企業ティアンドエスグループ東証グロース:4055】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「あらゆる産業において、ソフトウエア技術が生み出す新たな付加価値を通じて、お客様に安心と満足そして豊かさを提供すると共に、社員を大切にし、株主様に貢献する」ことを企業理念としております。この企業理念を基本とし、高度なソフトウエア技術力によりお客様の課題を解決し、お客様の製品や商品・インフラ開発を支援しております。また、社員全員が当社グループを愛し、自ら成長し続ける会社環境を提供し、社員一人ひとりが希望とやりがいが持てる会社を実現します。そして、地域社会と共に発展できる地域のコア企業としての役割を担います。

(2) 経営戦略等

 当社グループを取り巻く事業環境は、「2025年の壁」をはじめとするDX化の流れに伴う旺盛なIT開発ニーズの一方で、慢性的なIT人材の不足という大きな潮流の中で、難しいかじ取りを迫られております。このような中で、当社グループは、DXソリューションカテゴリー、半導体ソリューションカテゴリー、AIソリューションカテゴリーという3つのカテゴリーの構成による事業拡大に取り組むとともに、以下の戦略を推進することで、事業の発展、拡大及び企業価値向上を図ってまいりました。

①顧客ニーズに即したソフトウエア開発推進

 慢性広域的な人手不足の中で、お客様のDX推進に応えるための、最新要素技術を活用したソリューションの提供が求められております。当社グループでは、社会インフラ、エネルギー、製造業など日本の骨格となる産業への貢献を果たすため、ユーザーエリアの拡大と開発バリューチェーンの多様化を推進してまいりました。

②半導体業界への深耕と新技術の研究開発

 世界的な半導体不況の次を見据え、国家プロジェクトによる国内半導体産業拡大への積極的な関与を実現するため、特定の半導体メーカーに偏らない次の顧客基盤を確立してまいりました。また、大学等との共同研究等を通じた新技術の研究開発を軸とした新しい収益の柱の構築を図ってまいりました。

③持株会社化とM&Aの実現

 持株会社化による大胆な組織改革を通じ、生産性の向上と経営の効率化を図るため、2024年6月1日より、ティアンドエスグループ株式会社を持株会社とする新たな体制に移行いたしました。人材の積極採用とスキル創出のための人材積極投資に加え、M&Aを通じた規模拡大を目指しております。

(3) 経営環境

①DXソリューションカテゴリーを取り巻く環境

 近年ソフトウエアは、組込み機器やコンピュータに代表されるハードウエアの進歩と共にその需要は増大してきました。さらに今後は、ITを中心にサービスや価値が再設計される時代に入ると認識しております。このため、AIや自動運転、ロボット等に搭載されるソフトウエアが、ハードウエアを決定する「ソフトウエア中心」の時代になるといわれ、益々ソフトウエアの需要が拡大すると予想しております。

 国内ソフトウエア市場は、右肩上がりの成長を持続する反面(*1)、ソフトウエア開発を支えるIT人材の不足が予想されます(*2)。つまり、日本のソフトウエア市場は益々拡大を重ね、当社グループのようなソフトウエアを専門として事業展開している企業の需要が益々高まっていき、一方で、IT人材をいかに獲得するかがこれらの企業の大きな課題になると考えております。

②半導体ソリューションカテゴリーを取り巻く環境

 半導体市場は、需給バランスの影響により「半導体サイクル」といわれる好不況の大きな波が存在しますが、全体としてはプラスの成長を維持しております。当社グループ調べによると、製品別半導体全市場のうち、約1/3をメモリデバイス(注1)が占め(*3)、DRAM(注2)とNAND Flash メモリ(注3)がその市場の中心となっております。特にNAND Flashメモリは、主にスマートフォン等の記憶デバイスとして採用されておりますが、近年のIoTによるデータ量の急激な増大に伴い今後も市場が拡大すると当社グループ独自に予想しております。
 2024年は世界的に旺盛なAI関連投資を背景にメモリや一部ロジック製品の需要が急拡大しており、2025年はAI関連の需要に加え、環境対応や自動化等の成長領域を念頭に、半導体市場の継続的な成長が期待されています(*4)。このような背景のもと、当社グループの得意先であるキオクシア株式会社も新たな製造棟の稼働に備えております。

③AIソリューションカテゴリーを取り巻く環境

 当社グループが今後注力する市場である、AI(人工知能:Artificial Intelligence)技術を利用したロボット、自動運転、IoT等は、今後の企業活動で最も重要な開発領域と見ており、事業の成長を担う市場としては妥当であると考えております。

 AI技術は、ロボット等の産業用機械、自動運転に代表される輸送機関連のほか、様々な民生用機器、医療、社会インフラなど、その用途は多岐にわたります。とりわけ、画像認識をはじめとするセンシング技術の応用は拡大を続けています。

 AI技術の応用は、適切なAIアルゴリズムの実装が鍵を握ります。全世界の企業や研究機関がこぞってAIアルゴリズムを開発しておりますが、同時に製品開発に相応しいアルゴリズムを選択し、実装、評価する需要は益々高まっております。適切なアルゴリズムをベースにしたアプリケーション開発を行うことは、今や機械、電機メーカーに限らず、あらゆる産業分野で必要なものと認識されつつあります。

(4) 目標とする経営指標

 当社グループは、短期的には事業規模を表す売上高と本業の収益力を表す営業利益の伸びを重視しております。また、中長期的には自己資本利益率(ROE)を重視しながら安定した事業運営を行うと共に事業拡大と超過利潤の獲得を目指し、企業価値の継続的向上に努めてまいります。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、その経営方針にある「あらゆる産業において、ソフトウエア技術が生み出す新たな付加価値」の創造実現のため、人材面、技術面の拡充と経営基盤の強化を図る必要があると認識しております。顧客のニーズにきめ細かく対応する顧客ファースト実現のためには優秀なIT人材の確保と育成が、AI関連技術の獲得のためには高度なソフトウエア技術力の確保がそれぞれ必要であります。また、これらを実現するための経営基盤として、品質管理体制や経営管理体制の強化を行っていくことが課題であります。具体的な課題と対応方針は以下のとおりであります。

 <顧客ニーズに即したソフトウエア開発推進のための課題>

①IT人材の確保と育成

 優秀な技術者の確保は、お客様のすべてのニーズをキャッチアップし、会社を発展させる上で不可欠です。即戦力となる中途採用だけでなく、継続的な新卒採用をより強化し、優秀な技術者の確保に努める必要があるとともに、パートナー企業(BP)との協力体制を継続的に維持し、安定的に技術者を受け入れることも重要です。

 また、IT人材を安定的に確保することと、継続的にそのスキルを向上させることは、当社グループにとっての成長の両輪です。当社グループでは、専門経験のない人材も含め広く採用の門戸を開いております。人材の育成に関しては、新卒入社時に数か月に及ぶ専門知識に関する社内教育を実施し、その後も長期にわたるOJTや教育研修支援、資格手当制度等を実施することで、優秀な技術者の戦力化を目指しております。

②事業領域及び顧客層の拡大

 全産業にわたる広域的な人手不足の中で、お客様のDX推進に応えるための最新要素技術を活用したソリューションの提供は、当社グループが行える最大の社会貢献であり、かつ最大のビジネスチャンスでもあります。社会インフラ、エネルギー、製造業など日本の骨格となる産業への貢献を通じ、ユーザーエリアの拡大と開発バリューチェーンの多様化を推進してまいります。

③品質向上と生産性向上

 品質向上において最も重要なポイントは、ユーザ要求仕様の明確化であり、開発工程の初期段階にユーザ要求仕様を確定することを徹底すると共に、基本設計書・詳細設計書・テスト仕様書作成の徹底化を図ります。プログラム製造工程においては、機能の分割と機能を共有化するための定義を明確化し、機能ごとの作業分担により生産性の向上と品質不良の極小化を目指しております。

 また、生産性及び品質の向上を図るばかりではなく、ソフトウエア処理の高速化やプログラム不良件数のゼロ化等、信頼性の向上も同時に目指すため、優秀な技術者の最適配置を推進しております。

 <半導体業界への深耕と新技術の研究開発のための課題>

④国内半導体産業拡大への積極的な関与

 近年の国家プロジェクトによる国内半導体産業拡大に対し、積極的な関与を行ってまいります。既存の顧客層への深耕に加え、特定の半導体メーカーに偏らない次の顧客基盤の確立も進めてまいります。そのため、半導体関連産業のサプライチェーンが集積する地方における現地採用を強化し、当社グループが得意とする半導体分野での社会貢献を進めてまいる所存です。

⑤高度ソフトウエア技術力の確保

 AIや画像処理の分野において、他社との差異化を行うためには類まれな能力の技術力が不可欠です。当社グループは、博士号を取得している複数名の技術者を中心に、その人的チャネルを駆使して人材確保に当たります。

 また、新しい技術の獲得に関しては、大学等との共同研究開発を継続的に推進し、新しい収益の柱を構築することを目指してまいります。

 <持株会社化とM&Aの実現のための課題>

⑥持株会社化とM&Aの実現

 1985年の前身企業における創業から数えて間もなく40年、事業規模の拡大とともに、当社グループ内におけるビジネスモデルの多様化が進んでまいりました。このような中で、今後の次の成長のためには、ビジネスモデルに応じた損益マネジメント、人材マネジメントを通じ、機動的できめの細かい経営の実現が課題であると考えております。今後の新規事業創出やM&Aによる事業拡大を柔軟に実現するためにも、事業会社の独立性を高めつつ、かつグループとして効果的な資源配分と効果的なコーポレート・ガバナンスを行うためには、持株会社体制への移行が最適と判断しております。

 用語解説

 本項「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」等において使用しております用語の定義について以下に記します。

用語

用語の定義

注1

メモリデバイス

コンピュータにおいて、プログラムやデータを記憶する装置のことをいう。DRAM、SRAM、NAND Flashメモリ等がある。

注2

DRAM

Dynamic Random Access Memoryの略で、半導体メモリ(半導体記憶素子)の一つ。 読み出し/書き込みが自由に行えるRAMと呼ばれる半導体メモリの方式の一種であり、コンデンサーに電荷を蓄えて情報を記憶するタイプの半導体メモリのことをいう。

注3

NAND Flashメモリ

NAND Flashメモリとは、Flashメモリ(電界効果トランジスタでホットエレクトロンを浮遊ゲートに注入してデータ記録を行う不揮発性メモリ)の構造・動作原理の一種で、最初に発明されたNOR型Flashメモリに次いで考案された方式である。NOR型Flashメモリと比べて回路規模が小さく、安価に大容量化できることが特徴である。従来のフロッピーディスクやハードディスク(HDD)に代わるPC用のUSBメモリやソリッドステートドライブ(SSD)、デジタルカメラ用のメモリカード、携帯音楽プレーヤー、携帯電話などの記憶装置として使用される。近年では、サーバ用HDDに比べ速度が速いことから、クラウドサーバの記憶装置として用いられている。

*1 受注ソフトウエアを含む国内情報サービス全体の市場は、みずほ銀行産業調査部「日本産業の中期見通し(2023年12月7日)」※1 によれば、2024年以降も拡大が見込まれることが記述されています。

※1 みずほ銀行産業調査部「日本産業の中期見通し(2023年12月7日)」

 https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1073_all.pdf

*2 経済産業省「IT人材需給に関する調査(2019年3月)」※2によれば、ソフトウエア開発を支えるIT人材の不足が予想されております。この報告書の試算結果は、今後のIT需要の伸びをそれぞれ低位(需要伸び率1%)、中位(需要伸び率2-5%)、高位(需要伸び率3-9%)の3段階でIT人材の不足を予想しています。これによると、2019年時点において、約26万人が不足していると言われ、2030年までに16万人から79万人のIT人材不足が予想されています。

※2 経済産業省「IT人材需給に関する調査」2019年3月

 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf

*3 製品別世界のIC市場予測※3から、2025年の市場全体の出荷額は5,884億ドルであり、そのうちメモリは約2,042億ドルと市場のほぼ1/3をメモリが占めていることになります。

※3 JEITA(電子情報技術産業協会)世界半導体市場統計(2024年春季半導体市場予測について)

 https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/wsts/docs/20240604WSTS.pdf

*4 半導体市場は、需給バランスの影響により「半導体サイクル」といわれる好不況の大きな波が存在しますが、JEITA(電子情報技術産業協会)世界半導体市場統計(2024年春季半導体市場予測)※4によれば、2024年は前年比+16.0%、2025年は前年比+12.5%となることが予測されております。2024年は世界的に旺盛なAI関連投資を背景にメモリや一部ロジック製品の需要が急拡大しており、2025年はAI関連の需要に加え、環境対応や自動化等の成長領域を念頭に、半導体市場の継続的な成長が期待されています。

 また、日本の半導体市場は、2024年に6.8兆円、2024年には7.5兆円になると述べられています。

※4 JEITA(電子情報技術産業協会)世界半導体市場統計(2024年春季半導体市場予測について)

 https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/wsts/docs/20240604WSTS.pdf

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