ジェイテクト 【東証プライム:6473】「機械」 へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティへの取組み
当社は、2020年度に実施した2030年の目指す姿、中期経営計画の立案プロセスにおいて、マテリアリティ(重要課題)を策定いたしました。
このマテリアリティは、様々な社会課題の中から、当社事業を通じて解決する社会課題と当社を支える事業基盤の重要課題に層別し、それぞれの実現すべき姿を表したものであります。
これらマテリアリティのなかから、当社が特に重要と判断するサステナビリティの取組みにつき、以下で環境、社会、ガバナンスの観点から整理し記載しております。なお、関連する情報については当社統合報告書(ジェイテクトレポート)や当社企業ウェブサイト(https://www.jtekt.co.jp/sustainability/)でも公表しております。
(2) 環境
当社は、人の命を最優先し、安全第一・品質第二にこだわってNo.1 & Only One を目指して、地球、世の中、お客様に貢献し続けるという基本理念を掲げております。この理念のもと、当社は環境負荷極小化社会への貢献がグループ全体で取り組むべき課題であると判断し、2016年に「環境チャレンジ2050」を策定しました。
「環境チャレンジ2050」では、「製品・技術」「低炭素社会の構築」「循環型社会の構築」「自然共生・生物多様性」「環境マネジメント」を5つの柱として環境経営に関する行動計画を明記しました。その中で、事業における中長期の気候関連リスクと機会を特定して影響を定量的に把握し、事業戦略に反映していくことが、持続的に成長できる企業の条件であると考えております。
① 地球温暖化防止
当社は、CO2排出量削減による地球温暖化防止をマテリアリティの1つとして掲げ、2018年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)への賛同を表明しました。
(a) ガバナンス
当社では、取締役社長が委員長を務める「ジェイテクト環境委員会」を中心とした環境経営の推進体制を構築しております。「ジェイテクト環境委員会」は年2回開催し、会社方針に基づいて目標値を設定するほか、方策の審議・決定及び進捗状況の管理を行っております。同委員会での審議の結果は取締役会と同様に社外役員を含めた全役員で構成される「企業価値向上委員会」に報告され、監督を受けるとともに、対策に予算措置が必要な場合は経営役員会、取締役会に上程し、経営陣の審議を経て経営戦略に反映しております。
また、「ジェイテクト環境委員会」の下部組織には環境専門部会を設置し、省エネ/資源循環/生産技術革新/エネルギーインフラ/物流/技術・研究/バリューチェーン等、スコープ3排出量の削減も含めた気候変動への対応について、各分野における実務的な検討、評価を行っております。工場レベルの体制としては、各工場において工場長を委員長とした「工場環境保全委員会」を組織しており、隔月の委員会においてCO2排出量をモニタリングしております。
その他、グループを横断した環境取組みを実現するため、ジェイテクトグループ環境連絡会を設置しており、国内・海外グループ各社の取組みの振り返りや次年度の取組み計画の審議、環境マネジメントに関する意見交換等を行います。さらに2021年には社長直轄の「カーボンニュートラル戦略室」を設置し、事業本部間の意思疎通の円滑化を進めております。
(b) 戦略
当社は、「環境チャレンジ2050」に基づき、5年ごとに「環境行動計画」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込んで活動を推進しております。これら一連の数値目標は中長期的な環境経営の根幹となっております。
今回当社はTCFD提言に基づき、脱炭素社会への移行による影響が想定される1.5℃(2℃未満)シナリオと、気候変動が進展し、物理的な影響が顕著になる4℃シナリオという複数のシナリオを使用し、分析を行いました。分析にあたっては、CO2排出量を2013年度比60%削減とする目標年の2030年度と、「環境チャレンジ」の目標年である2050年度における事業への影響を予想し、項目別にリスク/機会として特定しました。
■使用したシナリオ
対応するシナリオ | 1.5℃(2℃未満)シナリオ | 4℃シナリオ | |
概 要 | 2100年の気温上昇が19世紀後半から1.5℃ | 2100年の気温上昇が19世紀後半から | |
シナリオ | 移行 | Net-Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE) | Stated Policy Scenario (STEPS) |
物理 | Representative Concentration Pathways (RCP2.6) | Representative Concentration Pathways (RCP8.5) |
■リスク機会一覧
種類 | 概要 | 時間軸 | 1.5℃シナリオ | 4℃シナリオ | 自社の対策 | |
移行リスク | 政策・規制 | ●炭素税の導入 各国拠点での温室効果ガス排出が課税対象となり、操業費が増加する ●排出権取引制の対象拡大 排出枠を超えた際の追加コストが発生する | 短期~長期 | 大 | 小 | ・CO2排出量削減目標の設定 ・グループ会社を含めた排出実績の収集 ・物流CO2排出量削減 |
●自動車の燃費・排ガス規制の強化 規制に対応する研究開発コストの増加、内燃機関車向け製品の売上減少が発生する | 短期~長期 | 大 | 小 | ・BEV/FCEV向け軸受の開発 | ||
物理リスク | 急性 | ●異常気象の激甚化 工場の被災やサプライチェーンの寸断により事業継続が困難になる恐れがある | 中期~長期 | 中 | 中 | ・ジェイテクトグループBCP基本方針を策定 ・防災訓練、減災啓発、製品供給の早期復旧に向けた準備等の実施 |
機会 | 政策・規制 | ●再エネ政策 風力発電が政策的支援を受けることにより、ベアリングをはじめとする風力発電設備向け製品の需要が増加する | 中期 | 中 | 小 | ・風車主軸、増速機、発電機、旋回部に使用されるベアリングを展開 |
●自動車の燃費・排ガス規制の強化 BEV/FCEVが増加した場合、電動車向け製品やFCEV向け製品、電動車向け製品の需要が増加する | 短期~長期 | 大 | 小 | ・電動駆動システムの小型化、軽量化に資する製品の開発 ・水素脆化を克服した軸受けの開発 | ||
技術 | ●工場の省エネ推進 製造段階の省エネと生産技術の革新による生産プロセスの効率化でエネルギーコストが削減され収益向上となる | 短期~中期 | 中 | 中 | ・省エネ活動の継続と生産プロセスの効率化による省エネルギー生産技術の開発 |
(注)1 時間軸 短期:現在~2025年 中期:2030年 長期:2050年
2 影響度評価は以下のとおり設定しております。
大: 影響額が100億円超のもの
中: 影響額が10億円~100億円以内のもの
小: 影響額が10億円以内のもの
1.5℃(2℃未満)シナリオにおいて想定される主なリスクとして、炭素税をはじめとする規制の導入・強化を背景とした操業費の増加や、自動車の燃費・排ガス規制の強化による内燃機関車向け製品の売上減少等を特定しました。これらのリスクを回避するために、生産プロセスの省エネ化や物流の改善、製品開発の加速等を行う必要があると考えております。一方、内燃機関車からBEV(電気自動車)やFCEV(燃料電池車)への移行は、当社事業の機会としても捉えております。当社は現在、電動車向けベアリングや耐水素ベアリング、次世代車と内燃機関車に共通する製品であるステアリングシステムや駆動部品を展開しております。特に、2022年10月にリリースした超幅狭軸受「JTEKT Ultra Compact BearingTM」は、軸受の幅寸法を極限までコンパクト化することに成功。ユニットの小型化、軽量化への貢献が可能となりました。今後はこれら製品の販売や新製品の研究開発に一層注力し、市場拡大を図ります。
(c) リスク管理
当社は、環境リスクを全社レベルのリスクマネジメント体制へ統合し、管理しております。環境リスクについては、取締役社長を委員長とする「企業価値向上委員会」が特定・評価・管理のプロセスを担っております。「企業価値向上委員会」では、「ジェイテクト環境委員会」や環境マネジメントシステム(ISO14001)で抽出されたリスクの識別・評価を行い、影響度、重要性、脆弱性、発生可能性の観点から優先順位付けした上で、回避・軽減等の対策を決定・登録・管理しており、今後の取組みについて全部署へ共有されております。また、重要リスクについては定期的に取締役会に報告しております。
(d) 指標と目標
当社は「環境チャレンジ2050」で掲げている環境負荷の極小化に向け、2035年までにCO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を設定しております。また、中期目標の「2030年マイルストーン」としてCO2排出量を60%削減(2013年度比)するとともに、国内外のグループ会社を含め、ジェイテクトグループ全体でCO2低減活動を進めております。
■中長期目標
■スコープ別CO2排出量
(単位:千t-CO2)
② 循環型社会への貢献
当社は、循環型社会への貢献をマテリアリティの1つとして掲げ、生産における副資材使用量の削減、生産品目上発生量の多い廃棄物の削減、水使用量の削減等、様々な取組みを行っております。
(a) 戦略
当社では、「環境チャレンジ2050」に基づき、5年ごとに「環境行動計画」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込み、廃棄物及び水使用量の削減活動を推進しております。
現在、世界的な人口増加や経済成長に伴う消費拡大により、世界の資源採掘量及び廃棄物量は増加傾向にあり、その枯渇も懸念されております。このような状況において、当社の継続的な事業活動のためには生産に必要な副資材使用量及び廃棄物の削減が不可欠と考えております。特に排出量の多い汚泥、廃油を重点品目に指定し、優先的に改善を行うとともに、金型の長寿命化の取組みを行い、副資材使用量の削減活動を推進しております。
また、事業を継続する上で必要な良質な淡水は、その利用が制限された場合には当社の生産工程である熱処理、洗浄工程等の稼動に多大な影響を与える可能性があるため、水使用量削減に向けた取組みが必要となります。当社は、特に水ストレス地域であるインド・メキシコに対して水使用量の削減目標を設定する等、取組みを進めております。
(b) リスク管理
「①地球温暖化防止(c)リスク管理」の記載をご参照ください。
(c) ガバナンス
当社では、取締役社長が委員長を務める「ジェイテクト環境委員会」を中心とした環境経営の推進体制を構築しております。「ジェイテクト環境委員会」は年2回開催し、会社方針に基づいて目標値を設定するほか、方策の審議・決定及び進捗状況の管理を行っております。同委員会での審議の結果は社外取締役を含む全役員が出席する「企業価値向上委員会」に報告・審議されるとともに、対策に予算措置が必要な場合は経営役員会に上程し、経営陣の審議を経て経営戦略に反映しております。
また、「ジェイテクト環境委員会」の下部組織である環境専門部会の一つである「生産環境改善部会」において、廃棄物と水使用量の削減に関するKPIを設定し、経営役員である全社環境総括役員を筆頭として、取組みの進捗確認、議論、審議等を行っております。
(d) 指標と目標
当社は「環境チャレンジ2050」で掲げている環境負荷の極小化に向け、内製生産高当たり廃棄物量/水使用量の原単位削減目標を設定し、2025年までに2018年度比7%削減を目標として取り組んでおります。また、5年ごとに「環境取組みプラン」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込み、活動を推進しております。
③ 環境負荷物質削減
(a) 当社の考え方、戦略
当社は製品含有化学物質管理において、環境保護や人体への影響を考慮し、環境負荷物質削減をマテリアリティの1つに掲げております。当社は、製品を提供する上での法的/社会的責任を果たすため、各種法令規制や要請を遵守することを企業活動における重要な方針としております。
(b) リスク管理
当社の製品含有化学物質管理が抱える社会/お客様へのリスクは、環境負荷物質の流出による法的責任の発生と、世の中からの信頼失墜が生じることであります。また、社内管理が不十分であると、国内外の規制変更や厳格化に対応できず、当社製品の使用が制限されることがあります。これにより、製品の供給/販売が困難となり、回収や切り替えコストの発生による価格競争力の低下がリスクとして懸念されます。
上記リスク回避のため、化学物質の安全性に関する最新の情報収集や、適切な規制遵守、社内外への製品含有化学物質管理の重要性周知等、製品含有化学物質管理の強化と改善を継続します。具体的な一例として、製品の研究や設計段階から、原材料や部品の調達時に化学物質の安全性や使用料を確認、成分表示を明確にした上で、必要に応じて顧客へ正確な情報を提供するようにしております。
(c) ガバナンス
当社では、研究開発本部副本部長が委員長を務める「製品環境委員会」を中心とした製品含有化学物質管理体制を構築しております。同委員会は年2回開催され、会社方針に基づいて課題の明確化と目標設定をするほか、方策の妥当性協議及び決定、進捗状況の管理を行っております。
また、同委員会の下部組織には、7つのワーキング・グループを設け、製品含有化学物質管理に関する全社方針の策定、国内外の体制構築、社内外の監査/教育、製品含有化学物質変更の際の設計変更や製品の切り替え推進について、役割分担と責任の所在を明確化した上で、活動を進めております。
(d) 指標と目標
当社は、製品含有化学物質管理について、2021年度からの5か年計画として、下記図に示すビジョンを策定しております。具体的には、2023年度までに顧客からの要求に積極的に対応するため、年2回以上の要管理化学物質リストの更新を行なうことや、属人化しない仕組みとして、関連する全ての全社規程の見直し等を推進します。さらに2026年度に向けて、化学物質の安全性に関する最新の情報収集や、サプライチェーンを含む関係会社の教育監査体制の仕組みを強化し、顧客要求を超える管理体制の構築を目指します。なお、これらの指標や管理体制は定期的に評価し、改善に向けた取組みを継続します。
図 2026年度に向けた当社の製品含有化学物質管理ビジョン
(3) 社会
当社は、「人づくり・仕組みづくり」にあたって、社内環境の整備と人財の育成が欠かせない要素であると考え、様々な取組みを行っております。
① 労働安全衛生(社内環境整備①)
(a) 当社の考え方、戦略
当社では「全ての災害は必ず防ぐことができる」を全社安全衛生理念とし、全従業員が一体となって全員参加の安全衛生活動や快適な職場環境づくりに取り組んでおります。またオールジェイテクトにおいても、安全衛生理念を表したグローバルメッセージ"All for One in Life"を発信し、命と健康を中心に置いた活動を通じて災害ゼロ実現を目指しております。
これら活動の一例として、機械加工に伴い騒音や粉塵が発生する職場や、熱処理工程等の高温になる職場、化学物質を取り扱う危険な職場等に対して、労働安全衛生に関する法令に基づき年に2回作業環境の測定を実施し、特に改善が必要と判断した職場については、優先順位に基づき改善を進め、着実に成果を上げております。
(b) リスク管理
当社では、過去の災害から重大な障害となる製造過程における6点の災害(重点6災害)、特に「挟まれ・巻き込まれ」のリスクがある設備に対して、リスクレベルによるランク付け、ラベル表示を行い、確実に改善が完了するよう、計画の立案~推進まで全社一丸となって取り組んでおります。
これら労働災害未然防止の為、OSHMSを基にした安全衛生マネジメントシステムを運用しております。各現場においてはリスクアセスメントによるリスク管理を行い、労働災害防止に取り組んでおります。
また、労働災害発生時の情報伝達にも取り組んでおり、労働災害発生時は、「発生部署→工場安全担当部署→総括安全衛生管理者→全社」と、全社規程により伝達ルートが定められ、適切に運用されております。これら各労働災害の事例は全社に情報共有され、再発防止に取り組んでおります。
(c) ガバナンス
当社は、健康で安全・安心で働きやすい快適な職場環境づくりを目指して、取締役社長を委員長とし、経営層を含めた各工場・事業所の安全衛生業務事務局メンバーで構成された「全社安全衛生委員会」を設け、国内外のグループ会社を含めた安全・衛生の一元管理体制を構築しております。この「全社安全衛生委員会」は、期央・期末の年2回開催され、安全スコアの振り返りや従業員の声に基づき、安全・衛生・防火に関する方針展開と進捗状況の確認を実施し、その結果は全従業員に展開されております。
また、「全社安全衛生委員会」の活動を補う組織として、全社安全衛生推進会議を毎月開催し、安全に関するトップメッセージ、年度方針の進捗状況に加え、災害事例の横展開や再発防止事項の即時展開も行っております。さらに各工場・事業所においては、事業所長を委員長にした各安全衛生委員会を設置し、安全衛生活動の実施・確認や、従業員の困りごと等、労使での協議に加え、各工場・事業所の特色に合わせた安全衛生活動や工場長から一般作業者まで参画した安全・衛生パトロールの結果等を報告し、問題点の抽出と改善計画についての対策検討を行っております。
(d) 指標と目標
当社では、前述の「全ての災害は必ず防ぐことができる」という全社安全衛生理念にもとづき、事業活動における死亡災害をはじめとするあらゆる災害の予防を目標としております。
② 健康経営(社内環境整備②)
(a) 当社の考え方、戦略
当社では、企業の持続的成長を実現する上で、従業員が心身共に健康であることが必要不可欠であると考え、「従業員の心身の健康増進」を重要な経営課題の1つに設定しております。
従業員の生活習慣等の行動と休職状況等の結果の両面で総合的に評価し、PDCAサイクルを回す取組みを行い、その結果を当社企業ウェブサイトで公表しております。
(b) リスク管理
従業員の健康問題による労働損失を重要なリスクと捉え、アブセンティーズム(健康問題による欠勤)に重点を置いた取組みを実施しております。具体的には私傷病による休務者数・休務日数で評価を行い、メンタルヘルス不調者対応や生活習慣病の予防・改善、健康意識向上に注力しております。これら各施策を通じて、従業員一人ひとりが健康にいきいきと働ける会社を目指します。
(c) ガバナンス
取締役社長を責任者とする経営層が中心となり、人事機能部署、労働組合、健康保険組合で「健康経営推進体制」を組織し、一体となって健康経営を推進しております。
「全社安全衛生委員会」では健康経営施策の計画・結果等を報告し、各施策について承認を得た上で、各職場や従業員に展開しております。
(d) 指標と目標
当社では、健康経営の取組みにあたって様々な管理指標を設定しておりますが、その成果を測る指標としては健康経営度調査の結果を採用しております。健康経営度調査とは経済産業省主催で毎年実施している健康経営の取組み状況に関する調査で、自社の健康経営に対する客観的な評価を確認することができると考えております。
当社では2025年までにこの調査で上位評価である500位以内に入り、「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を取得することを目標としております。
③ 人財育成
(a) 当社の考え方、戦略
当社は、「人づくり、仕組みづくり」を中期経営計画の重点取組みとして掲げており、以下の2点を人財育成の基本方針とし、従業員一人ひとりが主体的に取り組んでおります。
人財育成の基本方針
1.私たちは、社員を企業活動に不可欠な財と考え、「人づくり」に取り組みます。
2.私たちは、「自ら学び、共に成長する文化」を醸成します。
<事技職従業員の人財育成>
OJT、Off-JT、キャリア開発の3つの柱で構成され、OJTでは、対話と実践を通じてメンバーの主体性を引き出すための定期的な面談やOJTトレーナー制度を実施。Off-JTでは、当社の仕事の基本である「問題解決力」を強化する研修を軸として、職位別、年齢別、テーマ別研修等、体系的に実施するとともに、自発的な学びの促進のため、e-ラーニングによる選択型教育を実施。キャリア開発では、従業員の自己実現のため、キャリア面談やサクセッションプラン、社内公募制度があり、従業員の価値観に応じて自発的なキャリア選択ができる環境を整備しております。
<技能職従業員の人財育成>
全社教育、職場教育、自己啓発の3つの柱で構成。全社教育では、高等学園での教育を基礎とするキャリア開発プログラム(階層別教育)のほか、監督者研修、専門技能研修、TWI監督者訓練員養成講習、TWI10時間講習を実施。職場教育では、技能伝承に必要な専門技能のOJT教育、業務に必要な資格取得の特別教育・技能講習等を行っております。新任監督者研修では、生産調査部と連携しTPSの実践訓練を実施し、理解度向上に力を入れております。自己啓発では、国家技能検定、QC検定、自主保全士等の取得に挑戦できるよう支援しております。
(b) リスク管理
日本国内における少子化、要求される人財の高度化や雇用の流動化のなかで事業活動に必要かつ有用な人財の確保は困難の度を増しており、当社は、人財の育成は事業継続の根本的な課題の一つと認識しております。このような考え方のもと、当社は心身両面での人財の育成に取り組んでまいります。
<高いモチベーション維持と能力向上>
人財育成、評価、処遇の3要素を有機的に結びつけ、入社から退社まで高いモチベーションを維持しながら能力向上を図れるよう、各種人事制度を関係づけて構築しております。
<課題創造力、課題解決力の習得> 環境の変化に対応し、未来志向をもってお客様のニーズに応えるため、「問題解決」できる人財を積極的に育成しております。具体的には、ジェイテクトの基本理念にある「絶え間無い改善」の体現として、より高い課題に対応できる人づくりのため、仕事の基本となる「問題解決力」を、入社1~4年目の間で修得するように強化して取り組んでおります。 |
(c) ガバナンス
取締役社長を委員長とする「企業価値向上委員会」にて報告をしております。また、重要指標については適切に社外公表を行っております。
(d) 指標と目標
当社は、環境の変化に対応し、未来志向をもってお客様のニーズに応えるために必要なものとして、従業員一人ひとりの問題解決能力を特に重視しております。そのため、Off-JTである問題解決研修を入社以降の複数年と主任(係長級の役職)登用時に対象従業員の全てに受講させることとしており、人財育成の主要な指標・目標として同研修への参加率を掲げております。
④ ダイバーシティ
(a) 当社の考え方、戦略
当社では、経営環境の変化が年々加速する中で、企業が成長するためには、性別・国籍・年齢・文化等の様々な属性を問わず、多様な人財が活躍することが不可欠であると考えております。そのため、それぞれの能力や経験、特性を最大限に活かすダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)を重要な経営戦略の一つと位置づけ、取組みを進めております。
D&I方針
1.多様な人財が意欲的に仕事に取り組むことができる職場環境や、働き方の仕組みを整備することで、適材適所を実現し、その能力を最大限発揮できるマネジメントを行う
2.従業員一人ひとりが仕事を通して成長することによって、企業の成長を目指す
なお、当社が2023年4月に制定した人権方針においては、当社事業における人権上の課題(重点取組事項)としてハラスメント及び差別を取り上げておりますが、これらは人権へのリスクであるとともに、当社のダイバーシティ推進にあたっての対処すべき課題(リスク)でもあると考えております。
(b) リスク管理
優秀な人財の確保やイノベーション創出においてD&Iは不可欠であるため、多様性を活かす環境整備の充実によりそれらの機会損失のリスクを低減できると考えております。また、D&Iに対する無理解により差別やハラスメントを引き起こすリスクも把握しており、全従業員に向けたD&Iや障がい者、LGBTQに関する研修を実施し理解活動にも努めております。
環境整備においては、特に介護や育児等のライフイベントによりキャリアを中断することのないよう仕事と家庭の両立支援制度の充実に力を入れております。具体的には、法定以上の育児短時間制度の整備や託児所支援、ベビーシッター補助制度、カムバックサポート制度(退職した社員の復職制度)等を整備しております。また、両立支援ガイドブックの作成や全従業員に向けた両立支援研修も実施しており、ライフイベントとキャリアを両立しやすい職場風土の醸成にも力を入れております。
女性比率(管理職・正社員等)や男性育児休業取得率等により多様性の評価を行っております。
(c) ガバナンス
D&I取組みの方向性については、取締役社長を委員長とする「企業価値向上委員会」にて報告・審議をしており、取組み状況の進捗については経営管理本部担当役員に適宜報告をしております。
(d) 指標と目標
当社は、上記のとおり様々な観点からD&Iに関する取組みを行っておりますが、特に仕事と家庭の両立支援を重視する立場から、男女の別に関わらず活躍できる環境整備を進めております。そのため、厚生労働省等の施策も参照し、女性管理職人数と男性の育児休業取得率をD&Iの主要な指標と定め、2025年度時点での目標を掲げております。
(4) ガバナンス
当社は、企業の社会的責任を果たし、企業価値を持続的に向上させるため、コーポレート・ガバナンスの継続的な充実に取り組んでおります。
① コンプライアンス
(a) 当社の考え方、戦略
当社は、コンプライアンスが企業価値を支える前提・基礎であり、基本理念を実現するために不可欠なものであると位置づけ、「JTEKTグローバル・コンダクト・ガイドライン」を役職員の行動指針として、継続的なコンプライアンス・プログラムを実施しております。
具体的には、毎年の実施計画にもとづき、全ての役職員に対し、時々の事例を元にした全社教育、啓発活動を行うとともに、階層別、役職別の各役割に応じた教育を実施しております。また、社内各部署及び国内外のグループ会社におけるコンプライアンスの体制整備、運用、各施策の実施等の状況をモニタリングし、従業員へのアンケート結果も含めた分析を行っております。
当社は、これらの成果をもとに次年度の実施計画を立案するというプロセスを繰り返すことで、コンプライアンス違反のない事業活動を目指しております。
(b) リスク管理
当社の多岐にわたる事業活動においては各種法令による規制を受けるほか、社会の一員として要求される社会規範のレベルは高いものであり、これらに違反する事態の発生は大きなリスクであると理解しております。
そのなかでも、主力製品の性質及び多くの国と地域に顧客をはじめとするステークホルダーを有することに鑑み、公正な取引慣行の遵守が強く求められているとの考えから、当社は、カルテル行為と腐敗行為(贈収賄や横領等)の防止に特に重点を置いております。
当社は、これらリスクの顕在化を未然に防止し、早期に発見するため、前述のコンプライアンス・プログラムの実施に加え、当社グループの誰もが利用できる内部通報制度を整えるとともに、社外ステークホルダーからの苦情等を受け付ける各種窓口を設置することで、日々リスク管理に努めております。
(c) ガバナンス
以上のコンプライアンスに関する取組みの状況及び課題については、内部監査部門及び監査役による監査を受けるとともに、取締役をはじめとする経営層が多く出席する経営会議において定期的に報告され、確認を受けております。
(d) 指標と目標
当社は、継続的な施策の実施によって違反行為の発生リスクを低減し、独自に設定する重要法令違反(カルテル行為、腐敗行為等を含む当社が独自に設定する事項)を発生させないことを目標としております。
② サイバーセキュリティ
(a) 当社の考え方、戦略
当社は、会社情報、得意先・お客様情報の取り扱いに対し、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しております。また、当社グループ製品においても、運転支援機能や各種サービスに対し、様々な情報技術システムが利用されております。当社は、これらに対するサイバー攻撃をはじめとする日々高まる情報セキュリティリスクを経営上の重要なリスクとして認識し、継続して対策強化に取り組んでおります。
(b) リスク管理
サイバー攻撃による情報リスクへの脅威は増加しており、いくら安全対策が施されていても、情報システムの障害発生や機密情報が外部流出するリスクはあります。さらにサプライチェーンを含めた事業活動が一時的に中断するリスクもあります。このような事態となった場合は、当社グループの事業活動の停滞や、社会的信用低下により、当社グループの財務状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、情報技術ネットワークやシステム利用においては、必要な防御策を施した上で、攻撃による侵入や不正通信を監視し、万が一の場合に対応できる体制を整備しております。また、当社製品においても、該当製品にはセキュリティを考慮した設計、開発を行なっており、脆弱性等のリスクが発見された場合に対応できる体制も整備しております。
また、サプライチェーンも含めたリスクに対しては、2022年より、当社仕入先との対話を通じた対策強化の取組みを開始しました。
(c) ガバナンス
CISO(最高情報セキュリティ責任者)及び専門部署を設置し、様々な情報技術システムの利用や、当社製品に搭載される情報技術システムに対する安全性確認、及びその脅威に対する情報収集、展開をグループ全体で実施し、早期検知および対応に努めております。
(d) 指標と目標
当社は、事業継続・生産計画への影響、損害額、社会に対するインパクト等を勘案した独自の基準に基づく「重要インシデント」を指標として設定し、これを発生させないことを目標としております。
(5) サステナビリティに関する指標と目標
| 指標 | 目標 | 注記 |
気候変動への対応 | CO2排出量 | 2013年度比60%削減 (国内グループ17社、海外グループ31社を含む) | 2030年度目標 |
循環型社会の構築 | 内製生産高当たり 廃棄物原単位 | 2018年比 7%削減 | 2025年度目標 |
内製生産高当たり 水使用量原単位 | 2018年比 7%削減 | 2025年度目標 | |
環境負荷物質流出 (法令違反)件数 | 0件 (連結対象会社を含む) | (継続目標) | |
労働安全衛生 | 重大災害件数 | 0件 (連結対象会社を含む) | 2022年度実績:1件 |
休業災害 度数率 | 0.05 (当社単独) | 度数率は災害発生の頻度を示し、ここでは100万延実労働時間当たりの労働災害による休業者数を指します。 2022年度実績:0.11 | |
健康 | 健康経営度調査 結果 | 上位500位以内 (当社単体) | 「健康経営優良法人認定(ホワイト500)」認定の取得 2022年度実績:未取得 |
人財育成 | 問題解決研修 (新入社員)参加率 | 100% | 2023年度目標 2022年度実績:100% |
問題解決研修 (2年目)参加率 | 100% | 2023年度目標 2022年度実績:100% | |
問題解決研修 (3年目)参加率 | 100% | 2023年度目標 2022年度実績:未実施 (2023年度開始) | |
問題解決研修 (主任)参加率 | 100% | 2023年度目標 2022年度実績:100% | |
ダイバーシティ | 女性管理職人数 | 40名以上 (当社単体) | 2025年度目標 2022年度実績:34名 |
男性の育児休業取得率 | 50%以上 (当社単体) | 2025年度目標 2022年度実績:32.1% | |
コンプライアンス | 重大法令違反件数 | 0件 | (継続目標) |
サイバーセキュリティ | 重大インシデント 発生件数 | 0件 | (継続目標) |
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