ケンコーマヨネーズ 【東証プライム:2915】「食品業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに対する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社グループのサステナビリティ
当社グループは、「食を通じて世の中に貢献する。」「心身(こころ・からだ・いのち)と環境」という企業理念のもと、持続可能な社会の実現を目指すため、サステナビリティ方針と5つの重要課題を定めました。
(詳細につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)経営者の問題意識と今後の方針について」をご参照ください。)
2021年度からスタートした中期経営計画『KENKO Transformation Plan』では、このサステナビリティ方針を中核とし、環境の変化や社会の課題に向き合い、市場の期待に応えられるよう、企業価値の向上と持続的な成長に向けた変革を進めております。
(2)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
① ガバナンス
当社グループは、持続可能な社会の実現に向けた取組みを強化するため、常務会(常勤取締役と常勤監査役から構成される決議機関)直轄のサステナビリティ推進室を設置し、サステナビリティに関する取組みを検討・推進する組織体制を構築しています。
サステナビリティ推進室は、当社グループの各部署と協力を図り、「環境」「社会」「健康」
を指標とした「サステナビリティ方針」に基づく計画立案と実施及び進捗確認を行うとともに、年2回の定期的報告に加え、必要に応じて常務会へ報告しています。
常務会では、報告された事項について審議・議論が行われており、その中でも重要事項と判断された事案については年2回の定期的報告に加え、必要に応じて取締役会に報告することで全社的な活動として管理・監督されています。また、取締役会では、報告された重要事項について審議、決議を行っています。
② リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ推進室とリスク管理委員会(当社グループとして考えられるリスク及びクライシスリスクをリストアップし、グループ全体を管理、統括する機関)が
連携してリスク情報の収集、分析、及び評価を行い、全社的なリスクと統合した後、リスク管理体制の構築や維持管理などについて審議を行います。
また、審議された内容については定期的に取締役会に報告され、取締役会にて管理・監督されます。
(3)気候変動への取組(TCFD提言への取組)
資源と環境を大切にすると共に、関係者の皆様にご満足いただける商品・サービスの提供を続け、安定した成長を持続できる経営基盤づくりのため、気候変動によるリスクや機会について、TCFD提言に基づいた適切な情報開示を行います。
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンスについては、「(2)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理 ①ガバナンス」を参照ください。
② 戦略
当社グループでは、気候変動によるリスクや機会の特定、評価、対応策の検討を行っています。リスクや機会を特定し評価するにあたり、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の仮説・将来予測等を用いたシナリオ分析を実施しています。分析には、2100年の将来、世界において平均気温が産業革命期比で約4℃上昇した場合(4℃シナリオ※1)、同様の時間軸で平均気温が1.5~2℃未満の上昇に抑えられた場合
(2℃未満シナリオ※2)の2つの世界観を想定し、2030年時点の影響度合いを定性的及び定量的に分析しています。
※1 4℃シナリオ
政府による積極的な環境政策は実施されず、降雨量の増加や台風の頻発、気温上昇に伴う物理的リスクが想定されています。
使用シナリオ:IEA Stated Policies Scenario、IPCC Rcp8.5
※2 2℃未満シナリオ
環境に対する積極的な規制改革や技術革新が推し進められ、低炭素社会への移行に伴う移行リスクが想定されています。
使用シナリオ:IEA Sustainable Development Scenario, IEA Net Zero Emission by 2050,
IPCCRep 2.6
<4℃シナリオに対する分析>
当社グループは、食品の製造・販売を主要事業としている背景から、原材料である農作物や畜産物に対する影響を最も大きなリスクとして特定しました。また、異常気象に起因した拠点の操業停止及び対応コストの増加などもリスクとして想定されます。特定、評価したリスクに対しては、原料産地の分散化や原材料確保におけるサプライヤーとの連携強化、また気象災害(洪水等)を想定したBCP(事業継続計画)の策定など、レジリエンス性の強化に努めてまいります。
<2℃未満シナリオに対する分析>
当社グループは食品製造業であり、製造過程等で二酸化炭素(CO₂)を排出するため、炭素税導入による影響を最も大きなリスクとして特定しました。特定、評価したリスクに対しては、CO₂消費量のモニタリング及び削減目標の設定や省エネ機器導入、製造工程の整備等による省エネ推進及びオペレーション効率化、新技術導入の検討等を行っています。また、機会に対しては食品ロスの減少に向けた賞味期限の延長や環境負荷の少ないプラントベースフードの開発等を行い、今後も更なる環境への影響に配慮した経営を推進してまいります。
〇リスク機会一覧
分析の対象:当社グループ全体
時間軸:短期0~3年、中期4~10年(2030年)、長期11~20年(2050年)
太字:定量的な分析を行った項目
※1:試算に使用したScope1、2は削減目標未考慮
※2:電力価格の変化による影響を定量的に分析し評価
※3:揮発油、軽油、灯油、重油、LNG、LPG、都市ガス価格の変化による影響を定量的に分析し評価
※4:ペット、ポリエチレン、ポリプロピレン価格の変化による影響を定量的に分析し評価
※5:鶏卵、馬鈴薯、大豆価格の変化による影響を定量的に分析し評価
※6:洪水被害、高潮被害、営業停止損失を定量的に分析し評価
③ リスク管理
気候変動に関するリスク管理については、「(2)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理 ②リスク管理」を参照ください。
④ 指標と目標
当社グループでは、気候変動課題が及ぼす経営への影響を評価、管理するため、Scope1、2に対して温室効果ガス(GHG)を指標とした数値目標を設定しました。
目標達成に向け、低炭素エネルギーの導入や物流の改善等に取り組んでまいります。
〇目標
(4)人的資本経営の実現
当社グループでは、企業理念を中心とした、従業員一人ひとりのワークエンゲージメントを向上させ、労働生産性を高めるために、戦略的な制度の構築と人財への投資を継続して行うことが必要と考えております。人的資本経営の実現に向けて、従業員の貢献を企業価値向上につなげるべく、以下の3つの施策を重点的に進めてまいります。
① 人事制度改革
・期待と役割の明確化
・個々の成長と幸せづくり
・納得感、公平感
② 働き方改革
・労働環境の整備
・働き方の多様性
・多様な人財の活用
③ 人財育成
・自律的キャリア形成
・様々な研修の充実
・キャリア採用の活性化
<各施策の概要>
① 人事制度改革
「社員に対するメッセージが明確でわかりやすい人事制度」「個人やチームでの挑戦を後押しする人事制度」「挑戦する社員が会社の将来のキャリアに希望を持てる人事制度」を基本コンセプトとして、従業員のチャレンジを推奨し心理的安全性を担保すべく、人事制度の根幹を成す「等級制度」「報酬制度」「評価制度」の再構築を進めています。
「等級制度」
・期待する役割の大きさに応じて社員を格付け。同等の重さの役割を担う社員を同じ
格付けとすることで公平性と納得感を担保します。
「報酬制度」
・給与については期待する役割に応じて支給、賞与については部署や社員の成果及び
貢献に応じて支給します。
「評価制度」
・短期的な業績に直結した「成果評価」、長期的な展望に立った「貢献評価」及び取組
み姿勢や能力を対象とする「対グレード評価」を総合的に勘案して決定します。
② 働き方改革
「長時間労働の是正」「就業形態に応じた役割整備」「多様な働き方の実現」を目指すために、ワークエンゲージメントを向上させ労働生産性を高める必要があり、そのためには、「労働環境の整備」「働き方の多様性」「多様な人財の活用」等に付随するさまざまな課題解決を進めています。
「労働環境の整備」
・ストレスチェック集団分析実施による職場環境の把握と継続的な改善活動をします。
・DXを進め、業務の効率化・高度化を推進しています。
「働き方の多様性」
・育児短時間勤務期間の延長:法令では3歳未満の子どもを対象とするところ、現状小学
校4年生までの子どもを養育する従業員に対して育児短時間勤務を認めております。
これをさらに小学校在学中は育児短時間勤務を可能とするよう検討しています。
・育児休業の取得推進:産育休相談専用窓口を開設し、休業中又は休業予定の従業員をサ
ポート、また不安を解消すべく対象者全員に個別面談を実施しています。
「多様な人財の活用」
・介護や配偶者の転勤等、止むを得ない理由で退職した従業員を対象とするカムバック登
録を2023年から開始しており今後は更に対象を拡大することも検討しています。
・女性、キャリア採用、外国人、障がい者の活躍を促進してまいります。
③ 人財育成
「自身のキャリアの在り方を自ら考える、自律的なキャリア形成」「自律的な学習意欲向上へ、学びの機会提供や援助」「社員間の交流、関係性構築・モチベーション向上」を基本コンセプトとして、「自律的なキャリア形成の支援」「学習意欲向上の促進」を図っています。
また、女性・キャリア採用者・外国人・障がい者等の多様な人財の活躍も企業成長への大きなファクターであり、意欲・能力に応じた採用と育成、管理職への登用などを進め、更には新卒採用のみならず転職市場の活性化もふまえ、必要人材の獲得の手段として即戦力となる「キャリア採用」にも重点をおき進めてまいります。
「自律的なキャリア形成の支援」
・働きやすさについての社内交流の活性化:結婚・出産・介護などロールモデルとなる先
輩社員との交流、男性育児休業の啓蒙活動等を進めてまいります。
・学びの提供、学び直しへの援助:食品、生産、レシピの開発や販売といった事業に直結
する知識の他に、管理者又は監督者として求められるヒューマンスキルや、語学・デジ
タルに係る学習を推進します。
・他拠点の人同士の社内交流の更なる活性化
「様々な研修の充実(学習意欲向上の促進)」
・階層別研修:コーポレートガバナンス・コード(以下「CGC」)原則4‐14「取締役・
監査役のトレーニング」に基づく役員勉強会及び外部講師によるエグゼクティブ・コー
チングCGC補充原則4‐1③後継者計画に基づく選抜型研修、管理職研修、新入社員研修
(入社時研修、フォローアップ研修)等。
・スキル、テーマ別研修:管理職向けコーチング・フィードバック研修、若手社員向け
ロジカルシンキング・ロジカルライティング研修、希望制グローバルマインドセット
研修、希望制ダイバーシティ研修、語学研修等。
・キャリア研修:若手キャリア研修、女性キャリア研修、シニア社員ライフデザイン研修
等。
<測定可能な指標及び目標>
① 女性管理職比率
女性管理職比率の推移は以下のとおりであり、今後も15%以上を維持することを目指します。
② 男性育児休業取得率
男性育児休業取得率の推移は2022年度で20%であり、2025年度に30%以上とすることを目指し
ます。
③ 男女間賃金格差
性差による賃金格差は存在しません。期待役割と果たせる責任を明確にし、それに則った同一労働同一賃金を遵守しており、同役職・同業務を担う従業員間の賃金テーブルは同一であり男女間賃金格差はありません。
- 検索
- 業種別業績ランキング