社会に必要とされる企業であり続けるために企業価値を追求し、サステナブルな社会の実現に向けて活動しています。その実現に向けて、CSR経営に関わる社会的な課題を抽出しマテリアリティ(CSRの重要課題)として、以下の10項目を特定し各課題の解決に取り組んでいます。
 当連結会計年度におきましては、当社は、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄」に2年連続で選定され、また、「健康経営優良法人(大規模法人部門)ホワイト500」に3年連続で認定されました。従業員とその家族の心と体の健康づくりと働きやすい職場づくりを実現するために、経営トップである社長が健康経営統括責任者を務めています。今後も適切な職場環境を築くことで、生産性の向上などの組織の活性化を図り、事業を通じた持続可能な社会の発展に貢献していきます。
 また、当社はサステナビリティ基本原則を制定したことに加え、コーポレートガバナンス・ポリシーを新たに定めました。これらにより当社のCSR経営がより体系的に進められると同時に、ガバナンスの透明性も強化されると考えております。


(3)中期経営計画2025 達成目標

 最終年度における達成目標は以下のとおりです。

指標

2023年度

(実績)

2025年度

(計画)

  達成に向けたポイント

売上高

3,419億円

4,000億円

事業ポートフォリオ転換注力
コストインフレ反映により計画値を修正

営業利益

256億円

450億円

2025年度に向け伸長
償却方法変更により修正

成長事業の売上高成長率(CAGR)

8.5%

10%以上

研究開発強化・国際展開加速

ROE

7.4%

11%以上

株主資本効率と財務基盤の両立
償却方法変更により修正

 なお、当該将来に関する事項については、その作成時点での予想や一定の前提に基づいており、その達成及び将来の業績について保証するものではありません。

(4)トクヤマの価値創造プロセス

「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客と共に創造する」という存在意義のもと、様々な社会課題の中から私たちの強みを活かせる領域を「電子」「健康」「環境」に特定し、これら3分野を新たな成長市場と位置づけています。100年超の歴史の中で培った特有技術や価値観を共有する人材、ステークホルダーとの関係といった経営資源を活かしつつ「ありたい姿」に向けた変革を行います。そしてこれらの成長市場に向け、他社にない価値を提供するソリューション型のビジネスを展開していくことで、持続可能な未来の実現に寄与します。この取り組みの流れを価値創造プロセスとして示します。

 なお、詳細につきましては2024年7月に当社ウェブサイトへ掲載予定の統合報告書をご参照ください。


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