ソシオネクスト 【東証プライム:6526】「電気機器」 へ投稿
企業概要
●サステナビリティの基本的な考え方
当社グループは、「Together with our global partners, we bring innovation to everyone everywhere.」 というミッションのもと、サステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置付け、新しいサービス・製品の差別化のために独自の先端SoCを開発する顧客のパートナーとして、また、進化する半導体のエコシステムにおいてファウンドリ・OSATをはじめ、IP・EDAツール・ソフトウエアに至るまで最新の技術を提供するサプライヤーのパートナーとして、顧客、さらにはその先にいる世界中の人々に新しい価値を提供し、社会の可能性を広げて行くことを目指して、持続可能で豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えています。
地球温暖化や気候変動などの環境問題への配慮、人権尊重や多様性などの社会問題へのグローバルな関心の高まりを受け、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。当社グループは、世界全体の様々な課題が引き起こすリスクを正しく認識し、それらの課題を解決するための対策に取り組んでいきます。
また、活動にあたっては、顧客、取引先、社員、地域社会、株主など、当社グループを取り巻く様々なステークホルダーとの対話や協働を通じて、課題の理解に努めるとともに信頼関係を構築し、持続可能な社会の実現を目指していきます。
●サステナビリティ情報開示の考え方
サステナビリティ情報の開示においては、TCFD(※1)提言やISSB(※2)が作成を進めているサステナビリティ開示基準に準拠し、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4つの観点に沿って行う方針です。
※1:TCFDとは、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の略語です。
※2:ISSBとは、国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainability Standards Board)の略語です。
(1)ガバナンス
グローバルな社会的課題への対応として、当社グループではサプライチェーン全体での気候変動を中心とする環境問題や人権問題への対応、人材育成や人材の多様化、品質・サービス向上への対応といった課題に真摯に取り組み、グローバル企業としての社会的責任を果たしていくことが私たちの責務であると考え、事業活動を通じてサステナブルな社会の実現に向けて取り組んでいます。
当社グループは、サステナビリティ活動を推進し、中長期的な課題を経営レベルで継続的に議論していくため、2022年4月にESG推進室を設置し、社内関連部門と連携した推進体制を構築しています。この推進体制を活動の基盤として経営委員会の実行指示のもと活動を推進しています。取締役会は、重要なサステナビリティ課題への取り組み方針・実行計画の審議・承認や、進捗確認等の監督を行っております。
<取締役会>
サステナビリティ活動に関する決定機関として、方針・戦略・各種施策等を審議・承認します。また、定期的に各種施策の進捗をモニタリングします。
<経営委員会>
取締役会での審議に先立ち、サステナビリティに関する方針・戦略・施策等の計画案を策定します。また、各施策に対する執行責任を持ち取締役会での承認の下、実行部門への指示を行い、各種施策を推進します。
施策の推進に当たり、ESG推進室は、方針・戦略・施策等の計画策定及び計画実行のサポート、施策の実行状況について取りまとめ、経営委員会への報告を実施します。
(2)戦略
①気候変動への対応に関する戦略
当社グループは、我々の提供するSoCによって、顧客のもとでのGHG排出量の低減へ貢献し続けていくことが、サステナブルな社会の実現に繋がると考えております。グローバル市場をリードする主要な顧客との開発連携や、独自のマルチコア設計技術・低電力なAIエンジン/アクセラレータの活用による高性能なカスタムSoCの開発を通し、顧客の製品の更なる小型化、高集積化、低消費電力化の実現を目指します。
2023年3月期は、当社グループの事業活動における気候変動の「リスク」と「機会」に関し、以下のとおり認識しました。今後は、「リスク」・「機会」について、シナリオ分析を通じた財務・事業インパクトの算出を行い、より実効性のある対策立案・実行に繋げていきます。
<気候変動に関連する主なリスクと機会>
区分 | 気候変動が当社に及ぼす影響 | 当社の対策 | ||
リスク | 移行リスク | 政策・ | 省エネ・GHG排出量削減に向けた取り組み・施策によるコスト増 (カーボンプライシングなどのエネルギーコスト増、省エネ設備導入によるコスト増など) | グローバルな動向・法規制の変化を早期に捉えて、計画的に施策の検討・実行・評価を行う。また、サプライチェーンGHG排出量の把握、取引先への削減の働きかけを継続的に実施。 |
技術 | 市場競争力維持・向上のための研究開発費増 市場競争力維持・向上のための製造コスト増 | 顧客、取引先と連携した低消費電力・省スペースな環境配慮型デバイスとソリューションの開発・提供。 | ||
市場 | 顧客の需要変化による売上減 規制による材料/電力等仕入れ価格のコスト増 | 環境課題解決に繋がる製品・サービスの開発・提供。 使用部材の再検討。再生可能エネルギーの導入検討。 | ||
物理的リスク | 急性 | 異常気象の激甚化による製造委託先の操業停止(当社の開発・物流も含む) | 製造委託先等の操業停止を想定した事業継続計画の定期的な見直し。 事業所、データセンターにおける電力の効率利用によるコスト削減可能性の検討。 | |
慢性 | 水不足による製造委託先の操業停止 気温上昇によるデータセンター等の空調コスト増 | |||
機 会 | 資源の | 事業所、データセンターにおける資源(エネルギー、水)の効率利用によるコスト削減 | SoC開発効率化(独自のマルチコア設計技術、低電力なAIエンジン/アクセラレータの活用)によるコスト削減。 | |
製品/ | 顧客の省エネ・GHG排出量削減への貢献に寄与する低消費電力製品を中心とした需要増 | 低消費電力・省スペースな環境配慮型デバイスとソリューションの開発・提供。 | ||
市場 | 低消費電力技術を基盤とした新たな事業領域への参入による収益増 | ADAS/AD/データセンター向けSoCを中心とした更なる低消費電力化・小型化の実現による新たな事業領域への参入。 |
②人的資本に関する戦略
当社は、多様な社員や組織がお互いを高めて協働していくことが、最先端の技術力、グローバルな開発競争力、持続的成長の基盤となり、Missionである「Together with our global partners, we bring innovation to everyone everywhere」の実現につながると考えております。
当社は、人材こそが企業価値の源泉であると考え、「多様な人材が最大限に能力を発揮できる環境づくりと成長支援」に積極的に取り組んでまいります。
基本理念の「CSR基本方針」で「社員の幸せを目指し、個性を尊重し、公平な処遇を実現するとともに、健康で働きやすい環境をつくる」ことを宣言し、加えて環境整備と人材育成については、下記のとおり様々な対策に取り組んでいます。
<環境整備について>
当社は、様々な個性、考え方、価値観をもった社員一人ひとりが、働きやすく、能力を発揮することができる企業風土、文化の醸成に努めます。
当社は国籍・性別・年齢などを問わず、人材採用と登用を行い、かつ、多様な人材が生き生きと働くことのできる社内環境整備を推進しています。主な取り組みは以下のとおりです。
支援制度 | 育児休暇制度/育児時短勤務制度 ベビーシッター費用補助 休職制度(チャイルドプラン、介護など) 積み立て休暇制度(看護、子育て、介護など) |
多様性の確保 | 定年後再雇用制度の見直し 障がい者の継続的な採用と環境整備 視覚障がい者によるマッサージルーム運営 精神障がい者による社内業務代行制度 グローバル人材の採用と支援(新卒の10月入社、語学研修費用補助など) |
働きやすい環境づくり 働き方の多様性 | コアなしフレックスタイム勤務制度 看護、介護のための在宅勤務制度 在宅勤務の柔軟運用 長時間残業の抑制 エンジニア向けの人事制度 エンジニアが開発に専念できる環境づくり ハラスメント教育の全従業員受講 |
<人材育成について>
当社は、最先端のソリューションSoCビジネスを通じて、ステークホルダー(顧客、取引先、社員、地域社会など)の様々な期待・要望に応えるため、当社を取り巻く非連続な変化に適応しながら最先端技術を追求することで、世界のイノベ-ションを支える会社として持続的な成長を目指してまいります。
上記を実現するため、仕事にオーナーシップを持ち、自律的・意欲的にあるべき姿にチャレンジするプロフェッショナルな人材を、一人でも多く育成、輩出できるよう、人材育成に取り組んでまいります。当社は、社員が自律的・意欲的に学び、主体的にキャリア形成できるよう各種教育プログラムを整備しています。2023年3月期の教育実績は以下のとおりです。
| 主な研修内容 | 一人当たり研修時間 |
階層別教育 | 新入社員向け研修、新任管理職向け研修など | 1.3時間 |
共通教育 | 全従業員がe-learning教育を毎年1回受講 コンプライアンス、情報セキュリティ、インサイダー取引防止、ハラスメント防止、環境、購買取引、安全保障輸出関連法令など | 4.6時間 |
目的別教育 | エンジニア向け技術教育、語学研修など | 5.5時間 |
| 合 計 | 11.4時間 |
①新入社員、若手社員への研修
新入社員、若手社員のモチベーションとスキル向上を促し、早期に自律的な活躍ができる環境整備に取り組んでおります。
入社後の導入研修と入社後6ヶ月、1年、2年後にフォロー研修を行い、コミュニケーション力、コンプライアンスなどの基礎的なビジネススキルを養うとともに、入社2年間はトレーニー制度として、それぞれの若手社員ごとの育成計画を基に、先輩社員(トレーナー)の指導を受けながら、OJTで実務スキル、経験を高めることとしています。
②新任管理職への研修
管理職の登用時においては、役員との意見交換、集合研修、通信講座などを通じて、マネジメント、コミュニケーション、アカウンティングなど、管理職として必須となる知識とスキルを学ぶ場を提供しています。
③共通教育
コンプライアンス、情報セキュリティ、インサイダー取引防止、ハラスメント防止、環境、購買取引、安全保障輸出関連法令などについてe-learning教育を実施し、100%の社員が受講しております。
④エンジニア向け教育
グローバルで活躍できるエンジニアを育成するために、技術エンジニアとプロジェクトマネージャーとしての2つの複線的なキャリアパスを用意し、必要な経験、スキルを示すとともに、全てのエンジニアと上司が毎月1on1面談を実施し、エンジニアの自律的なキャリア形成を促しています。
また、技術講座や視聴教材、OJT、開発プロセストレーニングなど、エンジニアが経験、スキルを得る機会を提供しています。
⑤語学教育
社員のグローバルなコミュニケーション力を高めるため、オンライン英会話や語学学校、TOEIC試験の実施など、各種語学研修や費用補助などを整備しています。
(3)リスク管理
当社グループは、様々な経営リスク、事業リスクの抑制・低減に向け、半期ごとに全社リスクマネジメントを実施しております。このフレームワークの中で、気候変動・人的資本・多様性といったサステナビリティに関するリスクについても重要リスクと認識し、リスクアセスメントの実施、対策立案・実行、進捗・効果確認を定期的に実施しています。
(4)指標及び目標
①気候変動への対応に関する指標及び目標
2023年3月期の当社グループのGHG排出量(Scope1(※3)、2(※4))は、約8,534t-CO2となりました。事業規模拡大に伴い、GHG排出量は前年度より増加していますが、売上高当たりのGHG排出量は前年度より減少しております。
当社グループは、2050年までにGHG排出量(Scope1、2)のカーボンニュートラルを目指しており、目標達成に向けて、引き続き削減施策の検討を行い、実行してまいります。
※3:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
※4:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
[GHG排出量]
| 2022年3月期 (t-CO2) | 2023年3月期 (t-CO2) |
Scope1 | 318 | 235 |
Scope2 | 6,971 | 8,299 |
合 計 | 7,289 | 8,534 |
[売上高当たりのGHG排出量(1億円当たり)]
| 2022年3月期 (t-CO2) | 2023年3月期 (t-CO2) |
Scope1、2 | 6.23 | 4.43 |
②人的資本に関する指標及び目標
<女性活躍について>
当社は短時間勤務制度や各種休職・休暇制度、ベビーシッターサービス費用補助制度など、仕事と家庭を両立する女性が働きやすい環境整備を推進してまいりました。
働き方の多様化を実現するために、コアなしフレックス勤務制度や、在宅勤務制度の運用などを進めるとともに、長時間残業の抑制策に優先的に取り組んでおり、女性をはじめとした多様な人材が健康で働きやすい職場づくりを進めています。
今後は、若手や女性への研修の充実といった社内の意識・風土改革に取り組み、更なる女性リーダーの活躍や男性の育児参加などを促進してまいります。
なお、女性管理職比率、男女間賃金格差、男性の育児休業取得率の実績は以下のとおりであり、これらの取り組みにより、現状以上の比率を目指してまいります。
[女性管理職比率、男女間賃金格差、男性の育児休業取得率]
| 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 |
女性管理職比率 | 2.4% | 2.4% | 2.3% |
男女間賃金格差 | 69.0% | 70.2% | 72.6% |
男性育休取得率 | 25.0% | 25.9% | 16.7% |
(注)上記は当社単体での実績
<シニア人材について>
当社は、60歳定年後に継続雇用を希望する社員に対して、最長65歳まで継続雇用する定年後再雇用制度を整備しております。
シニア人材が培った経験・知識・スキル等を活かして引き続き社内で活躍できる環境づくりに努めており、2023年3月末時点で約170名のシニア人材が活躍しております。
<障がい者雇用について>
当社は、障がい者雇用の拡大を推進し、多様な障がいをもつ方が生き生きと働ける環境づくりに取り組んでいます。また、障がい者の活躍の場を広げるため、視覚障がい者5名による社員へのマッサージ制度(ヘルスキーパー制度)や、精神障がい者5名による社内の定型業務の代行制度(チャレンジスタッフ制度)を整備しております。
これらの取り組みの結果、法定障がい者雇用率2.3%を達成しており、今後も障がい者の雇用拡大と継続的かつ安定した雇用に努めてまいります。
<グローバル人材について>
当社は、新入社員、中途採用ともに国籍を問わず、通年で採用を進めており、日本語語学研修の費用補助なども行っております。約50名の外国籍社員が活躍しています。
本「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に含まれる上記の各取り組みや施策が当社の期待する効果を生じるとの保証はなく、また、上記の目標その他の将来に関する情報は、本書提出日時点における当社の認識、分析及び判断に基づき記載されたものであり、実際の結果が当該情報と大きく異なる可能性があります。
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