シード 【東証プライム:7743】「精密機器」 へ投稿
企業概要
(1)経営方針・理念
当社グループは、『眼』の専門総合メーカーとして、“お客様の『見える』をサポートする“を使命とし、コンタクトレンズ事業を中心に、コンタクトレンズケア用品、眼鏡等、幅広く事業を展開しています。経営理念は以下のとおりであります。
(経営理念)
・専門特化した研究開発力を基盤に安全かつ高品質な製品を提供し、多くの人々の健康と幸せに貢献する
・スピードを重視した経営により、環境変化に先駆けて対応するとともに、お客様のニーズに的確に応える
・社員ひとり一人が自発性と創意工夫を発揮できる場を作り、社員の努力に対してしっかりと報いる
・良き企業市民として、法令を遵守し、環境・社会・地域との調和をはかり、その発展に貢献する
(2)経営環境
当連結会計年度における日本経済につきましては、為替相場の急激な変動や物価上昇の影響による景気への下振れ懸念が継続しているものの、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴う行動制限解除による個人消費回復やインバウンド需要等が下支えすることで、緩やかながらも着実に正常化が進みました。
国内のコンタクトレンズ市場におきましては、ライフスタイルの変化に伴う近視人口の増加と社会経済活動の正常化による装用機会の増加により需要が増大しております。さらに、1日使い捨てタイプへのシフトが継続していることやミドルエイジ以降の遠近両用コンタクトレンズが伸長していること、また、就寝時に装用し日中裸眼で視力矯正効果が得られるオルソケラトロジーレンズの普及を背景として、市場は拡大しております。
当社が展開をしております、アジアから欧州に至る海外コンタクトレンズ市場におきましては、国や地域により強弱がある中、需要拡大と近視の低年齢化による近視人口の増加により、市場全体は拡大しております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の景気見通しにつきましては、賃金上昇等の雇用環境の改善を受けて、日本銀行が2024年3月の金融政策決定会合においてマイナス金利政策の解除を決定しましたが、今後も物価高を上回る所得の増加が個人消費の拡大へと繋がる好循環が続くことにより、緩やかながらも成長が期待できると考えております。その一方で、為替相場の急激な変動や海外動向の影響を受けた物価上昇、人手不足の深刻化等、景気の下振れ要因が多く経済成長に不確実性をもたらしております。
世界の景気見通しにつきましては、米国や一部の国や地域において景気回復の底堅さが確認されているものの、欧州を中心としてインフレ抑制への対応を目的とした金融引き締めにより景気回復の遅れが懸念されております。
また、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化を始めとする地政学的リスクも景気の回復に大きな影響を及ぼしかねない状況が続いております。中国においても景気の急速な悪化が続いており、回復までの道のりが予測できない状況にあります。
コンタクトレンズの国内市場につきましては、近視人口の増加をはじめとして、1日使い捨てタイプへのシフトやミドルエイジ以降の遠近両用商品等の伸長、オルソケラトロジーレンズの普及が進むことにより、持続的な成長が見込まれると認識しております。世界市場におきましても、近視人口の増加が世界的な社会問題として注目される中、継続して成長していくものと考えられます。
そのような状況が想定される中、当社グループは、2024年4月を起点として策定した新中期経営計画(2024年4月~2027年3月)に基づき、連結売上高500億円を達成し、世界のコンタクトレンズ市場でプレゼンスを発揮するための生産基盤を確保するため、「生産力の抜本的引き上げによる収益力の強化」「国内外のマーケットに対応するサービスの強化と提供」「市場のニーズに合わせたモノづくり」「内部基盤の強化・人材確保と育成」「SDGsの推進」「安定した株主還元」を企業目標達成にむけた成長戦略として取り組んでまいります。
当社は、引き続き主力商品である国産の「シード1dayPureシリーズ」を中心とし、2つの異なるベクトルを持つシリコーンハイドロゲルレンズや特に市場での伸長が最も見込まれる遠近両用コンタクトレンズ等の高付加価値商品の拡販に注力してまいります。生産につきましては、2024年3月期に行った生産設備の更新及びライン新規増設と2025年3月期に稼働する2号棟別館により生産枚数を大きく増加することで、逼迫した在庫状況を改善し、さらなる原価率の低減に取り組んでまいります。また、将来の企業成長を実現するため、近視進行抑制効果のあるコンタクトレンズやDDS(薬物送達システム)コンタクトレンズ、次世代の高酸素透過シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ、スマートコンタクトレンズの第二世代といった商品・分野の開発や治験への投資を積極的に行ってまいります。海外戦略につきましては、管理業務の効率化と経費削減を進めながら、それぞれの地域の特性に合わせた商品投入と、現在の為替水準を生かした積極的な販売活動を行うことで収益力の改善を目指してまいります。
(4)TCFD提言に対する当社の対応
(ガバナンス)
① 気候変動関連のリスク及び機会についての取締役会による監督体制
気候変動関連のリスク及び機会を含む経営上の最重要事項に関する意思決定機能は取締役会が担っており、業務執行状況に関する定期報告やリスク・セキュリティ管理委員会における重要決定事項の報告を受け、業務執行の監督を行っています。
EMS(環境マネジメントシステム)における各実施責任者が環境法規におけるリスクや気候変動関連リスクに関して十分な審議を行った上で、環境管理責任者に報告し、リスク・セキュリティ管理委員会に付議されます。リスク・セキュリティ管理委員会はリスク管理プロセスにおいて中心的な役割を果たしており、全社に影響を及ぼすリスクの特定及び対策を策定し、適宜取締役会に付議しています。また、年度毎に各実施責任者が現状のリスク及び機会についての評価案をまとめ、環境管理責任者に報告し、環境管理責任者がリスク・セキュリティ管理委員会に付議し、委員会における討議を経て、リスク・セキュリティ管理委員会の委員長でもある代表取締役が取締役会に報告を行います。
② 気候変動関連のリスク及び機会を評価・管理する上での経営者の役割
当社のEMSにおけるトップマネジメントは代表取締役が担っております。代表取締役は、取締役会のメンバーであり、リスク・セキュリティ管理委員会の委員長です。EMSのポリシー、リスクと機会、ビジネス戦略、目的、行動計画、及び進捗状況について、リスク・セキュリティ管理委員会で意思決定された事項の報告を受け、EMS推進業務執行及びリスク管理システムの監督を行います。
(戦略)
① 短期・中期・長期のリスクと機会
リスク:TCFDが定義するハイリスクセクターのように、長期的に大規模な事業転換や投資を必要とするような重大な気候関連リスクは認識されていませんが以下のリスクについて今後対応策を検討してまいります。
・物理的リスク
気候変動に伴う製造設備地域での災害リスク、サプライチェーンの寸断リスク等
・移行リスク
カーボンプライシングによるコスト増(炭素税によるコスト増加。排出権取引)
・法令リスク
環境関連法令の厳格化に伴う遵守に向けての体制整備、設備対応等によるコストアップ等
機会:気温上昇に起因する生活環境の変化による、アレルギー罹患率の増加等の事業機会が考えられます。眼におけるアレルギー罹患率も同様に増加すると考えられ、1日使い捨てコンタクトレンズユーザーの増加や、抗アレルギー薬を持続的に投与できる機能性コンタクトレンズへのニーズの増加が予測されます。また、環境意識の高まりによる環境配慮商品への期待等、新たな商品開発や研究開発の機会が増加すると考えております。
② 事業・戦略・財務計画に及ぼす影響
製造業一般に対する新たな規制強化が実施される可能性も念頭に規制動向は注視することが必要であると認識しております。一方で、環境負荷を低減する製造プロセスの構築や、サプライチェーン全体の気候レジリエンス強化への対応による、機会のポテンシャルもあると考えています。
③ 1.5℃目標等の気候シナリオを考慮した組織戦略の強靭性
環境関連法令等を管理する部署を一元管理および監督するプロジェクト発足等、EMS(環境マネジメントシステム)にて情報収集、審議を行っております。
(リスク管理)
① リスク識別・評価のプロセス
リスク・セキュリティ管理委員会は、EMS(環境マネジメントシステム)における各実施責任者が特定し、環境管理責任者より報告された環境法規におけるリスクや気候変動関連リスクのうち、特に経営に大きな影響を与えるものを全社リスクとして特定します。さらに、リスクの影響度(財務的影響)及び発生可能性(発生頻度)を討議し、高・中・低の3段階で優先順位を決定するとともに、対応する部署を選定し、取締役会へ報告します。
② リスク管理のプロセス
実施責任者は、抽出したリスクの評価と改善を行い、適切なタイミングで環境管理責任者に報告を行います。環境管理責任者は、報告内容を評価し、代表取締役がトップマネジメントを行うリスク・セキュリティ管理委員会に報告します。
③ 組織全体のリスク管理への統合状況
リスク・セキュリティ管理委員会規程に基づく全社的なリスクマネジメント体制を構築しております。気候変動を含む外部環境変化についても、全社的「リスク」、業務別「リスク」の大きさ・発生可能性・発生頻度の評価を行い、重要なリスクの対策及び対応に関しては、取締役会に上程し、取締役会で検討及び関係各署への改善指示を行います。
(指標と目標)
① 組織が戦略・リスク管理に即して用いる指標
当社は中長期的な視点をもって環境保全活動を推進しており、2021年11月に発表した中期経営計画の一つの柱としてSDGsの推進を掲げております。今後、社会からの期待・要望の変化を踏まえ、中長期視点でマテリアリティを設定し対応してまいります。最終的には、2050年カーボンニュートラルの実現を目指して、2030年を中間目標として設定し、2030年において鴻巣研究所におけるScope1、2を対象としてCO2排出量原単位を2022年度比で50%改善することを削減目標としております。
② 温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)
Scope1、2、3について算出を終了し、削減計画の策定を行っております。
③ リスクと機会の管理上の目標と実績
リスク、機会の抽出については取締役会に提案し、議論を実施し、共有を図っています。
[削減目標(KPI)]
年 | 項目 | 削減量 |
2030 | 原単位排出量 | 23.15g/枚 |
CO2排出量 | 24,307t |
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