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企業概要

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において、当社グループが判断したものであります。

(a) 主要な販売代理店の販売状況や経営環境の変化が当社グループに与える影響について

 当社グループの製品は大部分が販売代理店を経由しユーザーへ販売されています。従いまして、主要な販売代理店の販売状況や経営環境の変化(企業のM&Aや倒産等)によって、当社グループの売上高が大きく変動する可能性があります。また、主要な販売代理店は、当社グループの競合製品も取り扱っております。そのため、当社グループは販売代理店への働きかけにより売上高の拡大に努めておりますが、競合製品が当社グループ製品よりも先行して取り扱われる可能性があります。さらに、主要な販売代理店の販売状況や経営環境の変化(企業のM&Aや倒産等)により、当社グループへの債務の支払いが停滞、またはその回収が不可能となった場合、当社グループの業績や財務状況に大きく影響を与える可能性があります。

(b) 当社グループ製品の学校及び自治体等への販売が国家予算や自治体の政策方針により影響を受けることについて

 当社グループ製品の国公立学校や地方自治体等に対する売上高は、国家予算の変動や地方自治体への予算配賦状況、地方自治体における予算の消化状況等によって大きく影響を受ける可能性があります。

(c) インターネットにおける法規制、NPO法人等による無料サービスの提供、並びにオペレーティングシステムへの無償での組み込みによって受ける影響について

 インターネットにおける法規制等が進み、政府やNPO法人によって当社グループの「Webセキュリティ」ソフトに類似する施策や対応が低価格あるいは無償で行われた場合、当社グループにおいて事業及び収益モデルの変更を余儀なくされる可能性があります。

(d) セキュリティ事業に特化していることによる影響について

 当社グループは、Webセキュリティソフト及びメールセキュリティソフトの開発・販売等を行う「セキュリティ事業」に特化しております。今後、経済環境の悪化その他の要因により、セキュリティ市場の需要が低迷した場合等には、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

(e) 当社グループの売上高における四半期決算数値の変動について

 当社グループの四半期における売上高は、第4四半期が他の四半期に比べ高くなる傾向にあります。これは、民間企業及び公共団体において、年度末である3月にIT製品の発注が行われることが多いためです。当社グループでは、この季節的変動を考慮した計画策定を行い、当該時期の売上の維持・拡大に努めておりますが、何らかの理由により当該時期の受注を計画通りに獲得できなかった場合や、販売代理店または顧客の都合等により発注が遅れた場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、契約時に契約額の大部分を会計上の売上として計上するタイプの製品に対し、契約金額の多くを繰延会計処理するタイプの製品の構成割合が高まる場合や、法律改正または政府主導の施策による一過性の特需が生じる場合には、四半期決算の数値が変動する可能性があります。

(f) 法規制等のリスクについて

当社グループは、企業活動に関わる各種法令の規制を受けておりますが、当社の事業継続に著しく重要な影響を及ぼす特有の法的規制は、本書提出日時点において存在しないと考えております。しかしながら、今後、既存法令等の改正や新たに当社事業を規制する法的規制が適用されることになり、当社の事業展開が制約を受けたり、対応措置をとる必要が生じたりする場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(g) 将来企業、学校、家庭等においてインターネットそのものの利用機会が衰退した場合の影響について

「インターネット」は世界的にも急速に発展を遂げ、今やなくてはならない情報インフラストラクチャーであります。現在、当社グループの売上の大部分がこの「インターネット」に関連した製品やサービスによって構成されているため、今後「インターネット」そのものの衰退や当社グループ製品の該当市場となる“企業”、“学校”、“自治体”、“家庭”等において、「インターネット」そのものの利用機会が大きく減少した場合、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

(h) 知的財産(特許等)の保護の限界について

 当社グループは、独自に開発した技術やノウハウの保全に対して、国内外にてしかるべき対策を行っておりますが、一部地域において法的制限によって当社グループの知的財産権が完全にまたは限定的にしか保護されない可能性があります。このため、他社が当社グループの技術の分析や研究を実施すること、類似する製品の提供を行うことを完全には防止できない可能性があります。さらに、当社グループは他社の知的財産権や著作権の侵害については細心の注意を払い、製品の販売やサービスの提供を行っておりますが、将来他社から知的財産権や著作権を侵害していると見なされる可能性があります。

(i) 当社グループの技術の陳腐化や技術革新が進行し得なかった場合の影響について

 当社グループでは、現在提供している製品やサービスにおける技術や品質向上と将来の新製品、新サービスの提供に向け、開発活動を行っております。しかしながら、将来的に当社グループが提供している製品やサービスの陳腐化や当社グループにおける技術革新が進行しなかった場合、当社グループが提供する製品やサービスが競合他社のそれと比較して競争力を獲得できない可能性があります。このことが将来において当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

(j) 当社グループが提供する製品のバグや欠陥の発生による影響について

 当社グループでは「Webセキュリティソフト」を中心に、多くのソフトウエア製品を開発販売しております。ソフトウエアの開発から販売までの過程において数多くの品質チェックを行い、プログラムの動作確認には万全を期しておりますが、販売時には予期し得なかったソフトウエア特有のバグ(不具合)が販売後に確認されることもあります。その場合、当社グループでは速やかに製品のアップデート(修正)プログラムを提供し対応しております。しかしながら、こうしたバグによりサービスの提供ができなくなる場合、バグの解決に非常に長期間を要した場合、またはバグの解決に至らなかった場合は、製品の売上の減少や返品だけでなく、当社グループへの信頼が低下する恐れがあり、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

(k) 当社グループが所有する基幹システム(サーバ)等のトラブルによる影響について

 当社グループの主要なサービスの大部分は、当社グループが管理するサーバよりURL情報等を提供する形態としております。当社グループではこれらのサーバを最重要基幹システムとして位置付け、サーバの二重化やデータのバックアップ取得による保全策等を実行し、サービスの安定的な提供に努めております。しかしながら、サーバはハードウェアであり予期せぬ動作の停止や誤作動及び重要データ(当社グループサービスの核となるURLデータベース、顧客情報、技術情報等)の喪失等が発生し、サービスの提供を行うことができなくなる可能性があります。

 また、サーバを保管している施設の事業の停止によるサービスの停止、当社グループが利用するインターネットサービスプロバイダ、回線提供事業者及びその他のクラウドサービスにおけるトラブル発生、ハッキングまたは重要データの盗難による情報の流出等の情報セキュリティ事故によって、当社グループがサービスの提供の中断を余儀なくされる場合も同様です。当社ではプライバシーマークの取得に加え、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の要求事項に準拠した体制を整えておりますが、万が一、これらの事象によりサービスの提供が停止した場合、当社グループへの信頼が低下する恐れがあり、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

(l) 主要な経営陣への依存と、優秀な人材の確保及び育成について

当社グループの運営は、代表取締役社長である道具登志夫をはじめとする主要な経営陣に大きく依存しております。将来これらの経営陣において、病気やけがによる長期休暇、退職、死亡等の事態が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。また、当社グループの事業の中核であるセキュリティ市場では、「ゼロトラストセキュリティ」をはじめとする新しいセキュリティ対策が次々と生まれています。これらの環境下で、ビジネスを確立・拡大していくためには、優れた専門性を有した人材の必要性がますます高まっています。一方、同業他社を含む各社の採用意欲の高まりや、少子高齢化に伴う労働人口の減少などにより、年々、人材の確保に関する難易度が高まっています。これに対して当社では、年間約30名の新卒採用に加え、中途採用においてもソフトウェアの開発力強化に向けたITエンジニアをはじめ、必要な人材の積極採用を進めるとともに、新卒・中途採用に関わらず入社時からの体系的な人材育成や、人事理念に基づく評価、昇進・昇格、賃金制度等により、社員の能力・意欲を高める取り組みを行っています。また、各人の適性に応じた職務の割当てにより、社員一人ひとりの豊富な経験や能力を十分に発揮できる環境の整備に努めています。しかし、雇用環境の変化などにより、当社グループが求める人材の確保やその定着・育成が計画通りに進まなかった場合には、当社グループの将来の成長に影響を及ぼす可能性があります。

(m) 企業の合併と買収、営業権の譲渡や獲得等による影響について

 当社は東京証券取引所プライム市場への公開企業であり、代表取締役社長である道具登志夫が2024年3月31日現在の発行済株式14,133,000株(自己株式含む)のうち2,254,670株(保有する株式の割合 約16.0%、役員持株会保有分を含む)を保有し筆頭株主となっております。しかしながら、公開企業にとって企業の買収と合併の可能性は否定できず、将来当社グループにおいても企業全体または事業の一部や営業権について、買収、合併及び譲渡される可能性があり、このような場合、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 また、当社グループが企業買収、合併及び営業権の獲得を行った場合も同様の影響が発生する可能性があります。

(n) 天災、災害、テロ活動、戦争、感染症の流行等の発生や停電による影響について

地震や天災といった災害、国内外におけるテロ活動、戦争の発生、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症等に代表される感染症の流行等の予期せぬ事態により、当社グループの業績や事業活動が影響を受ける可能性があります。また、全国的、地域的な停電や入居しているビルの事情によって電力供給が十分得られなかった場合、当社グループの事業活動とサービスの提供が停止し、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

(o) 外国為替に係る影響について

 当社グループは、クラウドサービスの提供基盤の一部に外資企業が提供するサーバーを利用しているため、米ドル円為替レートの変動による影響を受けます。具体的には、米ドルに対して円安が進行した場合には、当社グループの業績にマイナスの影響(コストの増加)を及ぼす可能性があります。

(p) 情報管理に係る影響について

 昨今のサイバー攻撃の高度化や、ITを活用したビジネス詐欺の巧妙化などに対応するため、当社では、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)体制を構築し、当社及び当社サプライチェーン全体での情報管理強化対策、サイバー攻撃を早期に発見し排除するセキュリティシステムの活用、社内研修による従業員の知識習得と意識向上、インシデント対応計画整備に加え、その有用性を継続的に維持・改善していくための取り組みを実施しております。しかし、当社が事業活動を通じて創出した情報、顧客・サプライヤー又はその他団体及び個人(従業員含む)からお預かりした情報などの漏えい、改ざん、破壊により、当社グループの情報システムやそれに依存する業務が停止するリスクがあります。加えて、クラウドシステムの活用推進は、事業活動のDX化を促し大きな利便性が得られる反面、当社グループが直接管理できないリスクの増大にも繋がっています。また、従業員の働き方やビジネス環境の変化は、当社の情報管理における脅威の変化をもたらしこれまでの取り組みを陳腐化させ、新しいリスクを生む可能性があります。このようなリスクが具現化した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に対して、重要な業務の中断による生産及び出荷の停止、顧客やその関係者の機密情報漏えいに起因する損害賠償請求などの短期的な影響、企業戦略や新技術の漏えいによる競争力低下、並びに当社グループの企業イメージ毀損による販売機会損失など、中・長期的な影響が生じる可能性があります。

(q) 繰延税金資産に係る影響について

 当連結会計年度末において、繰延税金資産を約1億円計上しています。当社グループは将来の収益力に基づく課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。将来課税所得の見積りは、事業計画及びグループ会社間の取引価格を基礎としています。事業計画は、主に、各事業の主要顧客への販売数量及び販売価格、予測されている営業利益率、売上規模に応じた固定費の見積り及び想定為替レートを前提に策定しています。当社グループは、経営環境の変化に応じて事業計画を見直し経営成績の維持を図るとともに必要な税務戦略を考慮しています。しかし、将来において事業計画の主要な仮定が変化した場合、繰延税金資産の取崩しが発生する可能性があります。

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