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企業概要
(1) サステナビリティに関する考え方及び取組
当社グループは、中期経営計画「Change for Growth」(第64期~第66期)において、サステナビリティ経営により、経済価値だけでなく、顧客や社会の課題解決などの社会的価値へと提供価値を拡大することで、社会に必要な企業として、ステークホルダーからの理解及び信頼並びに共感を獲得するという基本コンセプトを公表しました。当社グループは、「創造的行動力による社会への貢献」の企業理念に基づき、環境・社会・企業統治の各要素を当社グループの経営諸活動に織り込むことで、リスクの減少と収益機会の獲得を図り、当社グループのビジネスモデルの持続可能性を高めることで、更なる企業価値の向上に取り組んでいます。
① ガバナンス及びリスク管理
当社グループでは、全社サステナビリティ推進体制によりサステナビリティ対応に取り組んでいます。社長を議長とする取締役会が、経営諸活動におけるサステナビリティ関連のリスク及び機会について監督を行い、ガバナンスの役割を担っています。また執行役員会が経営諸活動におけるサステナビリティ関連のリスク及び機会を管理する役割を担い、対応の検討と決定を実施しています。
執行役員会の諮問機関であるサステナビリティ推進専門委員会は、リスク・コンプライアンス委員会及び事業部並びにコーポレート組織と連携を取りながら、経営諸活動に対し重要な影響を与えるサステナビリティ上のリスクと機会について識別・評価し、当社グループのとるべき方針、施策について検討を行い、その結果を執行役員会及び取締役会に報告しています。
② 戦略
当社グループのサステナビリティ基本方針は、「創造的行動力による社会への貢献」を企業理念として、環境・社会・企業統治の各要素における企業責任を強く意識し、持続的な企業価値の向上を目指すことです。当社グループはサステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)を定めることにより、経営戦略にサステナビリティ課題への対応を織り込み、戦略を実行しています。
*JSPのマテリアリティ一覧表*
要素 | マテリアリティ |
CSV(共通価値の創造) | 1.環境対応型製品による貢献 2.プラスチック資源循環への貢献 3.気候変動緩和への貢献 4.食と健康への貢献 5.安全への貢献 |
E(環境) | 1.地球環境保全への対応 |
S(社会) | 1.人材育成の強化 2.働きがいのある企業風土の醸成 3.労働安全 4.情報システム基盤の強化 |
G(企業統治) | 1.コーポレート・ガバナンスの強化 |
③ 指標及び目標
当社グループのマテリアリティは中期経営計画と密接に結びついていることから、その指標及び目標は中期経営計画「Change for Growth」の定量目標及び定性目標として、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標 b.中期経営計画(第64期~第66期)について」に記載しています。またマテリアリティのうち、「地球環境保全への対応」の指標及び目標については、「(2)気候変動に関する考え方及び取組」に記載しています。またマテリアリティのうち、「人材育成の強化」、「働きがいのある企業風土の醸成」、「労働安全」の指標と目標については、「(3)人的資本に関する考え方及び取組」に記載しています。
(2) 気候変動に関する考え方及び取組
グローバル化による経済発展の一方、気候変動等の環境問題は、我々の生活を含め、地球、動植物にさまざまな影響を及ぼしております。当社グループは「創造的行動力による社会への貢献」の企業理念にもとづき、グローバル企業として環境に関するより大きな責任を率先して引き受け、2050年までのカーボンニュートラルの達成を目指して環境にやさしい技術の開発を推進し、環境と社会に配慮した製品を提供することにより、サステナビリティ社会の実現に向けて貢献します。
① ガバナンス及びリスク管理
当社グループの気候変動に関するガバナンス及びリスク管理は、「(1)サステナビリティに関する考え方及び取組 ①ガバナンス及びリスク管理」と同じです。これに加えて、執行役員会における具体的対応策の検討のために、サステナビリティ推進活動とレスポンシブル・ケア活動の両輪により、部門横断的に気候変動に関する国内外の動向・要請等の情報収集、情勢とリスクの分析を実施しています。
② 戦略
当社グループの気候変動に関する戦略は、シナリオ分析の実施により策定しています。当社グループはシナリオとして、世界の平均気温上昇が産業革命以前に比べて1.5℃に抑制するシナリオ(1.5℃シナリオ)と、世界の平均気温上昇が産業革命以前に比べて4℃上昇するシナリオ(4℃シナリオ)を用いています。またシナリオに基づき分析されたリスクと機会から理論上導出されるビジネスモデルにおける影響の評価及び対応策について検討しています。
*当社グループの気候変動における戦略*
戦略1 | 環境対応型製品のよりいっそうの普及により、気候変動緩和に貢献する |
戦略2 | リサイクル活動の推進により、プラスチック資源の循環に貢献する |
戦略3 | 温室効果ガス(以下、GHG)排出削減とエネルギーの効率的利用により、気候変動緩和に貢献する |
*1.5℃シナリオにおける移行リスクと機会の一覧表*
移行リスク | 影響評価 | 対応策 | |
政策 | 炭素価格の上昇 | 操業コストの増大 | 省エネ推進によるGHG排出量削減 |
再生エネルギー導入の促進 | |||
物流最適によるGHG排出量削減 | |||
再生資源の使用割合基準の導入 | 再生原料争奪によるコスト増大 | 再生原料購入の分散化 | |
再生原料使用製品の開発強化 | |||
技術 | 競合素材との競争激化 | 既存製品の収益悪化 | マテリアル・リサイクルの更なる促進 |
業界団体としてのケミカル・リサイクルへの取り組み | |||
環境負荷(GHG排出量、水使用量等)の評価低減と情報発信 | |||
バイオ由来製品開発の促進 | |||
市場・評判 | 原料価格の急激な変動、化石由来原料へのネガティブイメージの形成 | 既存事業の収益悪化 | マテリアル・リサイクルの更なる促進 |
気候変動対応製品によるGHG排出量削減情報の発信強化 | |||
環境貢献製品の情報発信強化 | |||
製品LCAの算定と情報発信強化 | |||
リサイクルチェーンの構築強化 |
機会 | 機会獲得製品 |
住宅の省エネルギーに貢献する製品需要増加 | ミラフォーム、ミラフォームΛ(ラムダ) |
リサイクル関連製品市場の拡大 | ARPRO RE、ARPRO RE OCEAN、ARPRO REvolution |
EV市場拡大に伴う軽量部材の需要増大 | ピーブロック、ピーブロックLC |
バイオ由来製品需要の増加 | ミラブロック-Bio、LACTIF |
効率的・拠点連携型都市における省エネ工事・短縮工期需要増加 | J‐ウォールブロック |
フォームサポート工法 | |
三層緩衝構造 | |
スチロダイアブロック |
*4℃シナリオにおける物理的リスクと機会の一覧表*
物理的リスク | 影響評価 | 対応策 |
気温上昇に伴う気象災害の激甚化 | 工場操業への影響拡大 | BCP整備 |
浸水防御壁等の災害対策整備 | ||
気象被災に対する付保 | ||
輸送への影響拡大 | 原料購入の分散化 | |
渇水 | 工場操業への影響拡大 | 水使用量削減・循環による製造方法の構築強化 |
機会 | 機会獲得製品 |
気象災害被害の回復貢献としての土木建築需要増加 災害対策強化としての土木補強、長寿命化需要の増加 | J‐ウォールブロック |
三層緩衝構造 | |
スチロダイアブロック |
③ 指標及び目標
当社グループとして、現在算定を行っている、JSP単体の2020年から2022年度の期間における、Scope1(事業者自らによる燃料の使用によるGHG排出量)及びScope2(他社から供給された電力及び蒸気の使用による GHG排出量)のGHG排出量は以下の通りです。
*GHG排出量の実績*
(単位:t-CO2)
年度 | 2013年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
JSP単体の Scope1+Scope2における GHG排出量 | 80,305 | 67,362 | 62,991 | 66,240 | 62,969 |
JSP単体において、Scope1及びScope2として排出されるGHGを対象に、2030年度の目標を2013年度比30%減、2050年度の目標を実質ゼロとして掲げ、省エネ活動の推進、再生エネルギーの導入等により、カーボンニュートラルの達成に向けて取り組んでいます。なお2050年のカーボンニュートラルの達成のためには、日本が現在技術確立に取り組んでいるCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage.CO2を回収し大気中に放出させないための回収・有効利用・貯蓄の技術)が社会に実装され、また各電力会社が化石燃料からGHGを排出しない非化石燃料に電源を変更する等の前提があることを付記します。
*GHG排出削減に関する目標*
2030年度 | 2050年度 |
JSP単体の Scope1+Scope2における GHG排出量 2013年度※比 30%減 | 実質ゼロ |
※ 2013年度のJSP単体の Scope1+Scope2におけるGHG排出量 80,305t-CO2
(3) 人的資本に関する考え方及び取組
当社グループは、人的資本を経済的価値と社会的価値の創出のための源泉と位置付けています。経営方針「Deliver with WOW!」で示すように、「社員一人ひとりがワクワク感を持って仕事をする」ことが創造的な行動力となり、「顧客と消費者に感動を届ける」こと、また「株主と地域社会に満足を届ける」ことを果たすことで、長期ビジョンであるVISION2027「真のグローバルサプライヤーとして社会から必要とされる企業」となり、企業理念である「創造的行動力による社会への貢献」を実現します。
① 戦略
当社グループは、「社員一人ひとりがワクワク感を持って仕事をする」ために、女性、若手、高齢者、障がい者、キャリア採用者といった、多様な視点や価値観を有する人材が組織に不可欠と考えています。当社グループの人材育成方針としては、まず育成対象である人材における多様性を推進しています。JSP単体においては、女性の管理職登用の推進に取り組んでおり、2025年度に女性管理職比率10%の達成を目標としています。また地元で働きたい社員の希望と、将来を担う人材の多様性の追求を、共に実現していくためのエリアスタッフ制度を2021年度に導入し、一般職から総合職への転換を図っています。従来より、国内グループ会社を中心に障がい者雇用に積極的に取り組んでいます。またキャリア採用について専門性の高い業務において、より一層の採用強化を図っています。さらに人材育成方針として、人材育成を推進し、積極的な研修制度を運用しています。新卒及びキャリア採用者を対象とする入社研修、若手のための若手中堅社員研修及び主任研修を実施しています。また、多様性のある人材がワクワク感をもって仕事をし、活躍するためには、マネージャーの自己革新が欠かせないと考えており、新任管理職者を対象とした研修、中間管理職及び上級管理職を対象としたマネジメントスキルアップ研修を含む、様々な研修を実施しています。
当社グループは、社内環境整備方針として、「社員一人ひとりがワクワク感を持って仕事をする」ために働きがいを感じられる組織風土を追求します。JSP単体においては、社員が活躍する場所を広げられるよう自己申告制度を導入しており、個人のキャリアパスを考慮した人材配置に努めることで、エンゲージメントの向上を図っています。また育児と仕事の両立し易さを目指し、男性育児休暇取得率の向上を図っています。また従業員の健康と安全への取組として、職場の安全衛生、工場の労働安全、従業員のメンタルヘルスケアに努めています。
② 指標及び目標
当社グループは、サステナビリティ経営において人的資本を重要事項として位置づけ、マテリアリティを定めています。人的資本に関するマテリアリティは、「人材育成の強化」、「働きがいのある企業風土の醸成」、「労働安全」であり、多様性の確保を含む人材育成の強化、育児と仕事の両立し易さ、休業災害の未然防止に関する指標を設定しています。各指標及び目標並びに2022年度の実績は以下の通りです。なお、以下の指標及び目標並びに実績は、主に当社単体のものを記載しておりますが、当社グループにおいては、関連する指標のデータ管理とともに具体的取組を実施しており、今後指標及び目標についても充実を図る予定です。
マテリアリティ | 項目 | 指標 | 目標 | 2022年度実績 |
人材育成の強化 | 女性管理職登用の推進 (JSP単体) | 女性管理職比率 | 10% (2025年度) | 4.5% |
キャリア採用の維持推進 (JSP単体) | 中途採用者比率 | 維持推進 | 51.4% | |
障がい者雇用の維持推進 (JSP単体及び特例子会社のJSPモールディング(株)) | 障がい者雇用率 | 5%以上維持 | 5.5%(※) | |
働きがいのある 企業風土の醸成 | 男性育児休暇取得の推進 (JSP単体) | 男性育児休暇取得率 | 60% (2025年度) | 42.3% |
労働安全 | 休業災害の未然防止 (JSP単体・国内グループ会社) | 休業災害件数 重大災害件数 | 0件 0件 | 6件 0件 |
※ 障害者の雇用の促進等に関する法律第43条第7項により報告した2022年6月1日時点の障害者雇用状況報告書に基づく。
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